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【インタビュー】MEGA-G&Greedy on ILLBLOCKが語る“本物のラップ”とは?:The Most Underrated Peoples

インタビュー29 min read
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MEGA-G。2000年代の日本語ヒップホップシーンを代表するグループ「JUSWANNA」の一員として、その名を全国へ轟かせた実力派MCだ。

マイクを手にステージでラップするMEGA-G

名前の「G」が示す通り、ジャイアン級の圧倒的な存在感を放つラップ、緻密に組み上げられた押韻、そして一切ブレることのない硬派なスタイルで、長年シーンの第一線を走り続けてきた。

一方、クルーILLBLOCK CORNER MUSICの1人であり、オーセンティックなヒップホップを体現してきたMC、Greedy on ILLBLOCK。

レコード店内でマイクを手にするGreedy on ILLBLOCK

唯一無二の渋みを帯びた声と、芸術品のように研ぎ澄まされた言葉選び、そして美しく落とし込まれるライムセンスで、多くのラッパーからも一目置かれる「ラッパーが認めるラッパー」である。

そんな日本屈指の技巧派MC二人が、同じくILLBLOCK CORNER MUSICに所属するビートメイカー、H.A.D.E.Sとタッグを組み、待望のニューアルバムをリリースするとの情報をキャッチ。

そこで、HiphopCsの名物ディレクター兼マスコット、且つ業界に大変詳しいSam氏が二人のもとへ突撃。制作の裏側から互いへのリスペクト、そして作品に込めた思いまで、たっぷりと話を聞いた。

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自らを”過小評価である”と評する集団が改めて提示するHIPHOPの定義に迫る

Sam

宜しくお願いします!まずは自己紹介をお願いしてもよいでしょうか?

Mega-G

Mega-Gです。えーと、元々「JUSWANNA」というグループをやっていて、2010年ぐらいからソロで「BOOT BANG ENTERTAINMENT」という自分のレーベルをやりながら音楽活動してます。

Sam

よろしくお願いします。Greedyくんお願いします。

Greedy

えっと、「LOCOMOTIVATE」というレーベルで「ILLBLOCK CORNER MUSIC」所属のGreedy on ILLBLOCK。秋田横手が生んだ奇才、Greedy on ILLBLOCKです。よろしくお願いします。

Mega-G

自分で言うの、いいね(笑)。

Sam

じゃあまず、どんな幼少期を過ごしてきたか聞きたいんですけど…Mega-Gさん地元はどこですか?

Mega-G

地元は東京の大田区です。

Sam

大田区。どんな幼少時代を過ごして、どうやって音楽と出会いました?

Mega-G

えっとね、幼少期は基本的に親がゲーム機器とか買ってくれないような…そんな感じの家だったんで、その時からラジオとかで音楽すげえ聴いてて。なので、音楽に触れる時間は多かったかもしれないですね。

で、ヒップホップは中学上がってからスケーターの友達が結構できて、スケーターのたまり場に行った時にパンクとかヒップホップとかメロコア辺りの音楽を皆聴いてて、俺はその中でもヒップホップが一番かっこいいなと思って。

それで好きになったって感じですかね。

Sam

じゃあもう一番最初からヒップホップだったんですね。

Mega-G

最初はレゲエとか並行して聴いてましたけどね。

Sam

ラジオでレゲエとか流れてたんですか?

Mega-G

ラジオとか当時意外と流れてたり、テレビでも流れてました。

Diana King(ダイアナ・キング)の「Shy Guy」とか流行ってて、普通に地上波にDiana Kingが出てたりとか、バラエティ番組に参加しちゃうみたいなのとかありましたね。日本が豊かな時代だったんで、海外のアーティストもよく目にしてました。

Sam

Greedyくんはどうですか?

Greedy

俺はずっと小4からバスケ少年だったんですけど。

ILLBLOCKの初期メンバーの1人が兄貴の影響で結構早めにヒップホップ触れてて。ソイツが持ってきたShakkazombieとかBuddha BrandのCDを聴いて、小6で「ヒップホップやべえ」って。

それまで音楽とかあんまり興味なかったんですけど…ヒップホップ見つけて「あ、これはやばい」みたいな。

Sam

なるほどですね。これもう全員に聞いてるんですけど、幼少期に最初に影響されたアーティストって誰ですか?

Mega-G

それに関してはヒップホップじゃなくて、The Blue Heartsでしたね。

Sam

へぇ!日本人のアーティストだったんですね。

Mega-G

Blue Heartsは小学校の時から好きで聴いてて、詩の内容がすごい小学生ながらに「なんかぶっ飛んでるなぁ」って思ってて。言ってる内容はシンプルなのに、年を取れば取る程すごく響いてくるんですよね。

Sam

やっぱりブルーハーツってすごいんだな…。Greedyくんどうですか?

Greedy

それこそ完全にやられたのはBuddha Brand。

Nasとか海外のラップからも影響は受けたけど…やっぱり日本語ラップ。SCARS辺りの世代が俺らが高校生の時に活躍してたのでバチバチ喰らって。彼らが日本語ラップにおけるスタートですね。

音楽との出会いと初のレコーディングエピソード

Sam

そんな感じで音楽と出会って、どんな経緯があって今に至るのでしょうか?レコーディングできる環境はどのように手に入れました?

Mega-G

最初の最初は、中三ぐらいの時に「デモテープをまず作ろう」ってなって。

同級生の兄ちゃんがDJやってて、幹線道路まで響くぐらい…隣に住んでる人が全員引っ越しちゃうくらいの爆音でDJやってる先輩だったんですけど。

その人に監禁されて「とにかくお前は日本語ラップを聴くな」って言われて。

Sam

マジっすか?(大爆笑)

Mega-G

マジっす。「MICROPHONE PAGER(マイクロフォンペイジャー)以外は聴いちゃダメ」って言われて。

ぺイジャーだけ限定的にOKで、あとは洋楽しか聴かせてもらえないみたいな。で、ひたすら聴いた中で「Bigge(ビギ―)すごいですね」って言ったら「Biggie歌えるようになってこい」って言われて。

「え?」 って、英語も喋れないのに(笑)。で、最初は多分Biggieのカバーを作りましたね。

Sam

マジっすか?(二度目)

Mega-G

英語分からないなりに自分の聴感だけで作って。ヘッドホンをマイク代わりにミキサーでデモテープ作ったって感じです。

Sam

いや、すごい面白いですね。Greedyくんはどうやって?

Greedy

レコーディングは地元で最初だったんじゃないかなってくらい早かったですね。

自分も高校1年くらいにはリリック書いたりしてて。結構俺の周りは特殊な環境だったなって今は思うんだけど、秋田の田舎にしてはそのB-BOYの人口がすごい多くて。

Sam

その一帯だけですか?

Greedy

その一帯というか俺たちの周りで。今のILLBLOCKとか 、T2Kの元々やってたThe LoyaltyにいたSHY-P.O.Pってラッパーとかも地元から東京に行って。ソイツ追っかけて自分も東京によく遊びに来て…みたいな流れになってくるんだけど。

地元でリリックを書いてはいたけど、まともな活動とは言えなくて。18歳で上京してきて、今はBLOODY ANGLEで専属DJとかやってるLostface (ロストフェイス)と宇田川で出会って、その頃に初めてプリプロっていうものをちゃんと録りました。

Sam

18歳ですか!当時からすると早いですよね。

Greedy

ですね。縁があって宇田川にSHY-P.O.Pが出てきたり、T2Kと出会ったり、ラッパーとしてのライフスタイルを確立してた人とも早めに触れ合うことができたので、人には恵まれてたかもしれないです。

ブッ飛んだ先輩の勇猛果敢(無謀)な行動

Sam

なるほどですね。Mega-Gさんは先程「まずデモテープを作った」と仰ってたじゃないですか。そのデモテープはどうされたんですか?

Mega-G

そのめんどくさい先輩に今度は車で拉致られまして。

Sam

拉致とか監禁が多いんですね(笑)。

Mega-G

渋谷連れてかれて、ダビングしたテープ渡されて「このまま配りに行くぞ」って言って、マンハッタンレコードに乗り込んで「これ、今店舗でかけてよ」とか言い出すんです。

もうマジ恥ずかしくて「やめてください、なんでそんな罰ゲームみたいなことするんですか」って。

ソファに座りインタビューに答えるMEGA-G

Sam

え、それでかけてくれるんですか?

Mega-G

かけないです。「は?」って顔された(笑)。でも、Zeebraとか周りの人たちに渡しまくって、会う人会う人に覚えてもらったって感じですね。

Sam

それで、そのテープを聴いた人から話が広がって、ライブとかに呼ばれたりするようになるんですか?

Mega-G

っていうよりは、もう普通にファンとして常に現場に遊びに行って、楽屋に潜入してみんなの前でフリースタイルして、毎回ぶっ飛ばされて…みたいな(笑)。「お前うるせぇんだよ」って。

Sam

ぶっ飛ばされた人の中で印象的な人はいますか?「この人はやばかった」みたいな。というか…ぶっ飛ばされるっていうのはフィジカル的にですか?

Mega-G

フリースタイルじゃなく、フィジカルです。「ラッパーだったらフリースタイルしろよ」って言われたからフリースタイルしてたら「いい加減にしろ」って…それくらいフリースタイルしてたってことですね。

「俺の聴いてや」くらいの勢いで、時には酔っ払った挙句にZeebraに仕掛けに行くくらいに。

Sam

ああ、なるほど。やばいなそれ。

Greedy

やばいですね(笑)。

Sam

そこから音源を出すに至るにはどんな経緯があったのでしょうか。

Mega-G

そんなことばっかりしながら顔を広めてくうちに、Zeebraの弟の SPHERE OF INFLUENCEとイベントで会うことが多くなって、プライベートでも遊ぶことが増えたりして。

そんな折に、彼のセカンドアルバムで「ちょっとバース蹴って」って言われて、レコーディングしに行ったのがちゃんとした初めてのレコーディング。 それが 2003 とか。

その時のビートが元々UBG(URBARIAN GYM)だったD-Originooって人のビートだったんで、結構思い出深い。

Sam

俺、その頃小5です。今と当時のラッパーの出てき方が全然違いますね。今の子は自分たちで音源作って、自分から発信できるじゃないですか。でも、当時は繋がりを作らないといけなかったっていう。

多分、楽屋でフリースタイルされてる時も「うるせえよ」って言いつつ「上手ぇな」って内心思ってる人たちがいたってことですよね。だから呼んでもらえるようになったんだろうな…。

Mega-G

そんくらいカマさないと多分、本当に気づいてもらえなかった。

多分、90年代のヒップホップは見てる限り、どっかのクルーに所属しないとレコード会社までたどり着けないイメージが結構あって。雷家族とかUBGとか、それこそKREVAとかだったら FG(Funky Grammar Unit)とか大所帯があって、それらがレコード会社につながる入り口みたいなイメージがあったんですけど。

でも、それをぶっ壊したのがSEEDAだったんですよね。

Sam

へえ!

Mega-G

SEEDAはクルーとか全く入らない状態で、P-VINEといきなりディールしてソロ出したんで。年も1個上だったからマジで食らっちゃって。「ソロでもできるんだ」みたいな。

Sam

なるほどっすね。じゃあ、初めて自分名義の作品を出したのはいつ頃になるのでしょう?

Mega-G

それは2004年頃の話で。ずっと一緒に遊んでたDJ DOMMONってヤツがLibra Records ってレーベルからミックステープ出すっていう話があって。僕もフリースタイル要員で呼ばれたんです。

その時にいたのが自分とメシア(THEフライ)、漢くんとASHURA(THE GHOST)…あとはいなくなっちゃったんですけどキャメルってラッパー。あと川崎のYASってヤツもいたんですけど、みんなでフリースタイルしてて。

当時Libraの社長も現場にいて、いつも通り俺がテープとか録ってたんで「もうソロ作ってますよ」って売り込んだら「面白そうじゃん」って。 それで出したっていう感じです。

で、2006年に初めてJUSWANNAのEP出したって感じですかね。

Sam

メシアさんとはどうやって?そこで出会ったんですか?

Mega-G

メシアはもう地元の人間っていうかスケボー繋がりで、アイツはスケボーがプロ級に上手くて有名人だったんで、よくつるんでたっていうか。

彼が働いてたコンビニが深夜営業してたんで….裏カメラの位置とか調整してズラして、レシートにリリックとか書いてたり、フリースタイルとかして遊んでたって感じですかね。

Sam

いやぁ、面白い!ずっと聞いてられる話ですね。めっちゃ面白い。

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目の前で感じてきた日本語ラップ創世記

Sam

Greedyくんの初めてのその自分の作品、いくつでどんな感じで(リリース)?

Greedy

初めての作品は、自分の今のILLBLOCK CORNER MUSICとしての作品を出したのが 2010年で20歳とか。

元々は5人だったんだけど最終的に 3人になって、その3人で初めてミックステープを出した感じ。

今回のアルバムでビート作ってるH.A.D.E.Sっていうプロデューサー、あともう1人のラッパーがいたんですけど、その 3人で出してました。板橋のGunsmithのスタジオで作ったすね。

リョウさん(318)とペラちゃんにPVも撮ってもらって。

Sam

あの屋上みたいな場所が写ってるMVですよね。めっちゃ覚えてます。

Greedy

早朝に頑張ってK’sデンキの屋上駐車場の、屋根の上にみんなで梯子で機材載せて。隣のマンションのおばさんに見られて怪しまれたりしながら(笑)。

通報されて最終的に警察来たんだけど、リョウさんが「ちょっと軽く撮ってただけ」って言ってデータ必死に死守して、結局大丈夫だったっていう流れで撮れたやつ。

Sam

なるほど!それが初作品なんですね。リョウくんとはどこで出会ったんですか?

Greedy

それこそ、Samとも初めて会った池袋のBETでやってた『ELEVATION』でSquash SquadのVitoくんとかLootaくんに会って…。

で、そうだ!「レコーディングする場所を探してる」っていう話をしたら、彼らがリョウくんを紹介してくれたって感じだった。

Kohh(千葉雄喜)くんとかもいたよね、その時。

Sam

いるはずです。え、じゃあ千葉の方が先にいたんですか?

Greedy

俺らが初めてILLBLOCK で参加させてもらった時にはもうKohhくん(ELEVATIONに)出てたと思う。

Mega-G

「JUNJI TAKADA」とか出てた時?

Greedy

いや、もっともっと前です。売れる前かな…。

Mega-G

そうだよね。リョウのスタジオでKohhを紹介された時、多分彼は何も出してない時だったから。

Sam

マジですか?

Mega-G

多分。

Greedy

でもその『ELEVATION』っていうイベント、結構今思うと本当に…。

Mega-G

SIMONとかも出てたし。

Greedy

その後継…次世代みたいなヤツらが出始めてみたいな…俺もそんな感じで呼ばれて。

Sam

SIMONくん、ICE DYNAMITYも来てたし…あと誰だ? BESくんとかも来てたし。当時のイケてるメインストリームのアーティストさんがいっぱい来てましたよね。CHARIくんとTATSUKIくんとかもいたし。 やばいですね。

ソファで談笑するMEGA-GとGreedy on ILLBLOCK

JUSWANNAとしての活動と、MEGA-Gとしての活動

Sam

では、Mega-Gさんにお聞きしたいんですけども…。

Juswannaとして初の作品を出すことが決まった時は、普通に2人で「じゃあラップして作品出そうか」っていう感じで始まったんですか?それとも、誰か企画してる人とかがいたんですかね?

Mega-G

Juswannaって元々はDJ DOMMONとキャメルクラッチの2人がやってたDJチームで、俺とかメシアはフリースタイルで参加してただけだったんですけど、気づいたらクルーみたいになってた感じ。

でも、後になってキャメルが抜けてDOMMONもいなくなって、DJ MUTAっていうのが後に入ってきて最終形態になるって訳なんですけど。

Sam

そして、JUSWANNA初のアルバム『BLACK BOX』をリリースするに至るのですね。当時って、アルバム出すって結構大変なことだったわけじゃないですか。今と比べると踏む順序がすごく多そうな気がするんですけど。

大変なだったことって何でした?

Mega-G

当時はLibra Recordsだったんで、制作費とかは自分たちで捻出するとかはなかったんですけど、なんだろう?

挙げるとすれば…レコーディングでDev Largeさんとセッションした時にブースに1時間以上閉じ込められて、25 テイクぐらいやったことがあって。やった挙句に「一番最初のテイクが良かった」って言われて。

汗びっちょびちょで声もカスカスなってて…その時は、大変だなと思いました(笑)。

Sam

それはすごい大変だ(笑)。まぁそんな苦労も超えつつ出したアルバムですけど、変わりましたか?アーティスト人生。

Mega-G

そうですね。アルバム出して、ツアーで全国色々行かしてもらって…っていうのがもう二十年近く前の話になるんですけど。

未だにどっか行くと「あの時実は…」っていう話とか。「小学校の時、中学校の時に聴いてました」とか言われると自分の老いを感じるけど、その記憶をずっと引きずってくれてるっていうのは、マジでアーティスト冥利だし、嬉しい。

Sam

ですよね!俺もMega-Gさんのインタビュー決まってから、とりあえず一回『BLACK BOX』を聴いて、『ピエロスタイル』も聴きましたね。インタビュー許可頂けた時はめっちゃ嬉しかったです。

結構な月日が経ってもリスナーに「俺聴いてました」って言ってもらえるのって、Mega-Gさん的にどんなモチベーションになってますか?

Mega-G

もちろん。JUSWANNAは2010年に活動休止しちゃったんですけど、すぐにソロ出して。逆にソロやり始めの時はJUSWANNAの曲とか絶対やりたくなかった。プライドもあったし、その時の自分を見てほしかったんで。

でも、やっぱここ数年のライブはあえてJUSWANNAの曲やるようにしてますね。求めてくれてる人たちに求めてるモノを提供できないのは少しプロとして良くないなと思って。

Sam

いやぁ俺も聴きたいですもん、ライブで。

ソロになってもちろん変化はあったと思うんですけど、グループでやってた時と具体的にどんな変化がありましたか?

Mega-G

まず、やっぱ2MCってライブとかになるとサイドMCっていうか、助けてもらえるじゃないですか。1人になって自分で歌いきれるラップを書かなきゃいけなくなったので、それが大きい変化ですね。

グループの時って「ここでちょっと休めるな」みたいなポイント作っちゃうんですけど、全部自分で成立させなきゃいけなくなったので。言葉の配置とかブレスが変わるとか、色々そういう細かい部分が変わりましたね。

Sam

なるほどですね。どっちの方が好きですか?

Mega-G

でも、もうソロの方が長くなっちゃったんで、そっちに慣れちゃったっていうのがありますけど。なんか今回(出すアルバム)みたいに2MC に戻ったりすると昔を思い出すっていうか。

Sam

そうか…ですよね。まあ1人で活動してて……例えば千葉(雄喜)は基本俺を隣につけてたんですよ。別に歌わないけど、とりあえず(何かあった時のため)のサイドMC だけやるみたいな。

そういうサイドMCは付けたりしなかったですか?

Mega-G

付けなかったですね。でも、逆に今思うとずっと付けとけば良かったなと思いますね。Busta(Rymes/バスタ・ライムズ)におけるSpliff Star(スプリッフ・スター)みたいな。Super Hypeman(盛り上げ役)みたいなヤツがいたら、もっとエンターテイメント性が高くなったかなと思いますね。

俺も若い人に「こういう感じのお前らできないのか」って言うんですけど、あんまり興味無いみたいですよね。自分のことで精一杯みたい。

Sam

俺とか全然サイドMCだけでも楽しかったすけどねー。

Mega-G

それのプロとかいてもいいと思うんですよね。

アルバム制作に至った経緯

Sam

じゃあ、どうやってGreedyくんとMega-Gさんは出会ったんですか?

Mega-G

ここのタイミング。でも確実に接点は T2K。

Greedy

自分がその ILLBROCKとして動くキャリアの中で、T2Kくんが俺の兄貴分みたいな存在になってくれてて。

ずっとライブに呼んでもらってた中で、『Nostalzip』ってアルバムをまず2021年にT2Kと出して、恐らくそれくらいの時期に(MEGA-Gに)紹介してもらったと思うんですよね。もちろん、俺は一方的にずっと知ってたけど、めちゃくちゃOGなのでなかなか…。

でも彼を接点として、お互いにヒップホップ好きなところが一緒だったし話も合って、よく話すようになったっていう感じかな。

ソファに座りインタビューに答えるGreedy on ILLBLOCK

Sam

それでどういう風な流れでアルバム制作になっていくんですか?

Greedy

2024年にATSUKIさんっていうビートメーカーの方と『Bad Meets Evil』っていうEPを出して、その時に初めてMEGAさんと『Stealth』っていう曲を作って。

それから、『ILLVloods』っていうレコードディガー集団のプロジェクトに誘ってもらって、その中の「New Day」「Truth Spitter’s Blues」っていう2曲でも一緒に作って…っていう流れを経てって感じですかね。

Sam

今回の2人名義のアルバム『The Most Undarated Peoples』ですが、これはプロジェクトとしてはいつぐらいから始まってたんですか?

H.A.D.E.S

(ここでH.A.D.E.Sさん登場)でも『ILLVloods』終わりぐらいじゃない?

Greedy

そうですね確かに。だから、2024年の終わりか2025年の初めくらいかな。

俺がH.A.D.E.Sのビートで2024年の終わり頃に曲作って、MEGAさんに「作ってみたんですけど」って投げて…それが今回 MV 出してる「Walk on Fire」って曲。 それが完成してからはどんどん進んで。

Sam

なるほど。ちょっとH.A.D.E.Sくんにお聞きしたいんですけど、今回GreedyくんとMega-Gさんのアルバムのプロデュースってことで、どんなコンセプトを持ってプロデュースした感じですか?

H.A.D.E.S

今回は一応 MEGAさんとGreedyだったんで、まあ全体のコンセプトとしては2000年代とか、当時の音をちょっとイメージしながらアルバム通して作っていくって感じだったんですけど。

Sam

なんか今回、アルバム制作にあたって印象的だったことってありましたか?

H.A.D.E.S

ありましたね。MEGA さんはこのアルバムとは別に、恐らく自分のアルバムも作ってたと思うんですよね。

同時進行なのにすごい精度のリリックを仕上げてきて、週に1回とか会うと毎回バースできてて、フックの提案とか…すごい精度でそれをバチバチやってくるんで。その凄みを体感させてもらいましたね。

Sam

なるほどっすね。3人全員にお聞きしたいんすけど、特に印象に残っている曲はありますか?

インタビュー会場で話すH.A.D.E.S、MEGA-G、Greedy on ILLBLOCK、YTG Sam

H.A.D.E.S

10曲目に、スギウラダーブさんって名古屋の方に参加してもらった「Voice of the Heroes」って曲があるんですけど。

Sam

ほう、ちなみに何故でしょうか?

H.A.D.E.S

今まで作ったことないテイストの曲っていうか、サビに歌う人を起用するって今まであんまりなかったんです。それに扱ってるテーマも結構こう…日本語ラップ界で亡くなってしまった人の曲を引用しながら進めていく曲なんです。

H.A.D.E.S

Dev Largeさん、MAKIさん、KOSUMIさん、Nishidさんとかをちょっと散りばめてやったんですけど。

Sam

なるほど、「Voice of the Heroes」ですね。Greedyくんも一緒ですか?

Greedy

いや。これですね、そのスギウラダーブのトークボックス……今あんまりヒップホップでも聴かなくなってきたし、自分もこんな曲作ったことないんで。

Sam

多分、この記事読んでる人でトークボックスわからない人もいると思うんで、説明お願いします。

Greedy

あ、トークボックス。The Mammyの酒井貴士がやってるあの口に加えてやるやつです。アナログのオートチューンみたいな感じなんですかね。

Sam

あれか。昔のなんかウェストサイドのビートとかによく使われるような手法っていう言い方合ってるのかわかんないですけど。あれですよね。なるほど!

(曲を聴きながら)ああ、ここだ。

Greedy

このサビが最高なんですよねぇ。

Sam

ですねぇ。そして、そのアルバムが7月23日にリリースされたということで…『The Most Underrated Peoples』、つまり「最も評価されてない人たち」。

”評価されてない”って、誰のことですか?

Mega-G

この3人。

インタビュー会場のH.A.D.E.S、MEGA-G、Greedy on ILLBLOCK

Sam

そんなことない!絶対そんなことない!(笑)評価されてないとか絶対あり得ないですもん。ただ、自分たち的にはそう思ってるってことですよね。

Mega-G

現行のヒップホップシーンから当てはめるとそうかな。

Greedy

もっと見てくれってことですね。

Sam

間違いないですね。では、ひとまず23日にリリースして、それを記念したライブとかありますか?

Mega-G

26日に代官山のSALOONで、早速この2人とライブやります。

Sam

じゃあもうそれそのアルバムリリースで回る感じですね。

Mega-G

回れたらいいですね。

Sam

アルバムについて、加えて他に言いたいことがあれば教えて欲しいです。

Greedy

そうですね、リリック聴いてほしいかな。

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若きラッパーに思うこと

Sam

これは個人的に聞きたかった事なんですけど、どうすればそんなにラップ上手くなれるんですか?

いや、例えばですけど「Eminemはもうずーっと英語辞典読んでた」みたいな話とか聞いたことありますけど、Mega-Gさんはそういうのありますか?

Mega-G

あぁ…でも、やっぱ紙にライム書き溜めたり、最近だと個人的にはリズムとかの勉強したりとか。言葉のハメどころやリズムを意識したり、探究心があると上手くなるんじゃないかなと。

やっぱその興味があって、それを深掘りすればするほど良くなるんじゃないかなって。

Sam

なるほどですね。もう25年ぐらいやってらっしゃるからですかね。アーティストとしては。

Mega-G

ちゃんと音源出してからはもう20年ぐらい、ラップやってるのは30年ぐらいになっちゃうんで。

Sam

今、ラップやってる若い子たちに思うこととかあったら是非伝えてほしいです。MEGA-Gさんだから伝えられることがあると思うので。

Mega-G

やってる側っすよね…うーん。

Sam

俺も多分、18歳頃から業界に関わらしてもらって、なんだかんだ20年経つか経たないかぐらいで。今まで業界の人たちといっぱいお会いする機会を頂いてきましたけど…MEGA-Gさんは全然違う気がするんですよ。

Mega-G

ですね。

Sam

昔はもう少し怖いお兄さんたちがいっぱいいたような感覚もあったじゃないですか。

先程の話にも出てきたように、昔は自分で0から100を作るってことが難しい時代だったし、色んな人にお願いしながら皆で作品を作っていくみたいな。

でも、今の子ってビートメイクのところから楽曲配信までを1人で完結できるから…ってなると、やっぱ外との繋がりが無くなる訳で。言い方は少し厳しくなりますけど…「礼儀を知らないし、生意気だな」って思う子も正直いるんですよ。そういうのはどう思いますか?

Mega-G

まぁ確かに生意気だな(笑)。

Sam

別に生意気っていうのは俺の意見なんですけど(笑)。今回のアルバムにそういう思いは詰まった感じはあったりしますか?

Mega-G

詰まってるっていうか…まあ若い子に関しては、もう違う競技やってるって思ってる。自分がやってるのがペンゲームだとしたら、もうほんと違うソフトをやってるイメージだから。気にならないっていうか。

Sam

他ジャンル扱いみたいな?

Mega-G

ジャンル。俺と違うゲームやってる人たちっていうイメージ。だから別に気にしない。面白く見てる。あと、もし言えるとしたら……。

何て言うんだろ…音源はめちゃくちゃ良いのにライブ下手くそなやつ多いから。ライブ練習した方がいいと思う。あと、ライブDJは固定した方がいいと思います。やっぱコンビネーションとかあるし。

Sam

いや、でもちょっとわかるっす。なんかこう…ライブ中に目合わせるだけで「あ、コイツ今からアレやるな」みたいな、チームワークじゃないですけど。あるタイミングでFX入れてみたりとか、確かにそういうコンビネーションはあるかもしれないですね。

Mega-G

そういうクオリティを求めた方がもっと良くなるんじゃないかな。

Sam

DJをもっと大切にしてほしい…間違いないですね。Greedyくんは何かあります?Greedyくんも結構長いじゃないですか。

Greedy

でも、Megaさんがさっき言ったように”好奇心・探求心”…それが本当に大事だと思ってて。それは絶対に究極に大事だと思う。

Sam

俺もさっきアルバム聴かせて貰いましたけど、ほんと皆に聴いてほしいです。

好き嫌いとかは各々あるとは思うんだけど「ヒップホップの基本」が詰まってるっていうか…なんかもう「THE・ラップ」みたいな。「今の子たちにとってすごい勉強になる1枚だな」って思うようなアルバムだったので。

Greedy

俺も今回作ってる中で、毎回Megaさんがバースを早めに作ってきて「やべぇ」ってなって、必死に自分も作っていく中で腕を磨いた感じです。

Mega-G

俺も逆にGreedyのリリック聴いてから書き直すとかもあったんで。

Sam

マジですか!。それGreedyくん嬉しいですよね絶対(笑)。

Greedy

本当に、良い刺激になりました。

EXTRA PART 質問コーナー

Sam

バッッッコーン行ってほしいですね、本当に。

では打って変わって、結構クラブで会ったりする若い子に「アーティストさんに聞きたいことって何ですか?どんなこと聞いてみたい? 」って尋ねたりするんですけど、何個かあったので聴かせてください。

「売れる」と「かっこいい」って両立できると思いますか?

Mega-G

自分でクオリティコントロールできてれば両立できると思います。でも、レーベルとかに委ねたらできなくなると思います。

Sam

なるほど、深いですねめちゃめちゃ。今でも譲れない”ヒップホップの価値観”ってありますか?

Greedy

今でも譲れないヒップホップの価値観…でも、やっぱり”リスペクト”ですね。やっぱり、先駆者たちが作ってきたモノへのリスペクト。

Sam

「この人には負けたくない」と思わせてくれたラッパーはいますか?Mega-Gさんだと…すげぇビッグな OG の名前が出てきそうですよね。

MEGA-G

この人には負けたくない…まあ、年上で言ったらやっぱ(OZROSAURUS)のMACCHOくんは凄く影響受けましたね。

年下だと…年下っていっても1つぐらいしか変わんないですけど、MONJUとか。あの辺のヤツらは自分に近い感覚持ってるっていうか、好きな音楽似てるんだろうなぁって。求めている部分も少し似てる気がするので、すごい好きですね。

あとは…同い年でいうと、やっぱりAnarchyとかかな。

Sam

健太くん(Anarchy氏の本名)とタメなんですね!?

MEGA-G

そう。健太とタメで、やっぱりあんだけ良い位置にいるところを見ると、やっぱり悔しいなって思います。

Sam

そうですかー。

MEGA-G

でも、一度沖縄のSILVERBUCKさんのイベントで、その時健太も同じイベントにいたんですけど。

BUCKさんの横で「同い年なのに悔しいです」って言ったら「お前にはお前のポジションがあるんだよ」って言ってくれて、それからはあんまり気にしなくなりました。

今後の展望

Sam

とりあえず今回のアルバムを出すことができれば、1つストーリーが完結するじゃないですか。これからやりたいこととか、進めようと思ってることなどありますか?

Mega-G

まず、この2人と何箇所かライブ回れたらいいなって思ってますね。

赤い照明のステージで共演するMEGA-GとGreedy on ILLBLOCK
紫の照明のステージでライブを行うGreedy on ILLBLOCK
赤い照明を背にステージへ立つMEGA-GとGreedy on ILLBLOCK

Mega-G

自分もまたソロを違う形で出せたらいいなと思って作り始めてるんで、とにかく動きを止めずに出し続けられたらいいなって感じですね。

Sam

では最後に、この記事を見てくれるファンの方とかに向けて一言いただければ。

Mega-G

そうですね…。これが自分の考えるHIPHOPだと思うんで、こっちの”ペンゲーム”によかったら参加してください。

Greedy

結構、(このアルバムに)詰め込んだんで。俺の動力、パワーを注ぎ込んだので。聴いてもらえればわかると思います。聴いてください。

Sam

ありがとうございます。今日はありがとうございました。

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ヒップホップは、時代とともに形を変えながら進化し続けている。

今回、Samディレクターが本アルバムについて語っていた「ヒップホップの基本が詰まっている」「若い世代にこそ聴いてほしい」という言葉。その背景には、時代が変わっても決して失われることのない、ヒップホップの本質がある。

音楽の作り方も、届け方も、ラップスターが生まれる場所も、20年前とは大きく変わった。しかし、どれだけ環境やシーンが変化しても、変わらない普遍的な価値が存在する。

それは、ヒップホップへの愛情。先人たちへのリスペクト。そして、自分自身の言葉で何を伝えるのか、どれだけその表現に人生を注げるのかという覚悟だ。

MEGA-G氏とGreedy on ILLBLOCK氏が今回提示する本作には、長い年月をかけて磨き上げてきた技巧や経験だけでは語り尽くせない、二人が歩んできた時間そのものが刻まれている。

これは過去を振り返るための作品ではない。彼らが現在進行形のヒップホップとして、今を生きるリスナーへ提示する一枚である。

先人から受け取ったものを、深いリスペクトとともに自分たちの形へ昇華し、次の世代へ繋いでいく。その姿勢こそが、ヒップホップという文化が30年以上にわたり受け継がれ、今なお進化し続ける理由なのかもしれない。

評価されるためではなく、自分が信じるヒップホップを貫くために。

二人の”ペンゲーム”は、まだまだ続く。


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