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「ドレイクって誰?」とディスしたら、本人がコメント欄に来た 「Drake who」に返った2度の「almost」

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ディスを放ったら、標的本人がコメント欄に現れた。しかも、歌詞の一節まで拾っている。

カナダのインディーラッパー、thedottedline(The Dotted Line/ザ・ドッテッド・ライン)が出した「Drake who」に、Drake(ドレイク)が反応した。ComplexとHotNewHipHopが報じている。曲は2026年9月29日にSpotifyで配信された。長さは5分32秒。

このやり取りの要所には、短い英語が3つある。曲名の「Drake who」、ドレイクが拾ったオチの「It melts」、返信に2度出てくる「almost」だ。順に見ていく。

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「Drake who」は、知らないふりの挑発

曲名は「ドレイク? 誰それ」。世界的なスターを知らないふりをする、挑発の言い回しだ。

もっとも、本気の挑戦状ではなさそうだ。Complexによると、映像はWindows ムービーメーカー風のタイトル画面で始まる。続くのは、ドレイクの写真とストック画像を並べたスライドショーだ。同誌は、thedottedlineのInstagram動画の大半が風刺的で、ぎこちなさを生かした笑いが持ち味だとも書いている。HotNewHipHopも、この曲を本気のディスというより、パロディとして扱った。

ドレイクは、予告の段階からこの冗談に付き合っている。Complexの9月29日付記事によると、thedottedlineはInstagramのリールで、ディス曲が完成したと告知した。出来については「イカれてる」と自賛している。ドレイクはそのコメント欄に、本気でビビっている、という趣旨の書き込みを残した。知らないふりをされた当の本人が、怖がってみせたのである。

ドレイクが拾ったのは「It melts」

曲の公開を知らせる投稿にも、ドレイクは書き込んだ。10月1日付のComplexとHotNewHipHopが伝えている。拾ったのは、曲中の「It melts」という短いオチだ。火と氷をぶつけて、最後に「溶ける」で落とすくだりである。

氷と聞いて思い出すのは、今年5月のドレイクだ。2026年5月15日、彼は『ICEMAN』『HABIBTI』『MAID OF HONOUR』の3作を同時に出した。『ICEMAN』の宣伝では、氷を使った演出が繰り返された。

4月下旬には、トロントの街に置いた氷の塊の中にリリース日を隠した。発売前夜には、CNタワーをアイスブルーに照らしている(本誌5月第2週号)。

「溶ける」のオチは、その『ICEMAN』への当てこすりだろう。Complexも10月1日付の記事で、ドレイクを「『ICEMAN』のアーティスト」と紹介している。

曲の入り方も、『ICEMAN』を向いている。Complexによると、冒頭の掛け声は『ICEMAN』収録曲「Janice STFU」をなぞったものだ。Billboardによると、この曲は5月30日付のHot 100で初登場1位になり、翌週も首位を守った。見た目は手作りでも、ネタはドレイクの今年からきちんと拾っている。

5月の『ICEMAN』では、ドレイク自身が多方面にディスを向けていた。本誌はその相手を11の戦線に分けて整理している。今回は立場が逆だ。

2度出てくる「almost」

ドレイクの返信はこうだ。「when you said it melts」と該当箇所を挙げ、「almost had me there…almost」と続けた。意味は「危うくやられるところだった……危うく、な」。

「効いてない」と突き放さず、一節を選んで、危なかったと大げさに返す。ディスした側とされた側が、二人で一つの冗談を仕上げた格好だ。

本誌は今年、ドレイクを何度か「物語」の側から書いてきた。5月の『ICEMAN』前夜論では「物語装置」という言葉を使い、5月18日の記事では『ICEMAN』を、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)との対立以後に揺れた「物語の支配権」をめぐる作品として読んだ。

そう考えると、引っかかるのは2度目の「almost」だ。危なかったとは認める。ただし、効いたかどうかを決めるのはドレイク自身である。冗談には乗っても、話の主導権までは渡していない。

返したのも曲ではなく、コメントだった。10月2日時点の報道を見る限り、やり取りは曲の応酬には進んでいない。ディスに曲で返した最近の例なら、本誌が9月25日に報じたSieroのアンサーがある。OROCHIのディスに、約4分の曲をSoundCloudで返した件だ。

作者は「フォローしても、聴くとは限らない」と言った

HotNewHipHopは、この一件をthedottedlineにとって格好の宣伝だと見た。注目が集まったのは確かだ。ただ、大物の名前を付けた曲が、その大物のリアクションだけで消費されれば、作り手の名前はまた脇へ追いやられる。

その危うさを、いちばんはっきり口にしたのはthedottedline本人だった。Complexの9月29日付記事によると、彼はドレイクのコメントで話題になった後、2本目の動画を投稿した。フォロワーが増えたことを喜びつつ、フォローしたからといって聴いているとは限らない、と釘を刺している。そのうえで、Spotifyにある12作のアルバムと、たくさんのEPやシングルを聴いてほしいと呼びかけた。

次のアルバムも控えている。タイトルは『Lucky Number 13』。最初の告知動画では、9曲のうち2曲しかできていないと話していた。2本目の動画では、ドレイクを中心に据えたアルバムで、1週間半ほどでSpotifyに出るだろうと述べている。10月1日付のComplexによると、「Drake who」もこのアルバムに入る予定だ。

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同じ週、ドレイクの一節も動いていた

ドレイクの一節が曲から離れて広がる動きは、本誌が9月25日に扱った「Choosin’ Texas」のミームでも見られた。短編『FOMO』で流れたDon Toliverとのリミックスの一節が、配信前からXで言い訳の定型として広まった件だ。今回は、他人の曲に付けたドレイクのコメントのほうが見出しになっている。

Billboardによると、米国時間の10月2日、『FOMO』で流れた曲のうち4曲が『HABIBTI』のデラックス版として配信された。その一つ「Solar Eclipse」は、「Choosin’ Texas」を引用し、Don Toliverが参加した曲だ。9月25日の時点で単体未配信だったリミックスは、この曲として正式な音源になったことになる。HotNewHipHopも、返信を報じた10月1日の記事で、このデラックス版が同じ夜に出ると伝えている。

コメント欄から、曲本体へ

ドレイクが他人のディスにコメントを残した週は、自分の新曲を出す週でもあった。彼自身の一節はミームから正式な音源になり、thedottedlineの一節は彼のコメントで広く知られた。

筆者は、ディスとしての勝ち負けより、標的が歌詞を引用して返してくる身軽さに惹かれた。ただ、ドレイクの返事は一行で読み終わる。「Drake who」は5分32秒ある。本人によると、Spotifyにはほかに12作のアルバムがあり、次の『Lucky Number 13』にもこの曲が入る。

参照資料

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