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「Real」か「Fake」か。元Tajyusaim BoyzのPIZZA LOVE・加藤 優太が語る、キャラクターを脱いだその先【独占インタビュー】

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PIZZA LOVEという男はいったい何者だったのか。

俳優の世界には、役柄の感情や思考に深く入り込み、人物を内側から生きるように演じる「メソッド演技」と呼ばれるアプローチがある。役と自分との距離をどこまで縮めるかは俳優によって異なるが、一つの人格を長く演じ続ければ、「演じている自分」と「本来の自分」の境界が揺らぐこともある。

PIZZA LOVEも、どこかそれに似ていたのかもしれない。

そして、これはヒップホップにとって決して異質な話ではない。

俳優に「役」があるように、ラッパーにもまた「ペルソナ」がある。本名とは異なる名前を名乗り、服装や言葉遣い、振る舞いを含めて一つの人物像を作り上げる。時には現実の自分を誇張し、時には理想の自分を投影しながら、ステージや楽曲の中にもう一人の「自分」を立ち上げていく。

ヒップホップは「Realであること」を強く求めてきたカルチャーである一方、誇張や別名、衣装、キャラクター、そして自らの物語を自ら作り上げるセルフ・ミソロジーも、その歴史の中に存在してきた。

ならば、「演じている=Fake」と単純に言い切ることはできない。

PIZZA LOVEも、当初は周りが名付け、加藤自身が成り行きで作ったキャラクターだった。

しかし、そのキャラクターが注目されればされるほど、周囲はさらに「PIZZA LOVEらしさ」を求めるようになる。そしていつしか、自分がキャラクターを演じるのではなく、自分自身をキャラクターに合わせていく。

本人が「あれは完全にギャグ」と笑う一方で、当時の自分を否定しているわけではないのも興味深い。

「キャラクターを演じていた自分」と「素の自分」。その二つは対極にあるようでいて、実際にはもっと曖昧に重なり合っている。

そして、その話を聞く中で見えてきたのが、加藤 優太という一人の人間の、驚くほど飾らない姿だった。


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我が名は、加藤 優太

SEI:今日は本当ありがとうございました。海老名から下北沢まで。

SAM:どれぐらいだった?海老名から…小田急線?

加藤:そうです。えーっと、家から海老名駅まで車で15分ぐらい。で、そこから電車で四十分ぐらい。多分一時間ぐらい。

SEI:PIZZA LOVE改め、加藤 優太さん。

SAM:PIZZA LOVE時代に加藤卍優太って出てたよね?

加藤:「卍」を抜いただけなんです。だから今の表記は、加藤「スペース」優太にしてるんですけど、スペースは「全角」っていうこだわりも一応持っていて。

SEI:加藤 優太。それが本名なんですよね?

加藤:そうです。

SEI:本名で活動してて不便ないすか?だって電話番号とかも知られちゃってたんですよね。でももうそこまでやってるからあんま変わんないのかな?たまに町で言われません?PIZZA LOVEさんとか、加藤さんとか。

加藤:たまーに、はい。コンビニ行った時とか、地元のコンビニとか行って、なんか買い物して、帰って携帯開いたらDM来てるとかはたまにあります。

SAM:おおー。俺もピザって呼んでますもん。え、今更か。

加藤:いや、千葉さんのKohさんと一緒だったりなんで、もう無理っす。だから、もうどっちでもいい。

SAM:もうAKA(Also Known As)と一緒なんですよ。PIZZA LOVE A.K.A.加藤 優太。あいつもうそうじゃないですか、実際。

SEI:うん。でもね、千葉さんは千葉さんになってからのオーディエンスもいっぱいいるから、アメリカとか海外ではKohさんより千葉さんですよね、やっぱり。でも多分日本の皆さんからしたらKohさんが先なんでね。それで言ったら加藤さんもPIZZA LOVEさん?元PIZZA LOVEさんって呼んだ方がいいんですか?加藤さんですか。

加藤:加藤さん。加藤さんって言われたこと、あのヤンセク(Young Sex)以外いないんですよ。もう全員ピザって呼んでるんですけど、ヤンセクだけは僕のこと優太くんって呼んでるんです、PIZZA LOVE時代から。

SAM:あ、そうなんや。ヤンセクは昔から優太くんなの。

SEI:え、じゃあ正式に加藤さんでいいんですか?それともピザさん?加藤a.k.a.ピザ?

加藤:今もう加藤なんで、加藤でお願いします。

神奈川県海老名市が生んだラッパー、加藤 優太

SEI:加藤さん、承知いたしました。TajyusaimBoyzでの活動とか、全国区に電話番号が知られちゃったとか、そういう感じで元PizzaLoveさんのお名前がヒップホップ界を一時震撼させましたが、えーと、初めての読者さんがいるかもしれないので、簡単な自己紹介をお願いします。

加藤:なんて言えばいいんだろう。神奈川県生まれ1994年9月7日生まれ。加藤 優太です。ぐらいしか。

SAM:みんなそんな感じ。

加藤:そうですよね。もうこれで。で、強いて言えば壁紙屋さんやってますしか言えない。

SEI:あ、そうなんですか。

加藤:その他に内装業今やってて。

SEI:内装業。ちょっとそれは後で色々聞かせてほしいのですが…で、ヒップホップにはまったきっかけとか、差し支えなければ生い立ちとか聞いても良いですか?

きっかけは、千葉雄喜(Koh)

加藤:はいはいはい。ハマったきっかけ。まずガッて入ったのをやっぱKohさんです。

SAM:そうなんだ。

SEI:やっぱ千葉さん。多いですね~。

SAM:すごいですね。今何歳だっけ?

加藤:今31、今年32になります。

SAM:25終わりから30頭ぐらいの子たちは結構千葉なんじゃない?

加藤:はい、だと思うんです。ガッっていったのは。

SAM:ワトくんもそうだし。

SEI:え、Watsonさんもそうなの?(出身は徳島)

SAM:あとRalphもそうだし。

SEIえ、あの渋声Ralphさんも!

SAM:あとそれ言ったらKoshyもそう。俺が知ってるだけで、MARIちゃんもそうだし。

加藤:そうっすよね。

SEI:え、MARIちゃんも?

SAM:MARIちゃんだって千葉のライブの一番最前線でうわーやってて、千葉におっぱい触られたって言って喜んでたらしい。

SEI:これ、入れていい?オッケー?(とSamディレクターに確認を取る)。

加藤:うわー、ヒップホップかっこいいな。それまでもちょこちょこ聴いてはいたんですけど、ほんとさわり程度ぐらいで、別に。で、そっからなんかこう、トラップ…あの、最初結構トラップやってたじゃないですか、Kohさん。

SAM:千葉がアメリカのトラップ持ってきた感じ。USのトラップ……あれを俺らスタジオで紙に書いて研究しながらやってた。

加藤:ですよね。

SEI:すごい。

加藤 優太、トラップにハマる

加藤:で、そこで、トラップかっこいいなみたいな思って。で、なんかUSとかも聴くようになって。

ちょうど多分そのちょっと後ぐらいにLil Pump(リル・パンプ)いるじゃないですか。あの『Boss』とか、全然あれちょいおふざけ感あるんですけど。で、Lil Pumpでうわぁトラップマジやべえじゃんみたいになって。で、なんかどんどん派生してったというか、まあそれがラップやるようになり始めたぐらFいだったのかな。確か。はい、だと思います。『GucciGang』とかあの辺でがっつりみたいな。

SAM:見た目もそっちに近かったよね。

加藤:近かったですね。もう見た目はなんかそっちめっちゃ影響受けてましたね。

SAM:カラフルな髪に。GALFY着て。

加藤:GALFY最初はネタだったんですよ。もうめっちゃおふざけで着て。

SEI:そうだったんだ。

加藤:で、すごい擦るつもりなかったんですけど、なんか気づいたらそんな感じになっちゃって。

SAM:GALFYの人になってたもんね。

加藤:そうなんすよね。

SEI:トレードマークみたいにね。

加藤:ほんとただ一瞬だけおもろいから着ようみたいなので着たらGALFYいつも着てる人みたいになってた。

SEI:なるほど。そっか。好きなアーティストさんは千葉さんっておっしゃってましたけど、その時期に聴いてた曲とかオススメはあります?

加藤:えー、でもマジ超聴いてましたね。『Yellow Tape』の最初の方もめっちゃ聞いてたんですけど、トラップっぽくなってからは多分『Dart Boys』とかあの辺くそ聴いてましたね。それこそあのHOCTOPIAのあれとかも行きましたもん、自分。

自己流でラップを習得

SEI:なるほど。ラップはどうやって勉強したり練習したんですか?

加藤:なんかそれも地元とかで当時誰もラップとかやってないのかと思っていたら、後々何人かちょろちょろやってる人がいたって分かったんですけど。

でも最初誰とも繋がってなくて、どうすりゃいいんだろうと思って。適当にググって、なるほどインターフェイスがあればいいんだ、パソコンがあればいいんだみたいな。これまた適当に調べて適当に安いの買って。本当に自己流で、とりあえずラップやり始めてみたいな。

SEI:私、加藤さんのラップ大好きなんですよ。表現力もあるし、リリックスは面白いし、すごい上手いなとずっと思ってて。

加藤:ありがとうございます。でも本当に適当にラップ始めた感じですね。よくわかってなかったです、最初は。小節とかも数えれなかったし、何のこと言ってるかわかんないけど、とりあえずやってみよう、みたいな。

SEI:それ何歳の時ですか?

加藤:えっと、多分21か22。

SEI:遅いですよね。

加藤:遅いっす遅いっす。そうなんすよ。

母子家庭の母親について

SEI:ご家族とか、親御さんとかはラッパー業やってたとか、アーティスト活動に関してどう思っていたんですか?

加藤:うーん、なんか一応その前、あの(PizzaLove)名義でやってた時、テレビとか観てたみたいなんすけど。別にそんなのやってるみたいなのは、自分から親に自発的に言うことなかったんですけど。テレビとか観て「ああまあ頑張りな」みたいな。はい。家庭って言っても、母親しかいないんですけど。

SEI:あ、母子家庭。

加藤:母子家庭なんですけど、母親もそんな喋るタイプじゃなくて。「まあ頑張りな~」みたいな。何も言ってこないですけど、多分(自分の楽曲)聴いていると思います。

SEI:そうなんですね。

加藤:はい。ていうかむしろ、ヒップホップとか苦手だと思います。

PIZZA LOVE時代のファッションについて

SEI:あの「ギャルちゃんテイナー」って感じで結構出していたじゃないですか。で、デビュー時からどんどんファッションがこう、過激じゃないんですけど、結構ね。

加藤:だいぶ。

SEI:だいぶ変化していきましたけど。さっきのGALFYの話に繋がるんですけど、当時自分の中でファッションポイントとかあったんですか?

加藤:ファッション?は、結構ありました。なんていうか…別に「これがこう」みたいなこだわりはなかったんですけど、「とりあえずなんか派手な方がいいべ」みたいな。

SEI:めっちゃ目立ってましたもん。3人の中で一番…というか4人の中で一番。ヤンセクさんも違う意味で髪形とキャラが目立ってましたけど、あれで。

加藤:ヤンセクはもう目立ってましたね。

SAM:ピザの方が目立ってる。

SEI:ピザさんはね、派手な感じで。

加藤:あの時色物めっちゃ好きでしたね。なんかガチャガチャしてるの。(注:このインタビューに現れた加藤 優太氏は、全身黒ずくめで指輪等のアクセサリーはしていたものの、マリリンマンソンのTシャツを着た、どちらかといえばモノトーンのロック系の格好であった)

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ギャグとして成立させた、PIZZA LOVEというキャラクター像

SEI:なるほど。あれはキャラ作りだったんですか?

加藤:まあPIZZA LOVEとして着ていましたね。まあまあ好きなのもあったんですけど「もう本当に心から好きで、毎日これ着たい!」みたいなのではなかったです。

SEI:じゃあ普段は今のような?

加藤:そうです。普段は結構黒い服とか着てましたね、地元だと。

SEI:ピンクのブレイズとかコーンロウはしてなかった?

加藤:は、普通にしてたんですけど。あんまり毎日それで出歩くのも鬱陶しくなってくるんで、自分。だからまあ普通にキャップ被ったりとか。

SEI:やっぱOFFは控えめに。

加藤:あのド派手なのは結構ON…ONの時みたいな。

SEI:キャラ作り的なね。やっぱそうだったんですね。

加藤:やっぱ強かったですね。なんかめちゃめちゃフェイクラッパーですけれども。

SEI:いやいやいやいやいや。当時本当にTajyusaim Boyz聴いて、日本語ラップにハマったおばさんとかおじさんとか、年寄りとか私の周りに結構いるんですよ。私を筆頭に。

加藤:ほんとっすか。

SAM:フェイクって言ってたけど、あの時ね、あれを多分「ギャグだ」ってちゃんと分かって聴いている人もいたよね。だってあれギャグじゃん。

加藤:もうギャグです。あれは完全に。

SAM:ギャグギャグ。完全にあのギャグをみんなわかってたから、全然成立したと思う。

SEI:そうそうそう。

SAM:あれがギャグだってわかんなかったら痛い奴だから(笑)。

加藤:確かにね。

SAM:あれをもうギャグだって。全然成立してたから。だってそれさ、(渡辺)直美から電話きてたじゃん。だからもう完全に成立してるから、勝ったもんよ。

加藤:そうですね。

SEI:Tajyusaim(多重債務)っていう名前。それに基づいてあれだけ曲を作って、で、リリックス書いて。素晴らしいなと。

加藤:良かったです。確かに俺にとって、あの活動できたのはすごい良かったです。

PIZZA LOVE時代のソロ活動について

SEI:あの、PIZZA LOVEさんの活動時、ソロでも活動されてましたよね。いっぱい楽曲出してますよね。

加藤:いっぱい出しましたね。なんか大して回んなかったですけど、いっぱい出しました。

SEI:あれどうしていっぱい出してたんですか?

加藤:え、あの……。

SEI:単純に大量に出てましたよね。私も追いつかなくて…いっぱい出てたから。

加藤

めっちゃ大量に出てたんですけど。その理由って、本当に自分的にはなんですけど実は再生数が回らなくて。回らなさすぎて、大量に出してました。「やべえ、伸びねえ」みたいな。「次作んなきゃ、次出さなきゃ、次出さなきゃ」のループですよ。

SAM:それはPIZZA LOVE名義で?

加藤:はい。Tajyuの方がリリースピードは、結構スローだったと思います。ソロの方が結構割と出てたな。

Tajyusaim Boyz時の活動の思い出

SAM:ソロでの活動とグループで活動する時、メンバー的には何も言われなかったの?もうちょいTajyusaimとしてやってくれとか。

SEI:フィーチャリングでメンバー出てましたよね。

加藤:まあそうですね。でもなんかそんなにはなかったかな。

SAM:Tajyusaimって不思議なグループだったよね。

加藤:かもしれないですね。ボワっとしてました。

SAM:グループ感ない。

加藤:そう。そうなんすよ。

SAM:一緒にいるし、毎回会うたびにTajyusaimでいるけど、なんか結構みんな自由というか。

加藤:そうっすね。なんか「クルーでガッチリやっていこうぜ」というより、もう各々好き勝手やってる感じみたいなのは、割と強かったかもしれないです。だから逆に、グループとしての楽曲のリリーススピードがちょい遅めだった可能性はありますね。

SEI:そうなんだ。

加藤:そこら辺、みんなでちゃんとかっちり話したことないからあれだったんですけど、確かに割とドワっとしてました。

SAM:ドワっとしてたよね。

SEI:なるほど。いや、もっと出してほしかったですよね。私はTajyusaimさんの楽曲もなんですけど、PIZZA LOVEさんの楽曲やMVとか見てるとハッピーになれるんですよね。手繋いでなんか輪になって踊ったりとかして。めっちゃ、ハッピーになれる。

加藤:確かにそうやって言ってもらえることは多かったですね。

SAM:俺バカだなと思ってた(笑)。

加藤:そうですよね。大体みんな大体こいつバカだなって思ってたみたい。結構言われるんで、やっぱみんなそうだと思う。

SAM:でも、それ勝ちだから。

SEI:そうそうそう。それで勝っていれば別にいいんですよって思います。ええと、Tajyusaimの活動の思い出で良かった点とか、逆になんかマイナスだった点とかあります?

加藤:良かった点は……良かった点の方が多すぎてどれを言えばいいかわかんないですけど、まあ本当に多分あのメンバーで、そもそもあのメンバーと知り合えてなかったら、多分今もラップやってるって自分的にはなかったと思うんで、みんなでやれてよかったなっていうのと、やっぱTajyusaimでやってたから、それこそサマソニとか。

SEI:出ましたよね。

加藤:出れた経験もあったし、なんかその、NHKの「シブヤノオト」?やつとかも。

SAM:「シブヤノオト」出た?

加藤:あれ一回出させてもらって。

SAM:すごい。

加藤:『リボで買う』とか。多分周りのアイドルの人とかにドン引きされてたんですよ(笑)。

SEI:いやいや面白かった。

加藤:多分空気はヤバかったみたいなんですけど。ああいうものすごくヤバい経験は、確かにこうTajyusaimじゃなきゃできなかったなっていうのはあって。……うーん、悪いところか。

SEI:メンバー同士で殴り合いの喧嘩とかはなかったんですか?よく聞く、ちょっとした音楽の方向性の違いとかで。

加藤:でも、いや、特に喧嘩みたいなのはなかったと思いますね。ただちょこちょこあったのが、曲作るんですけど、なんかこう、みんなやっぱ作るスピードバラバラなんで、一人が先にできて、誰かがずっと書いてこないとかはあって、足並みが揃わないみたいなのは結構ありました。

SEI:みんなマイペースだったんですね。

加藤:そうそうそう。だから逆にM.A.G.とかLB(-Rug)さんとか、まあそれこそ何か作ってて、逆に俺が何もやってないとか、そういうのはあったかなって気はします。まあ強いて言えば。

SEI:強いて言えばね。般若さんとかDJ Ryowさんとかもそうですし、D.O.さんとかとも音楽一緒にやってましたけど、思い出や印象に残ったお仕事ってありましたか?前に出た、サマソニとか?

加藤:「THRILLDRIVE」っていうイベントやってたんですよ。ハーレム主催の。で、それなんかあれですけど、Creepy Nutsさんに出てもらって。

SEI:あら。

加藤:ゲストで呼んだら来てくれて。

SAM:知り合いだったの?

加藤:いや、元々そんな知らなかったんですけど、なんかその『リボで買う』とかあの辺聴いてくれてたみたいで。

SAM:その時まだそこまでCreepy Nutsが売れてなかった。

加藤:そうそうそう、まだなんかバーンっていく前で。

SAM:なるほどね。

加藤:でもなんかあいつらやべえよな、みたいなのを、ラジオとかでこう喋ってくれてて。で、イベントオファーしたらやってくれた、みたいな。その時バーンっていったから、あ、すごかったなというのが、俺の中でのめっちゃ貴重な体験だったな。

あとなんだ?でもその辺が印象強いかもしれないですね。サマソニ、シブヤノオト、イベント。

SAM:フェスとかは?

加藤:フェス、あ、でも「SUMMERBOMB」とかは、今無いですよね、多分。あれとかは、それこそTajyusaim結成したばっかの時に、「出たいね出たいね」ってメンバー全員で言ってて叶ったから、あれやった時はめっちゃ嬉しかったかもしれないです。

加藤 優太がCs読者さん・閲覧者さん達に聴いてもらいたい曲

SEI:貴重なお話、ありがとうございます。あの、一応うちHIPHOPCSっていう媒体なんですけど、読者さん・閲覧者さん達に聴いてもらいたい曲はあります?自分の曲でもいいですし、そうじゃない曲でも。

加藤:うーん、難しいですね。自分の曲の方がいいのか。

SEI:じゃあ自分の曲でいきましょうか。

加藤:そうですね。

SAM:なんだっけ、あの、最近PVかなんか出したやつめっちゃ良かったんだよな。

SEI:PV出したんですか?

加藤:PV、最近出しました。

SAM:最近じゃないですよね。数ヶ月前に。

加藤:『雑魚男』ってやつは自分お気に入りなんですけど。

SEI:『雑魚男』ってちょっとタイトル的に面白いんですけど。

加藤:ですよね。

SAM:誰について?

加藤:自分です。

代表曲、『親父の歌』の背景

SAM:あ、あと『親父の歌』。

加藤:『親父の歌』。

SAM:あれってピザ時代だよね?

加藤:あれはPIZZA LOVE時代ですけど、どちらかというと加藤優太の色が強いです。

SAM:そう、あの『親父の歌』ってやつ。めちゃくちゃいい。

加藤:確かにSamさんめっちゃ良く言ってくれてましたよね。

SAM:めちゃあの雰囲気いい。いやもう雰囲気で言ったら、千葉と般若さんの『家族』の歌みたいな感じで。

加藤:確かに。

SAM:あの当時馬鹿なイメージだったピザから出た、結構シリアスな歌なんですよ。

加藤:まあ本当に俺の親父、結構家で暴れてたりしたんですよね。

SEI:それ、どっかのインタビューで読んだかもしれない。

加藤:色んな所で言ってはいたんですけど、本当に家いてめっちゃ暴れて、母親ぶん殴って、で俺もぶん殴られて、みたいな感じで。それが当時俺3歳ぐらいだったんですけど。でもなんか未だにやっぱはっきりそれだけ覚えてて。

SEI:3歳って……それだけ衝撃的な出来事だったんですね、きっと。

加藤:で、自分ってその時の記憶がかなり強くて、やっぱなんかああいうのはいかんなというか、ちょっとふざけながら、なんか本当に嫌だなあっていう、だからそういうの減ってほしいなみたいな思いを込めて作った感はかなり強いですね。

SEI:お父さんと関わりは?

加藤:今もう全くなくて。それこそ父親と母親が一緒にいて、自分がいるみたいな環境だったんですけど、もう暴力ひどすぎて、突然母親がパッといなくなったんですよ。で、暫く……どんぐらいかちょっと今もう覚えてないですけど、帰ってこなくて。その間、親父と二人でしばらく生活してて。で、親父と変なボロボロの家に住んでたんですけど、親父もいなくなった時に、どのタイミングでそれを知ったのかわかんないですけど、母親が自分を連れ出して、そのまま母親と一緒に出てって、それが最後……みたいな。だからそれ以来もう一回も会ってないです。

SAM:連絡も。

加藤:連絡も取ってないですし。

SAM:取れるの?

加藤:いや、自分は多分取れないです。母親もなんかわかんないみたいな。中学生ぐらいの時に「今何してんの?」って聞いたんですけど、いやわかんないみたいなのをボソッと言われて終わって。そこから特にあえて聞いていないんで、多分もう取れないんじゃないかな。いや、でもあんまり会いたい気持ちはないですね。なんやかんや言って、やっぱ引っぱたかれてたイメージが強いし。

SEI:逆に会ったら、お父様に積年の苦労やネグレクトを吐き出したりぶつけたいとか思わないですか?

加藤:いや、思わないな、あんまり。だからそれが原因なんですよ、多分。暴力的なこととかマジで好きじゃなくて。

SEI:なるほどね。

加藤:暴力とかは未だに結構苦手で。怒鳴り声とかもあんまり聞くとすごいウワッみたいなのがあって。多分それが原因なのかわかんないですけど。

SEI:わかるわかる。きっとそれが原因ですね。

加藤:なんかまあだから会いたいとかはあんまり思ったことないですかね。すごい恨んでるっていうわけでもないですけど、会いたい気持ちもないかな。

SAM:無って感じだ。

加藤:ですね。

SEI:ご自身も今ちょっといい年齢っていうか。

加藤:ですね。気づいたら……気づいたらおじさんになっちゃった。

SEI:加藤さんもお父さんになるかもじゃないですか。自分は父親になったらこうしたいみたいなのあります?

加藤:でもまあほんとあれだったんで、まず絶対引っぱたいたりしたくないですし、暴力は絶対したくないなっていうのと。

SAM:言葉の暴力?

加藤:意外と言葉の暴力みたいなのはなかったですけど、でもそういうのも言いたくないなっていうのはあるのと、やっぱあと自分ちっちゃい頃から片親になっちゃったんで、本当に変な話ですけど、ずっとお金なかったんで……。

だからやっぱり子供できたら今後、お金でやっぱ苦労させたくないなっていう思いがあって。逆に言うと、だから今多分その全然お金持ちじゃないから、まだ子供作れてないみたいなのはありますね。

SAM:下手に子供作りたくない。わかってるからね。

加藤:子供を育てるのは大変そうですから。

SAM:大変です。

加藤:持ったことないからまだわかんないですけど、やっぱ習い事とかはちっちゃい頃やりてーなみたいな思ってて。でも、やれないことの方が多かったんで。サッカーやりたいとかやっても、お金ないからやれない…みたいな。やっぱだからやっぱちょっとそういうのは。

だから結構悲しかった記憶があったから、もしかしたら子供また悲しんじゃうんじゃないかなと思って、まだ作れてない。

SEI:安定してから、と。でも今は安定収入あるんですよね。

加藤:結局すごい多いわけじゃないですけど、今一応会社員として内装業やってるんで…まあお給料っていうのはあるにはある。定期収入。それ重要ですね。

でもそれ今結構制作費に突っ込んでやってるんで、あんま変わってないというか。少ない給料で制作してるものなんですが、いつか伸びたらラッキーみたいな。

SEI:来ると思いますけどね。

加藤:どうですかね。来たら嬉しいです。

PIZZA LOVE引退と加藤 優太でカムバックの真相に迫る!

SEI:えーと、家庭環境を聞いて、今のお仕事を聞いて。で、ちょっとここで核心の引退の真相をお話ししていただけると幸いです。

加藤:はい、ぜひぜひ。

SEI:個人的に2023年の引退時は、もうショックでショックで……。自分はTajyusaim Boyzとは縁もゆかりも無い、ロサンゼルスに住んでるただのヒップホップファンのおばさんだったんですけど、もう彼らのラップが聴けないのかと思うと、めっちゃショックで食事も喉が通らなくて。引退宣言動画の方にも不躾ながらコメントも残したんですけど……一回業界から身を引いて、引退されましたよね。

加藤:そうですよね。

SEI:またカムバックした理由を、今喋れたらお願いします。今日はそのために、下北沢に参りました。

加藤:もちろんこれ実話をお話しするんですけど、実は俺、これは絶対話さないでおこうと思ってたんですよ。どこにも言うつもりなくて。ただ今回Samさんから連絡もらって。で、やっぱSamさんいつもなんかいろいろ誘ってくれてたり、すごい良くしてくれて。

SEI:うちのディレクターのSamさんが?

加藤:そうです、そうです。活動なんかも、名義変えて始める前とかもちょこちょこなんかSamさん連絡くれてて。

SEI:そんなに近かったんですね。てか、Samさん相変わらず面倒見が良い!

SAM:ピザ自体はもう10年近く…10年いかないぐらい知ってるんじゃないかな。そうだよね?

加藤:そうですね。多分。もうそのぐらいになりますね。

SAM:もう8年くらい知ってるんで。俺、ずっとピザが好きだし、ピザがこれまでやってきたこともずっと見てきたんですよ。

自分は普通のことってあんまり好きじゃないんで、例えばミュージックビデオで自分の平和バンドを晒すとか、そういうことをピザがやってるのを見ると、逆に嫉妬するんすよね。「俺も先にやっとけばよかった」って。本当にそんなノリなんですよ。

「俺ももっとバカなことやっとけばよかったな」って思わされる。だからピザに関しては「やられたな」って感じることのほうが多いかもしれないですね。

加藤:だからなんか、逆に言うと、結構自分ちょっと今ズレちゃってるんですけど、音楽業界の人と会ったり喋ったりすると、本当に気張っちゃって、何て言うんだろう…喋るの苦手になっちゃうみたいな部分があったんですけど、Samさんはなんかほんと気楽な感じで。

SAM:俺適当だもんね。

加藤:肩の力入れずに入れるから。

SEI:なるほどね。

加藤:はい。だからいやもうここは今日話そうと思って来て。引退した理由みたいなのっていうのを、まあ順番的に言うと…なんだろうな。でも本当にさっきあったように何かONとOFFがあって、自分の中で。

SEI:メンタル的なONとOFF?

加藤:そうです。PIZZA LOVEでいて、加藤 優太がいるみたいな。で、PIZZA LOVEは結構その…まあ多分考えすぎだったのかもしれないですけど、周りの人が見てると陽気なやつ。

SEI:めっちゃその印象。

加藤:面白いやつ、めっちゃ喋るやつみたいなのが多分あったと思うんですよ。だけど加藤 優太自身は、喋るは喋るけど、別にそんなにベラベラ喋るわけでもないし、ぶっちゃけ「うわぁ」みたいに前に行く感じでもないんですよ。で、そこの「本当の自分」とある程度のラインから乖離が起き始めたというか。何て言うんですかね?どっちがどっちなんだかわけわかんなくなってきて

で、そこら辺から音楽やってる事自体が面白くなくなってきたというか、なんか全然楽しくなくなっちゃって。だけどこう、でもいつもの姿を見せちゃいけないなみたいなプレッシャーの中やってて。だけど面白くねえなみたいなのも思い始めちゃって。

SEI:時間的にはどれぐらいだったんですか?

加藤:それが引退発表する……誰にも言ってなかったですけど、引退発表する1年前ぐらいからですね。

SEI:でも結構その時売れてたというか、有名でしたよね。般若さんと一緒に曲出したりとか、そのぐらい時期じゃないですか?

加藤:そうですね。でもなんかそこら辺からこう、面白くないというか、なんか音楽やってるのが辛いなみたいな。で、こういう風に喋んのとかも得意じゃないけど、結構メディアの仕事とか呼んでもらうみたいな。で、PIZZA LOVEとして行くけど、加藤 優太はもうちょい静かみたいなのの乖離がかなりあって。そこからなんか仕事すんの、音楽の仕事やんの辛くなってきちゃって。

SAM:オンとオフうまくできなかったってこと?

加藤:そう、それが近い。混ざってなんかわけわかんなくなってきて。なんでやってんだろう?みたいなのを考え始めちゃって。

SEI:メンタル的に病んでたわけではない。

加藤:多分メンタル的に病んでたと思います。今になって思うと、ぶっちゃけ病んでたと思います。はい。

SAM:なんか俺も周りの子たちも当時結構心配してた。「ピザ今調子良くないから。心配です」みたいな話はみんな俺にしてたね。

加藤:やっぱそうですね。なんかそういう話したことなかったですけど、でも多分自分当時かなり病んでたと思います。本当なすげえ全部嫌になっちゃって。

SEI:そうかそうかー。お辛かったんですね。

加藤:割と。だからもう本当に最初好きでやり始めたことだったのに、もうやるのが嫌になっちゃって。どんどんどんどん音楽作りたくないな。ライブとかは行きたくねえ、みたいなのとか思い始めちゃって

SEI:ライブまで行きたくない。

加藤:最後の方は、そうなりましたね。ほんとだからその引退動画発表する半年前とかもライブもやってましたけど、本当は「やりたくないな」みたいに思ってて、無理くりやってるみたいな状態になってましたね。

SAM:その後、辞めるじゃん。やりたくないってなってなって。でもそこから辞めるって、またちょっと一個ハードルあるじゃん。でも辞める事を決断をした。そこはどんな風にしたの?

加藤:あ、でも、これ結構身体的に出てたところなんすよ。あの引退動画で軽く触れてたんですけど、まず2週間に一回ぐらいの割合で40度の熱出るみたいなっていうのがもう半年以上続いたのかな。もう本当に2週間に一回高熱出して、一週間寝込むみたいな。

SEI:あー、身体に拒否反応出てたんですね。

加藤:ああ、そうです。で、本当もう一ヶ月半分ぐらい熱出してるみたいな状態になっちゃって。そうなると人間って、どんどんマイナスな方向に行くんですよね。

SEI:もちろんもちろん。

加藤:それで、「ああ、もうこれダメだ」と思って。当時病院にちょこちょこ行ってたんですけど、多分「ストレスだよ」みたいな、そんな診断が出て。でももう原因は絶対音楽だ、って自分の中であって。絶対これやってるせいだなって思って、自分このままいったらほんともう何もできなくなるわ…みたいな。

SAM:壊れちゃうみたいな。

加藤:はい。もう身体がやばい、みたいな。ずっと頭痛いし。喉も腫れちゃって、曲とかも取れないし、熱出るし。

SEI:結構な拒絶反応ですね、身体からの。

加藤:で、それが何ヶ月か続いた時に、「ああ、もうダメだ、止めよう。辞めよう」と思ってやめました。

引退時のメンバーの反応とTajyusaim Boyzのその後

SAM:やめるのは最初誰に伝えたの?メンバー?

加藤:まず当時ついてたマネージャーに言って。その後、M.A.G.と、もうヤンセクは当時居なかったんで。

SAM:あいつ既に辞めてたんだっけ。

加藤:はい。で…その、何て言うんですかね、一回みんなで集まってもらって、LBさんとM.A.G.がいる時に、「こうこうこういう理由で辞めたい」っていうのを伝えたって感じですね。

SAM:それであれだよね、Tajyusaimも一緒に解散したよね。

加藤:ただまあそこは…。

SEI:オフィシャルだったんですか?それは。

加藤:ただこれあれなんすけど、そのTajyusaimのその後に関しては、自分あんまり関与してないというか。

SAM:その後も活動あったの?

加藤:なかったです、はい。だけど「俺はもう辞めます」で辞めた。「ただグループ活動やるかやんないかは任せますよ」状態で。

SAM:じゃあグループは自然消滅?

加藤:なのかな?っていう。自分はぶっちゃけその後深くどうなったの?みたいなのは聞いてないですけど。とりあえず解散というか、脱退させてくださいっていう形で終わったっていう。

SEI:なるほど。

SAM:その時リーダー(LB-RUG)どんな感じだった?結構食らっちゃってたでしょ。

加藤:まあそうだったと思います。「マジか…」みたいな。怒ってた、とかないんですよ。

SEI:あ、ないんだ。

SAM:あいつ泣き虫だもんね。

加藤 : はい。意外と(笑)


SAM : リーダー泣き虫なんすよ。あいつすぐ泣くんです。

SEI:意外意外!そうなんですね。

SAM:俺が泣かしてんすかね?

加藤:多分(苦笑)。

SAM:俺が泣かしてんのか。でもあいつしょっちゅう泣いてるイメージあるんで、俺の中で。

加藤:でもマジで自分もそのイメージです。結構すぐ泣きます。

SAM:ーダーとか結構感情豊かな子じゃん。

加藤:そうですね。感情型です。

SAM:多分そういうのとかもあって、結構グッってリーダーはきてたのかも。

SEI:M.A.G.さんは逆にそんな感じじゃなさそうですけど。

加藤:M.A.G.はそうですね、彼はいつでもクールだったんで、引退話聞いてもフラットというか「マジか」みたいな。「まあそうかなって思ってたんだよね」みたいな。確かそんな感じで言ってたと思います。はい。でも「直接言ってくれてよかったよ」みたいな反応でした。

リーダーも確かにすごい悲しそうな顔してました。今だから言えるけど、結構かわいそうな顔してましたね。で、自分の記憶が正しければ、その日は「マジか…」しか言ってなかった記憶がある。そう。ただ否定するとかもなく、「マジか…」みたいな。それでその場がとりあえず終わった印象でしたね。

SEI:でも脱退した後もメンバーとは仲良くしていて、繋がってはいたんですか?

加藤:ですね。なんか辞めてからも会ってましたね。リーダーとも会ってる。それこそヤンセクとも結構会ってます。

本人もSNSとか出してるんで多分言って大丈夫だと思うんですけど、M.A.G.はその頃ぐらいにちょうど子供できたんですよ。そんなタイミングでもあったんで、そんなに会わなくなりましたけど、1、2回会ったかな?ぐらいで。

だから辞めてからもたまに会うみたいなのはありました。

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2023年の引退から2026年の夏の間の活動について

SEI:なるほど。今は2026年の夏なんですけど、一回引退した2023年から今まで何をされていたんですか?

加藤:これ結構面白いっていうか、自分の中では結構おもろいなと思ってるんですけど。やっぱ人生何があるかわかんないなと思っていて。この3年ぐらいでトラック乗って運転手やったり、それこそ産業廃棄物屋さんやったり。なんか今まで働くってことをそんなにしてこなかったから…。

SEI:ずっと音楽だけだったんですね。

加藤:そうですね、割と。だけど実際辞めたら本当に全然収入もなくなるし、実際全くなくなったんで、もう働くしかねえわと思って働き出して。トラックの運転手やって、工場とかでも働いたり、短期のとかも行ってみて、産業廃棄物やって。で、今内装屋やってる。

SEI:内装屋さんは、どのくらい?

加藤:今1年ちょっとぐらいですか。で、合間合間で曲作ってみたいな。

加藤 優太としての復帰のきっかけ

SEI:音楽から遠ざかっていたものの、また舞い戻ってきた。

加藤:はい。

SEI:きっかけは?

加藤:これ本当にあれなんですけど、ちょっと話下手すぎて申し訳ないんですけど、自分引退時は、マジで音楽のやる気なかったんですよ。

SEI:2023年の時は。

加藤:もう絶対やらない!みたいな。で、その時もう本当にラップとかも、特に日本語ラップは全く聴かなくなったんですけど。

SEI:何聴いてたんですか?

加藤:でもUSのYoung Thug(ヤング・サグ)とかそこら辺は聞いてましたけど、日本人は絶対聴かないみたいな時期があって。まあしばらくしてたんですけど、10年ぐらい多分連絡取ってなかった地元の友達から急に「もう音楽やらないんですか?」みたいな連絡が同じタイミングぐらいでポンポンポンポン入り始めて。それが、2024年ぐらいですかね。

SEI:2年前ぐらい。

加藤:…ぐらいの。で、「まあわかんない」みたいにその時は返したんですけど、そしたら「えー、やってくれよ」みたいになって。(その人とは)別に音楽のことを話す間柄でもなかったんですけど、「別にギャグじゃなくてもいいから、普通に真面目な曲でいいからやってよ」みたいなのが、なんかちょこちょこちょこちょこ連絡来るようになって。同時期に地元の友達からちょろちょろ来て。「じゃあやってみるか」みたいなのに至ったんですけど。

音楽やめて、まあこう、下界っていうか、何て言うんですか、外の社会に…。

SEI:下界!表現が面白い!

加藤:ちょっとあれなんですけど、下界に出ていった時に、それまで「PIZZA LOVE」という名前が名刺代わりにあったじゃないですか。それ取っ払ったらマジで何もないんだなっていうことがしっかりわかって。仕事の面接とか行っても超落ちまくるし。「学歴一切気にしないしタトゥー入っててもOK」みたいなところさえも、落ちるみたいな。という状況がめっちゃ続いて。

SAM:どんなとこ落ちた?

加藤:えっと、トラックの運転手何社も落ちて、倉庫のタトゥーOKって言われてるころでも、もう10社ぐらい落ちたのかな?いや、わかんないです。

SAM:だってぶっちゃけピザのタトゥー(が原因)だって。

加藤:「隠れるから多分大丈夫だと思います」って面接の人にも言われたんですけど。

SEI:職歴が前になかった。

加藤:多分そうです。

SEI:私(本業は)人事だから思うんですけど、3年以上職歴無かったら、少し警戒しますよね。ましてや、職歴が1つも無かったら特に。

SAM:ああ、なるほど。

加藤:こいつやばいかみたいなん、思われてたんですかね?

SEI:この人何してたの?ってなるから。

加藤:で、多分落ちます。

SEI:病んでたか、長期(とある場所へ)お勤めか…みたいに何か問題か理由があるかもって思われてたかも。

加藤:で、俺落ちまくって。

SAM:そこはさ、アーティスト活動だから。

SEI:アーティスト活動してました。そこそこ売れていました、って履歴書に書きました?

加藤:いやあの……。

SEI:履歴書に書かなかったんですね。

加藤:絶対やべえわと思って。あの変な話ですけど、自分の電話番号を載せるようなやつ雇ったら絶対会社の情報を公開しちゃうだろうって思われるかもと思って。

SAM:なるほどね。

加藤:そんなとこに気を使って書かなかったら、「あ、やばい、全部落ちた」みたいな。

SEI:でも、それを逆手に…。

加藤:今はもう言えばよかったなと思ったんですけど。

SEI:人事からすると、そういうの言ってくれた方が、この子正直で面白いと。

加藤:そうなんですけどねー。気まずすぎてその時言わなかったんですよ。落ちまくって、「あ、やばいわ」みたいな。俺って何もないなみたいなのを思って。

そういうのがあった後、地元の友達からなんか音楽やってほしいな、真面目な曲とか、別にギャグギャグしくなくていいからみたいな連絡が入ったんです。それなら、「もう何もないしもう1回やってみるか」みたいな気持ちになって。

変な話、ちょっとでも求められてるというか、下界に出た時は「お前いらないわ」みたいな状態になってたけど、音楽ではちゃんと一人でも二人でも「やってほしい」って人がいてくれるなら、まあじゃあ一人でもいるうちはやってみようかな、みたいなのを思って。超ありがたいですけど。

それがきっかけで、またやるかと思ってやり始めましたって感じですね。

SEI:私、SamディレクターからPIZZA LOVEさんが再活動してるって聞いて、「もう絶対インタビューしたいです、話したいです」ってすごい頼んじゃったんですよ。嬉しくて。だから私以外でもPIZZA LOVEさんとして知ってる人や、ファンの方とかは加藤さんの楽曲を聴きたがっていると思いますよ。

加藤:ありがたいです。別にすごい話題になってるとか、全然再生数も伸びてるとか行ってないですけど、なんかやっぱこう、「おかえり」みたいな言ってくれるコメントとかちょこちょこ来るんで、「あ、まだこう思ってくれてる人いたんだ」みたいな。だから再度活動始めて良かったかもっていうのは改めて思い始めましたね。

自分が楽しくないと、続かない

SEI:PIZZA LOVEとして、面白い内容や借金系のリリックスを考え続けなきゃいけないっていうプレッシャーが原因で病んでたんですよね?

加藤:それもあります。本当におもろい曲しか求められてないと思ってたんですよ。だからこのインタビュー読んでる方もわかると思いますが、自分別にそんなおもろい奴じゃなくて。で、なんかそれを作んなきゃいけないのがマジしんどすぎて。

SEI:そうだったんですね。

加藤:ちょっとやばいなみたいな。

SEI:そこがプレッシャーだった。じゃあ今作っている楽曲とかは、もうそういうPIZZA LOVE要素を抜かした、素の自分を書いてらっしゃるんですか?

加藤:はい、そうですね。だから最近の(曲の)作り方みたいなとこになっちゃうんですけど、書く時もあるんですけど、本当に何かあんま最近書かないことも増えて。

SEI:フリースタイル?

加藤:みたいな。まあ本当のフリースタイルはできないんであれなんですけど、ビート流して、今家で宅録してるんですけど。

SEI:家で。

加藤:そのブースみたいなの入って、とりあえず頭に出てきたことバーってやって作るみたいな。バーって録るみたいなのとか。たまに書いたりもしますけど、そういう感じで本当に楽に作ってるって感じなんです。だから良くも悪くも、多分前みたいな面白さは…すっげえこれインパクト強い!おもれえ!みたいなのは逆に言うとなくなってる気はします。

SEI:まあまあ。でもね、お父さんの歌で結構リスナーさんやファンは心を動かされたじゃないですか。意外だったっていう点で。っていうことは、そういう曲を作らなくても多分いけることをあの時証明していたんですよね、既に。

加藤:どうなんですかね。

SEI:楽曲づくりは趣味程度な感じでやってるのか、それとももうちょっと趣味以上に本気でやってるんですか?

加藤:まあ自分では割と本気でやってるにはやってる…つもりなんですけど。でもなんか、なんて言うんだろう、変に気張らないというか。

SEI:うんうんうん。

加藤:何て言えばいいんだろう。執着はしすぎてないというかラフにある程度やっています。やっぱ「楽しくないと続かない」っていうのは、身をもってわかったんで。楽しみながらできる範囲でやってるって感じです。

SAM:じゃあさ、内装のお仕事やらないで音楽全振りできる機会がもう一回あったとしたら、乗る?

加藤:でもなんか俺もラッパーというか、音楽やってる身というか、かっこいいかどうかとかは置いといてなんですけど、本当に何もない時に、今の内装業の社長が自分のことを拾ってくれたっていうのがあるんで。「やってみなよ」って声かけて頂いて。だから今の会社や社長にも、ある程度恩返しをしたいっていう部分もあって。

SEI:律儀ですね。

加藤:そうですね。だからぶっちゃけのところ、例えば一曲バンバンと伸びました!みたいなことが起きて音楽に全振りするか?って言われると、今の今は多分しないと思いますやっぱこう、内装業やりながら二足の草鞋っていうかを続けると思う。

SEI:でも案外そういうラッパーさん多いですよね。そんなことない?

SAM:昔はみんなそうだったけどね。

加藤:今は多分あんまりいないですよ。

SEI:あ、そうなんだ。

SAM:音楽で金稼げるようになったから。

加藤:そうですよね。多分普通に雇用されて働くよりは。

SAM:ピザもあの時今のSNSみたいのがあったら多分ワンチャン、その時期は仕事しなくても稼げるぐらいなものになってたと思うんですよ。でもあの時は、まだそういう時代じゃなかったから。

加藤:結構カツカツでした。

SAM:俺の時代と軽く近いでしょ。

加藤:だと思います。

SAM:当時は金にはならなかったですよね。本当に一流の人しか。

加藤:そうですよね。今(のラッパーとかは)もうほんと高え腕時計買ってみたいなとかできてるじゃないですか。あんなの考えられなかったというか(笑)。

SAM:もう高い時計つけてる。

現在の楽曲作制作について

SEI:ビートは自分で作ってるんですか?

加藤:いや、ビートとかは作れないんで、外部ビートだったり、知り合いのビートメーカーさんとかが作ったやつとかを使わせてもらって。

SEI:それは自分で選んでるんですか?これいいなみたいな。

加藤:そうですね。自分で選んで、なんかほんとフィーリング合うやつを使ってやってるみたいな感じですね。

SEI:今作ってる曲あります?

加藤:うーん、割と結構不定期にバーって作ってるんで。そうですね、ずっとなんか何かしら作ってるっちゃ作ってるかも。

SEI:PIZZA LOVE時代、すごいいっぱいソロ楽曲出してたじゃないですか。ああいう感じで出す予定ではなくて、もう自分が気が向いたら作るみたいな感じですか?前はほら、なんか再生数のために頑張っていた…というか質より量みたいな感じになってたって言ってたじゃじゃないですか?

加藤:なってました(笑)。

SAM:単発の作品じゃなくて、まとまったやつとかは考えてないの?

SEI:あ、その方がいいかも。アルバムみたいなの。

加藤:そうですね。まとまったやつ。そこら辺あんまり真面目に考えたことがないです。なんか出したい時に出してみたいな感じでやってるんで。ただ曲数自体は、今どんぐらいだろう。でも年ぐらいで、300~400ぐらいは。

SEI:結構ある。

加藤:まとめて出そうと思ったら出せるけど、自分の中でこれ別に出さなくてもいいやみたいな状態の曲も多いからって感じですね。

SEI:えー、聴いてみたいです。

加藤:自分の中でないなみたいなと思った曲、人に聴かせるの恥ずかしくないですか?

SAM:まあ、そもそも自分が気に入ってないからね。

加藤:そうなんすよ。

SAM:そもそも自分が気に入ってないから、逆に人に聞かせたところで?っていう感じはあると思う。俺もわかる。

SEI:でも300曲のうち10曲くらい自分が好きな曲はあるわけじゃないですか。

加藤:逆に言うと、それもう今出しちゃってる。

SEI:出しちゃってるんだ(笑)。

SAM:雄基とかもアルバム作ってる時とか、10曲やって1曲アルバムに入るか入らないかみたいな感じ、って言ってた。

SEI:やっぱそうなんですね。

加藤:そうですよね。自分もほんと、まあ千葉さんより多分精度低いんであれなんすけど、多分20作って1曲あるかなぐらいの割合ですね。

SAM:それが1曲作る曲全部出すみたいなスタイルになると、もう俺アーティストとしては終わりだなと。

SEI:そうなんすね。なるほど~。

SAM:なんかやっぱそのクオリティコントロールが大事。

SEI:そうですよね。QC。

SAM:MIGOS(ミーゴス)たちがそうですね。

加藤:クオリティコントロール。ぶりぶりでやっていく。

SEI:あれレーベル名ですよね。いやでも確かに品質管理は重要。

加藤:かもしれないですね。でもなんかそれこそ逆に言うと、前そのスタンスに…絶対出すっていう予定作るみたいなスタンスが自分に合ってなかったんで。だから尚更そのやり方をもうやんなくなったというか、やっぱバーって作って、いいのあったらまとめて出すとか、気が向いた時にシングル出すみたいな。

SEI:自分一人で全部なんですか?それともフィーチャリングでその友達の海老名のラッパーとか、元Tajyusaimのメンバーさんとか、なんならもうSAMさん周りの方とか、そういう方たちと作りたいとかはないんですか?

加藤:あーそうですね。なんかそんなに深くいつも考えてないからあれなんすけど。うん。最近割とソロ曲みたいないっぱい出したんで、ちょこちょこ今後はいろんな人ともやってみたいなっていうのはありますね。

加藤 優太からのメッセージ

SEI:そろそろインタビューも終わりに近づいていますが、ラッパーを目指す10代の若者とか、弊社のサイトの読者さん閲覧者さんに何かメッセージとか言いたいこと、アドバイス等あれば是非是非お願いします。

SAM:ピザの音楽キャリアを通して、これだなみたいな。

加藤:えー、なんだろうな、でもやっぱ自分が一回ちょっとうわーみたいな感じになったので、無理はしない方がいいですね。あとこう、やっぱり自分の心に素直になった方がいいかもしれないですね。やりたいと思ったことはやった方がいいし。なんかそれこそPIZZA LOVEでやってた時って、「あ、こういうのやりたいな」と思ってても、「キャラじゃねえからな」みたいなのでやらなかった事が結構あったんですよ。だけどやっぱ、やっときゃよかったなって今になって思うし。多分あの時そうやってちゃんとやってりゃ、例えば「ちょっとこれPIZZA LOVEっぽくないな、違うな」みたいになってたとしても、自分的に満足してたんだろうな、みたいな。そしたらああいう感じでストップすることもなかっただろうし。だから、自分の心に素直になった方がいいよっていうのは伝えたいかもしれないですね。

SAM:いいこと言ってる。

加藤:本当ですか?

SEI:今幸せですか?

加藤:今はそうですね。

SEI:重要重要。それは重要。

加藤:重要ですね。毎日楽しく過ごせてます。なんだかんだ。ありがたいです

今更ながらPIZZA LOVEの名前の由来

SAM:俺、実はもう一つ質問あります。ピザ好きですか?

加藤:ピザは…これは。ピザ自体は好きなんすよ。

SAM:普通に食として。

加藤:ピザは食として。

SAM:ピザが好きだからPIZZA LOVE?

加藤:いやなんかあれPIZZA LOVE自体は自分で決めた名前じゃなかったんで。

SEI:あ、そう。

加藤:これ多分結構インタビューでも言ってたんですけど、なんかみんなで集まってる時、それこそ本当にあのTajyusaimかが結成する前ぐらいに、なんかみんなで集まって、よく曲作ったり、なんかいろいろ練習してるみたいな時あったんですけど、その時にピザーラかピザハットでバイトしてる子がいて。その子がピザ持って帰ってきて、タダだからもらって食ってて、めっちゃ食ってたら「お前PIZZA LOVEじゃん!」みたいになって。そこからなんです。だからこれも全く深い理由ないんです。

SAM:結構何年もその名前で行ったね。

加藤:はい、結構。そうですね。それでやってたんですけど。

悩み相談は「あの番号」へ!

SAM:「あの番号」は変わってる?

加藤:いや、変わってないです。

SAM:あ、じゃあえっと悩みある方は、「あの番号」にお電話いただければ、加藤・卍・優太が電話出るんで

加藤:(苦笑しながら)出れる時は出ます。

SAM:お願いします。

SEI : お願い致します。電話相談も結構来てたって言ってましたけど、苦痛でした?人の話聞くの?

加藤:いや、そんな苦痛ではなかったですね。別に。なんか分かるわ~みたいなのとかもちょこちょこあったんで。

SAM:OK!じゃあ悩みある人は加藤 優太に電話ってことで。

加藤:気が向いたら出ます。

SAM:24時間対応の、命のコール!

SEI:やばいやばい。

加藤:やばい。やばいことになっちゃう。

SAM:浅いところから深いところまで何でもOK。ピザが全力でお答えします。のでCs読者様、お気軽にどうぞ!


PIZZA LOVEは、いったい何者だったのか。

今回のインタビューを終えても、その問いに一言で答えるのは難しい。

「あれは完全にギャグだった」と本人は笑う。けれど、そのギャグを本気でやり、多くの人を笑わせ、時には心を動かし、PIZZA LOVEという名前を多くの人の記憶に残したのも、加藤 優太という一人の人間だった。

ヒップホップでは、「Real」と「Fake」という言葉が頻繁に使われる。

しかし、キャラクターを演じていたら「Fake」で、素の自分をさらけ出せば「Real」なのだろうか。

少なくとも、加藤と話していると、そんな単純な話ではないように思えてくる。

何より印象に残ったのは、彼の飾らなさだった。

わからないことは「わからない」と言う。過去を格好よく語り直すこともしない。PIZZA LOVEとして成功したことも、苦しくなったことも、音楽を辞めたことも、今の自分も、妙に淡々と受け入れている。

そして、一度は嫌いになるほど苦しくなった音楽を、今は再び楽しんでいる。

「一人でもいるうちはやってみようかな」

大きな野望を語るわけでもない、その一言が妙に彼らしい。

PIZZA LOVEも、そこから離れた時間も、今の彼も、どれか一つだけが「Real」なのではないのだろう。

すべてを通って、今ここにいる。

そして今、彼はPIZZA LOVEではなく、自分の名前でマイクを握っている。

我が名は、加藤 優太。

その名前から、これからどんな音楽が生まれるのか。今はただ、その続きを楽しみにしたい。

HIPHIPCsディレクターのSam氏と加藤 優太氏【取材協力: Nine9 Style Hamburger & Bar下北沢】

【取材協力】

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