「全くサグくないのもアイデンティティ」AUDIO RADICAL─元楽天管理職のロジックが、いかにしてHIPHOPシーンに食い込んだのか、【独占インタビュー】
取材・文:Rei Kamiya
般若、Kojoe、呂布カルマ、JESSE (RIZE / The BONEZ)、YDIZZY、Jinmenusagi、Playsson、Young Zetton、Kamui、HIZAGUTYA、ShowyRENZO、e5。
世代もスタイルも噛み合わない名前が並んでいる。そしてこの全員と制作しているのが、AUDIO RADICALというビートメイカーである。
2025年だけを見ても、6月に般若「konnichiwa」、9月にKojoeとの「HIGHER」、11月に呂布カルマとの「ICHIMOTSU」。ベテランからバトルシーンの中心人物まで、半年で射程を横断している。ジャンルの往復も同様に激しい。Boom Bap、Trap、RAGE、Hyperpop。
2026年8月4日にリリースされたe5との「noroi」はSpotify「Alt J Hiphop」「エレクトロポリス」、Apple Music「最新 J ヒップホップ」に選出され、9月上旬にはAIRIE、Elee Tia Viviとの「IN SYNC」が控えている。
そしてもう一つ。彼は上場企業の会社員である。管理職としてフルタイムで働きながら、これだけの制作を続けている。
この経歴を、彼はこれまでほとんど公にしてこなかった。今回が初めてになる。
「AUDIO ××」という人達が多かったので
──まず、AUDIO RADICALというビートメイカーについて教えてください。音楽制作を始めたきっかけと、「AUDIO RADICAL」として本格的に活動するようになった経緯を教えてください。
大学生の頃にミクスチャー・ニューメタルバンドを組んでたんですが、バンド解散後、一人でできること、というのでHIPHOPのビートメイクを始めました。
「AUDIO RADICAL」として、ちゃんと活動するようになったのは、2022年頃です。今は残ってませんが、Young Zettonさんのsoundcloudにアップされていた「Dirty Fuck Night」と言う曲が、日本語ラップで初めてビート提供した曲です。それまでは2020年頃からBeatstarsで細々と海外の人にビートを売っていました。
「AUDIO RADICAL」という名義は、Audioslave、audio active、Audio Push等、自分の好きなアーティストに「AUDIO ××」という人達が多かったので、自分もそうしました。
──現在の自分の音楽性を一言で定義するとしたら、どのように表現しますか。
一言で言うなら「ミクスチャー」だと思います。
ミクスチャーロックがHIPHOPやロック以外にも、レゲエやインダストリアルなど色々吸収していったように、自分もやりたいと思ったジャンルは見境なく挑戦してます。
2023年11月にリリースされた1stアルバム『CROSS OVA』は、その名の通りトラップ、ブーンバップからサイバーパンク、ニューメタルまでを一枚に詰め込んだ作品だった。同作はApple Musicのヒップホップ/ラップ トップアルバム(日本)で80位に入り、興味深いことに、リリースから2年近く経った2025年8月にもiTunes Storeの同チャートに再浮上している。
「特段書くメリットもないので」
──上場企業で管理職を務め、現在も会社員として働きながら音楽活動を続けているとのことですが、この経歴をこれまで積極的に公表してこなかった理由はありますか。また、今回初めてこの部分を打ち出そうと思った理由も聞かせてください。
特段書くメリットもないので、特にどこにも書いてなかった、って感じです。直接お会いしたラッパーさん達には普通に言ってました。
ある程度作品が積み上がって継続的にリリースするようになった今なら、「上場企業で会社員をしながらHIPHOPのプロデューサーとして活動している」という自分のキャリア自体も、一つの面白い要素として見ていただけるのかなと思って、今回初めてメディアで話してみました。全くサグくないのもアイデンティティかなと(笑)
──「会社員」と「HIPHOP」は、一見するとかなり離れた世界にも見えます。実際に二つの世界を経験してきて、似ていると感じる部分、逆にまったく違うと感じる部分はありますか。
どの世界でも、プロップスのある方は、他者への礼儀とか思いやりとか、人間力がすごいのはマジで共通すると思いました(笑)
違う部分で言うと、カルチャーやマナーが違うので当然ですけど、「当たり前に使う共通言語」が違いますね。
「ビート提案のコンバージョン率が上がっている」
──管理職やビジネスの経験が、音楽活動に直接役立った具体的な場面はありますか。
会社員経験が生きていると思うことはたくさんあります。
特に思うのは交渉面です。ビート提供でも客演依頼でも、ラッパーさんにお話を持ちかける時は、今ツアー中で忙しくないか、提案したいビートがラッパーさんの方向性に合っているか、逆にその人が既にやりきったスタイルを擦った提案になっていないか、と色々考えます。
自分は法人営業だったので、相手企業の予算やオペレーション、事業計画などを踏まえて、「今どんな提案をするべきなのか」を考える癖がつきました。この感覚は、音楽活動にもかなり生きていると思います。ビート提案を受けてもらえるコンバージョン率がどんどん上がっているというか。
とか言ってもお断りされたり、ご連絡がないことも全然あります(笑)そういう一件一件に一切めげないのも営業職で身についたタフさかなと思います。
あとはデータを見て考える力ですね。Spotify for Artistsの数字は日々チェックしてます。曲ごとにリリース後12ヶ月の推移を比較して、「この曲は初動のピークを過ぎても長く聴かれているな」とか、曲ごとの動きの違いを色々分析します。音楽は数字遊びではないと思いますが、自分の作品が世の中からどう受け取られているのかを知る上では、すごく勉強になる要素だと思っています。
プロモーションという意味では、どういうサブミット文なら楽曲の魅力や背景が伝わりやすく、プレイリストの選曲につながるのか、みたいなところはいまだにPDCAを回しています。
転機は、ラッパーとの制作ではなかった
──般若、Kojoe、呂布カルマ、JESSE (RIZE / The BONEZ)、YDIZZY、Jinmenusagi、Playsson、Young Zetton、Kamui、HIZAGUTYA、ShowyRENZO、e5など、かなり異なる世代・スタイルのアーティストと制作しています。これだけ幅広いコラボレーションを実現できた最大の理由は何だと考えていますか。
シンプルに言うと、積極性です(笑)ジャンル関係なく、この人にこういうビート提案してみたい!というのがとめどなく好奇心で出てきて。
あと最低限心がけてるのは、提案したい方のやっているジャンルのビートのドラムやシンセの音色、リズムパターン、FXの使い方とかは、基本だけは勉強してから着手します。でないと、皆さんに「自分のラップを乗せてイケるな」と思ってもらえるボーダーラインに乗らないと思うので。
かといって、ビートがそのジャンルに染まり切ってしまうと面白くないかなと思って、そのジャンルの博士です!みたいな領域までは研究しないです。
2025年6月にリリースされた般若「konnichiwa」は、作詞を般若、作曲を般若とAUDIO RADICALが手がけた一曲。10か月ぶりの新曲となった同作は、日常の気づきから歴史や社会、ルーツへと問いを広げるメッセージソングとして届けられた。
同年9月にはKojoeとの「HIGHER」。ブーンバップのいなたいドラムを基調としながら、要所でエレクトロニックピアノへビートスイッチする構成で、動と静を行き来する一曲になっている。
──その中でも「この人との制作で、自分のビートメイカーとしての考え方が変わった」というアーティストや作品はありますか。
自分のビートメイカーとしての活動観を露骨に変えたのは、ラッパーさんとの制作ではなくて、以前どこかで拝見したTRILL DYNASTYさんのインタビューなんです。
正確な言葉は覚えていないんですが、「ビートメイカーは待ちの姿勢の人が多い。ただ待っていたって誰も見つけてくれない」という趣旨のことをおっしゃっていて。めちゃくちゃその通りだわと思って、自分からガンガン提案するように変わりました。一番の転機はそこです。
「その”ごちゃ混ぜ感”が多分自分らしさ」
──Boom Bap、Trap、RAGE、Hyperpopと、あえて一つのジャンルに自分を固定していません。これは意図的な戦略なのでしょうか。それとも、自分が純粋に面白いと思う音楽を追いかけた結果でしょうか。
これは、先ほどお話したところと通ずるんですが、本当にやってみたいというだけです(笑)
Boom bapのザラついたサンプル使いも渋くてカッコいいし、Trapの808の重低音もカッコいいし、RAGEやHyperpopの電子音の洪水も楽しいし。全部やってみたくなるんですよ。
──「AUDIO RADICALらしさ」は、ジャンルではなくどこに存在すると考えていますか。
新しいジャンルにトライするとき、「自分がこのジャンルで惹かれる音の特徴や質感って何なんだろう?」と考えて、自分の曲ではそこを集中的に表現したりします。
でも、色々なジャンルを飛び越えて作っているうちに、他のジャンルの音も普通に入れちゃったりするし。その「ごちゃ混ぜ感」が多分自分らしさですかね(笑)
その振れ幅を最も端的に示すのが、2025年11月の呂布カルマとの「ICHIMOTSU」だろう。サンプリングされたインダストリアルなサウンドの上を、呂布カルマの忌憚ないリリックが走る。ミックス・マスタリングはDJ FRIP a.k.a Beatlab。同じ年に般若とメッセージソングを、呂布カルマとインダストリアルを作っている事実そのものが、彼の説明の裏づけになっている。
e5「noroi」と、ボーカロイドのルーツ
──8月4日にリリースされたe5との「noroi」は、どのようにして生まれた楽曲でしょうか。
自分が元々e5さんのファンで、是非一緒に作りたいです、とご連絡しました。
ビート的には、自分なりに可愛い音のビートと、バチバチのEDMみたいな音とか、色んなパターン作ったんですけど、選んでいただいたのは可愛い音のビートになりました。
e5さん的には、このビートだけ他と比べて雰囲気が一つ突き抜けて違っていて、メロディラインにご自身のボーカロイドのルーツと重なるニュアンスを感じたことが、選んだ決め手だったと教えてくれました。「少し暗かったり切なかったりするニュアンスを、可愛くPOPに処理する」という部分も、昔聴いていたボーカロイドと重なったそうです。ボーカロイド無知なんで、全く意識はなかったんですけど。
制作プロセスとしては、RECはe5さん側でご対応いただいて、ミックス・マスタリングは、最近ご近所さんなことが判明して飲みに行ったKUROMAKUくんにお願いしました。
AUDIO RADICAL & e5「noroi」(2026年8月4日リリース)
なお、e5は2003年生まれ、千葉県木更津市出身のラップシンガーソングライターで、2020年にSoundCloudで活動を開始している。ボーカロイドをルーツに音楽へ関心を持ち、オートチューンを用いたボーカル編集やHyperpop、Digicoreに惹かれてきたことは、本人のプロフィールにも記されている。AUDIO RADICALが「全く意識はなかった」と言うビートを、彼女が自分のルーツとして受け取ったことになる。
──Spotify「Alt J Hiphop」「エレクトロポリス」、Apple Music「最新 J ヒップホップ」など複数のプレイリストにも選出されています。この反響をどう受け止めていますか。
「Alt J Hiphop」は、自分たちの曲がオルタナティブとして分類されるんだ、と思って。ミクスチャー上がりを自負している自分としては嬉しかったです。
「エレクトロポリス」も、ちゃんとHyperpopの文脈の楽曲として受け取ってもらえたのかな、と嬉しかったですね。「最新 J ヒップホップ」は毎回入れるわけではないので、その意味で普通に嬉しいです(笑)
なんであれ、好きに入れるわけではないのでいつも一喜一憂してますよ。
AIRIE、Elee Tia Viviとの「IN SYNC」
──9月上旬にはAIRIE、Elee Tia Viviとの「IN SYNC」も控えています。まだリリース前ですが、話せる範囲で、この3組だからこそ生まれた楽曲の特徴や制作背景を教えてください。
私から「こういうテーマで書きましょう」とアーティストさんにお願いすることもあるんですが、今回はそんなことなくて。
ビートだけお渡しして、最初にAIRIEさんに書いていただいたんですが、とても詩的な表現の豊かな歌で返ってきました。まずそこで喰らったんですけど、次にViviさんからデータが返ってきたら、今度はAIRIEさんの問いかけとの対話になっていて。二人の歌詞の展開がオシャレすぎて、とにかく圧倒されてました(笑)
AUDIO RADICAL × AIRIE × Elee Tia Vivi「IN SYNC」(9月上旬リリース予定)
二枚のジャケットを並べてみるとわかりやすい。「noroi」は光沢のあるハートと星が画面を埋め尽くすハイパーポップの全部盛りで、「IN SYNC」は窓の外の夜景だけで構成された青一色だ。同じ人間が同じ夏に手がけた二作である。
「ごちゃ混ぜ感が多分自分らしさ」という彼の言葉は、音を聴く前に、すでに目で確認できる。
──「noroi」から「IN SYNC」へ続けて聴いたとき、AUDIO RADICALというプロデューサーのどんな部分を感じてほしいですか。
最初からこの二作を連続でリリースしようと決めて作っていたわけではなくて、地続きで設計した曲達ではないんです。なので、オムニバス作品を見るような感覚で聴いてもらえればと思います。
e5さんのファン層と、AIRIEさんやViviさんのファン層はガッツリ被っているわけではないと思うので、この2曲に参加してくださった素敵なアーティストさん達の良さを、それぞれのファンの方が知って、楽しんでいただけたら自分は本望です。
自分の作風で言えば、コイツ振り切るなってとこくらいですかね(笑)
朝6時から始まる一日
──会社員としてフルタイムで働きながら、音楽でもこれだけの制作やリリースを続けるのは簡単ではないと思います。普段、仕事と音楽制作の時間をどのように分けていますか。
そもそも在宅勤務なので、そこは音楽活動をする上ですごく恩恵を受けています。
朝6時くらいに起きて、会社が始まるまでは音楽制作。夜は妻との食事などの時間を過ごした後、また深夜まで音楽を作っています。合間にペットのうさぎのうーたん(Wu-Tang Clan由来)と遊んだりします(笑)
──「もう両立できない」と感じた時期はありましたか?
今もパツパツですよ(笑)
自分名義でリリースするビートを作るだけじゃなくて、依頼を受けて納期がある制作もありますし、ミックス・マスタリングの依頼を受けてやることもありますし。いかに時間効率よく、作業を進めるか考えてます。
──音楽一本に絞ることを考えたことはありますか。それでも二つのキャリアを続けているのであれば、その理由を教えてください。
もう忙しすぎて睡眠も取れないレベルになったら、会社員を辞めるかもしれないです(笑)
でも、これまで2社、大企業で働いてきて、何千万人が使うサービスを提供している会社にいると、自分達の部署の仕事がそのまま世間のニュースになるような経験もあって。そういう規模感の中で働くのはすごく刺激があって面白いので、今のところ辞めようとは思ってないです。
──逆に、音楽活動が会社員としての自分に良い影響を与えた経験もあれば聞きたいです。
音楽はインディペンデントで活動してるので、プロダクトを作って、協業者と仕上げて、世間に流通させて、みたいな商流を一通り体験できるんです。働いてる会社のサービスとは規模が圧倒的に違えど、会社の仕事への気づきにもなりますね。
トラックの運転席で熱唱するお兄ちゃんの話
──ビジネスの世界では、数字や成果をかなり客観的に評価します。一方、音楽には数字だけでは測れない価値があります。再生数、プレイリスト、SNS、メディア掲載などの「数字」と、作品そのものの価値をどう切り分けていますか。
数字指標や媒体掲載などは、活動する上でめちゃくちゃ大事だと思います。マーケットにおいて自分がどんな立ち位置にいるのか、明確にわかる指標だからです。なので、そういう指標は常に意識して、真摯に頑張ってるつもりです。
でも、作品の価値って、どれだけ深く人の心に刺さるかだと思っています。それが大人数じゃなくても。
『Keep your head up』のJASMINEさんの女性Hookを、トラックを運転しながら熱唱しているお兄ちゃんの動画をSNSで見た時はホッコリしました(笑)「キー無理あるって笑」みたいな(笑)
でも「こんな風に誰かの生活の一部に溶け込めてるんだ」っていうことは、数字のデータだけじゃ分からないじゃないですか。
だから数字指標は超大事だけど、創作する気持ちの源は、「これをめちゃくちゃ楽しんでくれる誰かがいればいいな」と思ってやっています。
彼が名前を挙げた「Keep your head up」は、シンガーソングライターのJASMINE、JESSE (RIZE / The BONEZ)、北海道を代表するラッパーB.I.G. JOE、そしてAUDIO RADICALによるチャリティー楽曲である。令和6年能登半島地震の復興支援を目的として制作され、再生収益は認定NPO法人ADRA Japanを通じて寄付される。
数字では測れない価値の話をするとき、彼が引き合いに出したのがこの曲だったことは、おそらく偶然ではない。
AIについて「全然敵視してない」
──現在はAIによる作曲やビート制作も急速に進化しています。ビートメイカー/プロデューサーという仕事は、これからAIによってどう変化していくと思いますか。
AIは進歩が激しいので、5年後、10年後にどうなっているかは本当にわかりません。
ただ、2026年段階、自分が触ってみた範囲では、まだクオリティ的にビートメイカーの存在を脅かすレベルではないと思ってます。Sunoとかを触ってみても、AI生成の音はハイのレンジに違和感があったり、Trapを作らせてみても、商業音源ばりにエグいな!と思うような重低音は出てこなかったり。
──AIが高品質なビートを大量に生成できる時代に、人間のプロデューサーにしか作れない価値は何だと思いますか。
将来、AIがいよいよ本物のビートメイカー級の音を出し始めたら……人間のプロデューサーにしかできない価値は、優等生のAIが思いつかないようなサンプルの引っ張り方だったり、意外性を持ち込むことなんじゃないですかね?
自分がとあるラッパーさんに渡してあるビートは、ドラムパターンはJerkなんですけど、ウワモノは昭和歌謡のサンプリングで。みたいな?(笑)
でも、本当にこれはわかんないです。AIという人類規模の産業革命の先がどうなるかは、テーマが難しすぎます(笑)
ただ、AIにやるかやられるかじゃなくて、普通に共存すればいいと思いますけど。私も音源とかエフェクトのプラグインを探す時に、ググるよりChatGPTに細かくやりたいことをプロンプトに打って、比較説明させるくらい常用してます。あと、「こういうセリフの声ネタ欲しいけど見つからない!」みたいな時は、SunoとかEleven Labsに生成させて、そこから声ネタをチョップして遊んだりもしますよ(笑)なので全然敵視してないですね。
「思い描いていた場所より、ずっと遠くに来ています」
──2023年の1st Album『CROSS OVA』から現在まで活動を続けてきて、AUDIO RADICALはどのように変化したと思いますか。当時思い描いていた場所と、現在立っている場所に違いはありますか。
当時思い描いていた場所より、ずっと遠くに来ています。
『CROSS OVA』の頃から約3年で今いる地点は、当時の自分的には5年、7年先だと思っていました。
AUDIO RADICALとしての変化でいうと、HIPHOPシーンのジャンルが多様化するにつれて、やりたい事がどんどん増えているので、むしろ前より好奇心バカになってるかもしれません。
──最後に、AUDIO RADICALとして今後実現したいことを教えてください。今後制作してみたいアーティスト、作品の構想、そしてビートメイカー/プロデューサーとして最終的にどんな存在になりたいのか。
とりあえず、日本のラッパーさんとはとにかくもっと色んな人とやりたいですね。で、あわよくば海外のラッパーとも。
作品の構想としては、最近はHIPHOPの中でジャンルを広げるというより、Trip Hopとかサイケデリック・ダブとか、HIPHOPとは違うジャンルと現代のHIPHOPを繋げてみたくて、そういうビートを作ったりしています。とにかく型にハマらず、色々やりたいです。
最終的にはHIPHOPシーンの人達に、「なんかバカなビート作ってるプロデューサーいたよね」って、後の時代にも覚えていてもらうことが目標かもしれないです(笑)
朝6時に起きてビートを作り、日中は上場企業で働き、深夜にまたビートを作る。その繰り返しの先に、般若がいて、呂布カルマがいて、e5がいる。
「なんかバカなビート作ってるプロデューサーいたよね」と覚えていてほしい、と彼は言った。だが2023年の『CROSS OVA』から3年、彼が想定していたより速く事態は進んでいる。その速度で走り続けるなら、思い出される形はもう少し違うものになるかもしれない。
「IN SYNC」は9月上旬リリース予定。
AUDIO RADICAL
Beatmaker / Producer
取材・文:Rei Kamiya(HIPHOPCs)
※アーティスト写真およびジャケット画像はAUDIO RADICAL提供