ちゃんみなとは何者か──「NO」を歌詞から審査基準へ変えた10年
2017年のメジャーデビュー曲は「FXXKER」だった。メジャーに行けば丸くなるのではないか。周囲のその心配への返事が、そのまま曲名になった。
2021年の「美人」で、ちゃんみなは初めて歌詞の主語に「WE」を置いたという。2023年に始めたオーディション「No No Girls」の呼びかけは、こうだった。身長、体重、年齢はいりません。
2025年、そこから生まれたHANAの「ROSE」はBillboard JAPAN Hot 100で首位を取った。2026年7月には、ちゃんみな自身が初の東京ドーム公演を2日間とも完売させた。
首位も完売も、いまの規模の話だ。この記事が追うのは規模ではない。
ちゃんみなは、自分に貼られたレッテルを曲の中で拒んだ。そして、その拒み方を、次の歌い手を選ぶ仕組みにまで変えた。「私を決めるな」という一人称が、「誰かを外見で決めない」という審査基準になった。10年で変わったのは動員数だけではない。
30秒でわかる、ちゃんみなとは何者か
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名義 | ちゃんみな/CHANMINA |
| 生年・ルーツ | 1998年、韓国生まれ。幼少期に日本・韓国・米国を行き来し、小学校入学頃から20歳頃まで東京・練馬区の光が丘で暮らした。[Numero TOKYO/練馬区公式] |
| 表現 | 日本語・韓国語・英語を使うラッパー/シンガー。ラップ、歌唱、作詞作曲、映像やライブの演出を横断する。[現公式プロフィール/Warner Music Japanプロフィール] |
| メジャーデビュー | 2017年2月1日「FXXKER」。同年3月8日に1stアルバム『未成年』。[デビュー時本人取材] |
| 制作・レーベル | 2023年に自身のレーベルNO LABEL MUSICを始動。2025年4月、レーベルを掲げたままソニー・ミュージックレーベルズへ移籍。[Warner Music Japan/本人公式] |
| プロデュース | BMSGと「No No Girls」を実施し、7人組HANAを送り出した。HANAの楽曲、MV構成、衣装やメイクにも関わる。[2025年5月の本人取材] |
| 2026年の現在地 | 「Never Grow Up」「ハレンチ」「SAD SONG」「B級」の4曲がオリコン週間ストリーミング集計で累積2億回を超え、7月11・12日の初東京ドーム公演は両日完売。[ORICON NEWS/東京ドーム公演公式] |
| 公式・配信 | 公式サイト/X/Instagram/Apple Music |
正確な誕生日、本名、家族の詳細は、この人物像を理解するために必要な情報ではない。プロフィール欄は、本人取材と公式資料で確認でき、作品と土地に結びつく範囲に留める。
光が丘の体育館裏──「ひとりで作る」時間が先にあった
ちゃんみなの出発点を、ラップバトルだけに置くと一段抜ける。
練馬区の本人インタビューによれば、日本での生活拠点は光が丘だった。小学校4年生頃から高校3年生まで、光が丘公園の体育館裏で一人、ダンスを練習していたという。歌手になるにはダンスも必要だと考え、夢のための準備を続けた。
これは後年の成功を予告する美談ではない。ここで残るのは、デビュー前から「自分がどう見え、どう動き、どう歌うか」を一人で組み立てる時間が長かったという事実だ。
2017年の本人取材では、「FXXKER」のミュージックビデオの内容も自分で考えたと説明している。ちゃんみなにとって曲は、録音された声だけでは完結しない。身体、映像、言葉、舞台上の見え方までを一つの表現として扱う。その作り方は、後のHANAプロデュースにも反復されているように見える。
最初の「NO」──“JKラッパー”という名札
CINRAの本人取材は、ちゃんみなのメディアデビューを2016年の「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」としている。翌年、「FXXKER」でメジャーデビューした。
そこで付いた名札が「JKラッパー」である。年齢と性別を一瞬で伝える便利な言葉だ。
だが本人は2025年5月のBillboard JAPAN本人取材で、それが「色物」としての消費につながったと振り返っている。ミュージシャンとして見られない。そこで傷ついたという。
ただし、「FXXKER」が「JKラッパー」「色物」という見られ方のすべてに直接応答した、とまでは言えない。
デビュー時の取材で本人が説明したのは、メジャーへ行けば丸くなるのではないか、作りたい曲を作れなくなるのではないか、という周囲の心配だった。曲名には、所属の規模にかかわらず、自分のしたいことをするという意思を込めたという。
ここでは、メジャーとインディーの優劣が争点ではない。誰が自分の表現を決めるのかが争点だ。
ちゃんみなの初期衝動は、単に「反抗的」なのではない。外から与えられたカテゴリーと、自分で決めた表現のあいだに線を引く。その決定権への執着が、作品を貫いている。
ヒップホップは、音の型ではなく決定権だった
1stアルバム『未成年』には、ラップだけでなく歌を前に出す曲も入った。デビュー時から、ちゃんみなは一つのジャンルの音型に収まっていない。
同じ2017年の取材で、本人はヒップホップを音楽ジャンルだけではなく、姿勢や精神として捉えている。だから、歌唱の比率が増えたことを「ヒップホップから離れた」と単純には扱えない。
彼女の作品で反復されるのは、特定のドラムパターンではない。
- 他人に決められた価値を、そのまま受け取らないこと
- 弱さや醜さとされた部分を、自分の言葉で名づけ直すこと
- ラップ、歌、映像、衣装のどれを使うかを、自分で選ぶこと
この三つである。
その意味で、ちゃんみなのヒップホップ性を「ラップを何割しているか」より、表現の決定権を誰の手に置くかに見いだしたい。
「美人」で、主語がIからWEになった
2021年の「美人」は、ちゃんみなの仕事が一人称から他者へ開いた転機として読む。
CINRAの本人取材では、デビュー当時に容姿をめぐる中傷を受け、その後、外見を称賛されるようになっても違和感が消えなかった経緯が語られている。否定から肯定へ評価が変わっても、他人が本人の価値を決める構造は変わらないからだ。
本人がそこで示した「美」の考え方は明快だった。流行や他者の要求に合わせるのではなく、自分が望む姿を自分で設計できること。その判断を人に預けないことだ。
さらに本人は、CINRAの取材でこう説明している。
この曲ははじめて「人を救いたい」と思って作った曲なんですよね。
歌詞の主語についても、同じ取材でこう話している。
<We’re fxxking women>みたいに主語に「WE」を置いたのも初めてだと思います。
この変化が大きい。
「FXXKER」は、メジャーへ行っても自分を変えないと歌う曲だった。「美人」は、自分の傷を隠さずに差し出しながら、同じ構造に傷つく誰かを主語へ入れた。
一人称を捨てたのではない。Iを掘り切る過程の先で、WEへ接続したように見える。
後のNo No Girlsは、突然始まった企画ではない。「美人」で起きた主語の変化を、選考の現場まで運んだものとして読む。
ただし、本人が「美人」とNo No Girlsを直接の因果として説明した発言は、本稿の確認範囲にはない。両者をつなぐのは、2025年の本人取材で語った「参加者に自分と同じ思いをさせたくない」という動機である。ここから先の接続は、二つの本人発言を年代順に置いたHIPHOPCsの解釈だ。
No No Girls──拒絶された経験を、審査基準へ変える
BMSGとちゃんみなが「No No Girls」を発表したのは2023年11月4日。募集は同日から2024年1月31日まで行われた。
BMSGの公式発表は、企画の起点を、ちゃんみな自身が長く「NO」と言われてきた経験に置いている。オーディション公式サイトに掲げられた言葉は短い。
身長、体重、年齢はいりません。ただ、あなたの声と人生を見せてください。
これは努力や技術を見ないという意味ではない。身長、体重、年齢を入口の条件から外す、というだけの話だ。だが、それだけの話が日本のオーディション告知では珍しい。
公式サイトによれば、日本だけでなく韓国や米国などから7,000通を超える応募が集まった。入口を広げても、審査の重さが消えたわけではない。
一般的なオーディションと違う、と称賛するだけでは足りない。No No Girlsの固有性は、ちゃんみなの過去の痛みが、そのまま合格者への同情にはならなかった点にある。
本人は2025年の取材で、参加者に自分と同じ思いをさせたくないと考え、自分が渡せるものをすべて渡そうとしたと語る。一方、審査する側には泣いている参加者より先に感情を崩さない責任があるとも説明した。
共感はあっても、審査はなくならない。痛みを知ることと、全員を合格させることは別である。
ちゃんみなが行ったのは、選ばないことではない。何を見て選ぶかを変えることだった。外見の規格より、声と歩んできた人生を見る。かつて自分へ向けられた「NO」を、次の世代へ機械的に転送しないための基準を作った。
この一連の配置が、ここに「歌詞から制度へ」という移行を見る理由である。
HANA──プロデューサーの成功条件は、自分の名前が外れること
HANAは、CHIKA、NAOKO、JISOO、YURI、MOMOKA、KOHARU、MAHINAの7人組である。グループ公式サイトも、No No Girlsから誕生したと明記している。[HANA公式プロフィール]
7人が決まったのは2025年1月11日、Kアリーナ横浜の最終審査だった。[Billboard JAPAN]
4月2日にメジャーデビュー曲「ROSE」を配信。4月9日公開のBillboard JAPAN Hot 100で総合1位となった。[Billboard JAPANチャート記事]
初週はダウンロード2位、8,781,853再生でストリーミング2位、ラジオ17位、動画1位。話題性だけの首位ではない。複数の聴取経路で同時に票を集めている。
ただし、HANAの成果を「ちゃんみなの分身が売れた」と理解すると、プロデュースの目標を逆に読むことになる。
本人は2025年5月のBillboard JAPAN取材で、HANAに作詞作曲からライブ演出まで自分たちで担ってほしいと語っている。最終的には「ちゃんみなプロデュース」の看板を外したいという。
プロデューサーの名前は、ブランドとして前面に残ることがある。だが、彼女が置いた成功条件は反対だ。自分の色を複製し続けることではなく、7人が自分たちの判断を持ち、自分の名前を必要としなくなること。
それは、「FXXKER」に見いだした原則と一致する。
自分の表現を他人に決めさせない。だから、育てる相手の表現も、いつまでも自分が決め続けてはいけない。ちゃんみなのプロデュースは、支配を完成させる仕事ではなく、決定権を引き渡すための仕事として設計されている。
「ROSE」のチャート首位より、この出口の設定のほうが彼女の人物像をよく示す。
NO LABEL MUSIC──ラベルを持ちながら、ラベルを外す
レーベル名が初めて世に出たのは、ステージの上だった。
2023年3月21日、横浜アリーナ。自身最大規模のワンマン「AREA OF DIAMOND」のMCで、4thアルバム『Naked』を新レーベルNO LABEL MUSICから出すと発表した。[Rolling Stone Japan]
ワーナーミュージック・ジャパン内に立ち上げたレーベルである。[Warner Music Japan]
2025年4月2日、ちゃんみなはそのレーベルを掲げたまま、ソニー・ミュージックレーベルズへ移籍した。所属先は変わったが、レーベル名は持っていった。2017年の「メジャーへ行っても自分は変わらない」という言葉と、ここでも行動が対応する。
ここで、レーベル名だけから思想を断定するのは危険だ。本人が名称の由来を説明した一次資料なしに、「すべてのラベルを否定するための名前」とは書けない。
確認できる行動は、より具体的である。
メジャーへ行っても自分の表現を手放さないと歌った。容姿をめぐる外部評価を「美人」で問い直した。No No Girlsでは外見の規格を入口から外した。HANAについては、自分のプロデュース名さえ将来外したいと語った。
NO LABEL MUSICという名前と、これらの行動は響き合う。だが、名前が行動を証明するのではない。10年にわたる行動が、その名前に輪郭を与えている。
4曲の2億回──一発の話題ではなく、カタログが残った
ちゃんみなの規模を、SNSの話題量だけで測る必要はない。楽曲が時間をまたいで聴かれていることを示す数字がある。
2026年7月15日発表のオリコン週間ストリーミングランキングで、「B級」の累積再生数が2億72.7万回に達した。「Never Grow Up」「ハレンチ」「SAD SONG」に続く自身4曲目の2億回突破である。[ORICON NEWS]
同じ集計を報じたCDJournalは、週間99万550回、累積200,726,863回と数字を出している。
「B級」は2023年のアルバム『Naked』収録曲である。独立した配信シングルではなく、アルバムの一曲として世に出た曲が3年以上かけて2億回へ届いた。新作公開時の瞬間風速とは別の強さが見える。
4曲は同じ時期の同じ音ではない。
- 「Never Grow Up」と「SAD SONG」は2019年
- 「ハレンチ」は2021年
- 「B級」は2023年
作った時期の違う曲が、後から同じ線を越えた。この4曲で支持の理由がすべて説明できるわけではない。ただ、新作時のバズだけでは足りない、と見る材料にはなる。
数字の扱いは分けておく。公式プロフィールは「Never Grow Up」を「2021年7月に総ストリーミング回数が1億回を超えた。(現在は3億回超え)」と書いている(2026年8月17日確認)。ただしこの3億回には、どのサービスを合算したのかも、いつ到達したのかも書かれていない。
オリコンの2億回はランキング集計の累積で、集計対象も発表日もはっきりしている。範囲の分かる数字と、分からない数字である。並べも足しもしない。
初の東京ドーム──到達点ではなく、表現の受け皿が広がった
2026年7月11・12日、東京ドーム。公演名は「AREA OF DIAMOND FINAL」だった。公式特設サイトは、両日ともSOLD OUTと表示している。
会場の規模は、当日を見たレポートが書いている。THE FIRST TIMESは「4万2,000人が拳を突き上げ」と記した。
ORICON NEWSの7月13日のレポートにも、同じ4万2000人が出ている。
ただし、2日間の合計を8万4000人とは書かない。この数字はどちらも1公演の場内の人数として出たもので、主催者が2日分の総動員として発表したものではない。確認できるのは、両日完売と、1公演あたり4万2000人という規模までだ。
東京ドームを、ラッパーがポップスターになった証拠として語るのも十分ではない。
ちゃんみなの作品は、ラップと歌、日本語と韓国語と英語、告白と演出を分けずに進んできた。ドームは、その混在を薄めた証拠ではない。混在したままの表現を受け止める観客の数が増えた、という結果である。
公演名も見ておきたい。「AREA OF DIAMOND」は、2023年3月の横浜アリーナ公演の名前である。自分のレーベルを発表したのも、その舞台だった。
3年後、自身最大の会場に掲げたのは、その名前の「FINAL」だ。看板を頂点で長く使い続ける付け方ではない。ただしこれは公演名からの読みで、本人の説明ではない。
光が丘公園の体育館裏で一人ダンスを練習していた人が、東京ドームで二日間の舞台を作った。その間に広がったのは観客数だけではない。曲から映像へ、単独公演へ、そして別の歌い手のプロデュースへと、表現を置く器そのものが大きくなった。
2026年に止まった時間──病気を成功譚へ回収しない
東京ドームの約1か月前、公式サイトが診断名を出した。「甲状腺機能低下症に伴うのどの不調」。医師の指導のもと療養が必要になったという。6月13日のMUSIC AWARDS JAPAN 2026では、予定していたパフォーマンス出演を見合わせた。
その後、東京ドーム公演は実施された。ただし、それを「復帰」と呼ぶ公式発表はない。療養がいつ終わったのかを告げる続報も、公式サイトには出ていない。
本稿が確認できた範囲のライブレポートにも、本人が客席へ体調を説明した場面は記録されていない。残っているのは、THE FIRST TIMESが伝えたこの一言だ。
このライブが終わったらしばらくライブはしないんだけど、私と一緒に最高に楽しんでほしいです
止まることを、ステージの上で先に告げている。
ここから「完全に回復した」とは書けない。公演を行えたことと、疾患が治癒したことは同じではない。病気を、東京ドームをより劇的に見せるための逆境にも使わない。
同じ2025年5月の取材でも、本人はこう話していた。強い人として見られる。実際にはぎりぎりの状態で動いていることがある。
2026年2月のNumero TOKYO本人取材では、生活を犠牲にすると音楽を作れないため、新作を急がないようスタッフと話したと説明している。
「WORK HARD」という曲名や、責任を語る言葉だけを拾って、働き続ける人物像を美化しないことが必要だ。ちゃんみなが守ろうとしてきた決定権には、止まる判断も含まれる。
『LEGEND』は「発売済み」にしない
2026年1月30日、公式サイトは新アルバム『LEGEND』を「今春」リリースすると発表し、制作中だとした。
だが2026年8月17日時点で、公式ディスコグラフィにもApple Musicにも『LEGEND』はない。
公式ディスコグラフィの最新項目はシングル「TEST ME」(6月24日)。Apple Musicのアルバム欄も、2023年の『Naked』が最後である。
告知された「今春」は、すでに過ぎている。だから本稿は「今春リリース済み」とも「2026年リリース確定」とも書かない。確認できるのは二つだけだ。1月に制作と春の発売予定が告知されたこと。8月半ばの時点で、発売日も発売済み作品も確認できないこと。
これは人物評価の傷ではない。予定と実績を分けるための更新点である。公開直前に公式サイトを再確認し、新発表があれば時制だけを更新する。
まず聴くなら、この5つの入口
- 「FXXKER」 — ここで、メジャーへ移っても表現の決定権を渡さないという最初の宣言に位置づける曲。自ら構想したMVまで含めて見る。
- 「Never Grow Up」 — 初期の反抗的な像だけでは見えない、歌とメロディの強さが長期的な支持へつながった代表曲。
- 「美人」 — ここで、自分の痛みを語るIから、同じ構造に傷つく人を含むWEへの転機と読む曲。No No Girlsより先に聴くと、企画の根が分かる。
- 「NG」 — No No Girlsのテーマ曲。拒絶を受けた側の言葉が、次の人を導く責任へ変わった段階を聴ける。
- HANA「ROSE」 — ちゃんみなの歌唱曲ではないが、プロデューサーとしての仕事を外せない一曲。自分の声ではなく、7人の声をどう立ち上げたかを見る入口になる。
再生数順ではない。「私を決めるな」から「あなたの声を見せて」、さらに「いつか私の名前を外して」へ進む順番で選んだ。
年表:1998–2026
- 1998年 — 韓国に生まれる。幼少期は日本・韓国・米国を行き来する。[Numero TOKYO/練馬区公式]
- 小学校入学頃〜20歳頃 — 東京・練馬区光が丘を日本での生活拠点とする。小4頃から高3頃まで、光が丘公園の体育館裏で一人ダンスを練習。[練馬区公式]
- 2016年 — 「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」でメディアデビュー。17歳で制作した「未成年 feat. めっし」「Princess」も評価される。[デビュー時本人取材/CINRAプロフィール]
- 2017年2月1日 — 「FXXKER」でメジャーデビュー。3月8日に1stアルバム『未成年』。[デビュー時本人取材]
- 2019年8月7日 — 2ndフルアルバム『Never Grow Up』。「Never Grow Up」は後に総ストリーミング3億回超と公式プロフィールに記載される。[Warner Music Japan/公式プロフィール]
- 2021年4月 — 「美人」。本人が初めて明確に人を救いたいと思い、主語に「WE」を置いた曲と説明。[CINRA本人取材]
- 2021年10月15日 — 日本武道館で初の単独公演「THE PRINCESS PROJECT – FINAL -」。[公式特設サイト]
- 2023年3月21日 — 横浜アリーナでワンマン公演「AREA OF DIAMOND」。MCで新レーベルNO LABEL MUSICと『Naked』を発表。[公式プロフィール/Rolling Stone Japan]
- 2023年4月26日 — 新レーベルNO LABEL MUSICからアルバム『Naked』。「B級」を収録。[Warner Music Japan/ORICON NEWS]
- 2023年11月4日 — BMSGとNo No Girlsの開催を発表し、応募受付を開始。[BMSG公式]
- 2024年4月 — ぴあアリーナMMで2日間公演を行う。[本人公式プロフィール]
- 2024年10月4日 — YouTubeでNo No Girlsの本編配信が始まる。テーマ曲はちゃんみな「NG」。[オーディション公式]
- 2025年1月11日 — 最終審査で7人組HANAが誕生。[Billboard JAPAN]
- 2025年4月2日 — NO LABEL MUSICを掲げてソニー・ミュージックレーベルズへ移籍。同日、HANA「ROSE」を配信。[本人公式/Billboard JAPAN]
- 2025年4月9日 — 「ROSE」がBillboard JAPAN Hot 100で総合1位。[Billboard JAPAN]
- 2026年1月30日 — 新アルバム『LEGEND』を春に出す予定と公式発表。8月17日時点で発売確認が取れないため、未発売扱いを維持。[公式発表/公式ディスコグラフィ/Apple Music]
- 2026年6月8日 — 甲状腺機能低下症に伴うのどの不調と、MUSIC AWARDS JAPANでの歌唱見合わせを発表。[公式発表]
- 2026年7月11・12日 — 初の東京ドーム公演。公式特設サイトで両日完売。1公演の場内は4万2000人とライブレポートが記す。[公式特設サイト/THE FIRST TIMES/ORICON NEWS]
- 2026年7月15日 — 「B級」がオリコン週間ストリーミング集計で累積2億回を超え、4曲目の同到達作となる。[ORICON NEWS]
ちゃんみなをどう評価するか
「日本語ラップとポップスの境界を越えた」「女性ラッパーの道を広げた」。どちらも間違いではない。だが、それだけでは他の先駆者にも当てはまる。
ここでちゃんみなの評価軸として置くのは、「NO」と言われた経験の扱い方を四回変えたことだ。
最初は、言ってきた側へ曲で言い返した。「FXXKER」である。
次に「美人」で、自分と同じ形で傷つく人を主語に入れた。
三度目のNo No Girlsでは、何を見て選ぶかという審査の側の条件を自分で書いた。言い返す人から、選ぶ人へ移った段階だ。
四度目が、まだ途中にある。HANAに対して、いずれ自分の名前を外す出口まで用意しようとしている。
この流れは、反抗から権力への移動としても読める。審査する側、レーベルを持つ側、巨大な会場を動かす側になれば、自分も誰かに「NO」を言う。その権力を持った後に、どの基準を使い、いつ手放すのか。現在のちゃんみなを評価する核心はそこにある。
HANAの自立が実際にどこまで進むかは、まだ結果が出ていない。No No Girlsが音楽業界の標準を変えたとも、現時点では断定できない。東京ドームの完売が、すべての選択の正しさを証明するわけでもない。
それでも、10年間の資料から確認できる一本の線はある。
ちゃんみなは「NO」と言われなかった人ではない。「NO」を言われた経験を、自分だけが通過する武勇伝で終わらせず、次の人を見る基準へ変えた。その基準が本人なしでも残るところまで進めるか。彼女の次の評価は、売上だけでなく、その引き渡しが成功するかで決まる。
資料と線引き
本文に引用符で入れた本人発言は、2026年8月17日に出典ページ本文で文言を照合した。初期の意思決定は2017年のデビュー時本人取材に拠った。「美人」の制作意図は2021年のCINRA本人取材。
No No GirlsとHANAの方針は、BMSG公式と2025年のBillboard JAPAN本人取材で照合した。HANAのメンバー構成はグループ公式プロフィール、最終審査の日付と会場はBillboard JAPANの報道による。
HANAから将来「ちゃんみなプロデュース」の看板を外し、完全自立を目指す方針は、同じ2025年の本人取材で確認した。作品、レーベル、ライブ、健康状態は本人公式、チャートはBillboard JAPANとORICON NEWSの各集計に限定した。
「NOを歌詞から審査基準へ変えた」「IからWE、WEから制度へ」「プロデュースは決定権を引き渡す仕事」「歌詞から制度へ」。これらはHIPHOPCsの解釈である。本人の複数時点の発言と公表済みの施策をつないだもので、本人の発言としては書いていない。
また本文で鉤括弧に入れた「私を決めるな」「あなたの声を見せて」「いつか私の名前を外して」「ひとりで作る」は、作品や施策の主旨を本誌が一語に畳んだ見出し語である。本人の発言でも、歌詞の引用でもない。曲名・作品名の鉤括弧(「FXXKER」「美人」「B級」「NG」「ROSE」ほか)と、出典を明記した本人発言の引用とは、性質が異なるものとして区別している。
出生時の家族情報、結婚相手、子どもの性別、産後の個別症状は、人物像の材料にしない。本人が公表・取材で話していても、中心命題に不要な私生活は省いた。
2026年の疾患は、公式発表の診断名と出演見合わせ、東京ドーム実施までを記した。現在の治癒や就業可能範囲は推測しない。東京ドームを「復帰公演」と呼ぶ書き方も採らなかった。公式が使っていない言葉だからだ。
動員の4万2000人は、当日のライブレポートに出る数字である。主催者発表としては確認していないため、2日分を足していない。
『LEGEND』は、2026年1月の公式発表と8月17日時点の配信状況が一致していない。発売日が新たに告知された場合だけ、公開前に該当箇所と年表を更新する。