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2026年9月のヒップホップニュースまとめ|立つ場所を決めたのは、誰なのか

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文:Rei Kamiya/原案・HSI採点:Rei Kamiya(HIPHOPCs Intelligence Unit)

対象期間:2026年9月1日〜9月30日(日本時間)/情報確認締切:2026年9月30日

2026年9月11日、Lil Durk(リル・ダーク)は殺人依頼公判の5つの罪状すべてで無罪になり、その日のうちに拘置所へ戻った。3日後、Macklemore(マックルモア)はEd Sheeran(エド・シーラン)のスタジアム・ツアーから外されたと発表した。月末のMTV VMAでは司会をSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)が務め、ラップの受賞はBest Hip-Hopの1部門だった。

8月号の最後に、本誌は「9月は、追い越された側に残った人間が、何を語るかの月になる」と書いた。実際、語った人は多かった。キーフ・Dは評決のあとに無実を訴え、JAY-Zは自分の歌詞を読み解く番組を始めた。JAY-Zを訴えていた女性は、自分の告発を撤回した。

ただ、その声がどこで鳴るかは、本人だけでは決まらなかった。会場、法廷、授賞式の判断が、何度もニュースの中心に来た。

立つ場所を決めたのは、誰なのか。この問いを手に、9月の20本を読んでいく。

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目次

30秒で読む、2026年9月のヒップホップ

  • Macklemore:2026年9月14日、Ed Sheeranの全米ツアーから外されたと発表。9月24日には自身の「Free Palestine Tour」(10月26日ダブリン、29日パリ、30日ロンドン)を発表した。
  • Lil Durk:2026年9月11日、ロサンゼルス連邦地裁の殺人依頼公判で全5罪状が無罪。同じ事件についてのVICARと銃器の罪状が別の公判に残り、拘置は続いている。
  • 全米チャート:Billboard 200で、9月12日付はRod Wave『Don’t Look Down』、9月26日付はJhené Aiko『Westside Whimsy』が1位。8月付にはヒップホップの1位がなかった。
  • JAY-Z:9月18日にHBOで番組「JAŸ-Z in 8」の配信が始まった。9月下旬には、2024年に彼を訴えた女性が告発を撤回する宣誓供述書を出した。
  • MTV VMA:9月27日、司会はSnoop Dogg。ラップの受賞はBest Hip-Hop(Cardi B & Kehlani「Safe」)の1部門だった。
  • 日本:9月4日、YAO(Awich、CHICO CARLITO、ONE OK ROCK、Paledusk)が「ありふれた世界の果てに」を配信。9月25日、千葉雄喜が初のアニメ書き下ろし曲「死ぬか生きるか」を出した。

全20本の順位はすぐ下のランキング表に、8月号で置いた判定日の答え合わせは記事の後半にある。


HSIとは

HSI(HIPHOPCs Scene Index)は、ニュースがシーンをどれだけ動かしたかを、注目度(ATT)、市場(MKT)、文化(CULT)の3軸で測る本誌の編集指数である。

HSI = ATT × 0.35 + MKT × 0.35 + CULT × 0.30。本稿は月次の値(HSI-M v2.0)で、週刊号で付けた点数を土台にしている。点数を動かした案件は、理由を付録の差分表に残した。

作品の良し悪しや、人物の価値を測る数字ではない。方法論はHSI|HIPHOPCs Scene Indexとはにある。


2026年9月のヒップホップニュースランキング

順位ニュースHSI確度
1【米】Macklemore、Ed Sheeranのツアーを降板し、自分のツアーを組む85🟢
2【米】Lil Durk、全5罪状で無罪。別の公判を控え拘置は続く85🟡
3【米】Ye、地元ソルジャー・フィールドで2夜82🟢
4【米】『GTA VI: The Album』、34曲を11月19日に81🟢
5【米】Rod Wave『Don’t Look Down』、4枚目の全米1位79🟢
6【米】Jhené Aiko『Westside Whimsy』、キャリア初の全米1位79🟢
7【英・仏・米】JAY-Z、欧州公演と「JAŸ-Z in 8」78🟢
8【米】MTV VMA、司会はSnoop Dogg。ラップの受賞は1部門77🟢
9【日】YAO「ありふれた世界の果てに」75🟢
10【米】JAY-Z、控訴棄却の2週間後に告発者が撤回75🟡
11【米】Drake『FOMO』、公開と非公開を繰り返す74🟢
12【米】Future、初期ミックステープ5作が配信へ73🟢
13【日】千葉雄喜「死ぬか生きるか」、初のアニメ書き下ろし70🟢
14【日】FORCE FESTIVAL公式アフター「MAGIC CITY TOKYO」70🟢
15【米】Quavo『QRÖMELIFE』、10月2日発売とOffsetとの新曲69🟢
16【米・英】9月の金曜日のリリース群68🟢
17【日】RAPSTAR 2026、放送日とビートの一般公募68🟢
18【米】Diddy、民事訴訟の代理人が辞任を申請68🟢
19【米】Pusha T、Clipseのグラミーをめぐる発言68🟢
20【米】Yeat「ON NOTHING」67🟢
  • 日本の案件は4本。順位の外にも、GADORO、ちゃんみな、Jinmenusagiなど国内の動きは多かった。それらは「国内ウォッチ」にまとめた。
  • 🟡は、出来事そのものは確認できているが、係争中であったり、報道段階の情報を含んだりするもの。
  • 表示HSIが同じ案件は、丸める前の値で順位を分けた。
  • Super Bowl LXIハーフタイムの出演者は、9月30日時点で公式発表がない。順位には入れず「10月へ」で追う。

編集部の結論

HSIの1位はMacklemore(84.75)、2位はLil Durk(84.50)だった。注目度と文化の点はLil Durkが上回り、市場の点はMacklemoreが上回った(75と60)。

編集部が選ぶ9月の1本は、Lil Durkの無罪評決とした。8月号では、この公判で歌詞やミュージックビデオが証拠として扱われたことを記録した。その公判の結論が出たのが9月である。指数では2位だが、8月から追ってきた記録の結論として選んだ。


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国内ウォッチ|順位表の外に置いた7本

順位には入らなかったが、9月の日本語ラップを振り返るうえで外せない動きを置いておく。点数は付録にある。

  1. GADORO、大阪城ホールの次は福岡2DAYS──9月21日に大阪城ホールでワンマン「独り言」が予定され、ABEMAが独占生中継の枠を組んでいた。公式サイトに中止や延期の告知は出ていないが、主催者の公演報告は本稿では確認できていない。同じ日、公式ファンクラブが2027年5月4日・5日のマリンメッセ福岡B館2DAYS「我泥」を発表した。武道館、横浜アリーナ、大阪城ホールと、宮崎を拠点にしたまま会場を大きくしてきた。▶ 本誌詳報
  2. ちゃんみな「History」、映画『ファーストボイス』の主題歌に──9月13日発表。映画は10月2日公開で、曲は制作中のアルバム『LEGEND』に入る予定。配信日は9月末時点で出ていない。▶ 本誌詳報
  3. Jinmenusagi、キャリア初のワンマンを発表──9月5日。2027年2月27日、Spotify O-EAST。アルバム『ALXVE』のCD化とあわせ、CDに先行抽選のシリアルを付けた。▶ Spincoaster
  4. yummma、初のMV「100億円」──SNS開設から約1か月で、ショート動画の総再生が1,000万回を超えたと発表された新人。数字は発表側の集計である。▶ ABEMA TIMES
  5. Siero、OROCHIのディスに約4分で返す──9月18日、OROCHIが2小節でSieroの名を挙げた。3日後の21日、SieroはSoundCloudに「The Answer To OROCHI」を上げ、曲の終盤で「今年俺も出るぞアルバム」とラップした。▶ 本誌詳報
  6. Daichi Yamamoto、DJ KRUSH、田我流のツアー発表──Daichi Yamamotoは4都市のジョイントツアー『Hakka』で折坂悠太、鈴木真海子、Watson、中村佳穂を迎える。DJ KRUSHは『TOKYØHUM』で全国9都市、田我流は2027年2〜3月に東京・大阪・沖縄を回る。田我流の東京公演には中高生割がある。▶ Daichi Yamamoto(Spincoaster)/DJ KRUSH(Spincoaster)/田我流(ABEMA TIMES)
  7. C6ix『岡崎8番』、Kee Rooz「懺悔」、OZROSAURUS『ROLLIN’045』初のアナログ化──アクラ生まれで福生を拠点にするC6ixは、BIMとkZm、Jinmenusagiらを迎えたアルバムを出した。Kee Roozは、『RAPSTAR』を辞退した理由を約10分の曲にした。OZROSAURUSの1stは、2027年1月の横浜BUNTAI公演で2LPとして先行販売される。▶ C6ix(Spincoaster)/Kee Rooz(音楽ナタリー)/OZROSAURUS(タワーレコード)

ランキング詳細──1位から20位

1位:Macklemore──降ろされたあと、自分でツアーを組んだ

HSI 85|🟢

発端は2026年9月4日と5日、ニュージャージーのMetLife Stadiumだった。Ed Sheeranの北米ツアー『Loop Tour』で前座を務めたMacklemoreが、ステージで「Free Palestine」と述べ、2024年の自作曲「Hind’s Hall」を演奏した。

9月14日、Macklemoreはツアーから外されたと自分で発表した。投稿では、New England PatriotsのオーナーでGillette Stadiumを運営するRobert Kraft(ロバート・クラフト)の名前を挙げている。北米のプロモーターは同じ日、降板を認める声明を出した。

翌15日、SheeranはInstagramに6枚のスライドを載せた。Macklemoreの契約相手はプロモーターであること、会場から「彼が出るなら公演を引き上げる」と伝えられたこと、決めたのは自分ではないこと。要旨はこの三つだった。Kraftは、Gillette Stadiumで彼を出演させない判断を認めている。降板のあと、ツアーを離れた出演者が複数いたとも報じられた。

ここまでが9月中旬までの話である。

9月24日、Macklemoreは「Free Palestine Tour」を発表した。10月26日にダブリンの3Arena、29日にパリのAccor Arena、30日にロンドンのOVO Arena Wembley。Live Nationが扱い、収益はパレスチナの人々を支援する団体に寄付されると告知された。米国公演は後日発表の予定である。これに先立つ17日には、Loop Tourの2公演で得た100万ドルをパレスチナ支援団体に寄付すると表明していた。

パレスチナとイスラエルをめぐる主張そのものについて、本誌は立場を取らない。この項目で記録しておきたいのは二つである。スタジアムに出られないと決めたのは本人ではなかったこと。そして、そのあと別の舞台を組んだのは本人だったこと。

▶ 参照:Deadline:Sheeranの声明と経緯/Pollstar:Free Palestine Tourの発表/Global News:公演日程と会場/ABC News(豪):100万ドルの寄付表明/本誌週刊第37号

2位:Lil Durk──無罪評決の日、法廷の外には出なかった

HSI 85|🟡

2026年9月8日、ロサンゼルス連邦地裁で最終弁論が行われた。検察は、King Von(キング・ヴォン)の死への報復としてQuando Rondo(クアンド・ロンド)を狙ったという構図を示した。弁護側は、司法取引に応じた証人たちの信用性を正面から争った。

評議は9日に始まり、11日の夕方に評決が出た。共謀、凶器を用いたストーキング、死亡結果を伴うストーキング、殺人依頼2件。女性7人、男性5人の陪審は、Durkについて5つの罪状すべてを無罪とした。

同じ陪審は、共同被告のDeandre WilsonとDavid Lindseyについて、殺人依頼では無罪としつつ、ストーキングに関する罪状では有罪とした。事件では、狙われたとされるQuando Rondoではなく、その従兄弟のSaviay’a Robinsonが亡くなっている。同じ評決の中に、無罪と有罪が並んだ。

Durkはその日、拘置所に戻った。同じ2022年8月19日のロサンゼルスでの死亡事件について、VICAR(組織犯罪を助けるための殺人)と、関連する銃器の罪状が残っていたからである。これらの罪状は、9月に評決が出た5つの罪状とは分離され、別の公判で審理される。連邦検察は評決後の声明で、10月5日に予定される第2の公判で証拠を示すと述べた。

起訴状には、2022年1月のシカゴでの殺人や2019年のアトランタでの殺人未遂も出てくる。ただし、それは検察が主張する組織の活動を説明する部分で、残る二つの罪状が直接対象とする事件ではない。

月末には、その日程が動くという報道が出た。保釈審問が11月上旬に組まれており、9月29日には、10月5日の開始は難しいとする見方が報じられた。延期は、締切時点では公式に確定していない。確度を🟡としたのはこのためである。

無罪評決は、検察がこれらの罪状を合理的な疑いを超えて立証できなかった、という判断である。今回の5罪状では無罪となった。それでも別の罪状についての手続きが残り、彼は拘置所に戻った。

2026年10月1日追記:Los Angeles誌は9月30日(現地)、裁判所がVICAR公判の開始を2027年8月30日に延期したと報じた。弁護側が準備期間を求め、共同被告2人の弁護側も加わった申立てに対し、判事は事件が通常より複雑だと認めたという。保釈審問は、XXLが入手した文書にもとづく報道では11月4日とされ、HotNewHipHopは11月5日と書いている。本誌は延期の命令と期日の通知を、裁判所の記録ではまだ直接確認していない。この追記は締切後の情報のため、HSIには反映していない。

▶ 参照:Rolling Stone:評決と法廷の様子/ABC7:評決と次の公判/HotNewHipHop:VICAR公判の延期見通し/起訴状(第4次追加起訴、2026年7月31日付)/Los Angeles誌:2027年8月への延期(10月1日追記)/XXL:保釈審問の期日/本誌:Lil Durk事件の全経緯まとめ

3位:Ye──地元ソルジャー・フィールドで2夜

HSI 82|🟢

2026年9月3日と4日、Ye(イェ)が地元シカゴのSoldier Field(ソルジャー・フィールド)で2公演を行った。

初日にはBig Sean(ビッグ・ショーン)、2 Chainz、Future、Twistaが出て、2日目にはKid Cudi(キッド・カディ)、Chief Keef(チーフ・キーフ)、Common(コモン)が加わった。Big SeanやKid Cudiとは、過去に公の場で対立したことがある。2日目には、公判中だったLil Durkの音声メッセージも流れた。

数字は翌週に出た。Pollstarによれば、シカゴのプロモーターの報告で、2夜の販売は129,562枚、興行収入は2,980万ドル。2日目の単日1,576万ドルは、この会場についてPollstarに報告された単日の数字として最も高い。

ただしPollstarの集計はプロモーターの自己申告にもとづき、報告のなかった公演は比較に入らない。会場史上のすべての公演と比べた記録ではない。

動員は、いま人が集まるかどうかを示す一つの指標である。Yeの公演に行くこと自体をめぐる議論は、数字が出たあとも続いている。

▶ 参照:Pollstar:2夜の興行収入と単日記録/本誌週刊第35号・第36号

4位:『GTA VI: The Album』──34曲の新録が、ゲームと同じ日に出る

HSI 81|🟢

2026年9月17日(現地)、Rockstar Gamesが『Grand Theft Auto VI: The Album』を発表した。Atlantic Recordsと組んで制作した34曲の新録アルバムで、ゲーム本体と同じ11月19日に出る。

同じ日に6曲が先に配信された。ラップ側から目を引くのは2曲である。Yung Lean(ヤング・リーン)の「That’s It」にはFutureとMetro Boominが参加し、Travis Scott(トラヴィス・スコット)の「RHYNO」はDaft PunkのGuy-Manuel de Homem-Christoがプロデュースした。残る28曲は未発表で、出回っている「流出トラックリスト」をRockstarは認めていない。

公式に示されているのは、34曲の新録を集めたアルバムだということまでで、ゲーム内のラジオでどの曲がどう流れるかとの対応は明らかにされていない。CDとアナログの発送は11月20日で、配信とは1日ずれる。限定盤はすぐに売り切れたと伝えられた。

Travis ScottとYung Leanの新曲は、先行シングルとして配信され、34曲のアルバムにも収録される。

▶ 参照:Rockstar Games Newswire:公式告知/Warner Music:Atlantic RecordsとRockstar Gamesの共同発表/本誌週刊第37号

5位:Rod Wave──4枚目の1位と、届かなかった10万

HSI 79|🟢

2026年9月12日付のBillboard 200で、Rod Wave(ロッド・ウェイヴ)『Don’t Look Down』が初登場1位になった。『SoulFly』『Beautiful Mind』『Nostalgia』に続く4枚目の全米1位で、初週は99,000ユニット。Hot 100には同作から16曲が入り、本人の通算は107曲になった。トップ10のヒットが一曲もないまま100曲を超えた、という記録でもある。

8月号では、8月付のBillboard 200にヒップホップの首位が一度もなかったと書いた。その椅子に最初に戻ったのが、SNSの話題量ではあまり目立たないこの人だった。

一方で、10万に届かなかったことも話題になった。前2作は初週12万7,000を超えていた。翌週19日付では7位に下がっている。

▶ 参照:Billboard:初週内訳と首位/本誌週刊第36号

6位:Jhené Aiko──12年10か月かかった1位

HSI 79|🟢

2026年9月11日、Jhené Aiko(ジェネイ・アイコ)が『Chilombo』以来6年ぶりのアルバム『Westside Whimsy』を出した。全20曲で、本人はロサンゼルスへの手紙だと説明している。

14曲目の「So Good」にはKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)が参加し、曲も書いた。2人の共作は2010年と2013年に続いて3度目になる。ほかにAb-Soul、Tyga、Larry Juneが並ぶ。

9月26日付のBillboard 200で、この作品は74,000ユニットで初登場1位になった。キャリアで初めての1位で、2013年に初めてチャートに入ってから12年10か月かかった。女性のR&Bアルバムが1位になるのは、2026年ではこれが初めてである。

9月のBillboard 200の首位は、5日付のENHYPEN、12日付のRod Wave、19日付のElla Langley『Dandelion』、26日付のJhené Aikoと移った。ラップ作品の首位はRod Waveの1週。R&Bまで広げると2週になる。

▶ 参照:Billboard:Jhené Aiko初の1位/本誌週刊第36号・第37号

7位:JAY-Z──欧州のスタジアムと、自分の歌詞を読む番組

HSI 78|🟢

2026年9月のJAY-Z(ジェイ・Z)は、ステージと画面の両方にいた。

4日と5日のロンドンでは、Lauryn Hill(ローリン・ヒル)、Wyclef Jean、Dave、Samphaらが出た。10日のパリ、スタッド・ド・フランスでは、Pharrell(ファレル)がThe Neptunes時代の曲を並べ、Justin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)が「Holy Grail」のフックを歌った。7月にヤンキー・スタジアムで始まったツアーは、10月23日・24日のSoFi Stadiumで終わる。

18日には、HBOとHBO Maxで「JAŸ-Z in 8」の配信が始まった。監督はRick Rubin(リック・ルービン)で、2人がJAY-Zの曲を1曲ずつ掘り下げていく全8話の番組である。北米の外では19日からMUBIが配信する。13日にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場で世界初上映が行われた。

第2話でJAY-Zは、Biggieとの「Brooklyn’s Finest」で、Biggieのヴァースから「Who shot ya」の一節を外させたと明かした。2Pacや西海岸との緊張をこれ以上煽りたくなかった、という趣旨である。

9月中に公開されたのは第4話まで。第5・6話は10月2日、第7・8話は10月9日に出る。

8月には、キーフ・Dの回顧録が本人より重く法廷で読まれた。その翌月、JAY-Zは自分の歌詞の読み方を、自分の番組の中で示し始めた。

▶ 参照:本誌:「JAŸ-Z in 8」の配信スケジュールと日本からの見方/本誌週刊第35号・第36号・第37号・第38号

8位:MTV VMA──司会はSnoop、受賞はBest Hip-Hopだけ

HSI 77|🟢

2026年9月10日、CBSとMTVは、VMAの司会をSnoop Doggが務めると発表した。製作総指揮も兼ねる。VMAが西海岸で開かれるのは2017年以来だった。

27日、ロサンゼルスのPeacock Theater。Best Hip-HopはCardi B(カーディ・B)とKehlani(ケラーニ)の「Safe」が取り、Drake、Megan Thee Stallion、Travis Scott、Don Toliver、Tyler, The Creatorが候補に並んだ。

総合部門では、Video of the YearがTaylor Swift、Artist of the YearがMadonna、Song of the YearがBTS「Swim」だった。Drake『ICEMAN』はBest Albumの候補に、ClipseとKendrick Lamarの「Chains & Whips」はBest Collaborationの候補に入ったが、どちらもMadonnaが受賞している。

8月号では、「ラップが取る椅子は専用部門だけか」を9月の判定日に置いた。結果はそのとおりだった。一方で、授賞式の進行を担ったのはラッパーだった。受賞は専用の部門に限られたが、司会と製作総指揮はSnoop Doggが務めた。

▶ 参照:Just Jared:全部門の受賞結果/AllHipHop:Best Hip-Hopと当日のラップ勢/本誌週刊第36号

9位:YAO「ありふれた世界の果てに」──4組が沖縄の歴史を書いた

HSI 75|🟢

2026年9月4日、Awich、CHICO CARLITO、ONE OK ROCK、Paleduskによるプロジェクト「YAO」が、第2弾の新曲「ありふれた世界の果てに」を配信した。

4組の名前だけでも十分にニュースになる。ただ、制作の説明で曲の出発点とされているのは、メンバー同士の対話だった。沖縄出身のAwichとCHICO CARLITOが発信してきた歴史と文化、そしていまも過去の傷を抱えて暮らす人々。それが曲の主題に置かれている。

8月、CHICO CARLITOはOZworldとBATTLE SUMMIT IIIを制し、AwichはRed Bull Symphonicに向かっている。そうした個々の動きの先に、ラップとロックの共作が置かれた。

▶ 参照:ABEMA TIMES:楽曲と制作の主題/本誌:YAOとは

10位:JAY-Z──控訴は棄却され、そのあと告発が撤回された

HSI 75|🟡

2026年9月9日、カリフォルニア州の第2地区控訴裁判所は、JAY-Zが弁護士のTony Buzbee(トニー・バズビー)を相手に起こした恐喝・名誉毀損の訴えについて、退けた一審の判断を全員一致で維持した。判決は、提訴前の請求書簡は訴訟特権で守られ、Buzbeeが虚偽と知りながら告発したという証拠はないとした。そのうえで、告発そのものの真偽については判断していないと書いている。

2週間後、事情が変わった。

9月下旬、2024年にJAY-Zを性的暴行で訴えた匿名の女性が、ニューヨークの別の訴訟で12ページの宣誓供述書を出した。JAY-Zとは会ったこともなく、告発は事実ではなかったという内容で、撤回に対価は約束されておらず受け取ってもいないと述べている。JAY-Z側は彼女を被告から外した。28日には、JAY-Z側が控訴裁判所に再審理を申し立てたと報じられた。

Buzbee側は反論している。彼女の話は自分と会う前から複数の弁護士が聞いていたと述べ、代理人の一人は撤回を「金で買われたもの」と表現した。ただ、その書面に支払いの証拠は示されていないと報じられている。

確定しているのは、控訴審の判断と、撤回の供述書が提出されたことまでである。閉じた訴訟がもう一度開くかどうかは、控訴裁判所が決める。

▶ 参照:HotNewHipHop:告発の撤回/HotNewHipHop:再審理の申立て/本誌週刊第36号

11位:Drake『FOMO』──出して、下げて、戻した

HSI 74|🟢

2026年9月15日の夜(米東部時間)、Drake(ドレイク)が1時間弱の映像『FOMO』をYouTubeで公開した。Don Toliver、Yeat、PARTYNEXTDOOR、Sexyy Redらが登場し、Ella Langley「Choosin’ Texas」をDon Toliverと作り直した版も流れた。

本編は公開から数時間で非公開になり、17日にDrakeのチャンネルに戻った。下ろしたのも戻したのも本人だと報じられている。19日には各曲のビデオが個別に上がり、新曲「Quebec」だけが数時間で非公開になった。こちらは誰の判断だったのか分かっていない。

その間、2027年のワールドツアーに触れ、月末にはヒューストンのステージでKarol Gと「Ahí」を初めて生で披露したと報じられた。28日夜の配信では、『FOMO』の曲の多くを10月1日にストリーミングで出すと話している。アルバムの形になるかどうかは、締切時点では分からない。

出すのも下げるのも、自分のチャンネルの上で決められる。9月のニュースのなかで、それができた数少ない一人だった。

▶ 参照:HotNewHipHop:「FOMO」楽曲の配信日/本誌:『FOMO』短編映像/本誌週刊第37号

12位:Future──2010年と2011年のミックステープが配信に

HSI 73|🟢

2026年9月上旬、Future(フューチャー)の初期ミックステープ『1000』『Kno Mercy』『Dirty Sprite』『True Story』『Streetz Calling』が、Spotifyなどのストリーミングに初めて加わった。いずれも2010年と2011年の作品で、『Dirty Sprite』は2015年の『DS2』の前作にあたる。

音源そのものは、ミックステープとして当時から出回っていた。変わったのは、普段使っている配信サービスから探せるようになったことである。長く聴いてきた人には聴き直す入口に、最近Futureを知った人には、いまの声がどこから来たのかをたどる入口になる。

▶ 参照:HotNewHipHop:配信された5作品/本誌週刊第35号

13位:千葉雄喜──初めてのアニメ書き下ろし

HSI 70|🟢

2026年9月25日17時30分、千葉雄喜が新曲「死ぬか生きるか」を配信した。Netflixアニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』のエンディングテーマとして書き下ろした曲で、アニメ作品への書き下ろしは本人にとって初めてになる。アニメは同じ日から、2nd & 3rd STAGE(全11話)が毎週金曜にNetflixで世界独占先行配信されている。

千葉雄喜の曲が海外で大きく聴かれた例としては、Megan Thee Stallionとの「Mamushi」がある。今度はアニメのエンディングとして、Netflixの視聴者に届く機会ができた。

▶ 参照:KAI-YOU:配信日時と初のアニメ書き下ろし/本誌:千葉雄喜 完全プロフィール

14位:MAGIC CITY TOKYO──フェスのあとの夜を、アトランタの名前で

HSI 70|🟢

2026年9月24日、FORCE FESTIVALが今年の公式アフターパーティー「MAGIC CITY TOKYO」を発表した。10月25日23時から翌朝4時30分まで、新宿・歌舞伎町のZEROTOKYO。アトランタのストリップクラブ「Magic City」との公式コラボで、同店のダンサー12名が来日する。入場は20歳以上。

Magic Cityは、店のDJがかけた曲から火がついたとアーティストたちが語ってきた場所でもある。昨年は銀座で2夜だったが、今年は新宿で1夜になった。

本編は同じ25日、川崎の東扇島東公園で、11時開場・13時開演。Lil Baby、Roddy Ricch、YZERRら15組が出る。同じ日には渋谷WWWの3会場で『LYRICADE』も開かれる。

▶ 参照:本誌:MAGIC CITY TOKYO/本誌:FORCE FESTIVAL 2026 完全ガイド

15位:Quavo『QRÖMELIFE』──Offsetとの新曲は5年ぶり

HSI 69|🟢

2026年9月11日、Quavo(クエイヴォ)が3作目『QRÖMELIFE』を10月2日に出すと発表した。製作総指揮はPharrell Williamsで、同じ日にT.I.との「Backwards」が配信された。ソロ作はTakeoffに捧げた『Rocket Power』以来になる。

9月27日の夜(現地)には、Quavoがアトランタで開いた試聴会にOffset(オフセット)が姿を見せ、2人の未発表曲「Away」が流れた。2人の新曲は、2021年のMigos『Culture III』以来5年ぶりと報じられている。アルバムは全14曲で、Future、Tyler, The Creator、A$AP Rocky、Lil Baby、Justin Timberlakeらが参加する。

▶ 参照:Rolling Stone:製作総指揮と収録曲/iHeartRadio:試聴会とOffsetとの「Away」/本誌週刊第36号

16位:9月の金曜日──Rakim、Kurupt、Masta Killaが一枚を共有した

HSI 68|🟢

2026年9月は、大きな一枚よりも、毎週金曜に出た作品の数と幅が目立った。

4日にはDizzee RascalやHieroglyphicsが、11日にはEST GeeやNav & Young Thugが並んだ。18日にはYeat『COCOON』、AZ Chike『No Rest for the Wicked』、FERG『CYCLE』、Ghostface Killah、Scarface、Kool G Rapの名前が続く。そしてRakim、Kurupt、Masta Killaの3人による『THE GODBODY』が出た。

AZ Chikeのアルバムでは、Kendrick Lamarが客演表になかったことが先に話題になった。発売日、AZ Chike本人が、KendrickとSounwaveがアルバム全体の構成に関わり、曲順も動かしたと明かしている。

25日は一転して、アルバムの少ない週だった。

▶ 参照:HotNewHipHop:9月18日のリリース一覧/本誌:『The Godbody』と2Pacの「One Nation」/本誌週刊第37号

17位:RAPSTAR 2026──ビートの作り手にも門を開いた

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2026年9月11日、ABEMAは『RAPSTAR 2026』を10月10日22時から独占無料放送すると発表した。優勝者の活動資金は1,000万円で、シリーズで最も高い。応募動画用のビートは、Chaki Zulu、GRADIS NICE、rxlら7名が手がけた。

あわせて、番組で使うビートを初めて一般から募集した。受付は9月18日から27日まで。条件にはサンプリングの全面禁止が含まれていた。ヒップホップの成り立ちを考えると、小さくない条件である。

▶ 参照:PR TIMES:AbemaTVの発表/本誌週刊第36号

18位:Diddy──民事訴訟の代理人が辞任を申請

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2026年9月14日、Sean “Diddy” Combsが起こした1億ドルの名誉毀損訴訟で、原告代理人のSher Tremonte法律事務所が辞任の許可を裁判所に求めた。事務所は、報酬の未払いが6か月以上続いていること、4か月以上実質的なやり取りがないことを理由に挙げている。

Combs側は、弁護士を替えると決めたのは自分で、過大な請求に応じるつもりはないと反論した。1億ドルはCombsが求めている損害賠償の額で、未払い報酬の額ではない。辞任に裁判所の許可が出たかどうかは、締切時点で確認できていない。

▶ 参照:本誌:ECF原本から読む辞任申請

19位:Pusha T──受賞した側が語った、グラミーの裏側

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2026年9月3日付の報道で、Pusha TはClipseのグラミー受賞をめぐるキャンペーンに政治的な働きかけが伴った、という趣旨を語った。本人の説明であり、不正が認定されたという話ではない。同じインタビューでは、Pharrellとの制作で一作が完成し、もう一作を制作中だとも話している。どちらの名義かは明らかにされていない。

▶ 参照:HotNewHipHop:Pusha Tの発言/本誌週刊第35号

20位:Yeat「ON NOTHING」──曲と一緒に、解釈が広まった

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2026年9月4日、Yeatが「ON NOTHING」を配信した。Travis Scottへのディスだと受け取られて広まったが、本人が相手を明言したわけではない。同じ月、YeatはDrakeの『FOMO』にも登場し、18日にはEP『COCOON』を出している。

▶ 参照:HotNewHipHop:ディスとする報道/本誌週刊第35号


そのほか、9月に残しておくべき短いニュース

  • キーフ・D:8月31日の有罪評決(8月号で扱った)の数日後、取材に応じ、無実と控訴への期待を語った。量刑は10月13日の予定。9月13日は2Pacの没後30年だった。
  • MO3殺害事件:9月4日(現地)、実行役のKewon Whiteに有罪評決と仮釈放なしの終身刑。殺人依頼で起訴されたYella Beezyの公判は、14日に予定されていた陪審選任が延期された。新しい期日は報道が割れている。
  • Eminemの未発表曲流出事件:音源を流出させたとされる元エンジニアのJoseph Strangeが、10月22日にデトロイトの連邦地裁で有罪を認める予定と報じられた。
  • 50 Cent:製作総指揮を務めたNetflixの『Sean Combs: The Reckoning』が、エミー賞のノンフィクション番組の映像編集部門を受賞した。受賞したのは編集チームである。
  • Nicki Minaj:Fox Newsの番組で大統領を支持する考えを語り、自分のライブを政治の場にするつもりはないとも述べた。
  • Chris Brown:テキサス州の議員が表彰について謝罪し、本人は「頼んでいない」と反発した。
  • Super Bowl LXI:2027年2月14日、SoFi Stadiumのハーフタイム出演者は、9月30日時点で公式発表がない。直近5大会のうち4回は、9月24日から30日のあいだに発表されていた。

追悼と記録

  • Buc Wild(バック・ワイルド)──HOT 97の朝の番組でStarと組んだラジオ・パーソナリティ。9月6日に47歳で亡くなった。
  • Tone Capone(トーン・カポネ)──ベイエリアのプロデューサー。9月12日に59歳で亡くなった。1995年にLuniz「I Got 5 On It」のトラックを組み、Mac Dre、E-40とも仕事をした。▶ 本誌追悼記事
  • Tay Keith(テイ・キース)──6月18日に29歳で亡くなったメンフィスのプロデューサー。9月17日、ナッシュビルの検視局が、薬物の複合中毒による事故死と判断したと公表した。▶ 本誌詳報
  • 誠(ex. JAFEM)──沖縄のラッパー。訃報は9月22日に伝えられた。那覇のレコード店NEWFUNK STOREは、店に残る誠のCDを若いリスナーに無料で配ると発表した。▶ 本誌記事
  • Eastside Flip──バッファローのGriselda周辺で、作品のジャケットやMVに姿を残した人物。訃報は9月4日に伝えられ、Westside Gunnが追悼した。

訃報は順位化しない。


9月に聴くべき8作品

  1. Rod Wave『Don’t Look Down』──24曲、客演はほぼなし。99,000という数字の中身を、一枚通して確かめる
  2. Jhené Aiko『Westside Whimsy』──Kendrick Lamarが書いた「So Good」から入るとよい
  3. Rakim, Kurupt & Masta Killa『THE GODBODY』──東と西の3人が、2026年に一枚を共有した
  4. Futureの初期ミックステープ5作──まずは『Dirty Sprite』から。『DS2』の前にあった一枚
  5. YAO「ありふれた世界の果てに」──4組で書いた、沖縄の歴史についての曲
  6. 千葉雄喜「死ぬか生きるか」──アニメのエンディングのために書いた初めての曲
  7. C6ix『岡崎8番』──アクラから福生へ。BIMとkZmが入る「Japapiano」も
  8. Siero「The Answer To OROCHI」──2小節のディスに返した約4分

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8月号「9月の判定日」の答え合わせ

判定日8月号の問い9月の答え
9月2日OMB Bloodbath事件、実行役4名の量刑本稿では一次情報で確認できなかった。保留する
9月上旬Lil Durk裁判、最終弁論と評議へ8日に最終弁論、11日に全5罪状で無罪。共同被告2人はストーキングに関する罪状で有罪。Durkは別の罪状の公判を控え拘置が続く
9月7日/13日2Pacの銃撃から30年、死去から30年評決の数日後、キーフ・Dが取材に応じ無実を主張。量刑は10月13日
9月18日/19日「JAŸ-Z in 8」配信開始予定どおり開始。13日にはメトロポリタン歌劇場で世界初上映。完結は10月9日
9月21〜22日SHOW MUST GO ON 2026公演の実施報告を一次情報で確認できなかった。保留する
9月27日MTV VMA。ラップが取る椅子は専用部門だけかそのとおりだった。受賞はBest Hip-Hopの1部門。司会はSnoop Dogg
9月30日FORCE FESTIVAL先行販売終了予定どおり月末まで。24日に公式アフター「MAGIC CITY TOKYO」を追加発表

七つのうち五つは答えが出た。二つは、本誌の確認が届かなかった。

8月号で書いた「全米チャートの首位0本」にも答えが出た。9月12日付でRod Waveが首位に立ち、26日付ではJhené AikoがR&Bの作品として続いた。


まとめ──20本を並べて見えたこと

20本を並べると、9月のニュースの多くには、本人とは別に判断を下した側があった。会場とプロモーター、裁判所、授賞式、ゲーム会社とレーベル、配信プラットフォームである。

一方で、判断を受けたあとの動きは本人たちが決めていた。別のツアーを組む、出した映像を下ろして戻す、自分の歌詞を自分の番組で読む、次の会場を決める。9月の記録には、その両方が残っている。

6月は数字の持ち主を、7月は測る人を、8月は最後の一行を書いた人を見てきた。9月に見えたのは、立つ場所を決める判断が、本人の外と内の両方にあったことだった。

10月は、予定されていた舞台が実際に開く月になる。


10月へ──次に見るべき判定日

日付内容
10月1日Drake、『FOMO』の曲のストリーミング配信。アルバムの形になるか
10月2日Quavo『QRÖMELIFE』/映画『ファーストボイス』公開(ちゃんみな「History」)/「JAŸ-Z in 8」第5・6話
10月5日Lil Durk、VICAR公判の当初の予定日(10月1日追記:2027年8月30日に延期と報じられた)
10月9日「JAŸ-Z in 8」第7・8話で完結
10月10日RAPSTAR 2026、放送開始
10月13日キーフ・Dの量刑
10月22日Eminem未発表曲流出事件、元エンジニアの有罪答弁予定
10月23日・24日JAŸ-Z30ツアー最終、SoFi Stadium
10月25日FORCE FESTIVAL 2026(川崎)、MAGIC CITY TOKYO(新宿)、『LYRICADE』(渋谷)
10月26日・29日・30日Macklemore「Free Palestine Tour」、ダブリン・パリ・ロンドン
発表時期未定Super Bowl LXIハーフタイム出演者。9月30日時点で公式発表なし。発表まで追い続ける
11月4日Lil Durk、保釈審問。XXLが入手した文書にもとづく報道による(HotNewHipHopは11月5日と記載。原記録は未確認)
11月17日Tohji Last Live “TOKYO MALL”(東京ドーム)/Awich、Red Bull Symphonic大阪初日
11月19日『GTA VI』と『GTA VI: The Album』

HIPHOPCsが9月に残した記録

自社の記事は、自社の指数では採点しない。ただ、月間総括には編集部が何を記録したかも残しておく。

よくある質問

2026年9月でいちばん大きかったヒップホップニュースは?

HSIの1位は、MacklemoreがEd Sheeranの全米ツアーから外され、その後に自分のツアーを発表した件(84.75)。編集部が選ぶ9月の1本は、Lil Durkの全5罪状での無罪評決である。

Lil Durkは無罪になって釈放された?

釈放されていない。9月11日の評決は、2022年8月19日にロサンゼルスで起きた死亡事件をめぐる5つの罪状についてのもので、同じ事件についてのVICARと銃器の罪状が別の公判に残っている。その公判は10月5日に予定されていたが、9月30日(現地)に2027年8月30日へ延期されたと報じられた(10月1日追記)。

9月は全米チャートでヒップホップが戻った?

9月12日付のBillboard 200で、Rod Wave『Don’t Look Down』が初登場1位になった。8月付のチャートではヒップホップの首位がなかった。26日付ではJhené Aiko『Westside Whimsy』がR&Bの作品として1位になっている。

日本語ラップで重要だった出来事は?

HSIで日本勢の最上位は、Awich、CHICO CARLITO、ONE OK ROCK、PaleduskによるYAOの新曲(9位)。ほかに千葉雄喜の初のアニメ書き下ろし、GADOROのマリンメッセ福岡2DAYSの発表、FORCE FESTIVALの公式アフター発表があった。

付録:HSIの採点内訳・週次からの差分・選定基準を開く

HSI-M v2.0 採点表──全20本

HSI = ATT × 0.35 + MKT × 0.35 + CULT × 0.30。表示HSIは整数に四捨五入し、順位は丸める前の値で決める。同じ値のときはCULT、MKT、ATTの順に比べる。

順位ニュースATTMKTCULT算出値表示確度
1Macklemore、降板と自主ツアー90759084.7585🟢
2Lil Durk、全5罪状で無罪100609584.5085🟡
3Ye、シカゴ2夜85808081.7582🟢
4『GTA VI: The Album』85906580.7581🟢
5Rod Wave、全米1位75907078.7579🟢
6Jhené Aiko、初の全米1位80807578.5079🟢
7JAY-Z、欧州公演と「JAŸ-Z in 8」80708578.0078🟢
8MTV VMA80708076.5077🟢
9YAO「ありふれた世界の果てに」75708074.7575🟢
10JAY-Z、控訴棄却と告発の撤回90508574.5075🟡
11Drake『FOMO』90706074.0074🟢
12Future、初期ミックステープ5作70708073.0073🟢
13千葉雄喜「死ぬか生きるか」70707070.0070🟢
14MAGIC CITY TOKYO65707569.7570🟢
15Quavo『QRÖMELIFE』70706568.5069🟢
169月の金曜日のリリース群65707068.2568🟢
17RAPSTAR 202670657068.2568🟢
18Diddy、民事代理人の辞任申請80557068.2568🟢
19Pusha T、グラミーをめぐる発言70607568.0068🟢
20Yeat「ON NOTHING」75606566.7567🟢

16位から18位は算出値が同じ68.25で、CULTも70で並ぶため、MKTの高い順(70、65、55)に並べた。

次点──点数を付けて外した案件

案件ATTMKTCULT算出値
GADORO、大阪城ホールと福岡2DAYS65657066.50
yummma、初MV70607066.50
Daichi Yamamoto『Hakka』のゲスト発表60657566.25
Kewon White、有罪評決と量刑70458565.75
ちゃんみな「History」70656065.25
Jinmenusagi、初ワンマン発表60657064.75
50 Cent製作総指揮作、エミー受賞70557064.75

週次から月間への差分

月間の点数は、次の手順で付けた。

  1. 各案件の土台には、その案件を扱った週刊号の点数を使う。複数の週にまたがる案件は、算出値がいちばん高い週の点数を使う。
  2. 第35〜37号の採点には5点刻みではない値が含まれているため、月間版では各軸を最も近い5の倍数に補正した。この補正は、新しい事実による加減点とは分けて表に示す。第38号は5点刻みで採点されているため、そのまま使う。なお、この補正は元の採点根拠を採点し直したものではない。
  3. そのうえで、週刊号の締切より後に確定した事実がある軸だけを動かす。候補の顔ぶれが変わったことを理由に動かした値はない。
案件土台にした週刊号の値(ATT/MKT/CULT)月間の値動かした理由
Macklemore第37号 90/72/92 → 90/70/9090/75/909月24日、Free Palestine Tour(3都市のアリーナ公演、Live Nation扱い)を発表。第37号の締切後に発表され、第38号では採点していなかった動きを月間版で反映し、MKTを+5
Lil Durk第36号 98/62/96 → 100/60/95100/60/95補正のみ。9月29日の延期の見通しは報道段階のため、点数は動かさず確度を🟡とした。2027年8月30日への延期の報道(10月1日)は締切後のため、本文に追記し点数には反映していない
Ye第35号 86/82/78 → 85/80/8085/80/80補正のみ。第36号(興行収入、78/86/66)は算出値が低いため土台にしていない
『GTA VI: The Album』第37号 84/88/66 → 85/90/6585/90/65補正のみ
Rod Wave第36号 76/88/70 → 75/90/7075/90/70補正のみ。翌週の7位は第37号で採点済みで、新しい事実ではない
Jhené Aiko第36号 78/72/76 → 80/70/7580/80/75第37号は9月19日付・26日付のチャートを1項目で採点していた(MKT 82)。月間では案件ごとに分け、26日付の1位(74,000ユニット)をJhené Aikoの案件に移してMKTを+10
JAY-Z(公演と番組)第37号 78/70/84 → 80/70/8580/70/85補正のみ。第35号(ロンドン)、第36号(パリ)、第38号(第3・4話、80/65/85)は算出値が低いため土台にしていない
MTV VMA第36号 80/70/78 → 80/70/8080/70/80補正のみ。9月27日の受賞結果は、第36号で採点した配置を確かめる内容だったため動かしていない
YAO第35号 76/68/82 → 75/70/8075/70/80補正のみ
JAY-Z(訴訟)第36号 80/52/78 → 80/50/8090/50/859月25日、告発者が宣誓供述で撤回し、28日に再審理が申し立てられたと報じられた。週刊号では扱っていない新しい事実。複数の主要媒体が報じたためATTを+10、告発者本人の撤回で事件の記録が変わったためCULTを+5
Drake第37号 90/70/62 → 90/70/6090/70/60補正のみ。10月1日の配信は告知済みだが、締切時点では実施前のため、配信実績としては加点していない
Future第35号 72/70/82 → 70/70/8070/70/80補正のみ
千葉雄喜第38号 70/70/7070/70/70変更なし
MAGIC CITY TOKYO第38号 65/70/7565/70/75変更なし
Quavo第36号 70/70/64 → 70/70/6570/70/65補正のみ。27日の試聴会で流れたOffsetとの未発表曲は、発売前のため動かしていない
9月の金曜日第37号 66/70/68 → 65/70/7065/70/70補正のみ。第35号(9月4日)、第36号(11日)、第38号(25日)は算出値が低い
RAPSTAR 2026第36号 70/66/68 → 70/65/7070/65/70補正のみ
Diddy第37号 78/54/70 → 80/55/7080/55/70補正のみ
Pusha T第35号 70/60/76 → 70/60/7570/60/75補正のみ
Yeat第35号 74/58/66 → 75/60/6575/60/65補正のみ
GADORO第38号 65/65/7065/65/70変更なし。第37号(大阪城ホール、64/62/74)より算出値が高い第38号を土台にした

週刊号の扱いと変えた点

  1. Tay Keith:第37号では、検視局による死因の認定として順位に入れていた。月間版では、同じ月に亡くなったTone Capone、Buc Wild、誠の訃報と一緒に「追悼と記録」にまとめ、順位からは外した。
  2. Super Bowl LXI:第37号では🔴[観測]として順位に入れていた。方法論の規則(公式確認のない観測情報は順位外)に従い、第38号と同じく継続観測とした。
  3. Ella Langley「Choosin’ Texas」:第38号では[参考]として扱った。ヒップホップの外の記録なので、月間版では順位に入れず、Drakeの項で触れた。
  4. キーフ・D:第35号1位は8月31日の評決と、その後の発言をまとめて採点していた。評決は8月号で扱ったため、月間版では評決後の発言だけを短信に置き、二重には数えない。
  5. The GameとBillboard 200(9月5日付):第35号で扱ったが、作品の発売と初週の集計が8月のため、月間版の順位には入れない。
  6. JAY-Z「JAŸ-Z in 8」第6話:第38号ではKanye Westへの言葉を報道ベースとして🟡にした。月間版は第6話の内容に触れず、9月中に配信された第4話までで書いたため🟢とした。

選定基準

  1. 2026年9月1日〜30日(日本時間)に、実際の発表・発売・公演・司法上の判断があった
  2. 米国と日本のシーンを同じ物差しで比べられる
  3. 話題量に加えて、市場または文化の座標を動かした
  4. 公式発表、一次資料、主要報道、HIPHOPCsの取材で事実を確認できる

訃報は順位化しない。自社の記事は自社の指数で採点しない。公式確認のない観測情報は、順位に入れず継続観測とする。

主要参照

Deadline、Pollstar、Global News、ABC News(Macklemore)/Rolling Stone、ABC7、HotNewHipHop(Lil Durk)/Pollstar(Ye)/Rockstar Games、Warner Music(GTA VI)/Billboard(Rod Wave、Jhené Aiko)/Just Jared、AllHipHop(VMA)/ABEMA TIMES(YAO)/HotNewHipHop(JAY-Zの訴訟、Drake、Future、Pusha T、Yeat)/KAI-YOU(千葉雄喜)/PR TIMES(RAPSTAR)。

司法に関わる記述では推定無罪を前提とし、捜査、起訴、評決、量刑、控訴を区別した。係属中の事件では、双方の主張と裁判所の判断を分けて書いている。

情報確認締切:2026年9月30日。公開後に点数や事実を改めるときは、変更前後と理由を本稿に記録する。

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