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【独占インタビュー】CYBER RUI「私って人間じゃないの?! だったら何?」──AIの時代に、答えを持たないという選択

インタビュー11 min read
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CYBER RUIが2026年8月19日、シングル「I AM NOT HUMAN?!」を配信リリースした。年内リリース予定のコンセプトアルバム『PROJECT REBOOT』から、7月の「超☆Lucky」に続く第2弾先行シングルとなる。プロデュースはWalter LR。同日にはアルバムのカバーアートも公開された。

2026年に「私は人間ではない」というタイトルを掲げれば、AIをめぐる議論への応答として読まれる。それがCYBER RUIという名義であればなおさらだ。だが本人に訊くと、この曲の起点は中学生の頃にあり、制作は昨年であり、そして彼女はこう言った──「私は、この曲が投げかけている問いに対しての答えは持っていないです」。

HIPHOPCsは配信開始のタイミングに合わせ、CYBER RUIへの独占取材を行った。

CYBER RUI「I AM NOT HUMAN?!」を聴く(各サブスク)
https://linkco.re/dGcUZrVc


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「私って何者?」という疑問をそのまま曲にした

HIPHOPCs編集部:まず、タイトルからかなり強烈ですよね。「I AM NOT HUMAN?!」=「私は人間じゃない?!」。この言葉はどこから出てきたんですか?

CYBER RUI:「私って何者?」という疑問をそのまま曲にした。

すごく壮大な話かもしれませんが……(笑)。中学くらいの時から、自分がこの人生を生きる意味とか、人間として生きる意味みたいなものをずっと考えていて。

実は物心がついた時から、目に見えないものを感じやすい体質なのかな、というのもあって。5、6年前ほどから本格的にその理由を手探りで探していたら、世の中がすべて素粒子でできているという科学的な根拠を知って、すごく納得したんです。

HIPHOPCs編集部:すごく知性的ですよね。笑 他のメディアでもお見かけしたんですけど、科学とか宇宙が本当に好きなんですね。で、この曲は?

この曲自体は、私が人間であることを否定しているというより、「私って人間じゃないの?! だったら何?」という疑問を投げかけているような曲だと思っています。

HIPHOPCs編集部:なるほど。人間であることを否定するというより、「そもそも人間って何なんだろう?」というところまで戻っていく問いなんですね。では、CYBER RUIさんが考える「人間の枠」って何でしょう?

CYBER RUI:私にとって人間の枠とは、この肉体を持った意識。

肉体は重たく、時に鈍い。そんな中でも目に見えないものを頭の中でイメージしたり、思考したりできる。

そこは自由自在な領域のはずなのに、気づかぬ間に概念の枠に囚われているなと思うことが多いというか。


Walter LRとの制作は「直感の流れ」で始まった

HIPHOPCs編集部:その感覚が曲の世界観にもつながっていると。

サウンドについても聞きたいです。今回プロデュースを手がけたWalterさんとは、制作前からそういった思想やイメージを共有していたんですか?

CYBER RUI:この曲自体は実は去年作ったものなのですが、Walterとは話していくうちに、どこか近い思想を持っているというか、なんというか……。

なので特に「こうしたい!」ということを話していたわけではなく、彼が作ったビートを提案してくれて、直感の流れで作ってみたという感じです。

HIPHOPCs編集部:かなり直感的に始まったんですね。では、ビートを聴いた瞬間から「I AM NOT HUMAN?!」という言葉はあった?

CYBER RUI:このビートを初めて聴いた時、最初に「こんな感じの曲が書きたい」って思って書き留めたのが「I AM NOT HUMAN」だったかな……。


「超☆Lucky」の裏側にあった、ポジティブの限界

HIPHOPCs編集部:前作「超☆Lucky」と比べると、タイトルだけ見てもかなり違う方向に振れているように感じます。ただ、実際にはこの2曲ってつながっているんでしょうか?

CYBER RUI:生きていて、いろんな出来事の捉え方で世界の見え方が変わることを、ここ数年かけてたくさん学ばせてもらって。

だけどそんな中でも、ポジティブ思考に考えることが過剰に美化されているように感じていて。

もちろんポジティブに、すべての出来事が「超☆ラッキー」って思えることもできるけど、身体がフルにそう感じるには、思考や身体が追いつけなかったり。

そんな自分の感情を誤魔化すことの限界を突破するような感覚が、「人間のフリ? 疲れたけど得意みたい」のような今回の曲の歌詞に導かれたのかなと思ったりします。

「I AM NOT HUMAN?!」歌詞
https://linkco.re/dGcUZrVc/songs/5173815/lyrics


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「再起動」というアルバムに欠かせなかった一曲

HIPHOPCs編集部:「超☆Lucky」が単純なポジティブの肯定ではなく、その先に「I AM NOT HUMAN?!」があると考えると面白いですね。この曲はニューアルバムの中では、どんな位置にあるんでしょう?

CYBER RUI:この曲はアルバムの中でもっとも「自分の存在が何なのか」を問うていると思う。

私という感覚は、一体全体どこからどこまでが私なのか。

そういった宇宙のカオスの中で、合わせるチャンネルを選べるということを知ることは、「再起動」という名のついているこのアルバムには欠かせなかったと思います。

HIPHOPCs編集部:アルバムのキーワードが「再起動」なんですね。では今回の制作を通して、以前のCYBER RUIから一番「再起動した」と感じるのはどこですか?

CYBER RUI:音楽で言えば、明確にこれまでと乗っているビートも、自身のフローも、すべてがこれまでの私ではないと思う。

制作面でも、私が感じていることを全く同じでなくても、似たような感覚で感じている人たちと制作することができたし、精神面に関しても、私がよりありのままの私として生きることを、抗いながらも許せるようになってきた、受け入れられるようになってきた。

そんな中で、すべての点と点の線がつながってきたような感覚です。

CYBER RUI『PROJECT REBOOT』Pre-Add / Pre-Save
https://cyberrui.lnk.to/project-reboot


私にとっての「サイバー」は、機械でも電子でもない

HIPHOPCs編集部:ここまで聞いていると、「CYBER RUI」という名前自体も改めて気になります。2026年はAIやテクノロジーが急速に人間の表現領域に入ってきていますよね。その時代に「I AM NOT HUMAN?!」という曲を出すことを、どう捉えていますか?

CYBER RUI:私は、この曲が投げかけている問いに対しての答えは持っていないです。

あらゆるものに私たちは自己を映し出していると思うから。その中でもAIはかなり分かりやすいと思う。

皆の中での「サイバー」のイメージって、機械だったり電子が近いかなと思ったりするんですけど、私の中でのサイバーって、それすらも超越しているというか。

空気というか、物質というか。ありすぎて無いように見えるものだったり、目に見えないコネクションのようなものだったりします。

目を閉じ、単語の書き込まれた無数の人形に囲まれて水中に沈むCYBER RUI

HIPHOPCs編集部:つまりCYBER RUIにとっての「サイバー」は、単純に機械やAIを意味する言葉ではないんですね。一方で今回のアルバムには、既存の枠や概念そのものに抗う感覚もかなりありそうです。

CYBER RUI:私自身もいろんなものに囚われたりしてきたからこそ、今回のアルバムは特にそういう部分に対して抗っている姿勢はかなりあると思う。

サイバーという名前の由来だったりも、自分がこの名前をつけてからいろいろと考えさせられるものがあったけど、自由に生きることを選び続けるからには、自分の人生の責任を背負いながら、いろんな概念や物事をいろんな視点で捉え続けたいのは、私の中で変わらないことかなと思います。

それはとても体力のいることだし、とってもカオスなことだけど(笑)。


聴かせた瞬間から、それは私ではなくなる

HIPHOPCs編集部:その「カオス」をライブで共有するとしたら、観客にはどう受け取ってほしいですか?

CYBER RUI:どんな形であれ、感じたままにフィールしてほしいとは思います。

もちろん、一緒にカオスの世界を生きる糧のようなものになればとっても嬉しいけど、私的にはどんな感情であれ、その人がこの曲やライブの空間で何かキャッチできる瞬間があれば、一瞬であれどチャンネルが接触していると思うし、その人なりの自由みたいなものを感じてほしいなと。

HIPHOPCs編集部:ではアルバムを最後まで聴き終えた時、リスナーの中にはどんなCYBER RUIが残っていてほしいですか?

CYBER RUI:どんな私が印象に残っていても構わない。

私は自分の音楽を自分以外の誰かに聴かせた瞬間から、それは私ではなくなると思う。

誰かに聴かせた瞬間、なんならこの曲を作り終えた瞬間から、その時の私ではなくなると思うので。私からすると毎日毎秒、同じ自分は存在していないので。

だけど、私の中で変わらないものは確かに存在していると思うから、そんな部分を感じてくれたら私も嬉しい。

HIPHOPCs編集部:最後に、この曲を一言だけで表すなら?

CYBER RUI:チャンネルカオス、エラーに接続中。


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編集後記

「すべてがこれまでの私ではない」という言葉は、クレジットの上でも裏づけられる。1stアルバム『ISSUES DELUXE』のメイン・プロデューサーはLYNNだった。「超☆Lucky」はDRLR、そして本作はWalter LR。前作までの制作体制を離れただけでなく、同一アルバムの先行シングル2曲で異なるプロデューサーを起用している。統一感を担保するなら制作陣を固定するのが通例であることを思えば、これは「解体と再起動」というテーマに沿った選択である。

公開されたビジュアルも、彼女の言葉と同じことを言っている。全身を透明なフィルムに包まれ、鏡面に映り込む姿。「ありすぎて無いように見えるもの」という彼女のサイバーの定義が、そのまま物質になっている。もう1点では、目を閉じた彼女が、単語を書き込まれた無数の人形に囲まれて沈んでいる。人形とは、人間の形をしていながら人間ではないものだ。「人間のフリ? 疲れたけど得意みたい」というリリックに対して、これ以上直接的な図像はない。

シングルのカバーアートも同じ系列にある。画面全体を覆う干渉縞は、信号が正しく届いていないことを示す模様である。そして左右の瞳は揃っていない。片方は生身のまま、もう片方は虹色に発光している。ひとつの顔が二つのチャンネルに分かれている。「チャンネルカオス、エラーに接続中」という彼女の自己評価が、そのまま一枚の絵になっている。

そして最後に残るのは、彼女が答えを持たないと明言したことの意味である。CYBER RUIという名義で、2026年にこのタイトルを掲げた以上、この曲がAI時代の発言として聴かれることは避けられない。本人が意図を否定しても、リスナーは答えを読み込む。だが彼女は「聴かせた瞬間から、それは私ではなくなる」と言った。その理屈に従うなら、誤読もまた作品の一部になる。答えを持たないという立場は、控えめな態度ではなく、読み違えられる権利をリスナーに渡す決定なのだ。

エラーを解消するのでも、回避するのでもなく、接続する。


リリース情報

CYBER RUI「I AM NOT HUMAN?!」カバーアート

CYBER RUI「I AM NOT HUMAN?!」
Release Date:2026年8月19日(水)
Label:CYBER RUI

Credits
Produced by Walter LR
Recorded by CYBER RUI
Mixed by Walter LR, murozo
Mastered by murozo
Cover Art photo by Reo Shimotani
Cover Art edit by CYBER RUI, Reo Shimotani

▶ 各サブスク:https://linkco.re/dGcUZrVc
▶ 歌詞:https://linkco.re/dGcUZrVc/songs/5173815/lyrics

CYBER RUI『PROJECT REBOOT』
年内リリース予定

▶ Pre-Add / Pre-Save:https://cyberrui.lnk.to/project-reboot


CYBER RUI

社会を生きる中で、知らぬ間に途切れていく自分自身と世界との回線。CYBER RUI(2002年生まれ、東京)は、その途切れを音楽でつなぎ直そうとしている。

言葉より先に、感覚が動く。CYBER RUIは一音ずつ、情報過多な社会の中で失われた感覚を探っている。そうして気づいていく──自分自身もまた、宇宙に浮かぶ、ひとつのシステムだったということに。

2026年発表のアルバム『PROJECT REBOOT』は、”私が私をブロックせずに済む”世界を探す試みだ。原点は場所ではなく、感覚。それに触れながら、CYBER RUIというシステムを、もう一度呼び醒ましている。

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本記事はHIPHOPCsによる独占インタビューである。

取材・構成:HIPHOPCs編集部

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