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埼玉Rap Atlas|代表13紹介枠・注目4組と街をつなぐ作品

Rap Atlas24 min read

埼玉のヒップホップを、一つの音だけで説明するのは難しい。

あるのは、川口、越谷・春日部、所沢・狭山、川越・越生、熊谷・深谷、浦和・大宮が、それぞれ別の経路で東京や全国へつながってきた地図だ。

川口で育ったMUROは東京のDJ文化へ向かった。春日部ではClub INGの周辺から崇勲とTKda黒ぶちが出た。越生町のSUSHIBOYSは一軒家を制作拠点にし、熊谷を根とする舐達麻は街の名前を作品と活動に刻んだ。所沢生まれのKID FRESINOと川口出身のAru-2は、県全体の看板を掲げるのではなく、作品の上で交わっている。

近いから東京に吸収されたのではない。近いまま、都市ごとの差が残った。それが埼玉の特徴である。

本ページでは、確認可能な1980年代末から2026年までを整理し、代表13紹介枠と次の動き4組を掲載する。順位表ではない。出演歴だけで県に結びつけず、出生地、育った場所、活動拠点、本人の「レペゼン」を分けて記録した。

  • 埼玉県とさいたま市は同じ意味ではない。県内の市町村が未確認の人物に「さいたま市出身」を補わない
  • 出身地と拠点は別である。東京へ移った人物も、埼玉で形成された経歴が確認できれば掲載する
  • ラッパーだけで数えない。DJ IZOHとAru-2を入れ、DJ、ビート、録音を含むヒップホップの制作側を地図に残す
  • 会場と編成には時制を付ける。閉店したクラブ、所在未確認のスタジオ、変更後のグループを現在形で固定しない

このページの要点

埼玉のヒップホップを一つの音だけで説明するのは難しい。本稿は川口、越谷・春日部、所沢・狭山、川越・越生、熊谷・深谷、浦和・大宮から、作品や地域活動を通じて東京や全国へつながった経路をたどる。

対象は埼玉県全域。確認可能な1980年代末から2026年までを整理し、代表13紹介枠・注目4組を掲載基準つきで収録している。

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「出身」を一語で済ませない──この地図の読み方

地域記事では「埼玉出身」という一語が、出生、育ち、居住、活動拠点、自己認識のすべてを覆ってしまう。本ページでは次の四つを分ける。

表示 本ページでの意味
出生 本人、自治体、公式プロフィール、信頼できる取材が生まれた場所として示す地域
育ち 幼少期・学生期など、活動以前の生活が具体的に確認できる地域
活動拠点 制作、イベント運営、クルー活動を継続して行った場所。現在の住所とは限らない
レペゼン 本人が地元として名乗る地域。出生地と異なる場合も、その違いを残す

単に埼玉県内でライブをした、県内の大会に出た、現在住んでいるという一件だけでは代表枠に入れない。反対に、現在は県外で活動していても、埼玉で育った経緯や地域シーンへの役割が強い資料で確認できれば、その時制を付けて掲載する。

六つの読図単位──県ではなく街から見る

以下は行政上の「地域区分」ではない。本ページが、確認できた人物・作品・会場を読み解くために置いた単位である。

地域 代表13紹介枠との接点 確認できる器
川口 MURO、ZEN-LA-ROCK、Aru-2 東京のレコード、DJ、ビート・シーンへ接続した出身者。次世代ではcarat
越谷・春日部 DJ IZOH、崇勲、TKda黒ぶち Club ING、Timeless Edition Rec.、カスカベーション
所沢・狭山 KID FRESINO、晋平太 故郷公演、KIDS HOP PARK、OTHERPOSSE
川越・越生 JUMANJI、SUSHIBOYS 歴史的なCLUB G-STYLE、SUSHIHOUSE、地域内の録音・生活圏
熊谷・深谷 KLOOZ、舐達麻/BADSAIKUSH 歴史的なClub Lagoon、APHRODITE GANG、HOT TOWN HOMIE
浦和・大宮 AYA a.k.a. PANDAの初期現場との接点 歴史的なCLUB BASE、現在も公式サイトが動く444quad

AYA a.k.a. PANDAについて、確認できる地理は「地元は埼玉」までで、市町村は特定できない。そのため表の浦和・大宮は出生地ではなく、本人が語った初期の出演現場との接点として置いた。

代表13紹介枠──都市別に読む埼玉のヒップホップ

代表は13の紹介枠。順にMURO、ZEN-LA-ROCK、Aru-2、DJ IZOH、崇勲、TKda黒ぶち、KID FRESINO、晋平太、JUMANJI、SUSHIBOYS、KLOOZ、舐達麻/BADSAIKUSH、AYA a.k.a. PANDAを扱う。舐達麻というグループとBADSAIKUSHという個人を同じ枠で紹介するため、13は実人数ではなく紹介欄の数を指す。並びは本文の地域順で、順位ではない。

川口──MURO、ZEN-LA-ROCK、Aru-2

MURO|埼玉県生まれ・川口育ち
埼玉県生まれ。本人は、子どもの頃を川口で過ごし、近隣の板橋にあったローラー・リンクでソウル、ファンク、エレクトロとDJブースに触れた経緯を語っている。1989〜90年ごろには川口からDJ KRUSHのもとへ車で通った(ELLA Records本人インタビュー、2024年8月9日)。

MICROPHONE PAGERの一員として1995年に『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』を発表し、DJ/プロデューサーとして「King of Diggin’」の名を世界へ広げた(The Future Times、2013年7月29日)。活動の中心が東京へ移った後まで「川口拠点」とは書かない。埼玉での育ちが、日本の初期ヒップホップへ入る出発点だった人物として置く。

ZEN-LA-ROCK|川口市生まれ・西川口に家族の拠点
公式プロフィールは川口市出身、2004年のソロデビュー、ALL NUDE INC.での活動を記録している。2023年の音楽ナタリー掲載コメントでは、西川口の実家と家族の古書店について具体的に語った(音楽ナタリー、2023年11月9日)。

公式年表では、2004年5月にALL NUDE INC.を立ち上げ、1stシングル「ZEN, ZEN, ZEN」を発表したと記録される。川口での出生と、作品を出すためのレーベルを持った歩みは、別の種類の地域・制作情報として読める。

Aru-2|川口市出身
1993年生まれ、川口市出身であることは、所属作品を扱うDogear Records公式プロフィールで確認できる。音楽プロデューサー、ビートメイカー、DJ、サウンドエンジニアとして活動し、公式配信プロフィールは2013年の1stアルバム『Aμ』以降のソロ/共作と、2024年の『Anida』までを記録している(TuneCore Japan)。

2014年には所沢生まれのKID FRESINOとの共作『Backward Decision For Kid Fresino』を発表した(P-VINE公式作品記録)。ただし本人は、川口の身近な場所に自分が属する音楽コミュニティーはなかったとも説明している(Qetic本人インタビュー、2021年)。

川口出身のAru-2と所沢生まれのKID FRESINOは、地元の同じ集団ではなく、一枚のレコードでつながった。DJとビートメイカーまで追うと、街を結ぶもう一つの経路が見えてくる。

越谷・春日部──DJ IZOH、崇勲、TKda黒ぶち

DJ IZOH|越谷市生まれ・越谷市育ち
越谷市の公式取材によると、越谷で生まれ育ち、約38年間暮らした後、2019年11月ごろ市外へ転居した。2012年にDMC World DJ Championshipsを制し、世界王者となった(越谷市、2020年3月/DMC公式歴代王者)。

越谷での出生・育ちと、現在の居住地は分けて記録する。本人公式サイトは、2025年にDMC LEGENDの称号が授与されたと紹介している。これは競技部門への進出とは異なる。

崇勲|旧庄和町(現・春日部市)出身、春日部で活動
2020年の地元取材で、旧庄和町の出身と、市内の桜川小学校・葛飾中学校で過ごしたことを語っている。第三の唇での活動、2015年のUMB GRAND CHAMPIONSHIP優勝、地元イベント「カスカベーション」を通じ、バトルの経験を地域の現場へ戻した(春日部経済新聞、2020年9月2日/KOK公式UMB 2015記録)。

2025年5月10日には8曲入り『LIAR』を発表している(公式配信プロフィール)。 崇勲とTKda黒ぶちの共作「Welcome Home」では、別々に書いた歌詞に、それぞれ違う地元の店のチャーハンが登場しかけた。TKda黒ぶちは店名がフレーズに収まらず変更し、録音時に崇勲もチャーハンを書いていたと知ったという。二人の2020年の対談には、共通の生活圏が曲へ入り込む具体的な過程が残る。

TKda黒ぶち|春日部市生まれ・春日部市育ち、2021年末に東京へ転居
春日部のClub INGで経験を積み、2015年にTimeless Edition Rec.を始動。最初のアーティストとして同郷の崇勲を迎えた(本人によるClub ING回想、2022年4月12日/レーベル始動時の本人記録、2015年11月)。

本人は2021年末に春日部を離れ、渋谷区へ移ったと説明している(smart本人インタビュー、2024年6月2日)。二人の接点は、春日部での育ち、Club ING、作品とレーベルの履歴に残っている。

所沢・狭山──KID FRESINO、晋平太

KID FRESINO|所沢市生まれ
公式バイオグラフィーは1993年生まれ・埼玉出身とし、別のプロフィールは1993年11月25日所沢市生まれと記録する(公式サイト/HOUYHNHNM、2025年6月1日)。Fla$hBackSを経て2013年に『Horseman’s Scheme』でソロへ進み、ニューヨーク滞在と帰国後のバンド制作まで表現を広げた。

故郷との接点として、PARCOは2024年1月30日付の資料で、KID FRESINOの新所沢PARCOでのライブを告知した。予定日は2月23日、抽選による無料招待制で、施設は幼少期からなじみのある場所と紹介されている(公式発表、PDF)。この告知は故郷との関係を示すが、当日の実施記録とは区別する。

晋平太|東京都生まれ・狭山市育ち
1983年に東京で生まれ、狭山で育った。本人は、初期には埼玉を強くレペゼンしていなかったこと、その後KIDS HOP PARKやOTHERPOSSEを通じて地域へ接続し直した経緯を語っている(さんたつ本人インタビュー、2020年1月26日)。

2005年のB-BOY PARK MC BATTLE、2010年と2011年のUMBを含む実績だけでなく、子ども向けMCバトルと地域の場づくりまでが埼玉側の役割になる。2025年11月8日、親族が晋平太の死去を公表した。公表文は死亡日を特定していないため、本ページも日付を補わない(ORICON NEWS、2025年11月8日)。

川越・越生──JUMANJI、SUSHIBOYS

JUMANJI|川越を活動と共同制作の根にするクルー
DICE、RENA、MUTA、YABによる4人組で、2016年結成。2026年の本人インタビューは川越を活動の根とし、レコード店、クラブ、録音、仲間の関係を詳しく記録している。10周年の2026年には3rdアルバム『SUP』を発表した(TURN、2026年6月6日)。 3MCのDICE、RENA、MUTAと、DJ/エンジニアのYABという制作の分担も重要だ。『SUP』の冒頭「MOONY」と表題曲はYABがプロデュースしている。

メンバー全員が川越生まれではない。YABとRENAは世田谷生まれ、MUTAは北海道生まれで、各自の移動を経て川越が共通の根になった。したがって「川越出身の4人組」ではなく「川越を拠点・共通基盤とする4人組」と書く。

SUSHIBOYS|越生町を地元・制作拠点として明示
埼玉県入間郡越生町で結成。町内の一軒家を借り、SUSHIHOUSEとして録音と共同生活に近い制作を行った。作品名に使った「350」は越生を含む地域の郵便番号で、本人たちは田畑、山、川のある環境と制作の関係を語っている(BARKS本人インタビュー、2018年/音楽ナタリー本人インタビュー、2018年)。 BARKSの取材では、FARMHOUSEがカエルやセミの音からラップのグルーヴ、フロウ、メロディーを作った経験を語っている。越生の環境は、地名だけでなく曲の作り方にもつながっていた。

公式プロフィールは2016年結成とし、現在のメンバーにFARMHOUSE、サンテナ、DJ・カメラマンなどを担うneo yosikawaを挙げている。エビデンスの脱退は2018年10月22日の音楽ナタリー配信記事で発表され、同年12月のツアー最終公演が当時の体制での最後のライブと案内された。2MCという説明と、DJを含めた活動全体の編成を分けて読む必要がある。

熊谷・深谷──KLOOZ、舐達麻/BADSAIKUSH

KLOOZ|熊谷市生まれ、東京で活動
出生地はCDJournalのプロフィールにも明記されている。熊谷市の広報で、最初に公開した映像作品が熊谷を題材にしていたこと、熊谷で過ごした時間が歌詞の土台になったこと、地元へ返したい思いを本人が説明している(熊谷市報、2015年7月)。

公式配信プロフィールは出身を熊谷、活動地域を東京と分ける。『No Gravity』については、2013年の本人取材が2010年の無料配信と記録している。同取材で語る1stアルバム『DECORATION』の軸は、KREVAがDr.K名義で手がけた「It’s My Turn」。映像作家の大月壮との「KLOOZ MOVIE DAY」も、曲を県外へ届ける経路になった。

舐達麻/BADSAIKUSH|グループの根は熊谷、BADSAIKUSHの地元は深谷
舐達麻は熊谷を根とするグループとして扱う。2019年の本人取材はClub Lagoonを取材場所とし、2009年前後からの形成史と熊谷での生活を記録した(KAI-YOU Premium、2019年8月13日)。一方、BADSAIKUSHは本人取材で深谷を地元とする人生観を語り、GQも深谷を彼の地元と説明している(GQ JAPAN、2024年7月8日)。「BADSAIKUSHは熊谷出身」と二つを混ぜない。

2018年10月の「LIFE STASH」MV公開、2019年の「FLOATIN’」と『GODBREATH BUDDHACESS』により、熊谷の名は全国へ届いた。個人史とグループ形成の違いは、BADSAIKUSHの個人史――深谷での出自と、熊谷を拠点に舐達麻が形づくられた過程で詳しく扱う。

編成には日付が要る。舐達麻は長くBADSAIKUSH、DELTA9KID、G PLANTSの3MCとして活動したが、2026年8月14日にG PLANTSが脱退を公表した(マイナビニュース、2026年8月14日)。本ページは「歴史的に3MC」と書き、脱退後の正式な編成や名称の扱いを推測しない。

市町村を補わない──AYA a.k.a. PANDA

AYA a.k.a. PANDA|地元は埼玉県、市町村は未確認
本人は地元を埼玉と説明し、PURPLE BLOOD MOTHを主に地元の仲間からなるクルーとして振り返っている。川越G-STYLEや浦和BASEで、後の舐達麻と同じ現場に立った経験も語った(GQ JAPAN本人取材、2025年8月5日)。

2015年にソロ活動を本格化し、2017年11月1日の「甘えちゃってSorry」が大きな入口になった。2026年6月25日にも「I like my life」を配信している(Apple Music)。彼女が語る地元の範囲は埼玉県である。

四つの発展系統──同じ県でも、外へ出る方法が違った

この13の紹介枠を一つの系譜には並べられない。確認できるのは、少なくとも四つの異なる出口である。

  1. レコード、DJ、ビート — MUROは川口からレコードとDJの文化へ入り、DJ IZOHは越谷からターンテーブリズムの世界大会へ進んだ。Aru-2は川口からOILWORKS、P-VINE、国内外のビート・シーンへ作品を出した
  2. MCバトルと地域活動 — 晋平太、崇勲、TKda黒ぶちは大会で名前を外へ運び、その経験を狭山・所沢、春日部のイベント、レーベル、育成へ折り返した
  3. クルーとDIY制作拠点 — SUSHIBOYSのSUSHIHOUSE、JUMANJIの川越ネットワーク、舐達麻の熊谷、AYA周辺のPURPLE BLOOD MOTHは、既存の大手施設だけに頼らない共同制作の単位になった
  4. 映像、配信、全国公演 — KLOOZの継続的な動画公開、KID FRESINOの作品と故郷公演、AYAの配信ヒットを経て、caratやTENGGが市名や生活圏を新しい音源へ持ち込んでいる

これは「古い順に置き換わった」という話ではない。2026年にもDJ、バトル、クルー、配信は同時に動く。埼玉では、出口が一つに統合されず、増えたまま併存している。

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1980年代末から2026年まで──埼玉ヒップホップ年表

本ページで出典を確認できた主要な出来事だけを並べる。活動の空白ではなく、公開記録を取れなかった期間が含まれる。

時期 確認できる出来事
1980年代末〜1990年代初頭 川口育ちのMUROがDJ KRUSHらとの活動へ進み、MICROPHONE PAGERにつながる。活動自体が川口で行われたとは断定しない
1995年 MICROPHONE PAGERが『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』を発表
1990年代後半〜2004年 越谷生まれ・育ちのDJ IZOHがDJバトルへ進む。川口出身ZEN-LA-ROCKは2004年にソロデビュー
2000年代前半 春日部Club ING周辺で第三の唇、崇勲、TKda黒ぶちらの関係が形成される
2005〜2011年 狭山育ちの晋平太が2005年B-BOY PARK、2010年・2011年UMBで主要タイトルを獲得
2009〜2010年 熊谷で舐達麻の形成期。KLOOZが『No Gravity』を無料配信(2013年取材では2010年と記録)し、映像公開を継続。PURPLE BLOOD MOTHもAYAの初期活動を支える
2012年 DJ IZOHがDMC World DJ Championships優勝
2013〜2014年 KID FRESINO『Horseman’s Scheme』、Aru-2『Aμ』。2014年、両者の共作『Backward Decision For Kid Fresino』
2015年 崇勲がUMB GRAND CHAMPIONSHIP優勝。Timeless Edition Rec.始動。舐達麻『NORTHERNBLUE1.0.4.』。AYAがソロ活動を本格化
2016〜2017年 JUMANJI結成。SUSHIBOYS『NIGIRI』、AYA「甘えちゃってSorry」
2018〜2019年 SUSHIBOYS『WASABI』。舐達麻が2018年10月に「LIFE STASH」のMVを公開し、2019年に「FLOATIN’」と『GODBREATH BUDDHACESS』。JUMANJI『DAWN』
2020〜2024年 春日部、狭山、川越の本人取材で地域活動が記録される。2024年1月、KID FRESINOの新所沢PARCO公演を公式発表。JUMANJI『ODD』
2025年 caratが初EP『DIAMOND CITY』。崇勲『LIAR』。Alif WolfがRAPSTAR 2025のHOOD STAGEを通過してRAPSTAR CAMPへ進出し、11月17日に「Prologue」。11月8日、晋平太の親族が死去を公表
2026年 JUMANJIが結成10周年と『SUP』、TENGGが初LP『1994』。Alif Wolfが6月5日に「Countdown」。8月14日、G PLANTSが舐達麻からの脱退を公表

箱、レーベル、イベント──「現在地」を混ぜない

名称 役割 本ページでの時制
CLUB BASE(浦和) AYA、himeshiらが出入りした県南部の歴史的現場 2016年の本人取材ですでに閉店した会場として回顧される。現役会場とは書かない(DI:GA ONLINE、2016年10月23日)
CLUB G-STYLE(川越) AYA、舐達麻ら初期の出演接点 2016年と2025年の回想から歴史的重要性を確認。ここでは過去の出演現場として扱う。現在の営業状態は未確認
444quad(大宮) DJブースを持つ飲食・音楽空間 公式サイトはタイ料理とBARに加え、DJイベントやDJブースの貸し出しを案内する(2026年9月23日確認)
Club ING/BAR ING(春日部) TKda黒ぶち、崇勲らの形成期の現場 本人による2000年代の回想を採用。2026年のヒップホップ興行の継続は未確認
Club Lagoon(熊谷) 舐達麻の形成史、APHRODITE GANGの地域イベントに関わる会場 2019年の本人取材時点では稼働。2020年1月16日の地域記事は、同月31日の閉店を予告している。この告知だけで閉店の実施を確認したとはせず、現役会場としても案内しない
SUSHIHOUSE(越生町) SUSHIBOYSが一軒家を借りて使った制作拠点 2018年取材時点の事実。現在も同住所・同形態で稼働とは書かない
Timeless Edition Rec. TKda黒ぶちが始め、崇勲を最初に迎えたレーベル 2015年の始動を本人資料で確認。現在の所属・運営体制は別途最新確認が必要
カスカベーション 崇勲、TKda黒ぶちらによる春日部の地域イベント 2020年取材が「約2年前」からの開催を記録。2026年の開催予定は未確認
HOT TOWN HOMIE APHRODITE GANGが熊谷で開いた地域パーティー Qeticの2019年取材で同年の開催を確認。恒常イベントとは断定しない
KIDS HOP PARK/OTHERPOSSE 狭山・所沢方面の子ども向けMCバトル、ブロックパーティー 晋平太の2020年本人取材で確認。現在の開催状況は別途確認が必要
UMB/KOK 地域のMCを全国へ運んだ大会回路 2015年公式記録では「北関東予選」に春日部・川越勢が出場。大会名の区分を出身県の判定には使わない

映画『SR サイタマノラッパー』は、郊外の生活とラップの関係を考える作品でもある。2012年に再掲されたHMVの本人インタビューで、入江悠監督は19歳頃まで過ごした地元での鬱屈を見直し、その中途半端な位置づけをテーマにしたと語る。劇中のSHO-GUNGは、知人の俳優たちが数カ月ラップを練習して演じたとも明かした。実在クルーを記録した映画とは区別して読める。

次の動き4組──年齢ではなく、作品が動いた時期で選ぶ

carat|川口市出身の4人組
2025年4月2日に初EP『DIAMOND CITY』を発表。収録曲「川口温度」には、川口出身または同市に住民登録があると作品説明が示すラッパー10人が参加した(BIG UP!公式配信ページ/作品ページ)。代表枠の三人が個別に外へ伸びた川口で、次は市内の複数MCを一曲へ集めた点が新しい。

地元メディアのトリコカワグチによる「第9回 川口本気(ガチ)祭り」の紹介にもcaratが登場する。掲載された告知ポスターは、イオンモール川口前川での2026年7月18〜20日の催しを案内し、出演予定表には19日18時30分の枠にcaratを載せている。

TENGG|1994年生まれ・草加市出身
ラッパーと料理人としての生活を持ち、2026年5月に初LP『1994』を発表した。P-VINEの告知では、NF Zessho、Goofy Bap、Effra BeatzのビートとDJ LICKのスクラッチを記録。フィジカル盤は2026年10月21日発売予定である。出生市までは同資料から特定しない。

Spincoasterの2026年5月20日付記事は、NF Zessho『Ultima』のリリースイベントにTENGGをゲストとして紹介した。告知された会場は中野heavysick ZERO、日付は5月22日。作品の配信に加え、専門メディアにも活動が記録されている。

HITOMIN|埼玉県生まれ、市町村は未確認
埼玉県生まれで、同じ地元・同じ小中学校の先輩にあたるTypewriterとの制作関係を本人が語っている。2019年7月5日のデビューから、2024年9月25日のメジャー第1弾「Issue」、2026年4月30日の8曲入りアルバム『you』まで作品が続く。インディペンデント配信とメジャー流通の両方を経験し、2026年にもアルバム単位で更新した層として置く(BARKS本人インタビュー、2020年9月1日/Universal Music公式プロフィール/『you』公式配信リンク/Apple Music)。県内市町村は補わない。

「Issue」のメジャー第1弾としての位置づけは、2024年9月25日のレーベル発表に明記されている。

Alif Wolf|埼玉を活動拠点として明示、市町村は未確認
埼玉で一人で曲を作ってきたラッパー。2025年、RAPSTARのSELECTION CYPHERで注目を集めた。HOOD STAGEを経て、8人によるRAPSTAR CAMPに進出し、Sonsiとの1対1の楽曲バトルに臨んだ(ABEMAの番組記録)。番組後、19歳だった本人はHIPHOPCsの取材に、普段の曲では痛みに余白を残し、番組ではその余白を捨てたこと、以後初めて同世代と制作の意見を交わせたことを語っている(HIPHOPCs独占インタビュー、2025年12月4日)。

2026年6月5日の「Countdown」は、RAPSTAR 2025のSELECTION CYPHER GROUP Cで披露した曲の正式配信版だ。作品別の配信情報は、作詞・ラップをAlif Wolf、作曲をChaki Zulu、録音とミックスをYohei Kuniiと記し、楽曲説明でもChaki Zuluのプロデュースに触れている。番組後の本人取材と配信後の本誌レビューを重ねると、一度のサイファーが正式音源へつながる経路を追える。

2026年4月29日公開の「What Did You Say?」をめぐる取材では、本人は曲の作り方が変わったというより、その時の本当の感情から書き続けていると説明した。2025年取材と並べると、番組後の制作を本人の言葉で追える。

彼岸も埼玉県との関係が記録されている候補の一人だが、この版は上記4組を選んだ。県内の市町村が未確認であることだけを、掲載不可の理由にはしない。今回の選定範囲と、今後照合する候補を区別している。

東京、北関東、千葉との境界

埼玉は東京と隣接し、活動場所だけを見れば多くの人物が東京側に見える。本ページは、東京でライブをすることではなく、出生、育ち、地域活動のいずれかを強い資料で確認できることを条件にした。

  • MURO、KLOOZ、TKda黒ぶちは東京での活動が大きくても、川口での育ち、熊谷での出生、春日部での形成史が確認できるため埼玉側にも置く
  • Young Dalu/DALUは東京・お台場で生まれ育ち、Normcore Boyzもお台場を核とするため、東京Rap Atlas側で扱う(ASOBISYSTEM、2018年10月17日)
  • SAMは埼玉で生まれ十代まで過ごしたが、17〜18歳で栃木へ移り、その後にラップへ出会った。形成地を優先し、栃木/北関東側へ置く(音楽ナタリー本人取材、2021年10月8日)
  • RAU DEFは千葉県市川市出身で、埼玉枠には入れない(CINRA本人インタビュー、2010年10月15日)
  • KMCは静岡県生まれで、現在の所沢居住は移住後の地域接点である。代表枠ではなく住民ブリッジとして記録する(所沢市、2026年4月)

一般に茨城、栃木、群馬を指す「北関東」と、大会が使う「北関東予選」は同じ線ではない。2015年の予選に春日部・川越勢が入っていても、埼玉県を茨城・栃木・群馬の記事へ吸収する理由にはしない。地域ページの全体像はRap Atlas一覧で更新する。

入門リスニング──13紹介枠を一つの音にしないための13枚・曲

順位ではなく、地図の異なる入口を聴くための選曲である。DJ IZOHは作品と競技の双方を持つため、公式ディスコグラフィーとDMC記録を併読したい。

入口 聴き取れる線
MICROPHONE PAGER『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』(1995) 川口育ちのMUROが加わった初期日本語ラップの作品史
ZEN-LA-ROCK『HEAVEN』(2017) ラップ、ダンス、ファンク、ポップを横断する川口出身者の線
DJ IZOH & NAOtheLAIZA『CLASICK』(2021) ターンテーブリズムを競技結果だけで終わらせない作品
Aru-2『Backward Decision For Kid Fresino』(2014) 川口出身の作り手と所沢生まれのMCが作品で交差した地点
晋平太 & ONODUB『042-958-XXXX』(2021) 地域の電話番号を掲げた作品。ONODUBがエグゼクティブ・プロデュース
KID FRESINO『Horseman’s Scheme』(2013) 所沢生まれの作家がソロへ踏み出した初期点
KLOOZ『DECORATION』(2013) 熊谷の背景とオンライン映像期を全国流通へつないだ一枚
崇勲『春日部鮫』(2015) 春日部の地名、バトルMCの音源、TKda黒ぶちとの共作
TKda黒ぶち「Welcome Home feat. 崇勲」(2020) 春日部で形成された二人の関係を、後年の作品から聴く
SUSHIBOYS『NIGIRI』(2017) 越生町の日用品と生活語彙をヒップホップへ変える方法
AYA a.k.a. PANDA「甘えちゃってSorry」(2017) 埼玉ローカルのクルー活動から配信ヒットへ出た線
舐達麻『GODBREATH BUDDHACESS』(2019) 熊谷を根にしたグループが全国的な入口を作った時期
JUMANJI『SUP』(2026) 川越を共同基盤にしたクルーの10年目
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分かっていないこと

  • 1990年代以前の県内クラブ、レコード店、ダンス・シーンの体系的な記録は、本調査では十分に取れていない
  • AYA a.k.a. PANDA、HITOMIN、彼岸の県内市町村は確認できず、記載していない
  • CLUB G-STYLE、Club ING/BAR ING、SUSHIHOUSE、カスカベーションの2026年時点の運営・開催状況は確定していない
  • 舐達麻はG PLANTS脱退後の正式編成・名称運用を、確認できる公式発表以上には書いていない
  • 晋平太について確認できるのは、2025年11月8日に親族が死去を公表したことまでで、死亡日は断定していない
  • 本ページの13紹介枠は網羅ではない。焚巻、himeshi、空廻など地域との関係を確認できる人物もいるが、今回は作品史、都市配置、役割の重複を含めて代表枠を13紹介枠に絞った

掲載基準と訂正窓口

Rap Atlasは完成品ではなく、一次資料と当事者からの指摘で更新する地図である。

代表アーティストの掲載基準は、次のいずれかを満たすこと。

  1. 公式ストリーミング配信でのリリース実績があり、全国メディア(専門媒体を含む)での言及・出演・チャート実績が確認できる
  2. 地域のヒップホップシーンにおける歴史的役割が、独立した複数の情報源で確認できる

次の動きは、直近24か月のリリース実績に加え、メディア掲載・大会・フェス出演のいずれか一つ以上を確認できる場合に掲載する。年齢だけでは選ばない。

  • 並びをランキングにしない
  • 出身地、居住地、活動拠点を推測で補わない
  • 本人発信と独立報道を区別し、出典の性質を示す
  • 掲載可否・順序を金銭で変えない。PRは通常掲載と明示分離する
  • 編成、会場、公演予定は確認日を付け、過去と現在を混ぜない

掲載漏れ、地域情報、事実誤認の指摘はお問い合わせ窓口で受け付ける。資料を確認し、基準に合致する場合は地域データベース、日本語版、英語版へ反映する。基準全文はRap Atlas掲載基準で公開している。

資料再照合:2026年9月23日。確認できた作品情報、本人発言、編成・会場の案内を再照合しました。未確認の営業・開催状況は「分かっていないこと」に記載しています。最新の予定は各公式発表をご確認ください。

主要参照

HIPHOPCsで続けて読む

よくある質問

埼玉のヒップホップシーンとは?
埼玉のヒップホップを一つの音だけで説明するのは難しい。本稿は川口、越谷・春日部、所沢・狭山、川越・越生、熊谷・深谷、浦和・大宮から、作品や地域活動を通じて東京や全国へつながった経路をたどる。
埼玉を代表するアーティストは誰?
MURO、ZEN-LA-ROCK、Aru-2、DJ IZOH、崇勲、TKda黒ぶち、KID FRESINO、晋平太、JUMANJI、SUSHIBOYS、KLOOZ、舐達麻/BADSAIKUSH、AYA a.k.a. PANDAの13紹介枠。舐達麻というグループとBADSAIKUSHという個人は一つの紹介枠で扱う。本文の地域順に紹介する。
埼玉シーンを支える主要レーベル・クルーは?
Timeless Edition Rec.、APHRODITE GANG、JUMANJI、SUSHIBOYS、PURPLE BLOOD MOTHなど。本文ではそれぞれの歴史的役割を扱い、現在の運営や編成を一律に保証するものではない。
この記事の年表はいつから始まる?
最初の行は1980年代末から1990年代初頭のMUROとDJ KRUSHらとの接点。1995年のMICROPHONE PAGER『DON’T TURN OFF YOUR LIGHT』は別の年表項目として扱う。
この記事の情報はどう検証されている?
本文の参照リンクから、地域の本人発言、作品情報、告知や公演記録をたどれる。出生・育ち・拠点、告知・実施、公開日・出来事の日を区別する。資料が示さない情報は推測で補わない。

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