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【HIPHOPCs独占インタビュー】配信者dominguapって一体何者?JPアングラシーン発掘のパイオニアがシーンに与える衝撃

地球上で1日が過ぎるたび新たなラッパーが1人、また1人と誕生している現在。 ヒップホップという文化が今、より深く熟成されてきている場所はメインストリームの表舞台ではなく、地下深くに根るを張るアンダーグラウンドかもしれない。 ここ最近、ヒップホップヘッズの間でアンダーグラウンドラッパーにスポットを当てた新人発掘型サイファー企画が盛り上がりを見せているのは、もはや周知の事実だろう。この企画はアメリカを起点に中国や日本、台湾、スペインなど、各国へと波及。そこから生まれるサウンドに注目度が高まっている。 https://youtu.be/JBKwTZRtB6w?si=61i8klRGBMGEN8Z- では、なぜ今アングラシーンがフォーカスされ始めたのか。それは“音楽的自由度の高さ”にあると考えられる。 *著者おすすめの楽曲をジャンルごとに添付する。よければ聴いてみて欲しい。 ・未来感のあるシンセと破壊的な808が鳴り響くRage https://youtu.be/QTmRmPDS9tw?si=QYax1RLjaZjL2sRA ・跳ねるスネアや複数のパーカッションが癖になるJerk https://youtu.be/Lpw9zqd5Iz4?si=e5ek-YeXP-U93IhL ・金管楽器と不気味な雰囲気を演出するリード、チャーチベルにより壮大な世界観を演出するGlo https://youtu.be/LkOvifL7tQw?si=Gr9tg2ykLtP9WW98 ・フワフワしたクラウド感のあるシンセと遅めのハイハットが特徴のPlugg/Pluggnb https://youtu.be/czI4skccmYE?si=O6a7j69xcq6V0Ly5 ・高速のBPM、階段式にピッチが変わるエイリアンハットが使用されるSupertrap https://youtu.be/Cjn7fzTBsT0?si=ex-xcLdJ8yWTGsi5 ・特殊なドラムスの配置により、掴みどころの無い不思議なバウンスを生み出すSpeedtrap https://youtu.be/Rg2WycYxSjM?si=NKot_IdG7SzI9K1w ・7thコードの色気のあるメロディーにジャズを思わせるベースが特徴のNewjazz https://youtu.be/Fd1hzWrhvS8?si=GJJdJubN82Y0Fj6F などなど、アングラシーンのスタイルは多岐にわたる。もっとも、これらは固定された枠ではない。ジャンル同士が交差し、そこへ新たな要素が加わることで、常に更新され続けている。 どの楽曲でも、アーティストらが既存の概念に縛られる様子は1ミリたりとも感じられない。彼らはビートの上を思うがままに飛び跳ね、自身の世界観を提示しているのだ。彼らが日々磨き続けた新しいサウンドの刃先は、徐々にメインストリームの頸動脈に近づいており、確実にヒップホップシーンの重心を動かしつつある。 そんなアンダーグラウンドの動きをいち早く捉え、日本のヒップホップの成長を後押ししてきたパイオニアが存在する。 その人物とは、配信者のdominguap。 彼は主にTwitchで配信活動を行い、日々リリースされるプロジェクトのレビューや楽曲バトル企画、時にはゲーム実況まで様々なスタイルの配信を展開。「DMG」の愛称で親しまれている。 彼が一躍世に知られることとなったきっかけの1つとして、複数のラッパーが未公開曲を持ち寄り、楽曲バトルを行う「MOB SONGWARS」が挙げられるだろう。 https://youtu.be/fNJxueu6xfM?si=sJseeYyRcaKoyksa この企画は若手ラッパーたちの登竜門的な場となり、シーン内での存在感を高める足掛かりとなっているのだ。 今回は、アンダーグラウンドの熱を最前線で発信し続けるdominguapへのインタビューが実現。彼はどんな人間なのか、現在のシーンをいかに捉えているのかなど、多くの質問に答えて頂いた。 アングラシーン発掘のパイオニア、dominguapとは? Lucie:最近ではニート東京をはじめ、さまざまなメディアに露出しているdominguapさんですが…、まずは改めて自己紹介、何者なのかをお聞かせ願えますでしょうか! dominguap:Okayy. 主にTwitchで日本のヒップホップを取り扱って配信してるdominguapです。 みんなはdomingoとかDMGって呼んだりするけど、一応dominguapっていう名前で配信してます。 Lucie:よろしくお願い致します!それでは、ちょっとdominguapさんのバックグラウンド的な部分について触れたいのですが…、これまでどのような人生を経て現在に至ったのかを聞きたいです。 dominguap:まずは長野で生まれて、それから1歳から6歳まではブラジルにいたんだけど、6歳からはずっと日本にいるって感じだね。 Lucie:6歳からはずっと日本なんですね。現在は山梨にいらっしゃるんでしたっけ? dominguap:そうそう。ちょくちょくブラジルには帰ったりしてたんだけど、最近は全然帰ってないな。 元々は長野にいたんだけど、小学校卒業するちょっと前くらいに両親が離婚してから山梨に来たんだ。中学からはお父さんと父方のおばあちゃんと、その弟がいる団地に住んでて。つい2、3年前かな。今いる一軒家に引っ越してきて現在に至るって感じだな。 Lucie:なるほど。そのような過程を経て今の配信で映ってるあの部屋にたどり着く訳ですね。 dominguapさんといえばラップされたり、ビートを作ったりすることも多いと思うのですが、これまで影響を受けてきたアーティストや、よく聴いてきた音楽についても聞かせてほしいです。 dominguap:影響を受けたアーティストか…。アーティストというよりかは海外の配信者に1番影響を受けてきたかな。Adin RossとかPlaque Boy Maxとかは昔からTwitchで配信よく見てたし。海外の音楽も配信から吸収してたって言っても過言ではないと思う。 聴いてた音楽は結構RnBじゃないけど、PARTYNEXTDOORとかDrakeとか…。結構大人しめなの聴いてたかも。 Lucie:今もそういう大人しめというか、ゆったりとしたバイブスが好きだったり? dominguap:そうだねぇ。結構日常的に聴いてるね。 Lucie:それこそShowyRenzoさんとかNEED A FLEXさんとかが出ていらっしゃったSONGWARSの時に、MAGUIREさんがSexydrillの楽曲で参加してて。その時に「これ俺のバイブスだわ!」ってブチ上がってたことをすごい覚えてて(笑)。 https://youtu.be/9Um8kSrcKD0?si=_r7mH90_6rZC3OFM dominguap:そうだねそうだね(笑)。 Lucie:普段アングラのサウンドを取り上げてるだけにすごい意外だったっていうか…。やっぱり根っこの部分ではRnB系統も好きなんですね。 dominguap:SexydrillとかはRnBのサンプリングとかが多いからね。やっぱり食らうものがあるよ。 配信を始めるに至った経緯 Lucie:そして、僕がdominguapさんを知るきっかけになったのは、BadtripsageさんとOrigamiさんのビーフを取り上げた動画でした。 日本のアングラシーンを扱う人を見たことが無かったし、しかもTwitch配信で日本のヒップホップシーンをレビューするというスタイルがとても新鮮に映ったんですよね。 dominguap:そうだね。確かにいなかったもんな。 Lucie:本当にdominguapさんくらいしかいなかったですね。 当時はリアクション系のYouTubeチャンネルが急増してた時で、ヒップホップ系のコンテンツを始めるなら“動画“という選択肢が無難だった感じがしたんですけど、あえて動画ではなく配信という形を選んだのは勇気のいる決断だったんじゃないですか? dominguap:はいはい。いや、最初は動画撮ろうと思ってたんだけど、動画だとカメラに向かって1人で話してるっていう感じがどうしても抜けなくて。それに全然慣れなかったんだよね。 で、なんか違うなって思って配信を始めたんだ。配信だとリアルタイムでコメントが来るからさ、今自分を見てくれてる人がいるっていう認識だとすごいやり易くて。配信を切り抜いて動画にした方が効率も良いっていうのもあったから、Twitchで配信するっていう形を取ったんだ。 Lucie:なるほど。楽曲のリアクションや楽曲バトルなど、現在行なっている配信スタイルを取ろうと思ったきっかけなどはあったのでしょうか? dominguap:まだ誰もコメントとかもしてない最初の頃によく1人で曲を作ってたんだけど、その時に誰かが「MIKADOのアルバムが出たよ」みたいなコメントをしてくれて。「じゃあ今度みんなで聴こう」って感じでリアクションのスタイルが始まったかな。 https://youtu.be/QRUsxIurVFU?si=xrfxGhYYEJ8JrUb2 Lucie:なるほどなるほど。元々はビートメイカーがビートを作ってる過程を垂れ流す配信のようなスタイルから始まって、そこからリアクション系に移っていったという感じですね。 dominguap:そうそうそう。 アンダーグラウンドシーンに着目する理由 Lucie:最初のレビュー動画が出たのが2024年の8月くらいで…、それからまだ1年半くらいですよね。 dominguap:うん、それくらいかな確か。 Lucie:すごくないですか?それから今に至るまでの伸び具合というか(笑)。ビビりません? dominguap:いやいや(笑)。実際まだまだだよ。 Lucie:いや、でもヒップホップ好きの友達とかと話してると、やっぱりdominguapさんの名前が絶対に出てくるし、「アングラシーン熱いよね」っていう話になるんですよ。盛り上がりすぎて、もはやアングラと呼んで良いのかなみたいな。 dominguapさんが取り上げるアーティストはアングラシーンのラッパーが中心じゃないですか。メインストリームではなく、アングラにフォーカスするようになった理由とかってあったりしますか? dominguap:そうね。メインストリームはちょっと取り上げられたら結構目につくし、だからアングラって呼ばれる層ができてるってだけで。 でも、俺は誰も目を付けてない人の方がかっこいいっていうパターンが多い気がしてて。正直、メインストリームでも「あんまカッコよくないのになんでこんなに上がってるんだろう」って思う人もいるし....。全然アングラにいるやつの方がやべえよって思って、フォーカスするようになったかな。 MOB SONGWARSの衝撃、メインストリームへの挑戦状 Lucie:本当にカッコよさっていう尺度は知名度では測れないところありますよね…。アングラシーンの方々はヤバい人たちが多いですし。 そして、メインストリームっていうその大きな土台に大打撃を与えたのがやっぱり「MOB SONGWARS」ですよね!中でも、Worldwide Skippaさんの一撃が大きかった。どなたかが投稿してたツイートが爆伸びしてた記憶があって。 https://youtu.be/fNJxueu6xfM?si=QY4stvaW27BQCXnc dominguap:ね、めちゃくちゃ伸びてた(笑)。 Lucie:いや本当にびっくりして。「売れている=正しい」みたいな空気が当時は蔓延してた気がしてて、そこであの一撃はとんでもない波紋を呼んだと思います。自分の企画によって世間に影響を与えた時の感覚はいかがでしたか? dominguap:最初あの曲聴いた時は、まだKohjiyaをディスってることって分かってなくて。でも、その次の日にX見たら「え?すげえ言われてんじゃんSkippa」みたいな(笑)。 それまでもSkippaの曲ってDiscordのMOBサーバーのSelf Promoっていうところに送られてきた1曲しか聴いたことなかったんだけど、やっぱりカッコよかったからSONGWARSに呼んで。それでバッコーン伸びたから、全然予想外ではあったね。想像してなかった結果になった。 個人的にはめちゃくちゃ嬉しかったよ。Skippaはしっかりスキルがあるからさ。そういう人が上がってくのを見るとこっちまで嬉しくなるっていうか。うん、シンプルに嬉しかったね。 Lucie:そうですよね。もうSONGWARSの衝撃がデカすぎて…。 その余波も残っていたのか、去年のラップスターにはSONGWARSに出演していたラッパーの方々が、Xに投稿された応募動画を含めると確か4人程選ばれていましたよね。僕はもう勝手になんだろう…。「メインストリームの首元に刃先が届いてるなぁ」なんて感じてて。 dominguap:間違いないね。 Lucie:ただ、まだチャートの上位とかには届いてないじゃないですか。マジでヤバい音楽多いのに。でも、いずれメインストリームの首を掻き切る時代が来るって思いますか? dominguap:実際、もうキテるとは思うんだけどね。 例えば、MIKADOとかはもうメインストリーム級のアーティストだと思うんだけど、彼はGloをやってたり。KaneeeとかMonyHorseとかもSexy Drillのビートを取り入れたりしてるし、サウンドだけで言ったらメインストリームに届いてると思う。 だから、首を掻っ攫う瞬間はそんなに遠くないんじゃないかな? 「音で魅せる」シーン Lucie:先程名前が出たWorldwide SkippaさんやMIKADOさん、MonyHorseさんはリリック重視というか、ユーモアのある歌詞が特徴だと思います。そして、今のところ僕個人の感覚では、未だ日本語ラップのリスナーの大半はリリックの中身を重視していると感じています。 一方で、dominguapさんは「サウンドで魅せてくる」というか、音で聴いてて気持ちがいいアーティストの方々を積極的に取り上げていますよね。その点は意識してたりしますか? dominguap:そうだね。もちろんリリックの中身は大事だと思ってるし、 ビートに対してのアプローチとかフローも大事だと思ってる。面白いこと言いつつ、めちゃくちゃ音に乗れるっていうのが一番良い。 けど、Soundcloudとかで曲を聴いてる時って歌詞が無いことも多いから、たまに何を言ってるのか分からない時あるじゃない? Lucie:ありますねぇ。サンクラあるあるですね。 dominguap:そうなってくると「音でいかに聴かせるか」「その人のワールドに入り込ませるか」っていう部分が重要になってくると俺は思うんだよね。 Lucie:間違いないですね。いかに世界観をパッケージできるかが鍵になりますよね。 僕もこれまでにアーティストの方に話を聞いてきた中で「音で聴いてほしい」っていう声を多く耳にしてきたので、「音楽」を言葉通りに楽しんでほしいなとは思うのですが…。やっぱりヒップホップという音楽の性質上、メッセージ性というのは切り離せないじゃないですか。 音とメッセージ性のバランスっていう点で、dominguapさんはどんな感覚を持ったアーティストがこれから残っていくと思いますか? dominguap:なるほどね…。バランスで言うと、俺は6:4だと思ってる。 Lucie:おお!結構具体的ですね! dominguap:5:5が本当は1番良いんだろうけど、毎回カッコいいビートに求められた乗せ方をする人っていうのは、 結構ほんと少ないと思ってて。 だから、どっちかに偏りすぎるっていうのは良くないと思うけど…。ある程度いいバランスを保った状態が一番いいかな。それこそSkippaとかは歌詞面白いと思うし、ビートチョイスもいいから沢山のリスナーが付いてきてるんだと思うよ。 最終的に残るのはそうだな…、難しいね。共感性のあるラップをする人が残っていくんじゃないのかな。 Lucie:例えばですけど、それを今高いレベルでやってるなって思うラッパーの人ってどなたかあげられたりしますか? dominguap:そうだな。完全に好みになるけど、Kk£inflo(クンチーケインフロー)かな。 Lucie:あ!「Fendi」の人ですね!アルバム『∅』やばかった…。 https://youtu.be/czI4skccmYE?si=5ux5PprsRKpXdbor dominguap:そうそうそう。音がめちゃくちゃ良くて、リリックもサグい感じで、ちゃんと沖縄をレペゼンしてるって感じもして、めちゃくちゃカッコいいね。 Lucie:いや、あの人はマジでヤバいですね。ビートも乗り方もエグい。 DMG的フラットな視点 Lucie:ここからはちょっと配信のスタンスについてお伺いしたくて。 結構、dominguapさんはラッパーの方々と距離が近いじゃないですか。しかも配信の規模が大きくなっていくに伴って、多くのラッパーの方々と繋がる機会が増えてきていると思うんです。 ただ、距離が近くなればなる程、ちょっと気を遣ってしまったりとか、言えることが少なくなってきたりとかしちゃうんじゃないかな、なんて個人的には感じていたのですが…。その点はいかがですか? dominguap:あーなるほどね。それ結構色んな人から言われたりするね。 実際、PAX0とかSkippaとか昔から知ってるし、ほぼ友達って言っていい距離感だと思うんだけど。だとしても「音楽を聴く上で俺の意見を求めるのであれば俺は絶対正直にしゃべるよ」っていうのは、2人にも直接会った時にも伝えてたんだよね。 正直に反応するのは大前提だから、配信とかでも取り上げた音楽が微妙だった時は飛ばすし。配信見てると分かると思うけど、結構鼻で笑って飛ばしちゃうみたいな時もあるんだよ(笑)。 Lucie:ありますよね(笑)。「なんだ、何が起こったんだ?」とか言って飛ばしてるの見たことあります(笑)。 dominguap:結構そういうことあるけど、やっぱ食らうやつは食らうし。色んな人から「曲聴いてください」って言われることも増えたけど、聴いたとして食らわなかったら食らわなかったなりの反応になっちゃう。 だから距離感が近いからといって特定の人に肩入れするとか、多めに取り上げようみたいなのは無いかな。ラッパーの人たちもそれは分かってくれてると思う。 Lucie:ラッパー側からしても、肩入れされるとか正直な感想を聞けないのは嫌でしょうしね。そのスタンスめちゃくちゃ良いと思います。 dominguap:そうそうそう。フラットな感じは意識的にというよりか、そもそもの俺の人格から来るものだと思うよ。 Lucie:なるほどなるほど。確かにdominguapさんの配信にはdominguapさんならではの和やかな独特の“らしさ”がありますよね。 その“らしさ”をご自身ではどのように捉えていますか? dominguap:俺はずっと自然な感じかな。良い意味でも悪い意味でも自然な感じで配信してるから。それが勝手に配信の雰囲気を作り出してくれてるとは思ってるよ。 Lucie:本当に飾ってない感じがして、個人的には配信の雰囲気がすごく好きなんです。 しかも、1人でお話しするのめちゃくちゃ上手ですよね。コメントはリアルタイムで送られてくるけど、結局喋ってはくれないじゃないですか。そんな中でFXとか使いながらスムーズに配信してるの見てると「すげえな」なんて思って。 なんだろ、結構インドアで1人で何かをするのが好きだったり? dominguap:いや、配信始める前はめっちゃOutsiiideだったよ。 Lucie:え!?そうなんですか!? dominguap:そうそう。死ぬほど遊んでた。仕事してた時は、仕事終わったら友達と一緒に毎回どこかに出かけてたよ。 Lucie:へええ普通にパリピしてたんですね。だから、寄り戻しで今は配信してるみたいなところあるんですかね(笑)。 dominguap:そうだね(笑)。「一旦家にいるか」みたいな感じなのかな。 Lucie:結果1番活躍できる方向に進めてますもんね。天職だ! IF「dominguapが配信を辞めてしまったら」 Lucie:少し極端な聞き方になってしまうのですが、もしdominguapさんが明日から活動を辞めたとしたら、日本のアングラヒップホップシーンってどうなっていくと思いますか? dominguap:えええ(笑)。変わらないと思うけどな俺は。 Lucie:ええそんな訳ないじゃないですか(笑)。変わってないかなぁ。 dominguap:変わってないとは思うけど、ただ少なくとも視聴者側からしたら、新しい音楽を知る機会がちょっと減ると思うかな。 Lucie:いや、だいぶ減ってしまうと思います。配信だけじゃなくて、切り抜きもちゃんと食らったカッコいい人たちを動画としてあげてくれるじゃないですか。 dominguap:そうそう。基本的に配信で俺が食らってるところを切り抜きにするっていう感じだからね。 Lucie:そのおかげで僕はMADEINBEN10に出会えたので、マジで感謝ですね。 dominguap:そっかそっか(笑)。BEN10明日インタビューだから見に来てね。俺の今日のこの感じでインタビューするから(笑)。 https://youtu.be/CGDXIjx_XQs?si=1zogPok8_ML32KqG Lucie:そうだ!そうでしたね!見に行きます!BEN10さんも今めちゃキテますもんね。 この流れでdominguapさんの一押しのラッパー、先ほど出たKk£infloさん以外で教えてほしいです。 dominguap:そうだな…。3人くらいあげてもいい? Lucie:良いですね!お願いします! dominguap:最近もう肩入れしてるって思われてもしょうがないけど、マジで忖度とか無しで、まずはh1rukaだね。 Lucie:いやあSONGWARSもラップスターもカッコよかったもん…。間違いないですね。 https://youtube.com/shorts/qRR2nMJsKqU?si=Xet58T3f5JlGSXv2 dominguap:あとは第1回目のSONGWARSに出てくれたD.Richie。彼はブラジル人なんだけど、めちゃくちゃカッコいいね。 https://youtu.be/uOKEvzq6Kh8?si=bFaxFDmcjxxtaWk_ あとはSonsiかなぁ。 https://youtu.be/DznBr5sBEF0?si=RwjO9uSyGaYNqe7S Lucie:Sonsi良いですよねぇ。俺もう大好き。ファイナルステージの「ラップできてるのもおばあちゃんのおかげだよ」で毎回泣いてしまう(笑)。 過去にdominguapさんの「SonsiとValoやりたい」というツイートをお見受けしたことがあったのですが、それは叶いそうですか?結構楽しみにしてるのですが(笑)。 dominguap:「なんのゲームしてる?」とは聞かれたね(笑)。ワンチャンできるかもしれない。 これからの展望 Lucie:では「このまま行けばdominguapさんは日本のPlaque Boy Maxになる」なんて1年前から言われてたりしますよね。 これから先、dominguapさんはどのような存在を目指しているのか。将来像みたいなものがあればお聞かせください! dominguap:近いもので言うと、MOBのパーティーを1回開きたいなって思ってて。 将来像というと海外に住んで、海外で日本人に向けてコンテンツを作るっていうことをやってみたいって思ってるね。それこそヒップホップだけじゃなくて海外のカルチャーとかも色々取り上げてみたいし。 ヒップホップ的なことで言えば、海外のラッパーと日本のラッパーをリンクアップするとか、プラグになれたら良いななんて思ってるよ。 Lucie:うわ!それめっちゃ熱いですね。それでコンピレーションアルバムとか作って欲しいです! dominguap:そうそう、めっちゃ良くない?日本と世界を繋ぐ架け橋みたいな存在になれたら良いなって思うね。 現在絶賛開催中!「#JP_UNDERGROUND_SONGWARS」について Lucie:現在「#JP_UNDERGROUND_SONGWARS」という企画を開催されていますよね。 https://www.youtube.com/watch?v=ZPVLbXQE7L0&lc=UgyXMR-gW4vyJOv0nnB4AaABAg この企画の優勝者には、なんとスラムリッチさんからミュージックビデオの撮影がプレゼントされるということですが、何がきっかけでスラムリッチさんと企画をやるという話になったのでしょうか? dominguap:元々、前のSONGWARSの時に「1位の人にビデオをプレゼントするのはどうですか」っていう連絡が来てたんだけど、その時は色々段取りが間に合わなくて。今回やっと一緒にやろうっていう話になったんだ。 Lucie:Pxrge Trxxxperさん、X 1arkさんとか、Jahxnchoさんとかは最初あのチャンネルから出て来たと言っても過言ではないですからね。普通にクソ熱いなって思って。 どんな人達にエントリーして欲しいですか? dominguap:なんだろうな。やっぱまだ知られてないプロデューサーだったり、ラッパーを視聴者からしたらいっぱい見つけられる良い機会になると思うから。だからこそ、色んな人に参加してもらいたいなって思ってるよ。 Lucie:スラムリッチと聞くと、やっぱり「サグい感じじゃないとダメなのかな」とか思う人もいるかもですけど、そんなの関係なく様々なスタイルの人に参加して欲しいってことですね! dominguap:そうだね。俺たちが審査するし、悪い感じとかそんなのあんまり関係ないかな。みんな受け入れるよ。 全て受け入れてくれる場所「MOB」 Lucie:最後に、一言言っておきたいことがあればよろしくお願い致します! dominguap:そうだな。自分の周りに自分が好きなジャンルの音楽を聴く人がいない人は、1回俺の配信に来て欲しいね。 で、どういうテイストが好きなのかを俺に教えてほしい。だから、気軽にみんな俺の配信に来てね。 Lucie:間違いない。カッコよければみんな受け入れてくれますからね! 長くなってしまいましたが、今回は沢山の質問に答えて頂きありがとうございました!今回の企画も楽しみにしています! dominguap:Okayyy. ありがとー! インタビューを終えて 〜飾らないパイオニアの姿〜 dominguapという人物は、配信の内外を問わず、どこまでも飾らない。素直でありながら、物腰は柔らかく、まずは全てを受け入れてくれる。そんな懐の深さを備えた人物だった。 アンダーグラウンドという“蠱毒の壺“には、野心をむき出しにしたハングリーなアーティストがひしめき合っている。よって、才能がせめぎ合う空間は刺激的である一方、容易には踏み込めない緊張感も漂っているのだ。 そんな中で、dominguapが放つ自然体なバイブスは、一種の中和剤のように機能し、過度な威圧も排他性も存在しない。だからこそ、新たな挑戦者が門戸を叩きやすい土壌が生まれているのだろう。 今回の対話を通じて見えてきたのは、彼が単なる配信者ではないという事実だ。まだ世に出ていない才能とシーンをつなぐ触媒のような役割を担っていると言っても過言ではない。 彼が築いてきた土台から、これからも新たな才能が芽吹き、やがてメインストリームへと羽ばたいていくのだろう。 資料提供:dominguap  dominguap各種SNS:Twitch/YouTube/Instagram/X/TikTok もっと読む|HIPHOPCsが届けるシーンの最前線 本インタビューの内容と深くリンクする記事を厳選しました。アンダーグラウンドからメインストリームへの潮流を、さまざまな角度から掘り下げています。 ▼ dominguapが始動させた新企画の全貌優勝者にはMV制作のプレゼント!?...

【HIPHOPCs独占インタビュー】日本と台湾、そしてアジアのシーンを繋ぐキーパーソン、Finesse’Boyの現在とこれから

ますます盛り上がりを見せているヒップホップシーン。特に本場であるアメリカのヒップホップ業界の成長は止まる事を知らず、新たなラッパーが毎日のように誕生し、入れ替わりの激しい実力主義の世界で熾烈な競争を繰り広げているのだ。 しかし、ヒップホップという文化が発展を遂げているのは、危険なイメージと結び付けられがちなアメリカだけではない。 近年、アジアのヒップホップは確実に存在感を高めている。日本ではオーディション番組『Rapstar』にATL JacobやZaytovenといった海外のビッグネームがビートを提供するなど、シーンはすでに国境を越えた動きを見せている。そして、この流れは今に生まれたものではない。 2015年に公開されたKeith Ape、JayAllDay、Loota、Okasian、Kohh(千葉雄喜)による日本と韓国のラッパーのクロスオーバー楽曲「It G Ma」は、現在までに約9000万再生を記録。 https://youtu.be/DPC9erC5WqU?si=xpyFbX0vAD-U5TLF この大ヒットをきっかけに、A$AP FergやWaka Flocka Flameが参加したリミックス版が公開されるなど、アジア発の楽曲が世界的バイラルヒットを記録し、USリスナーの注目を集めることに成功した。 https://youtu.be/aISZPYznhgA?si=WKTiXi2twfu3pHQW その後、コロナ禍に88risingから公開されたRich Brianによる「Tokyo Drift Freestyle」がバイラルとなったことで、アジアのヒップホップは一過性のブームではなく、カルチャーとして認識されるようになる。 https://youtu.be/VnSWx5_3W7M?si=UBbfuH6omqHOfYAj そして現在、その潮流を巧みに乗りこなした千葉雄喜がMegan Thee Stallionのアルバム『MEGAN』収録楽曲「Mamushi」に参加。グラミー賞でノミネートを果たすなど、アジアのヒップホップ業界における影響力は、もはや無視できないものとなってきている。 https://youtu.be/pxTCJUuorKc?si=VuU659dn175CLjMq 明確な文化としての輪郭を獲得し始めたアジアヒップホップシーン。この大きな流れの中で、自国の文化により力を与えようと奮闘する1人のラッパーがいる。 彼の名はFinesse’Boy。親日国としても知られる台湾出身の彼は、日本や韓国のラッパーと積極的に交流を重ねる、クロスボーダー世代の代表格だ。 日本にも頻繁に足を運び、JP THE WAVY、Showy、PETZ、DJ JAMなど、数多くの日本アーティストとコラボレーションを果たしてきた。そのため、すでに彼の存在を知っている読者も少なくないだろう。 また、彼のInstagramには千葉雄貴の姿が度々登場するなど、日本のヒップホップシーンとの強いコネクションも見て取れる。 今回は、言語の壁もあり日本ではなかなか触れられる機会の少ない台湾のヒップホップシーンにおいて、ひときわ異彩を放つFinesse’Boyにインタビューすることに成功。イベントでのパフォーマンス直後という多忙なタイミングの中、貴重な話を聞かせてもらった。 音楽との出会い、改心を経ての現在 Lucie:JP THE WAVY、Showy、PETZ、DJ JAMといった日本のアーティストとの楽曲をきっかけに、あなたの存在を知った日本のリスナーも多いと思います。Finnese’ Boyさんを初めて知る人に向けて、どんなラッパーなのか、簡単に自己紹介をお願い致します! Finesse’Boy:俺はとにかく、夢を見続けているラッパーだ。ただ好きなことをやって、音楽を作り続けている。日々変わっていく感情を映し出すように、日記をつける感覚で作品を生み出しているんだ。 Lucie:では、最初にヒップホップに出会ったきっかけは何だったのでしょうか。音楽やカルチャーのどんな部分に惹かれて、本気で向き合おうと思ったのかも聞かせてください。 Finesse’Boy:俺がヒップホップに出会ったのは10歳の頃。偶然見つけたEminemとかを聴き始めて、そのままのめり込んでいった。若い時にはいろいろ悪いこともしてたから、気づけば周りにいたのはヒップホップシーンに関わる人間ばかりだった。その後、仕事も昔の生活も全部捨てて、ちゃんとした人間になろうと努力し始めた。それからは音楽一本で、真剣に向き合うようになった。 特にここ2年は、自身がようやく“本物“になり始めた感覚があるよ。3年か4年くらいはまとまった作品を出していなかったんだけど、今年はいよいよ新しいミックステープをリリースするつもりさ。 Lucie:なるほど!本腰を入れて再び動き出すわけですね。 それでは、過去の代表曲についても触れさせて頂きたいのですが、中国発のクルーHigher Brothersとの「BENZ Remix」は、Finesse’Boyさんの名前を世間に知らしめた1曲だと思います。このコラボはどんな流れで実現したのでしょうか。また、あの楽曲があなた自身に与えた影響も教えてください。 Finesse’Boy:元々、彼らのことは音楽を始める前から知っていたよ。その曲を作っていた時はウィードを吸っていて、正直かなりイカれてた気がする。当時は人をリスペクトするっていう精神性が自分には無かったし、エゴを剥き出しにして書いていたんだ。 でも、結果的に「BENZ Remix」は俺にとって全ての始まりになった曲だし、自分を大きく変えるきっかけになったよ。 「ヒップホップは“ライフスタイル“であって“宿題”ではない」 Lucie:続いて、台湾という国、そしてそこに根付くヒップホップシーンについて詳しく教えて頂ければと思います! 日本と台湾は文化的にも近く、親日的な国として知られていますよね。日本には台湾に親しみを感じている人も多いですが、Finesse’Boyさんから見た今の台湾はどんな場所でしょうか? Finesse’Boy:台湾の人々はいろんな文化や人に対してとてもオープンなんだ。どこから来た人に対しても親切にするし、情熱に溢れている国だね。俺にとって台湾は生まれた場所で、ルーツそのもの。どこにいても誇りを持ってシャウトアウトしているし、今の自分を作り上げたかけがえのない故郷だと思っているよ。 Lucie:現在の台湾のヒップホップシーンをどのように捉えていますでしょうか?数年前と比べて変わった部分、逆に今も変わらない部分があれば教えてください。 Finesse’Boy:今は台湾でもヒップホップという文化がどんどん大きくなって、ヒップホップを始める若い子達もどんどん増え始めているよ。それは良いことだ。良いことなんだけど…。もっと彼らは旅をして、世界を見て、ヒップホップを知るべきなんだ。 俺にとってヒップホップは“ライフスタイル“であって“宿題”じゃない。というのも、シーンが成長していくにつれて、この文化に宿題をこなすみたいに取り組んでいる人が増えてきていると感じるってことなんだ。何度も言うけど、これはライフスタイル。技術の有無は問題じゃないんだ。 ヒップホップの捉え方は人それぞれ違っていいものだとは思うし、誰でもそれぞれのヒップホップがある。ただ、俺が惹かれるのはリアルでオリジナルなもの。ハッスルしてトラップして、生きるために必死に働いて、音楽を作り続ける。そういう物語こそに意味があると思ってる。 簡単に手に取って、簡単に手放せるほど軽い文化じゃないってことさ。 Lucie:言葉の重みがヤバいです。本物のリスペクトを感じる答えを聞けて、こちらまで嬉しい気持ちになってしまいました。 Finesse’Boyさんは過去のインタビューで、台湾のヒップホップシーンの課題として「国際的な視野」と「個人のセンス不足」を挙げていましたね。 先ほどの「ヒップホップを宿題のように捉えている」という発言は、知識不足とはまた別の問題が生じている、という意味にも聞こえます。そうした状況の中で、シーンが正しく成長していくためには、何が必要だと考えていますか? Finesse’Boy:最近になって、ようやくメインストリームのマーケットや業界の形態が、実はまだ何も変わっていないことにみんなが気づき始めてきていると思うんだ。ここがアジアである以上、変化には絶対時間が必要にはなるはずだ。でも、シーンに加わる仲間は確実に増えている。 だからこそ、今俺らがやらないとね。誰かがやるのを待ってなんていられない。次の世代に「夢を持ち続けろ、やり続けるんだ」っていう姿勢を見せるつもりだよ。 “偽らない姿勢“、アジアが世界に挑むために Lucie:そうですよね。僕もまだまだ時間はかかると思います。アメリカを基準に考えるとアジアのマーケットはまだまだ小さいですし…。やはり、そうした環境の中でヒップホップをキャリアとして選ぶのは、中々勇気のいる決断でしたよね。 Finesse’Boy:確かに。でも後はタイミングの問題だと思うよ。だから才能云々の話ではなく、続けることが大事になってくる。アジアにはまだ強いヒップホップ文化が根付いていないから、時間が必要になる。けど、そのうちみんなも理解し始めるはずだと思っているよ。 Lucie:なるほど、後はタイミングだと。実際、アジア全体のヒップホップシーンは確実に盛り上がっていますからね。 ただ、アメリカを含めたグローバルな舞台に本格的に入り込むのは、まだ簡単ではありません。アジアのアーティストが“世界を取る”ために、最も重要だと思うことは何でしょうか? Finesse’Boy:みんなが自分を偽らず、自分自身でいること。それに尽きると思う。 今のシーンにいる人達は才能に溢れているけど、やっぱりアメリカの焼き増しに聞こえてしまうことが多い。俺たちは俺たちのやり方で、俺たちのスタイルで、俺たちの色を出さなきゃいけない。これが大きな課題になってくる。 台湾にも良い音楽を作る若い子たちはいっぱいいるけど、全部同じような音に聴こえて記憶に残らないんだ。だったら「同じ曲を聴けばいい」って思ってしまう。 これから大事なのは戦略どうこうじゃない。自分自身であり続けることだ。嘘をつかずに続けていれば、きっと人々は感じ取ってくれるはずだからね。 日本を愛する理由、千葉雄喜との関係性 Lucie:Finesse’Boyさんは日本を頻繁に訪れていますが、あなたにとって日本はどんな国ですか?音楽的に、そしてパーソナリティ的な面においても、日本から受けている影響があれば教えてください。 Finesse’Boy:俺は“職人”をリスペクトしてるんだ。日本の人たちは得意分野を極めていて、とにかく仕事が細かいよね。 アジアの中でも特にアメリカからの影響を受けている国ではあるんだけど、それらをオリジナルな形に作り変えて自国の文化や歴史に落とし込んでいる。日本はいろんな国の文化を受け入れることができる国だ。だから好きなんだよね。 Lucie:そして、Finesse’BoyさんのSNSでは、Kohh(現・千葉雄喜)さんが時折姿を見せていたり、過去のインタビューではKohhさんのことを「親友」と表現していました。2人はどのように出会い、今はどんな関係性なのでしょうか? Finesse’Boy:Kohhは日本でできた最初の友達なんだ。初めて会ったのは10年前で、まだ俺は音楽を始めていなかったな。ライブで一緒に日本や台湾を行き来する中で仲良くなって、それからずっと彼は俺のメンター的な存在になってくれている。感情とどう向き合っていくべきかを教えてくれたよ。 俺たちは友達以上の関係性、家族や兄弟みたいなものだ。夢を見続けて、動き続けるためのモチベーションをいつも俺にくれる。彼は実際に夢を叶えているし、やり遂げた。彼を誇りに思うよ。 Finesse'Boyが見据える先は Lucie:では、今の台湾のヒップホップシーンで「このラッパーはチェックしてほしい」という存在がいれば教えてください。 Finesse’Boy:俺。 Lucie:Dammmmnn. 間違いない!最高ですね。 そして最後に、これから先にどんな動きを考えていますか?今後のリリースやビジョンがあれば、ぜひ聞かせてください。 Finesse’Boy:今年はミックステープをリリースする予定だ。全ての準備は整っているよ。 ライフスタイルはライフスタイルとして、制作はまた別の勝負になる。ここ数年は時々シングルを出すに留めていたけど、今年は俺自身の物語を作品として共有したいんだ。だから、ミックステープという形をとった。みんなも期待してると思うし、ワクワクしてほしいからね。 Lucie:ミックステープマジで楽しみにしています!この度はお忙しいところインタビューに応じて頂き、ありがとうございました! Finesse’Boy:全然!こちらこそありがとう。 インタビューを終えて 〜アジアという大陸の可能性〜 国境を越えて縦横無尽に活動するFinesse’...

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2026年2月第3週:ヒップホップニュース総まとめ|ケンドリック×Baby Keem新曲!ZORN×後藤真希武道館、Red Eye無料化

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2026年2月第2週|今週のヒップホップニュース総まとめ:般若「卒業」と¥ellow Bucks「Zepp問題」、日本のヒップホップが直面する壁

文責:Rei Kamiya via @hannyaofficial/@yellowbucks instagram 対象期間:2026年2月6日〜2月13日 今週の日本──般若が「卒業」で内的な決断を迫られ、¥ellow Bucksは「Zeppも借りれん」で制度の壁を可視化、Number_iはWME契約でジャンルと市場の境界を拡張した。海外──J. Cole『The Fall-Off』初週約30万ユニットで最終章の重みを証明、Bad Bunnyはハーフタイムショー1.28億人(Nielsen確定値)で越境の最大規模を更新。論点──壁の種類が違えば、議論も分岐する。今週はその多層性が一斉に露呈した。 イントロダクション:越境の先にあった壁 先週、日本のヒップホップは3方向に同時に国境を越えた。Number_iはWME契約で、NillNico・Red Eyeは韓国のオーディションで、Creepy Nutsは2曲目のRIAAゴールドとコーチェラ出演で。越境の方法論が問われた1週間だった。 今週、シーンは全く異なる角度から揺れた。テーマは境界線だ。 般若が卒業を宣言し、キャリアの内側にある線と向き合った。¥ellow Bucksのリリックが、大規模会場を借りられないという制度的な壁を可視化した。Number_iのWME契約の裏側では、滝沢秀明社長の1年以上に及ぶ水面下の交渉プロセスがFRIDAYによって明らかになり、企業越境の設計図が見えた──同時に、ヒップホップか否かという文化的議論は世界市場へ拡張された。 海外では、J. Cole『The Fall-Off』が初週約30万ユニットで最終作の価値を数字で証明し、Bad Bunnyのハーフタイムショーが1.28億人の目に焼きついた。 越境するためには、まず壁が見えなければならない。今週は、その輪郭が一斉に浮かび上がった。 今週の結論 今週の核心は、日本で同時多発的に顕在化したヒップホップの定義をめぐる多角的な問いにある。 般若と¥ellow Bucksはリアルと社会規範の衝突──内側の壁を、Number_iはWME契約を通じてジャンルと市場──外側の壁を浮き彫りにした。FRIDAYの報道は、その外側の壁を越えるために滝沢社長が2024年12月から1年以上かけて交渉を重ねていた事実を明らかにした。 壁の種類は一つではない。般若は個人の、¥ellow Bucksは制度の、Number_iはジャンルと市場の壁に直面している。日本のシーンが成熟し多様化する中で避けては通れない成長痛だ。 〖0〗今週の地図(最初の10秒で掴む) 主要トピック核心重要度般若「卒業」宣言約1年ぶり新曲「卒業 (feat. 柊人)」リリース。何を卒業するのか──ラスボスの真意にSNSが沸騰。★★★★★→読む¥ellow Bucks Zepp問題「Zeppも借りれん生憎」──楽曲「What The Fuck」でZeppを名指し。過去の逮捕歴と会場利用の見えない壁。★★★★★→読むNumber_i WME契約の"裏側"滝沢社長が'24年12月に渡米、1年以上の交渉。「3XL」で国内5曲目の首位も、ジャンル論争は新局面へ。★★★★★→読むJ....

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天才R-指定が映す”切り抜き時代”のMCバトル──怨念JAP引退ノ陣が突きつけた転換

via @creepynuts_official instagram Creepy Nutsの「中学22年生」という曲があります。アルバム『LEGION』の収録曲で、2025年にリリースされました。 この曲の冒頭近くで、R-指定はHIPHOPの女神とRAPの女神を対比させています。たとえHIPHOPの伝統や型から外れたとしても、RAPの女神、つまりラップという技術そのものには愛されている。そう読み取れる一節です。これは技術者としての宣言と言っていいのではないでしょうか。作詞はR-指定本人です。 開き直りではありません。HIPHOPが求める態度や筋、文脈。ストリートに根ざすこと、リアルを吐き出すこと。そういったものに対して、自分が異物として映り得ることをR-指定は自覚しています。それでもラップそのものには選ばれてきたという、技術者としての矜持がにじんでいます。そしてそれが、アルバムの序盤で提示されているわけです。 2026年2月21日、渋谷WOMBで凱旋MC battle 怨念JAP引退ノ陣が開催されました。前売即完売、出場は全24MC、ABEMA独占生中継。日本のMCバトルシーンに10年間、場所を作り続けた男の最後の大会です。優勝はTERUでした。 本稿では、R-指定の天才性を軸に、怨念JAPの引退が何を告げているのかを読み解いていきます。なぜR-指定の完成度は伝説になったのか。なぜ彼はバトルから距離を置く必要があったのか。その答えは、TikTok以降の視聴者層・評価軸・スター誕生の構造変化と一本でつながっています。結論から言えば、怨念JAPの引退は会場中心のバトルが編集中心のバトルへ移った合図であり、R-指定はその転換で失われやすいラップの総合力を象徴する存在です。 https://youtu.be/XEJRnT-c7hk?si=TptONVrsfC2ykz5x R-指定が"天才すぎる理由・HIPHOPとRAPを切り分けて、両方に勝った男 R-指定の天才性を語るとき、テクニック論だけでは足りません。UMB全国大会3連覇、2012年から2014年の偉業。フリースタイルダンジョン2代目ラスボスの肩書き。東京ドーム公演。どれも凄まじい実績ですが、本質はそこではないと思っています。彼はラップが文化としてのHIPHOPと技術としてのRAPの両輪であることを言語化し、それを実戦で証明してしまった男です。 R-指定のHIPHOPとの出会いは、なか卯で流れていたSOUL'd OUTだったそうです。影響源はRHYMESTER、さんピンCAMP世代、TOKONA-X、そして落語と桑田佳祐。大阪の堺で一人っ子として育ち、バスケ部を辞めてラップに賭け、大学は除籍になっています。梅田のサイファーで腕を磨きました。ギャングスタ的なバックボーンはありません。 この"ぽくなさ"を、R-指定はごまかしませんでした。rockin'onのインタビューで本人はこう語っています。自分の"ぽくなさ"をどう認めさすか、それでも間違いないなこいつヒップホップやなってどう認めさせるかは、ずっと自分の中にあったと。 「中学22年生」でHIPHOPとRAPの女神を対比させた一節は、この葛藤の到達点だと感じます。HIPHOPの伝統や型から外れたとしても、ラップという技術と表現で自分の道を進んでいく。その覚悟がアルバムの序盤に置かれているわけです。 「阿婆擦れ」とCommon。。HIPHOPを女性に例える系譜 Creepy Nutsの「阿婆擦れ」は、気まぐれで言うことを聞かない女性への愛を描いた曲です。ただ、この楽曲が本当に描いているのはHIPHOPそのものだと筆者は考えています。Commonが1994年にリリースした「I Used to Love H.E.R.」でHIPHOPを女性に例えたのと同じ構造です。Hip-Hop in its Essence is Realの頭文字を取った名曲ですね。言うことを聞かないけれど愛おしい。それがR-指定にとってのHIPHOPでした。ビッチではなく阿婆擦れと表現する語感の選択にも、日本語ラップへの執着が表れているのではないでしょうか。 呂布カルマがCreepy Nutsの2人はありとあらゆる面でRHYMESTERを超えてしまったと評したのも、この文脈で読めます。RHYMESTERが日本語ラップの可能性を切り拓いた世代だとすれば、R-指定は日本語ラップで生きてきた人間がメジャーで成功してもなおHIPHOPであり続けるという、より困難な実験を生身でやっていると思います。 ドキュメンタリーとしてのR-指定──過去の自分とやり合い続ける男 R-指定がさらに特異なのは、自分の変化を隠さないところです。本人はこれをドキュメントすると表現しています。「助演男優賞」を歌っていた時期の自分と、東京ドームに立つ自分。変化するたびに過去の自分ともやり合っていると。UMBの3連覇直後、ウイニングラップで歩道橋でバカみたいにラップやり続けたが間違いじゃなかったと叫んだ男が、10年後のステージから何を言うのか。その連続性にこそR-指定の天才があると思います。 勝ち続けることの呪い─R-指定がバトルから距離を置いた理由 R-指定は、勝ち続けることの呪いも知っています。Creepy Nutsはラジオで、M-1グランプリの文脈に重ねながらこう語っていました。みんなやめるためにやってる、呪いが解けるのは優勝した人だけと。UMB3連覇で呪いは解けたはずです。にもかかわらず戦い続ける選択をした末に、観客が勝つ姿を望むと同時に負けて死ぬ瞬間も見たがるような空気が漂いはじめます。王者である限り、場の欲望が集中してしまう。だからR-指定は、バトルから距離を置く必要がありました。 この距離の取り方は、怨念JAPの引退と根底で通じています。場を作り続ける者も、場で勝ち続ける者も、ある時点でこの構造のまま走り続けることの限界に直面します。2026年のMCバトルでは、その限界が切り抜き時代への移行という形で表面化しました。 怨念JAP引退ノ陣─全試合結果と、あの日渋谷WOMBで何が起きたか まず事実を記録しておきます。出場は全24MC。DJはYANATAKEとchakaのお二人でした。ここからは注目カードを振り返り、その後に全試合結果をトーナメント表で掲載します。 【1回戦・注目カード】 ミメイ vs Albert Connor → Albert...

【Verzuz】50 Cent vs 誰だ?T.I.・Ja Rule・Nasら6選を日本のMCバトル視点で解説

2026年2月、ヒップホップ界が揺れている。 T.I.が50 Centに対してVerzuzバトルを公開要求し、50 Centがそれを拒否。そこからディストラック合戦に発展し、T.I.の息子King HarrisやDomani Harrisまで参戦──50 Centの亡き母親にまで言及するという、2026年最初の本格的なラップビーフへとエスカレートしている。 この騒動を見ていて、筆者はふと思った。これ、日本のMCバトルシーンで起きていることと、根っこは同じじゃないかと。 日本ではKOK(KING OF KINGS)で2025年の王者T-TANGGが誕生し、戦極MC BATTLEは第41章を大阪で終えたばかり。毎月のようにABEMAでバトルが配信され、シーンはかつてないほどの熱量を持っている。一方アメリカでは、Verzuzが2025年10月に3年ぶりに復活し、50 Cent vs T.I.のビーフがそのまま「実現しなかったVerzuz」をめぐるドラマとして炎上中だ。 フォーマットはまったく違う。けれども、「マイクの前に立って、自分の言葉で勝負する」というヒップホップの原点は同じだ。本記事では、50 Centが対戦すべき6つのVerzuzマッチアップを、日本のMCバトル文化と交差させながら読み解いていく。 8小節の即興 vs 20曲のカタログ:VerzuzとMCバトルの決定的な違い 50 CentのVerzuz候補を語る前に、まずこの2つのバトル形式の違いを整理しておきたい。ここを理解しないと、この記事の核心にたどり着けない。 Verzuzは、2020年にSwizz BeatzとTimbalandがコロナ禍のInstagram Liveで始めたカタログバトルだ。2人のアーティストが交互に自分の過去の楽曲を再生し、全20ラウンドで対決する。1曲あたり約90秒。新曲は使用不可。視聴者がリアルタイムで反応し、公式な勝者は宣言されない。つまり、「どれだけ深いヒット曲のカタログを持っているか」がすべてを決める。 一方、日本のMCバトルはまったく別の競技だ。UMB、KOK、戦極MC BATTLE、真ADRENALINEといった大会では、1対1の即興フリースタイルラップで勝負する。小節数は8小節か16小節が基本で、大会やラウンドによって異なる。そして先攻・後攻はジャンケンで決める。ビートはDJがその場でかけ、ジャッジまたはオーディエンスの歓声で勝敗が決まる。 この違いは想像以上に大きい。 Verzuzでは、アーティストの「歴史」が武器になる。20年かけて積み上げたカタログの厚みが問われる。過去にどれだけのヒットを残してきたか。その楽曲が会場にいる観客の記憶とどれだけ結びついているか。レガシーの重さで殴り合うわけだ。 日本のMCバトルでは、そのMCの「今」がすべてだ。過去にどんな名曲をリリースしていようが、その日の8小節で言葉が出なければ負ける。ジャンケンで後攻を引けば相手のバースを聞いてからアンサーを返せる。先攻なら、何もない状態から場の空気を自分の色に染めなければならない。このジャンケンの一瞬が、試合の流れを左右する。Verzuzには存在しない、即興バトル特有の緊張感だ。 さらに言えば、日本のバトルシーンでは「延長」がある。ジャッジの判定が割れた場合、もう1ラウンド追加される。この延長戦で逆転するドラマが、何度バトルヘッズの心を打ってきたか。Verzuzには延長もサドンデスもない。20ラウンドが終われば、それで終わりだ。 どちらが優れているという話ではない。ただ、この2つのフォーマットが同じ「ヒップホップのバトル」というカテゴリーに存在していること自体が、この文化の奥深さを示している。 50 Cent vs T.I.:今起きていること 6つのマッチアップを紹介する前に、現在進行形のビーフを整理しておく。これがなければ、この記事を書く理由もない。 発端は2026年2月6日。T.I.がShannon SharpeとChad Ochocincoの番組「Nightcap...

【レビュー】Baby Keem『Ca$ino』──Kendrick Lamarの愛弟子が放つ衝撃の告白作

via @keem instagram 2026年2月20日、Baby Keem(ベイビー・キーム)がセカンドアルバム『Ca$ino』をpgLang/Eerie Times/Columbia Recordsからリリースした。前作『The Melodic Blue』から約5年──現代ヒップホップにおいては「永遠」とも言える沈黙を経ての帰還だ。 結論から言えば、このアルバムは「期待に応えたか」という問いそのものを無効化する作品だ。Baby Keemは期待に応えることではなく、自分の物語を語ることを選んだ。そしてその選択が、結果的にこのアルバムを2026年の最重要作品候補に押し上げている。 https://open.spotify.com/intl-ja/track/3VW6HJYa5l0uzGcCRA222P?si=9f9c7a2c5316415b 『Ca$ino』とは何か──全12曲36分に凝縮された自伝 まず基本的な情報を整理しておこう。『Ca$ino』は全12曲、約36分。客演にはKendrick Lamar、Too $hort、Infinity SongのMomo Boyd、Che Ecruが参加している。プロダクションはKeem自身に加え、Sounwave、Cardo、Danja、Ojivoltaなど西海岸を代表する制作陣が担当した。 注目すべきは、アルバムのリリースに先立ち公開された3部構成のドキュメンタリー『Booman』シリーズだ。叔母のLaConnie Govanが撮影した家族の映像を基にしたこの作品は、ロサンゼルスのLong Beachで生まれ、ラスベガスに移り住んだKeemの幼少期を赤裸々に描いている。このドキュメンタリーを観てからアルバムを聴くと、歌詞の一行一行が持つ重みがまるで変わってくる。 👉 関連記事:【2026年2月20日配信】Baby Keem『Ca$ino』全曲解説|千葉雄喜・SEEDAと重なる沈黙の美学 5年の沈黙──なぜBaby Keemは消えたのか 2021年に『The Melodic Blue』でBillboard 200の5位にデビューし、「Family Ties」でグラミー賞Best Rap Performanceを獲得。2022年にはKendrick LamarのBig...

コラム

ヒップホップの”隠れた父”が死んだ。ジェシー・ジャクソンとラップの知られざる40年史

CNNやワシントン・ポストをはじめとする主要メディアは、彼の死を「公民権運動の巨星の喪失」として大きく報じた。バラク・オバマ元大統領は声明で、ジャクソンの2度にわたる大統領選出馬が自身の政治人生の基盤を築いたと述べている。だが、その追悼の中でほとんど触れられなかった側面がある。 ジェシー・ジャクソンは、ヒップホップの社会的な力を最も早い段階で看破していた公民権リーダーだった。 彼がヒップホップに見たものは、単なる流行の音楽ジャンルではない。1960年代の公民権闘争が変容し、ビートとライムに宿った「新しい形の抵抗」だった。そして、その直感はのちに歴史が証明することになる。 ブラックパンサー党から2パックへ。公民権運動とヒップホップを繋ぐ血脈 ヒップホップと公民権運動の関係を理解するには、その間に存在する「ブラックパンサー党」という結節点を避けて通ることはできない。 1966年、カリフォルニア州オークランドで、ヒューイ・P・ニュートンとボビー・シールがブラックパンサー党を創設した。警察の暴力から黒人コミュニティを守ることを第一義とし、無料の朝食プログラムや健康診断の提供といった、いわば草の根の社会インフラを構築した組織だ。最盛期には全米で2,000人以上の党員を擁していたとされる。 そしてこの組織の中に、のちにヒップホップ史を根本から変えることになる一人の女性がいた。アフェニ・シャクール。2パック(トゥパック・アマル・シャクール)の母親である。 アフェニは1947年、ノースカロライナ州の人種隔離が残る南部に生まれた。1968年にボビー・シールの演説に触発され、ハーレム支部に入党。セクションリーダーとして頭角を現し、新メンバーの教育係も務めていた。だが1969年、彼女は他の20人の党員とともに、ニューヨーク市内の警察署や公共施設への爆破共謀容疑で逮捕される。世に言う「パンサー21」事件だ。 驚くべきことに、アフェニは妊娠中の身でありながら自ら弁護を行い、1971年5月に全員が無罪を勝ち取った。そのわずか1か月後、彼女は2パックを出産している。 2パックが「トゥパック・アマル・シャクール」と名付けられたのは偶然ではない。18世紀にスペインの植民地支配に抵抗したペルーの革命家トゥパク・アマルに由来する。母は息子に、生まれながらにして「闘う者」としての名前を与えたのだ。 2パック自身、1992年のインタビューでこう語っている。フレッド・ハンプトンやボビー・ハットンといったブラックパンサーの若きリーダーたちを常に敬愛していたこと。彼らが掲げていた理想は、自分たちが今ラップで訴えていることと本質的に変わらないということ。 この血脈こそが、公民権運動からヒップホップへと流れ込んだ最も直接的な回路だ。アフェニが法廷で闘った精神は、2パックの『2Pacalypse Now』における警察暴力への告発や、『Brenda's Got a Baby』における社会の底辺に置かれた少女への眼差しへと受け継がれた。 そしてジェシー・ジャクソンは、このような連続性を肌感覚で理解していた数少ない人物だった。 ▶ 合わせて読む:なぜ2Pacは史上最高のラッパーと呼ばれているのか?レジェンドの人生大解説!【出生〜高校編】 1980年。カーティス・ブロウとの出会いが示すジャクソンの先見性 ジェシー・ジャクソンがヒップホップにコミットし始めた時期は、多くの人が想像するよりもはるかに早い。 1980年、カーティス・ブロウがシングル「The Breaks」で全米を席巻していた頃のこと。メジャーレーベルと契約した史上初のラッパーとして注目を浴びていたブロウのもとに、ジャクソンが直接会いに来た。後年、ブロウがラジオ番組「The Breakfast Club」(2025年5月放送)で回想したところによると、ジャクソンは彼にこう伝えたという。 「君たちは、コミュニティの新しいヒーローであり、アイコンなんだ。このラップやヒップホップを広めたいなら、クリーンに保つ必要がある」 ブロウはこの言葉を真正面から受け止めた。そして自らに厳格な倫理規範を課した。卑語を使わない、互いを貶さない。実際にブロウは生涯を通じて240曲以上をレコーディングしたが、その中でプロファニティ(卑語)を使った曲は一曲もない。彼はこの姿勢を、将来のヒップホップアーティストたちへの道を切り拓くための「犠牲」だと語っている。 ブロウはその後、ジャクソンのOperation PUSH(のちのレインボー・プッシュ・コアリション)と協働し、アル・シャープトンのアクション・ネットワークとも活動を共にした。さらに、南アフリカのアパルトヘイトに反対する「Artists Against Apartheid」のレコード「Sun City」にも参加している。ヒップホップと公民権運動が具体的に接続された、最初期の事例だ。 この時代、ラップは大多数のアメリカ人にとって理解の外にある音楽だった。政治家にとっては脅威であり、メディアにとっては格好の攻撃対象だった。そんな中で公民権のリーダーが自らラッパーのもとに足を運び、その可能性を認め、方向性を示そうとしたという事実は、もっと重く受け止められるべきだろう。 「I Am Somebody」。パブリック・エネミーに刻まれた声 ジャクソンとヒップホップの関係は、精神的な連帯だけにとどまらない。文字通り、音として刻まれている。 パブリック・エネミーの1987年の楽曲「Rebel Without a Pause」。この曲の冒頭で使われているサンプルの出典を知る日本のリスナーは多くないかもしれない。あれは、1972年のワッツタックス・ミュージック・フェスティバルでジャクソンが行った「I Am Somebody(俺は誰かだ)」スピーチの音声だ。 ワッツタックスは、1965年のワッツ暴動の7周年を記念してロサンゼルスで開催された、黒人コミュニティのための大規模な音楽祭典だった。ジャクソンはそこで、観衆とコール・アンド・レスポンスを交わしながら、「I am somebody(俺は誰かだ)」「I may be...

Lil Poppa(25歳)急逝─ジャクソンビルが失った才能、ドラッグ、メンタルヘルス課題

via @lilpoppa instagram 2026年2月18日、ヒップホップシーンに衝撃が走りました。 ジャクソンビル出身のラッパーLil Poppa(リル・ポッパ)が、わずか25歳でこの世を去りました。本名はJanarious Mykel Wheeler。フルトン郡医療検査局は、彼が同日午前11時23分に死亡したことを確認しています。その後の検視により、死因は銃による自傷と断定され、自殺と判定されました。 報道によれば、Lil Poppaはジョージア州ヘイプヴィル近くのI-85で単独の交通事故を起こした後、マネージャーに電話をかけたそうです。近くのヒルトンホテルの駐車場で合流し、車内で会話をしていた最中に自ら命を絶ちました。遺書は見つかっていません。 この突然の訃報は、多くのファンや音楽業界の仲間たち、そして家族に深い悲しみをもたらしました。 追悼の声が続々と 業界が失った"本物" Lil Poppaの死後、数々の著名アーティストたちがSNSを通じて彼を追悼しています。 Boosie Badazz(ブーシー・バダズ)は、こう語りました。 「Thug in peace to Lil Poppa。彼は俺の小さな弟だった」「いつも俺を支えてくれて、Boosie Bashにも毎回参加してくれた」「彼は本当に才能があったし、誠実な奴だった」 そしてYungeen Ace(ヤンジーン・エース)もInstagramに感情的な投稿を寄せています。 「6:30am、俺はKallを待っている」「君がネットの噂を信じるなと言ってくれるのを期待していた」「でもまさかこんな形で信じることになるなんて。本当に信じられない」「俺たちは同じ夢を持ち、同じ問題を抱えていたんだ」「君は伝説だ。君の平安を祈る」 さらにLil Duval(リル・デュヴァル)もXでこう追悼しています。 「このニュースは本当に心が痛い。Lil Poppaのことは本当に気にかけていた」「ジャクソンビルでは子どもの頃からみんなが彼を知っていた。俺たちは全員、彼の成功を願っていたんだ」「ドリル音楽が終わった後も、彼だけが残り続けていた。それだけの実力があったからだ」「ジャクソンビルの若手ラッパーたちが本当になりたかったのは、彼だった。敵でさえ、最初は彼のファンだったんだ」 所属するCMG(Collective Music Group)も以下のような声明を出しました。 「私たちは、愛する家族であるJanarious "Lil Poppa" Wheelerの死に衝撃を受け、深い悲しみの中にいます」「彼は単なる才能あるアーティストではなかった。年齢を超えた深みを持つ、野心的な若者でした」「彼の情熱と誠実さは、あらゆる人々の心に届きました。Poppa、私たちはあなたのレガシーを名誉と敬意を持って守り続けます」 これらの言葉が示しているのは、Lil...

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