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yummma『BAD BLOOD』「曲の中でくらいは隠し事なしでいいよね」【HIPHOPCsインタビュー】

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2026年7月、新人ラッパーのyummma(ユマ)が1st EP『BAD BLOOD』を配信した。全5曲、約16分。公式YouTubeの概要欄は彼女を、「ネグレクト・ファミリーバイオレンスが当たり前の環境で育った」ラッパーと紹介している。毒親、金、暴力、病。EPには、幼い頃からそばにあった問題が書かれている。

9月4日には初のミュージックビデオ「100億円」を公開した。監督は、RADWIMPSやSUPER BEAVERの映像作品を手がけてきたYUTARO。彼女の曲に胸を打たれたことが、制作のきっかけだったという。

あわせて、SNS開設から約1か月でショート動画の総再生数が1,000万回を超えたと発表された(ABEMA TIMES)。本誌も2026年9月の月間まとめで、国内の動きとしてこの発表を記録している。

数字だけを見れば、ショート動画から出てきた新人のひとりに映る。だが本人の回答に何度も出てくるのは、自信のなさだった。韻は踏めない、制作は遅い、ラップは「素人以下」。それでも、自分のことを隠さずに書くことには迷わなかったという。

ラップを始めた理由、書くことの境界線、そして10月16日に開く初の主催ライブ『FEMALE UP』について、インタビューで聞いた。

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「ここで吐き出すしかない」──ラップを始めた理由

Rei Kamiya:1st EP『BAD BLOOD』を制作しようと思った一番大きなきっかけは何だったのでしょうか。

yummma:ラップミュージックはとても好きで聴くものの、性格上自分でプレイすることにはずっと躊躇いがありました。単純に自信を持つことが苦手と言いますか。

でも時間をかけて自分でラップをやってみようとなれたとき、リリックを考えてみたら自分自身が過去に囚われていることに気付きました。

ここで吐き出すしかないと思いましたし、文字になったときに消化されていく感覚も得られました。

その積み重ねの結果がEPになっていた、という感じです。

Rei Kamiya:「BAD BLOOD」というタイトルには、ご自身の血や過去と向き合う意味が込められているとのことですが、このタイトルに辿り着くまでにどのような思いがありましたか。

yummma:タイトルはリード曲のbloodのリリックを書きはじめたあたりで思いつきました。

私の血の色ってたぶん綺麗じゃないよな、って。

深い意味を持たせたタイトルというよりは、ネガティブな意味でもポジティブな意味でも それも受け入れよう、って気持ちがあって、すんなり決定できました。

Rei Kamiya:「100億円」は非常に個人的な経験が描かれた楽曲だと思います。楽曲として世の中に出すことに怖さや迷いはありませんでしたか。

yummma:今のプロジェクトは、自分に素直になってみよう、ってテーマも実はあり、言葉にすることの迷いはあまりなかったです。

人の顔色を見てばかりの人生だったので、曲の中でくらいは隠し事なしでいいよね、って思ってオブラートさはなしにしてます。

「初めての自己表現」──音楽の上でなら隠さずにいられる

Rei Kamiya:「言葉にすることで痛みが消える気がする」という言葉が印象的でした。yummmaさんにとって、ラップや音楽はどのような存在でしょうか。

yummma:初めての自己表現 だと思います。

かわいいものも好きで集めたり身につけたりするのも好きなんですけど、それは自分の醜さを隠したい、みたいな気持ちもどこかずっとあって。

そういう意味では、今は初めて自分をありのまま発信できてる感覚はあって、それはやっぱり音楽上だからできてることだと思います。

言葉の意味を音楽が深めてくれているし、ネガティブなこともキャッチーに伝えられる。音楽ってすごいです。

Rei Kamiya:自分自身の経験をかなり率直にリリックへ落とし込んでいますが、「ここまでは書く/ここからは書かない」という境界線はありますか。

yummma:それはあまりないですね!

家族のことに限らず私の醜い部分まで、これから全部書いていいと思ってます。

唯一あるとすれば、妹の生活に支障がでないようにしてあげたい、ってことくらいですかね笑

Rei Kamiya:「人より劣る自分を等身大でうたう」というコンセプトについて、現在のyummmaさんが考える「劣る」とはどういう意味でしょうか。

yummma:単純に、人間としての能力がめっちゃ低いんですよ笑

人の気持ちが汲めなかったり、求められてない発言をしちゃったり、何か考えることに人より数倍時間がかかったり、基本的に頭はよくないんですよね笑

音楽の制作スピードも人よりかなり遅いと思います。

「ひとりじゃないんだな」──1,000万回より驚いたこと

Rei Kamiya:デビュー直後からショート動画が大きく拡散されていますが、1,000万回という数字をどのように受け止めていますか。また、自分自身に何か変化はありましたか。

yummma:びっくり って感覚です。

数字よりも、この環境に共感してくれる人の多さに驚きました。

そんな中で、ひとりじゃないんだな、って思えたことは変化だったかもしれません。

Rei Kamiya:SNSでは短い時間で楽曲が判断される時代でもあります。その中で、楽曲を最後まで聴いてもらうために意識していることはありますか。

yummma:それはもう結果論でしかないんだと思います。

私は韻も踏めないし、ラップに関しては素人以下なので、リリックに無駄なことは詰め込まないってことだけは決めてます。

その結果、どこを切り抜いてもパンチラインになる ってことに結びつけばいいって理想はありますが、もう最後まで聴いてくれるかどうかは自分ではなんとも笑

とにかく、いつフルを聴かれても無駄な部分のない曲を用意しとこう、とは思います。

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「自分の能力以上の作品」──ビートと映像を託した人たち

Rei Kamiya:S-NAさん、Maria Segawaさんらと制作する中で、自分自身のラップや表現にどのような変化がありましたか。

yummma:今回は、単純にビートを受け取る、という形だったので制作上での絡みはほぼなかったのですが、気は引き締まりました。

かなり著名なアーティストにビートを提供してる方々でしたし、何より初めてでしたから。

逆に、これからビートメーカーさんたちと知り合う中で、ここからどう変化するのか楽しみに思ってます。

Rei Kamiya:初のMusic Video「100億円」で、監督のYUTAROさんに「ここだけは絶対に表現してほしい」と伝えた部分はありましたか。

yummma:何もなかったですね。

YUTAROさんのことは全面的に信頼していたので、私がなにか言うことはないと思ってましたし、完成したものにも一切なにも言わなかったです。

自分のイメージ以上、自分の能力以上の作品を作ってくださったので、これからどうにか恩返ししていきたいな、って気持ちでいます。

マイクを口元に構えるyummmaの顔のアップに「yummma」「100億円」の文字が重なる、Music Video「100億円」の場面
yummma「100億円」Music Video(監督:YUTARO/提供:アーティスト)

「私はラッパーだ」と胸を張れるように

Rei Kamiya:地下アイドルとしての経験もプロフィールにありますが、その経験は現在のラッパーとしての活動にどのようにつながっていますか。

yummma:結局、どんな形であれステージに立ちたい、という気持ちが今回の新たな活動も後押ししてくれたので、ライブの楽しさやお客さんとのコミュニティーの素晴らしさを知れたことが、何より過去の活動から得られたものかもしれません。

Rei Kamiya:女性ラッパーという括りで紹介されることについて、ご自身ではどのように感じていますか。

yummma:ラッパーでありたい、という気持ちは強いので、嬉しいですね。

だって、明らかにラップの能力は足りてないので笑

何をもってヒップホップかは私にはわからないのでそこは聴く人におまかせするのですが、胸を張って「私はラッパーだ」ってことは言えるようにはなりたいです。

Rei Kamiya:10月16日に初の主催ライブ『FEMALE UP』が開催されます。「FEMALE UP」というイベントを立ち上げた理由と、どのような場所にしていきたいかを教えてください。

yummma:正直、好きだったり気になってた女性アーティストを呼びたかったってだけです笑

でも、たぶんクラブで男女混ざってやるときのステージと、フィメールだけでライブやったときのリアクションやパフォーマンスって違うと思うんですよね。

私含め、フィメールが自然体でステージに立てる場所になったらいいなって密かに思ってます。

紫の背景に「FEMALE UP」「2026.10.16 FRI」「EBISU BATICA」と記し、amiri、Hanemii、Яu-a、yummmaの写真を並べた告知フライヤー
『FEMALE UP』告知フライヤー(提供:アーティスト)。画像内の料金表記はTIGETの案内と異なる。TIGETでは前売3,000円/当日3,500円(ドリンク代別途)

「前進する感情にだけは蓋をしないでほしい」

Rei Kamiya:今後、ラッパー/アーティストとして最終的にどのような場所まで行きたいと考えていますか。

yummma:私は全然思ってなかったんですけど、YUTAROさんが「絶対に武道館行ける」って言ってたので、それを信じてみようと思ってます笑

音楽的な目標は2つで、

小さいのは もう自分の話は全部言い切って、何も言うことないわ ってなること。

大きいのは、本当に偉そうですけど 私みたいな境遇に共感できる人たちに何かポジティブな影響を与えること です。

2つ目は、活動をはじめて、リスナーの反応を見て思えたことですね。

Rei Kamiya:今、家庭環境やお金、人間関係など、自分と似た問題を抱えているリスナーに一つ言葉を届けるとすれば、何を伝えたいですか。

yummma:「すべてなんとかはならないし、一生付き纏う問題ばかりだけど、前進する感情にだけは蓋をしないでほしい」

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作品情報

血に濡れた手で片目を覆い、青い光に照らされたyummmaのポートレート。1st EP『BAD BLOOD』のジャケット
yummma『BAD BLOOD』(2026年7月29日配信/提供:アーティスト)

yummma『BAD BLOOD』
2026年7月29日配信/全5曲・約16分
Label:yummma

#曲名作詞作曲
1BloodyummmaS-NA
2100億円yummmaS-NA
3お金がないyummmaMaria Segawa
4チャラyummmaMaria Segawa
5あたたかな家yummmaMaria Segawa

クレジットはQobuzの収録曲情報に拠る。S-NAはGADOROや般若、Maria SegawaはSKRYUや輪入道のプロデュースで知られる。「100億円」「あたたかな家」はシングルとしても配信されている(Apple Music)。

▶ 各サブスク:ultravybe.lnk.to/badblood

Music Video「100億円」
2026年9月4日公開/監督:YUTARO
yummmaにとって初のMusic Video。

ライブ情報

FEMALE UP ~yummma presents~

項目内容
日程2026年10月16日(金)
会場東京・EBISU BATICA
時間開場18:30/開演19:00
料金前売3,000円/当日3,500円(ドリンク代別途)
出演amiri、Hanemii、Яu-a、yummma ほか
チケットTIGET
問い合わせEBISU BATICA 03-5734-1995

yummma

ラッパー。読みは「ユマ」。ネグレクトやファミリーバイオレンスが当たり前の環境で育ち、「人より劣る自分を等身大でうたう」をコンセプトにラップのプロジェクトを始めた。

劣悪な家庭環境、地下アイドル、地雷系女子、極貧生活。そうした経験や趣向が、日の当たらない場所を書くリリックの背景にある。重い題材を、耳に残るフックと感情をそのまま乗せたフロウで届ける。

2026年7月、1st EP『BAD BLOOD』でデビュー。9月に初のMusic Video「100億円」を公開し、10月16日には初の主催ライブ『FEMALE UP』を開く。

Instagram:instagram.com/yummma_jp
X:x.com/yummma_jp
YouTube:youtube.com/@yummma_jp
TikTok:tiktok.com/@yummma_jp


本記事はHIPHOPCsによるインタビューである。

取材・構成:Rei Kamiya/取材協力:ウルトラ・ヴァイヴ

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