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東京のラッパー地図|代表14組・若手3組・1989年からの年表【Rap Atlas】

日本語ラップ29 min read

東京に「東京のシーン」はない。

あるのは、新宿と三軒茶屋と板橋と新小岩と王子とお台場と渋谷が、それぞれ別の速度で回っている状態だ。

このページは、1989年のRHYMESTER結成から2026年7月のちゃんみな東京ドームまでの年表である。

あわせて代表14組と注目の若手3組を、掲載基準つきで並べた。

誰が一番かは書かない。書けないからではなく、この街ではそれが意味を持たないからだ。

先にひとつ。2024年、川崎のBAD HOPは東京ドーム単独公演を完全ソールドアウトさせた。音楽ナタリーはこれを「日本のラッパーでは前代未聞の快挙」と報じている。

このページの順路

  1. 年表で37年の変化をつかむ
  2. 仕組み、街、会場の三方向から東京を読む
  3. 代表14組、クルー、若手3組へ進む
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目次

なぜ「東京の音」は定義できないのか

地域シーンの記事は、たいてい「その土地の音」を定義するところから始まる。東京ではそれができない。

理由は単純だ。レーベルもメディアもライブハウスもフェスも、決める側の人間がここに集まっている。他地域出身のアーティストが上京して拠点を構える先でもある。

結果として「東京のシーン」と「日本のシーン」の輪郭が重なる。東京について書いているつもりが、いつのまにか日本全体の話にすり替わる。

そこで本アトラスは、出身または本人が公表する拠点が東京都内にあることを掲載の条件にした。単に東京で活動しているという理由だけでは紐付けない。この線を引かないと、東京のページは日本語ラップ全体の目次になってしまう。

たとえば漢 a.k.a. GAMIは新潟県長岡市の生まれで、育ちは新宿区。プロフィールの書き方ひとつで「新潟出身」にも「レペゼン新宿」にもなる。

STUTSは名古屋出身で東京拠点。東京圏の広がりのなかで、帰属はすぐ曖昧になる。

曖昧なものを曖昧なまま書くのが、この地図の作法である。

1989年から2026年まで:東京の日本語ラップ年表

主要な転機を、確認に使った出典とともに並べた。幅の狭い画面でも横スクロールせず読めるよう、二つの時期に分ける。

1989〜2009年:グループ、野外イベント、街の作品

2012〜2026年:大会、武道館、世界チャート、東京ドーム

  • 2012年 BSスカパー!『BAZOOKA!!!』の企画として高校生RAP選手権が開始。同年、世田谷を拠点とするKANDYTOWNが結成
  • 2015年 Chaki Zulu、JNKMN、PETZ、MonyHorseらを中心にYENTOWNが結成。渋谷のパーティー「YENJAMIN」を含む活動へ広がった。
  • 2021年1月24日 葛飾区新小岩のZORNが日本武道館で単独公演「My Life at 日本武道館」を開催(ZORN公式)。
  • 2023年3月8日 KANDYTOWNが日本武道館でクルーとしての「終演」公演(Warner Music Japan)。
  • 2024年6月28日 千葉雄喜がMegan Thee Stallion『MEGAN』収録「Mamushi」に客演(Apple Music)。Billboard Hot 100に初登場68位(Billboard)、最高36位(チャート履歴)まで上げた。
  • 2025年 7月3日、千葉雄喜が日本武道館で単独公演。翌4日、Warner Musicとの包括契約と300 Entertainment Japan所属が公表された(Warner Music Japan公式リリース)。12月31日、ちゃんみなが第76回NHK紅白歌合戦へ初出場(ORICON NEWS)。
  • 2026年2月16日 ZORN主宰のAll My Homiesが日本武道館で「Family Day」を開催。ZORN/OZROSAURUSのツーマンだった(ZORN公式)。
  • 2026年7月11日・12日 ちゃんみなが初の東京ドーム公演「AREA OF DIAMOND FINAL」を2日間開催(ぴあ音楽)。

東京が全国に渡したのは、音ではなく仕組みだった

東京の話がいつのまにか日本の話にすり替わる、と先に書いた。理由はもうひとつある。

東京が外へ渡してきたのは、東京の音ではない。人が上がってくるための仕組みのほうだ。

代々木公園のB BOY PARKは1997年に始まり、主催者側は20周年の2017年を最後と発表した(WEBザテレビジョン)。入場無料で開かれ、KREVAが1999〜2001年に3連覇したMCバトル部門は、誰でも見られる入口だった。

2005年に始まったULTIMATE MC BATTLEは、そこから一段先へ行く。漢 a.k.a. GAMIがLibra Recordsと共同で立ち上げ、各地の予選勝者を東京の決勝へ集めた大会だ(MC BATTLE CHANNEL)。

B BOY PARKが無料で見られる入口なら、UMBは各地の入口を1本の決勝につなぐ仕組みだった。

2012年には高校生RAP選手権、2015年にはテレビ朝日『フリースタイルダンジョン』が始まる。

テレビ朝日公式はZEEBRAを「メインMC&オーガナイザー」と記載している。全国の挑戦者が5人のラッパーに挑む番組だった。

代々木公園の無料イベントから、大会、深夜の全国放送まで。作ったのは東京だが、そこを通って出てきたのは全国のラッパーだった。

だから東京について書くと、勝手に日本全体の話になる。逆に言えば、器を差し引いた残りが東京の地域性だ。その残りは、区や駅の名前で割れている。

街の名前が音を決める:新宿、板橋、新小岩、王子

東京の日本語ラップを読むうえで、いちばん効く補助線はこれだ。東京の内側で、レペゼンの単位がさらに細かく割れている。

レペゼンは、どこの代表を名乗るかという意味だ。本稿の代表14組の多くは、「東京」より細い街名と結びついている。

2000年代前半、新宿のMSC、三軒茶屋の妄走族。2006年、練馬のSEEDA『花と雨』。2009年、板橋のPUNPEEと5lackを含むPSG『David』。

区や駅の名前がそのまま名乗りになり、声の質から言葉の選び方まで変わっていった。

渋谷のレコード店やクラブは交差点として働いた。同じ時期、葛飾、板橋、北区といった山手線の外側の生活圏が、自前の言葉づかいを持ち始める。

ZORNの新小岩、千葉雄喜の王子はその先にある。

この感覚がいまも生きていることは、2026年の出来事が示している。6月6日、Tokyo Young Visionが東京・Zepp DiverCityでワンマンライブ「EDOTENSEI」を開催した(SPICE)。

そこに、2021年から活動を止めていたNormcore Boyzが約5年ぶりに立った。両クルーに重複して在籍する3名は、この日だけ新旧2つの名義を並べて出ている。DALU/Young Dalu、OSAMI、Big Mike/Night Flow Mike。

再集結にあたって、Normcore Boyzはクルー名義でこうコメントを出している

俺達が出会って、ラップを始めた街・お台場。その場所でまた集結できること、心の底から嬉しく思っている。始まりの地。これ以上ふさわしい場所はない。

Zepp DiverCityはお台場にある。

ただ、同じコメントの最後はこう締められている。

俺らで始めたパーティーは、俺らの手で、一つの終わりを見せる。

5年ぶりに集まった日は、再始動の宣言ではなかった。本人たちの言葉に従うなら「一つの終わり」を見せる日だ。故Gucci Princeを欠いたまま、始まりの街に戻って、そこで区切りをつけている。

東京のラッパーにとって、会場選びは動員数の話であると同時に、どの街に帰るかの表明でもある。

千葉雄喜がKOHH名義で2016年12月18日に地元・王子の北とぴあで凱旋公演を組んだのも、やっていることは同じだ。

帰る場所と、終わらせる場所が同じになる。街の名前で名乗るというのは、そういうことでもある。

だから、均質な「東京」は出てこない。いくつもの生活圏が、混ざらないまま同時に走っている。

区名を名乗るのは、マイクを持つ側だけだ

ただし、この割れ方には抜けがある。街の名前で呼ばれているのは、ラップしている人間だけだ。

『花と雨』は練馬のSEEDAの作品として語り継がれているが、全面プロデュースを担ったのはBACHLOGICである。YENTOWNもChaki Zuluらを中心に始まった

冒頭で帰属が曖昧な例として挙げたSTUTSは、名古屋出身で東京拠点、そもそもトラックを作る側の人間だ。

PUNPEEにいたっては、ラッパーであり、SUMMITという制作と流通の器の側でもある。この人を「板橋」の一語で説明しきるのは無理がある。

ここは編集部の読み方になるが、東京が区や駅で細かく割れて見えるのは、レペゼンという名乗りの作法がそう見せている部分がある。音を作る側は、はじめから街の名前で呼ばれていない。

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東京の代表ラッパー・グループ14組

掲載の条件は2つ。どちらかを満たした人物・組が掲載候補になる。

  • 基準1:公式ストリーミングでのリリース実績があり、全国メディアでの言及・出演・チャート実績も確認できる
  • 基準2:地域シーンにおける歴史的役割が、独立した複数ソースで確認できる

並びはおおむね活動開始順。年は、本文に記した名義・所属グループでの活動開始または初リリースの目安で、資料の粒度が揃わない場合は年代で示した。優劣ではない。

代表14組は掲載候補の網羅リストではない。KANDYTOWNは候補だが、この版では2023年の「終演」を年表とクルー節で扱い、代表カードは次回更新の候補に残した。

RHYMESTER(1989年〜)

宇多丸とMummy-Dが大学で出会い1989年に結成。EAST END、MELLOW YELLOWらとFunky Grammar Unitを組み、さんピンCAMPにも出演した東京シーン最初期の中核グループ。

結成年と歩みは公式略年表、さんピンCAMP出演はエイベックス監修書籍の公式リリースで確認できる。[基準1・基準2]

BUDDHA BRAND(前身は1980年代末/BUDDHA BRAND名義は1995年〜)

1980年代末のニューヨークで前身グループを結成し、1995年にBUDDHA BRANDとして帰国。1996年の「人間発電所」で、東京のアンダーグラウンドとNYのラップ観を直結させた。年次とメンバーは公式BIOGRAPHYへ戻せる。[基準2]

ZEEBRA(1993年〜/港区・渋谷区育ち)

キングギドラのMCとして『空からの力』を発表し、以後ソロ・メディア活動を通じて東京シーンの基準を作った。結成と作品はソニーミュージック公式、育った地域はJ-WAVEの本人インタビューによる。[基準1・基準2]

KREVA(1997年〜/青森県生まれ・江戸川区育ち)

1997年にKICK THE CAN CREWを結成し、ソロでも活動。代々木公園のB BOY PARK MCバトルで1999〜2001年に3連覇。2006年『愛・自分博』がオリコン週間アルバムチャート1位。[基準1・基準2]

般若(1998年・妄走族結成〜/世田谷区三軒茶屋出身)

渋谷〜三軒茶屋の仲間と妄走族を結成し、2000年代の東京アンダーグラウンドと後の昭和レコード周辺を接続した。活動開始と結成年は本人インタビューを含むタワーレコード記事、三軒茶屋で育ったことは金冠堂との公式企画で確認した。[基準1・基準2]

SEEDA(2000年代〜/練馬区出身)

2006年の『花と雨』と、DJ ISSOとのミックスCDシリーズ『CONCRETE GREEN』(本人インタビュー)で、2000年代東京アンダーグラウンドの中心的な回路を作った。練馬区出身はKADOKAWAの人物プロフィールによる。[基準1・基準2]

漢 a.k.a. GAMI(2000年〜/新潟県生まれ・新宿区育ち)

2000年、新宿発のMS CRU(現MSC)で活動を開始。2005年にULTIMATE MC BATTLEをLibra Recordsと立ち上げ、9SARI GROUP/鎖グループも運営する。新潟県長岡市生まれで、3歳頃から高田馬場、中学から北新宿で育った経歴は本人鼎談へ戻せる。[基準1・基準2]

PUNPEE(2007年・PSG結成〜/板橋区育ち)

板橋録音クラブを経て、実弟5lackと同級生GAPPERと2007年にPSGを結成。SUMMITを軸に、東京のインディペンデント制作/流通のモデルを作った。板橋を地元とする本人の語りはPARCOのインタビューにある。[基準1・基準2]

ZORN(2000年代〜/葛飾区新小岩出身)

生活に根ざしたリリックで、山手線の外側の東京を代表する語り口を確立した。公式プロフィールは新小岩出身とする。Billboard JAPANの商品解説では、2017年『柴又日記』がiTunes総合ランキングで一時1位。2021年には日本武道館で単独公演を開いた。

自身が主宰するレーベルAll My Homiesを運営する。2026年には江戸川区出身の後藤真希と「地元LOVE」で組んだ(ZORN × 後藤真希「地元LOVE」)。[基準1]

5lack(2007年・PSG結成〜/板橋区出身)

PUNPEE、GAPPERと2007年にPSGを結成。2009年のソロ作連続リリースを通じ、2000年代末以降の東京の空気を更新した。板橋区出身は音楽ナタリーの人物プロフィールで確認した。[基準1・基準2]

千葉雄喜(KOHH)(KOHH名義を経て/北区王子出身)

KOHH名義での活動を経て、2024年以降は本名で活動している。王子出身と経歴はWarner Music Japan公式プロフィールで確認できる(千葉雄喜「まーいいや」×Amazing Thailand)。

「Mamushi」でBillboard Hot 100最高36位。2025年7月、Warner Musicとの包括契約と300 Entertainment Japan所属が公表された。[基準1]

kZm(2010年代半ば〜/渋谷区生まれ・渋谷区育ち)

kiLLaを経てYENTOWNに合流し、2018年3月に1stアルバム『DIMENSION』を発表。2024年にZepp DiverCityでワンマンを開催し、2025年には台北、上海、香港、ソウルの4都市を回った。自身のプラットフォームDe-void*でも活動する。[基準1]

NENE(2016年〜/東京出身)

Ryugo Ishidaと2016年にゆるふわギャングを結成し、2017年にソロ1作目『NENE』を発表(Mikiki本人インタビュー)。2024年にはフジロックへ出演した。[基準1]

ちゃんみな(2017年メジャーデビュー〜/韓国生まれ・練馬区光が丘育ち)

ラップとポップスの境界で規模を拡大。韓国生まれと2017年のメジャーデビューはビクター公式プロフィール、光が丘で育った経歴は練馬区の本人インタビューへ戻せる。

2025年の年間Billboard JAPAN「Artist 100」10位、第76回NHK紅白歌合戦初出場、2026年7月に初の東京ドーム公演。[基準1]

本アトラスは彼女を東京の代表に数える。ただし賞の側の扱いは割れている。

MUSIC AWARDS JAPAN 2026では、「WORK HARD」が最優秀ヒップホップ/ラップ楽曲賞にノミネートされた(本誌の発表照合記事)。

本人のほうは最優秀J-POPアーティスト賞に置かれている(ちゃんみな、MAJ 2026出演見合わせ)。

曲はラップ、人はJ-POP。この地図では、どちらに数えるかを賞に決めさせない。

14組のうち8組は、山手線の外側に具体的な地名を持つ

生まれ・育ち・拠点のどれかで区名まで書けるのは、14組のうち11組。

ここでは、本文に書いた出身地・育った場所のうち、山手線の環外と確認できる地点だけを数えた。生まれと育ちが異なる場合は、育った場所を採る。

該当するのは8組。江戸川、三軒茶屋、練馬、板橋、新小岩、王子である。

港区・渋谷区・新宿区は、区名だけでは線の内外を一点に定められないため、残る3組を「内側」とは数えない。

PUNPEEは板橋区育ちなので、上の規則で環外に数えた。

同じ区から2組出ている場所もある。練馬のSEEDAと光が丘育ちのちゃんみな、板橋のPUNPEEと5lack。

練馬に結びつく2人は20年離れている。2006年のSEEDAは、DJ ISSOとミックスCDシリーズ『CONCRETE GREEN』を始めた(タワーレコード掲載の作品履歴)。2026年、光が丘で育ったちゃんみなが東京ドームに2日立っている。

この14組は、「都心から外へ広がった」という単純な順番には並ばない。少なくとも8組は、環外の具体的な生活圏からそれぞれ育ち、あとから「東京」という一語でまとめられている。

もうひとつ、この一覧が自分で晒している数字がある。14組のうち女性はNENEとちゃんみなの2人だけだ。

掲載基準に性別の項目はない。配信実績と全国メディア、あるいは歴史的役割。それだけで並べて12対2になる。

基準をいじれば数は動く。ただしそれは東京のシーンではなく、この一覧の作り方が変わっただけだ。だから数字はこのまま置いておく。

クルーとレーベル:東京では「自前で回す」が何度も現れる

この一覧を追うと、大手と契約する前に、自分たちで作品を出す器を作る例が何度も現れる。

クルー

レーベル

この一覧だけを見ると、自作を出す器から始まった例が続いているように見える。

主宰者や運営の中心まで確認できる器だけでも、漢 a.k.a. GAMIの9SARI GROUP/鎖グループZORN主宰のAll My HomieskZmの活動プラットフォームDe-void*がある。

SUMMITDogear Recordsも、PUNPEE/PSG周辺や5lackらの作品が外へ出る器として動いてきた。

レーベルだけでなく、YENTOWNのようにクルーを制作の単位とする例もある。

All My Homiesの歩き方はもっと分かりやすい。2026年2月16日、レーベル名義で日本武道館の興行を組んでいる。ZORNは出演しながら、レーベルとして興行を組む側にも回った(ZORN公式)。

自分たちの作品を出す器を持ち、自分たちで興行を組む側にも回る。

資料から追えるのは、ここまでだ。この動きが、この一覧では繰り返されている。

ただ、千葉雄喜の2025年にこの読みをそのまま当てはめることはできない。7月3日に日本武道館で単独公演を開き、翌4日にWarner Musicとの包括契約が公表された。

ただし、公表日から契約締結日や因果は逆算できない。ここで記録できるのは、武道館の翌日に発表が出たという公表順だけである。

会場規模の階段は都内にそろう。川崎BAD HOPが完売させた東京ドーム

東京には、無料イベントからライブハウス、アリーナ、ドームまで、会場規模の階段が都内にそろっている。

起点は1996年の日比谷野外音楽堂(さんピンCAMP)と、1997年に始まり主催者側が2017年での終了を告知した代々木公園(B BOY PARK)。入場無料のブロックパーティーとMCバトルが、長くシーンの入口を開いていた。

その階段をいちばんわかりやすく登ってみせたのが、高校生RAP選手権だ。

2012年に始まった大会は、2016年8月30日の第10回で日本武道館へ到達した。Billboard JAPAN音楽ナタリーは、約8,000人が集まったと報じている。

中間会場を根拠の薄い一覧で埋めず、開始年と武道館公演の二点だけを固定する。それでも、テレビ企画が4年で武道館へ届いた事実は変わらない。

中間層は恵比寿LIQUIDROOM、渋谷のSpotify O-EAST/WWW/WOMB、お台場のZepp DiverCity。

そして日本武道館。ZORN(2021年・2026年)、KANDYTOWN(2023年)、千葉雄喜(2025年)。東京のラッパーがキャリアの節目を刻んできた場所だ。

ここまでは東京の内側で完結する。

だが、ドームへの到達は東京の内側だけで完結しなかった。

2024年2月19日、川崎のBAD HOPが解散公演「BAD HOP THE FINAL at TOKYO DOME」でそこに立っている。チケットは完全ソールドアウト。音楽ナタリーは「日本のラッパーでは前代未聞の快挙」と書いた。

そこから2年4か月あまりあと、2026年7月11日・12日、ちゃんみなが「AREA OF DIAMOND FINAL」を開いた。本人にとって初の東京ドーム公演だった。

会場が都内にあることと、都内出自のアーティストがその舞台を主導することは、別の話だった。

日比谷野音、代々木公園、ライブハウス、日本武道館、東京ドーム。都内の会場だけで、入口からドームまでの規模は描ける。

ひとつ付け加えておく。東京のクルーを抜けてBAD HOPに加わったVingoは、「東京から」来たと本人が語っている(後述する)。彼もその舞台に、川崎のクルーの一員として立っていた。

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2026年の東京:注目の若手ラッパー3組

条件は、直近24か月のリリース実績に加えて、メディア掲載・大会・フェス出演のいずれか1つ以上。無理な水増しはせず、検証できた3組だけを挙げる。

JUMADIBA(杉並区出身)

2019年に活動を始めた。積み上げの単位はミックステープだ。2025年7月9日に3rd『IEGUMO』を出し、全国11都市ツアーのファイナルを渋谷Spotify O-EASTに置いた(音楽ナタリー)。

2026年は4月4日、POP YOURS 2026公式のDAY2に出演。7月19日には渋谷WOMBでリスニングパーティを開いた。

その間の6月17日、1stアルバムの第2弾先行曲「ジョガボニート」がDSPに並んでいる(Apple MusicTuneCore Japanの表記)。Spincoasterの記事本文も配信日を6月17日とする一方、同記事内のリリース欄は6月27日としており、日付は割れている。

ただしアルバム『Kibarashi』そのものは「今夏リリース」としか告知されていない。7月30日にiTunes Lookup APIを引くと、作品39件のなかに『Kibarashi』はなかった。アルバムより先に、聴く場所の日付だけが決まっている。

Vingo(東京出身とされる/区は未確認)

川崎のクルーBAD HOPに参加。本稿の地域帰属は、本人がラジオで語った「東京から」という発言にもとづく。2024年の解散後、ソロへ軸足を移した。

2025年4月29日に1stソロアルバム『VINNY』(全18曲)を発表(Apple Music)。同年9月28日、新木場FACTORYで開いた無料公演には15,000人超の応募が集まった。2026年5月4日には「XXXL」を配信した。

BAD HOPに入る前にいたのは、次に挙げるDALUと同じクルーだ。

DALU(旧名義:Young Dalu/港区お台場出身)

お台場で生まれ育ち、Normcore Boyzを経てTokyo Young Visionへ加わった。同クルーは代々木公園のサイファーを起点としている(TuneCore Japan)。

2025年3〜5月、Tokyo Young Visionの1stアルバムのリリースツアーで全国14都市を回っている。2026年2月18日には、同クルーが2ndアルバム『EDOTENSEI』(全11曲)を発表した(TuneCore Japan)。

同じ名前を掲げた6月6日のZepp DiverCityワンマンで、Normcore Boyzが約5年ぶりに再集結した。

若手3組のうち2組が、同じクルーの名前に行き当たる

Vingoは川崎のクルーで名前を作った。だが、その前にいたのは東京のクルーだ。

2024年2月7日、BAD HOP解散公演の直前に出演したZEEBRAのラジオ番組で、本人がこう話している(WREP放送の書き起こし)。

元々は僕、今もあるんですけど。Tokyo Young Visionっていうクルーをやっていて。

DALUが今いるクルーである。

離脱の理由も、同じ番組で本人が言っている。

Tokyo Young Visionの活動の中で「ちょっとこいつら、ノロすぎるぞ? これ、なんか嫌だな」って思い始めちゃって

そこから彼はBAD HOPに合流し、川崎のクルーの一員として東京ドームまで行った。

一方、彼が遅いと言って離れたクルーは、その番組から2年あまりあとの2026年6月6日、お台場のZepp DiverCityでワンマンを打っている。

抜けた側は川崎経由で東京ドームへ行き、残った側はお台場のZepp DiverCityでワンマンを開いた。

(Vingoが在籍していた時期は番組内で語られておらず、DALUとの重複も確認できていない。分かっているのは、同じクルー名が2度出てくることだけだ。)

DALU側の起点は代々木公園のサイファーだ。同じ公園では、B BOY PARKが1997年に始まり、主催者側が2017年での終了を告知した。その4年後の2021年、Tokyo Young Visionが同じ場所のサイファーから本格始動している。

ただし両者をつなぐ資料はない。公園の名前が同じだ、という話である。

JUMADIBAはどちらでもない。積み上げの単位はミックステープのままだ。

先に、東京は仕組みを作って全国へ渡したと書いた。B BOY PARK、UMB、高校生RAP選手権、フリースタイルダンジョン。

このページの若手掲載条件にも「大会」は入れてある。だが本ページで確認できた範囲では、3組の経歴にバトルの大会名がひとつも出てこない。満たしたのは、リリースとメディア掲載、あるいはフェス出演のほうだ。

東京が全国へ開けた入口と、いま東京の若手が使っている入口は、同じではない。

3組しかいない一覧で言い切れる話ではない。次にこのページを更新するとき、最初に見るのはここだ。

このページの掲載基準と、掲載申請について

Rap Atlasは、掲載の可否を編集部の好みで決めない。機械的に説明できる基準だけで判断する。

  • 代表アーティスト:前掲の基準1か基準2、どちらかを満たすこと
  • 注目若手:直近24か月のリリース実績+メディア掲載・大会・フェス出演のいずれか1つ以上
  • 序列をつけない。並びは活動開始順または五十音順。「誰が一番」は書かない
  • 反社会的行為に関する未確認情報は書かない
  • 出身地の記載は本人公表または信頼できる報道ベースのみ。推測で地域に紐付けない
  • 掲載の可否・順序を金銭で変えない(PR掲載は明示分離)

基準の全文はRap Atlasの掲載基準についてに掲載している。

このページは完成品ではない。 掲載漏れ・事実誤認のご指摘はお問い合わせフォームからお送りください。

編集部が一次資料と独立した複数ソースで検証し、掲載基準に照らして判定します。そのうえで地域データベースと本ページへ反映します。

指摘者のクレジットは、ご本人が希望した場合のみ実名で記載します(匿名・記載不要も選べます)。

現在公開しているのは川崎・横浜名古屋・東海

他地域はRap Atlasから順次辿れる。

注記

  • 年表は1989〜2026年。経過年数は37年、両端を含めると38暦年になる
  • 本文の年表、代表14組、若手3組は、公式資料、本人取材、作品配信面、直接報道のいずれかへインラインで接続した。事典項目は本文根拠に使っていない
  • 「初」「唯一」は一次資料で確定できる範囲に限定した。BAD HOPの東京ドーム公演は本稿で「日本初」と断定せず、音楽ナタリーの見出しを帰属付きで紹介した
  • 川崎のBAD HOPは掲載リストに入れていない。会場の話をするうえで避けて通れないため、本文中で比較対象として触れた(クルーの扱いは川崎・横浜のページにある)
  • 地域帰属は自治体・本人・公式プロフィールを優先し、取れない場合だけ本人取材か全国媒体の人物プロフィールを使った。たとえば、ちゃんみなの光が丘は練馬区の本人インタビュー、kZmの渋谷はQeticの人物プロフィール、SEEDAの練馬はKADOKAWAの人物プロフィールによる。推測での紐付けはしていない
  • Vingoの出身地は、BAD HOP公式のプロフィールに個別の記載がない。本人は2024年2月7日のZEEBRAのラジオ番組で「東京から」と語っているが、区までは述べていない。本文の「東京出身とされる」はこの発言と二次情報にもとづく表記で、区の特定できる一次が取れ次第あらためる
  • 逮捕歴等の事案は本ページの評価軸に含めていない

主要参照

数字・日付・会場は公式資料、本人取材、作品配信面、直接報道へ戻した。「初」「唯一」は一次資料で確定できる範囲に限った。

公式・一次資料

報道・DSP

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