新潟・北陸のラッパー完全ガイド|代表10組・1999年からの年表【Rap Atlas】
新潟、長野、富山、石川、福井。この地域の日本語ラップを一枚の地図にしようとすると、最初につまずく。中心が描けない。
川崎・横浜にはBAD HOPという束があり、名古屋・東海にはTOKONA-Xという共通言語がある。地名がそのままシーンの看板になる。新潟・北陸信越には、それがない。
先に名前を出す。NITE FULL MAKERS、USU(旧名義:USU a.k.a. SQUEZ)、Hilcrhyme、MOROHA、MASS-HOLE、addginjahzz、MC小法師、sagwon、Foolsdayboy、Yvng Patra。 おおむね活動を始めた順で、序列ではない。
10組の内訳は、新潟・長野・石川・福井の4県。富山は後半の注目枠で扱う。
ラッパーは県ごとにばらけ、確認できる常設の受け皿も都市ごとに点在している。人口と面積は音楽活動の原因を証明する数字ではない。ただ、この5県を一つの都市圏のように扱えない地理条件は示している。
数字にすると早い。5県を足した人口は682万6708人で、神奈川県ひとつの919万3657人に届かない(2025年10月1日の国勢調査速報値。2026年5月29日公表/総務省統計局)。面積は逆に、神奈川の約16倍ある(国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」を5県分合算)。
神奈川より少ない人口が、約16倍の広さに分布している。ここからハコ不足や巡業減を直接導くことはできないが、単一の中心を前提にしない本稿の出発点にはなる。
そもそもこの5県をひとまとめにするのは編集上の地図であり、一つの運動が存在するという主張ではない。UMBでも新潟予選と金沢予選が別に開かれた年がある。それでも一枚にしたのは、県境をまたぐ制作関係まで同じ画面で読むためだ。
この前提を飛ばして「知られざる熱いシーン」と書くのは不誠実だ。だから規模は大きく見せない。代表10組と注目の動き3件を、確認できた事実だけで並べる。掲載基準は末尾に全部書いた。
調べ終えて分かったのは、次の5点だ。
- オリコン週間6位と複数のミリオン認定を記録したヒットは、地元アンダーグラウンドと地続きだった。 断絶していたわけではない
- MCバトルは、県名とアーティスト名を結ぶ検証可能な記録を残した。 UMB公式アーカイブでNITE FULL MAKERSの3MCの連続性まで追える
- 2022年に、制作拠点を自分たちで作る動きが新潟と長野で重なった。 DA POINT 117は2026年1月末に店舗営業を終えたため、現役施設ではなく4年弱の実践として扱う
- 福井は空白ではない。 福井市出身のMC小法師は2018年に『ラップスタア誕生!』で準優勝している。2021年には、県内初をうたうヒップホップ事務所を自分で作った
- ラッパーの数で数えると福井は消える。ビートで数えると消えない。 金沢のaddginjahzzが出した2枚のアルバムは、トラックの相当部分を福井のビートメイカーが作っている
誰が一番かは、書かない。
Hilcrhyme「春夏秋冬」は、新潟のアンダーグラウンドと地続きだった
この地域を語るとき、いちばん扱いを間違えやすいのがHilcrhymeだ。
上越市出身のTOCは、DJ KATSUと2001年の新潟のイベント「熱帯夜」で出会い、2006年に新潟県でHilcrhymeを結成した。確認した公式略歴はDJ KATSUの出身市を記していないため、上越市出身という説明はTOCだけにかかる。
公式サイトによれば結成は2006年6月9日。メジャー・デビューは2009年7月15日のシングル「純也と真菜実」だ(Hilcrhyme Official Site)。発売元はユニバーサルミュージック。
結成時はTOCとDJ KATSUの2人組だったが、DJ KATSUは2018年3月19日に脱退した。以後のHilcrhymeはTOCのみで活動している(Hilcrhyme公式発表)。過去の2人体制と現在の1人体制は分けて扱う。
メジャー・デビューから約2か月半後の2009年9月30日、2ndメジャー・シングル「春夏秋冬」を発売した。オリコン週間6位。その年の暮れには、第51回日本レコード大賞と第42回日本有線大賞で、それぞれ新人賞を獲っている。
日本語ラップの言葉づかいをJ-POPの広い聴取層まで運んだ転機だった。本稿が比較できるのは、週間順位と商品別の認定記録までである。
CDが出る前の動きは、携帯配信だけではない。ユニバーサルミュージックの当時の告知によると、8月26日に始まった着うた先行配信はレコチョク週間3位。同時期に有線の8月度問い合わせチャートでも1位だった。着うたフルは9月16日に別途配信が始まり、翌17日付のレコチョク・デイリーで1位になった(ユニバーサルミュージック「2009年のニュース」)。
8月26日の着うたと9月16日の着うたフルは、同じ日付の出来事ではない。本文と年表では、二つの配信形式とチャート記録を分けて扱う。
最終的な認定を見ると、差はもっとはっきりする。日本レコード協会(RIAJ)の公式検索では、CDシングルが2009年10月にゴールド。着うたは2010年2月、着うたフルは2009年12月にそれぞれミリオンへ到達し、PC配信(シングル)は2010年4月にプラチナ認定された(ゴールドディスク認定検索/ダウンロード認定検索。「春夏秋冬」で検索)。
CDと各配信形式は別商品で、認定数を足し合わせることはできない。それでも、二つの携帯配信区分がCDより高い認定段階へ達した事実は、当時のヒットにモバイル流通が大きく関わったことを示す。
一方、発売前の有線問い合わせ1位と全国FM局のパワープレイも公式記録に残る。したがって本稿は「回線だけが最初に運んだ」とは結論しない。有線、ラジオ、携帯配信、CDが時間差で重なったヒットとして読む。
2026年の動きも止まっていない。5月20日に「喜怒哀楽」、7月15日に「美しき日々」を配信し、7月18日には結成20周年記念公演「朱ノ鷺 2026」を東京・SGC HALL ARIAKEで開催した(「喜怒哀楽」公式発表/「美しき日々」公式発表/20周年公演情報)。
8月14日には、14thアルバム『2026』を10月7日に発売すると発表した。10月11日から12月19日までのZEPP TOUR「2026」も開催予定で、12月13日は新潟テルサ公演にあたる(Hilcrhyme公式発表)。その前の8月29日には、長野県白馬村の「HAKUBA Mountain Festival 2026」へ出演予定である(Hilcrhyme公式ライブ一覧)。アルバム、白馬公演、ツアーは、本稿更新時点では実績ではなく発表済みの予定として扱う。
同時に、ヒップホップの側から見た評価はずっと割れてきた。地元の誇りではある。だが「あれはヒップホップなのか」という問いが、長いあいだ新潟の話につきまとってきた。
どちらか一方に寄せて書けば楽になる。そこを楽にしないことが、この地域を扱う条件になる。
ただし、そのうえで確認しておくべき事実がある。両者は別々の系譜ではない。
公式サイトが「地元新潟のレジェンド」と書いている
2022年1月21日、Hilcrhyme公式サイトが「Be one feat. NITE FULL MAKERS」のミュージック・ビデオを公開した。
そこでNITE FULL MAKERSはこう紹介されている。「TOCがメジャーデビュー前に所属していた地元新潟のレジェンドHIP HOPグループ」(Hilcrhyme Official Site)
MVに使われたのは、2022年1月8日の「Hilcrhyme TOUR 2021-2022 FRONTIER」新潟テルサ公演の映像だ。NITE FULL MAKERSがゲスト出演した回である。
つまり、新潟のローカル・シーンの骨格を作ったグループと、全国チャートとRIAJ認定の記録を持つアクトは、同じ根から出ている。
『N』とメジャー・デビューは、同じ2009年の4か月違い
『N』の発売は2009年3月13日。Hilcrhymeのメジャー・デビューは同年7月15日。「春夏秋冬」がヒットしたのも同じ年だ。
県外流通で確認できる新潟シーン初期のまとまった提示の一つと、全国チャートへ届いたメジャー展開は、4か月違いで並んでいる。別々の時代の出来事ではない。
そしてメジャー・デビューから13年後に、同じステージに並び、一曲を共作している。新潟を「Hilcrhymeとそれ以外」で切るのは、事実として正しくない。
代表アーティスト10組|新潟・長野・石川・福井のラッパー
冒頭に出した10組を、一組ずつ見ていく。開始年が特定できず生年しか取れなかった3組は、その生年順に置いた。掲載の根拠(基準1/2)は各項に併記し、各組の公開記録は2026年8月24日まで同じ基準で再照合した。
富山は後段の「注目の動き3件」で扱う。県名が代表枠に出ないことは、その県にアクトがいないことを意味しない。
NITE FULL MAKERS(新潟/2003年結成)
DJ YOSHIIのクルー「INTERFACE & FACTOR」から出たグループ。編成は時期で変わった。FM-NIIGATAの2024年の紹介は、2003年結成とし、中核の3MC・2DJをUSU a.k.a. SQUEZ、TOTOROW、SWAMP、DJ TORA a.k.a. TAZAWA、DJ ZENと記している。一方、2006年12月23日発売『月刊ラップ 第5号』収録「GIVE IT SHOT」の当時クレジットは、USU、TOC、TOSHI、TOTOROW、SWAMPの5MCとDJ ZENだった(当時の収録クレジット/Apple Musicの作品記録)。本稿は3MC・2DJを全活動期に固定しない。
初期作『SUNRIZE』は、FM-NIIGATAの回顧紹介が2005年とする一方、商品台帳は2006年7月で一致する。ただし日付は、楽天ブックスが21日(IFN-1/JAN 4948722294450)、タワーレコードが31日(IFN-001)で、二次的な参加作品表には25日も残る。日単位を確定できないため、本稿と年表は2006年7月までを確認範囲とし、資料差を隠さない。
2009年3月13日、1stフル・アルバム『N』(INTERFACE & FACTOR/IFFT-004)。大阪の韻踏合組合とJAY’EDらが客演した。トラックにはDJ WATARAI、onodub、Sky beatsら10人が名を連ねている。
新潟のグループが、県外の一線と同じ盤の上で組んだ。
ディスクユニオン、Castle Records、HMV、タワーレコードの商品ページは、この盤を「新潟最重要グループ」と紹介している。
ただし本文を突き合わせると、タワーレコードとディスクユニオンはほぼ同一文だった。出所はレーベル側が配った一本の紹介文とみられる。四社で確認できた、とは数えない。
それでも、県外流通で確認できる新潟シーン初期のまとまった提示の一つである。〔基準1・2〕
グループとして本稿が確認できた直近の公式記録は、2022年のHilcrhyme「Be one feat. NITE FULL MAKERS」と新潟テルサでの共演である。以後の活動休止や解散を意味する記述ではない。
USU(新潟/旧名義:USU a.k.a. SQUEZ)
NITE FULL MAKERSのMC。MCバトルを通じて県外へ名前が届いた。歴史上のメンバー表記は旧名義を残し、現在の配信名義はUSUとする。
2024年3月8日には、新潟・長野の若手7人を集めたマイクリレー「Straight up」を発表している。参加はDr.KID、Lil Bell Dice、Ik0aN、Fitray、Kitaro yvng jet、MaM、Dr.ilda。世代をまたぐハブ役だ。〔基準1・2〕
2025年12月5日には16曲入りの10thアルバム『Locus』を発表。2026年も連続してシングルを出し、7月24日の「Re:Pray」を経て、8月14日に「Mission feat. JAMMY RICCH, TONYY LOTTA & lotus」を配信した。8月24日時点の最新作と現名義はTuneCore JapanのUSUページ、アルバムの日付と曲数はApple Musicで確認した。
Hilcrhyme(新潟/2006年〜)
前章のとおり。メジャー流通での継続的リリース、「春夏秋冬」の大ヒット、二つの新人賞。TOCは上越市出身で、東京へ出てから組んだのではなく、新潟で組んでそのまま全国へ出た。2018年以降はTOCのみの体制で、2026年には結成20周年公演まで進んでいる。〔基準1・2〕
MOROHA(長野/2008年〜)
長野県上田市周辺の出身で、高校の同級生だったアフロとUKによる2人組。UKのアコースティックギター1本だけをバックに、アフロがラップする。
自主レーベルYAVAY YAYVA RECORDSを経て、2018年6月6日にユニバーサルシグマからメジャー・デビュー。作品は『MOROHA BEST ~十年再録~』。2022年2月11日には日本武道館の単独公演へ到達した。トラックもバンドも使わない編成のまま、そこまで行っている。
2024年12月21日、恵比寿ザ・ガーデンホールでの「MOROHA “単独”ツアー2024」公演をもって活動休止(MOROHA公式/音楽ナタリー)。
ただし止まってはいない。アフロは2026年7月29日、初のソロ・アルバム『無職覚醒』をポニーキャニオンからリリースしている。全12曲(ポニーキャニオン)。
全国11カ所のツアー「ひとりずもうの横綱たち」は、2026年8月4日の新宿MARZ公演から始まった(Real Sound)。対バン相手はピン芸人の今井らいぱちとサツマカワRPG、落語家の三遊亭鬼丸、シンガーソングライターの工藤祐次郎。ひとりで舞台に立つ人間ばかりを並べている。
ギター1本の相方を外したあと、アフロが選んだのはバンドではなかった。
同ツアーは2026年9月13日、アフロとUKが同級生だった長野県上田市へ戻る。会場は犀の角で、本稿更新時点では開催予定だ(犀の角)。
MOROHAとしての活動再開は、本ページの調査時点で公式発表を確認できていない。〔基準1〕
MASS-HOLE(長野・松本)
ラッパー/ビートメイカー。KINGPINZとFOUR HORSEMENでの活動、自主レーベルDIRT RAIN、拠点DA POINT 117。この4つで、松本を全国のアンダーグラウンド/ビート圏に直結させた。
2021年1月20日、およそ6年ぶりの2ndラップ・アルバム『ze belle』をWDsoundsからリリース。客演はISSUGI、COVAN、SHOKO & THE AKILLAら。同年8月18日には2LPも出ている(Qetic/P-VINE)。
2024年7月12日には、長野県山ノ内町出身のラッパー/ビートメイカーBOMB WALKERとの7曲入り共作アルバム『BANDIT』を、自主レーベル〈DIRT RAIN〉から配信した(Apple Music/CDJournal)。松本の一人を追う項目であると同時に、県内の別地域をつないだ現行作でもある。
2025年11月26日には、全曲で作曲・プロデュース・ドラムを担った15曲入りビート・アルバム『RAW DEALS』を〈dirt rain〉から配信した(TuneCore Japan/Apple Music)。ラップ作だけで現在地を測らないための直近記録である。
2026年に入っても記録は続く。6月2日発売のミックスCD『SEE YA』は、閉店したDA POINT 117の店頭で売っていたレコードからMASS-HOLEが選曲したものだ(WENOD)。8月19日には、仙人掌の2018年作をMASS-HOLEが全曲再構築した『BOY MEETS WORLD (MASS-HOLE REMIXES)』が、かつてのプロモ盤からP-VINEの限定LPとして正式発売された(P-VINE)。閉店後の現在地は、新録だけでなく選曲とリミックスにも残っている。
松本発の盤に、東京のアンダーグラウンドの中心にいる面子が乗った。〔基準1・2〕
addginjahzz(石川・金沢/2014年〜)
Jony the sonata、milkyheadone、DJ KENTAROUによる2MC・1DJ。自主流通を重ねたうえで、2019年12月4日に1stアルバム『SALADBOWL』(全13曲)を出した(音楽ナタリー)。
2021年9月2日の2ndアルバム『dept.』は全16曲。客演はMr.PUG(MONJU)、MULBE(N.E.N)、Kzyboost、富山のEftraら。プロデュースにはgrooveman Spotらが加わっている。
2025年10月3日には、addginjahzzとメンバーのDJ KENTAROUの連名で6曲入りEP『addseason』を配信した(Apple Music)。自主流通の積み重ねが現在も続いている。〔基準1・2〕
MC小法師(福井・福井市)
2018年、AbemaTVのオーディション番組『ラップスタア誕生!』2ndシーズンで準優勝。優勝は当時LEON a.k.a. 獅子を名乗っていたLeon Fanourakis、3位はNatural Pだった。
20歳で上京してデビュー・アルバム『TOKYO 360』を出し、FM福井で番組が決まったことを機に地元へ戻った(ENCOUNT)。有志によるUMB歴代王者集計では2020年の福井代表。2021年にはヒップホップ事務所「来福Entertainment」を設立し、代表取締役CEOに就いている(ふーぽ)。
同事務所は本人側のプロフィールで「福井県初」とされるが、第三者による裏付けは確認できていない。2022年4月6日の2ndアルバム『Alarm AM 06:00』は全9曲で、晋平太と輪入道が客演。2024年12月4日には全11曲の『NEXT 10』を出した(Apple Music/Apple Music)。
2026年も「不眠症」「ナリタイジブン feat. 玄太」「Sanpo」「29 feat. Yuzy Fett & 勇武 (Remix)」の4シングルを発表し、MC小法師名義で確認できる直近作は6月1日の「29」リミックスである(Apple Musicアーティストページ)。県外へ出て戻り、地元に事務所を作ったあともリリースを続けている。〔基準1〕
sagwon(新潟/1999年生まれ)
MCバトルブームを入口にしながら、メロディアスなラップへ振れた世代。2023年11月8日のアルバム『prescription』は全12曲で、新潟市のWooRockが4曲を手がけた(Apple Music/Mikiki)。
2024年9月25日には9曲入りミニ・アルバム『2side』を〈RUBiK〉から配信。Foolsdayboyが全体のディレクションとエグゼクティブ・プロデュースを担い、2曲へ客演した(indiegrab)。個人作とレーベル運営が同じ制作単位で動いている。〔基準1〕
自身名義の直近配信は2025年1月22日のシングル「Spilling out」。以後もFoolsdayboy作品への参加があり、8月24日時点のカタログはTuneCore Japanで確認した。
Foolsdayboy(新潟/2000年生まれ)
ラッパー兼ビデオ・ディレクターで、〈RUBiK〉の中心人物。現行プロフィールでは、映像監督としての活動を本格化したのは2024年ごろ、映像ブランド「CubeOwl Film」の始動は2025年と分けている。Gam BallやVCE NAVAなどのMVを手がけた(TuneCore Japan)。
2025年11月19日の3rdアルバム『Stay Foolish』は全11曲。WooRockは9曲にクレジットされ、そのうち4曲はMacShooter、DJ Pain、WhoIzNate、Say Quizzyとの共同プロデュースだった。リリース資料では残る「バラ (Freestyle)」「Flooded」を新潟のFuji Roseが制作したとされ、「Hanger」にはsagwonが客演している。
Pointedはこの盤の音を、現行フロリダ勢の「モーション・ミュージック」からの影響を消化したものと評した。詳細クレジットはEYESCREAMの曲目表で確認できる(Pointed/EYESCREAM)。地元の主担当と複数の共同制作者が組んだ作品であり、「新潟の2人だけで全曲を作った」とは数えない。
その後も止まらず、2026年4月1日に〈RUBiK〉から10曲入り『Freeze Foolish』を配信した。sagwonとの「3pm」も収録されている(TuneCore Japan)。〔基準1〕
Yvng Patra(新潟県出身/2002年生まれ)
本人への取材によると、17歳当時は高校へ通わず、働きながらSoundCloudなどに音源を投稿していた。そこで同時期のラッパーとつながってXgangに加入し、その数か月後の2021年、高校3年に相当する年齢で上京した(PRKS9/KAI-YOU Premium)。2025年1月25日には3rdアルバム『RICH / RISK』(全14曲)を出している(Apple Music)。
2026年3月18日にはOddy lozyとの6曲入りEP『Batlogue』を発表(Apple Music)。4月3日にはDoc Pauly、MIYACHIとのシングル「WAY UP」を配信した(Apple Music)。翌4日には幕張メッセの『POP YOURS 2026』DAY 2に出演し、「Selfish BEATJACK」ではralph本人を迎えた(Spincoaster公演後レポート)。フェス3日間の中身はHIPHOPCsの現地レポートにまとめてある。
「Hood Star」では、新潟を離れた時の弟たちへの思いと、地元へ返したい気持ちを本人が説明している(PRKS9)。地方性は伝記の注釈ではなく、楽曲の主題になっている。〔基準1〕
福井はビートでも消えない|金沢の2枚を支えたDRS
ラッパーで数えると消える。ビートで数えると消えない
この地域の地図を「ラッパー」だけで描くと、福井はもっと大きく見落とされる。
金沢のaddginjahzzが2021年に出した2ndアルバム『dept.』のプロデューサー欄を見てほしい。
福井のビートメイカー・チームDRSからelamp、6-SenS、BALLHEAD、$szZaaa。同じく福井のJEDImasterからBerrynice(Pointed)。
Pointedが名前を挙げるプロデューサー7人のうち、5人が福井の人間だ。残る2人は仙台のgrooveman Spotと板橋のWATTER。金沢のグループの2枚目で、県外組の最大勢力が東京ではなく福井だった。
DRSが福井拠点であることは、メンバーBALLHEADのインタビューでも確認できる。初期メンバーは本人の記憶で「俺と6-SenSとelampの3人」(にんじゃりGang Bang)。
2019年の『SALADBOWL』でも、6-SenSが4曲、BALLHEADとelampが1曲ずつトラックを手がけている。
つまり金沢のaddginjahzzが出した2枚のアルバムは、トラックの相当部分を福井県のビートメイカーが作っている。
トラックだけではない。同じ『dept.』の客演欄には、富山のEftra(Young Dopest)も入っている(Pointed)。
石川のグループの2枚目に、福井のビートと富山のマイクが乗っている。北陸3県が、1枚の上で組んでいた。
県をまたいだ制作なら、後述する翔恵とDJ KENTAROUの『INNER SURFACE』(2024年)が分かりやすい。1枚まるごとを富山と石川の2人で作った盤だ。
ただし、県境をまたぐやり取り自体はもっと前からある。石川と福井なら少なくとも2019年、石川と富山なら2021年から動いていた。
地域シーンを「その土地出身のラッパーの数」で測る書き方は、この地域では特に取りこぼしが大きい。福井は、その最も分かりやすい例だった。
MCバトルが残した県名|UMB新潟・金沢予選
この地域の2000年代史で、MCバトルは例外的に追跡しやすい。大会公式アーカイブが、年、予選地、優勝者、所属を同時に残しているからだ。
新潟市の受け皿は、古町のLIVE HALL GOLDEN PIGS、新潟駅前のCLUB RIVERST、中央区東堀前通のclub SEVEN NIIGATAあたりだ。
そのGOLDEN PIGSにも一度切れ目がある。
前身の新潟CLUB JUNKBOXとCLUB JUNKBOX miniが2010年9月8日で閉店。翌9日、同じ場所にLive Hall GOLDEN PIGSが開いた(Musicman)。現在はRED/BLACK/YELLOWの複数ステージを持つ。
継続的に使われるハコにも運営の切り替わりがあった。ここから県全体の巡業事情までは断定しない。確認できるのは、ULTIMATE MC BATTLE(UMB)の地方予選が、別のかたちで地名とMC名を記録したことだ。
2008年TOTOROW、2009年SWAMPはUMB公式記録で確認できる
UMB 2008公式の新潟予選レポートは、USUが予選2連覇のあと後進へ道を譲って不参加となり、NITE FULL MAKERSのTOTOROWが決勝でNAIKA MCを破ったと記録している。決勝大会の公式出場者一覧も、TOTOROWを「新潟予選優勝」と明記する(UMB 2008公式ウェブログ)。
翌2009年は、UMB 2009公式ウェブログがSWAMPを新潟予選優勝者、Jony the Sonataを金沢予選優勝者として掲載している。NITE FULL MAKERSの3MCは、USUの2連覇、TOTOROW、SWAMPという順で公式記録上もつながる。『N』の発売は、その連続の途中にあたる。
『N』の流通紹介文にあるTOTOROWの「UMB 2008北陸代表」は、公式大会記録の「新潟予選優勝」より広い地域名を使った紹介だった。本稿では大会公式の表記を優先する。
2024年12月1日にもclub SEVENで新潟予選が開かれた(UMBイベントページ)。さらにUMB公式チャンネルは、グランド・チャンピオンシップの映像でKeyを「新潟代表」と明記している(UMB公式動画)。予選ページ単体には結果欄がないため、ここでは公式映像が確認する「新潟代表」という範囲にとどめる。
有志の歴代集計は、MC小法師の2020年福井代表やJony the sonataの別年を調べる入口として残す(note)。ただし、公式資料で確認できない年は確定結果へ昇格させない。
USUが「新潟のフッドスター」として県外に知られたのも、バトル経由だ。
2009年の『N』の紹介文は、彼を「もはや全国区となった新潟のフッドスター」と書いている。同じ文で、TOTOROWは「UMB 2008北陸代表」だ(タワーレコード/ディスクユニオンにほぼ同文で掲載)。
作品より先に、大会の肩書きが名前を運んでいた。
名前が外へ出たあとに何をしたか。そこまで見ると、三県の並びは少し具体的になる。
2009年に金沢予選を制したJony the Sonataは、その後addginjahzzで2枚のアルバムを出す側に回った。新潟の3MCの先には『N』がある。大会成績だけで地域史を代用はできないが、録音作品へ移った人物の前史としては機能する。
2022年、「出るか残るか」の二択が崩れた|〈RUBiK〉とDA POINT 117
この地図で最も動きがあるのは2022年だ。しかも、新潟と長野で同時に起きている。
新潟では、sagwonとFoolsdayboyがコレクティヴ/レーベル〈RUBiK〉を設立した。イラストレーターfu34shiを含む3名体制で、ラップ、映像、アートワークを同じ地元チーム内でつなぐ。ただし録音、ミックス、マスタリング、共同プロデュースには別の制作者も入るため、「すべてを3人だけで完全内製」とは書かない(Mikiki/EYESCREAM)。
同年10月1日、MASS-HOLEが松本市城東にショップ兼オフィス兼スタジオ「DA POINT 117」を開いた(ABEMA TIMES)。
動機として語られているのは、「皆の町にあるものが松本には無かったから」だ。
二つとも、県外へ出ることでも、地元で我慢することでもない。無いなら作る、という三つ目の答えだ。
どちらも、ラッパーだけの集まりではない。〈RUBiK〉の3人は、ラッパー、ラッパー兼ビデオ・ディレクター、イラストレーター。DA POINT 117は店舗営業中、店、事務所、スタジオの機能を兼ねた。
DA POINT 117の店舗営業は2026年1月末に終了した。閉店後にMASS-HOLEがスタジオとして使った時期があったことは、ミックスCD『SEE YA』のメーカー・インフォメーションに残る。ただし本稿更新時点の利用状況までは確認できない(WENOD)。
永続した施設として美化はできない。それでも、松本に音源、書籍、衣類、コーヒーと制作機能が交わる場所を4年弱つくった実践は、閉店によって消える事実ではない。
新潟市のプロデューサーWooRockは、sagwon『prescription』で4曲を手がけた。Foolsdayboy『Stay Foolish』では全11曲中9曲にクレジットされ、4曲は県外を含む制作者との共同プロデュースだった。2020年代の新潟から出た2枚で、地元のプロデューサーが継続して主軸を担っている。
ここで福井の話とつながる。新潟では新潟のプロデューサー、石川では福井のビートメイカー。県は違うが、やっていることは同じだ。
DA POINT 117を開いたMASS-HOLE自身も、ラッパーであると同時にビートメイカーである。ここで確認できる共通点は、音源、映像、デザイン、販売、制作場所の一部を地域内で組み直したことだ。人口や雪を理由にした因果までは広げない。
注目の動き3件|チャート、プロデュース、県またぎ
直近24ヶ月のリリースまたは制作実績があり、記事・大会・フェス・チャートのいずれかへ辿れる動きを挙げる。チャートが本人申告だけの場合は、そのことも明記する。
- Dr.KID(新潟/2000年生まれ)— 2025年10月24日にシングル「Leave Me Alone」をリリース。2026年には2ikKen「YARU (feat. Dr.KID, D.D, Hiwl & LOG hearts) [NGT Remix]」にも参加している。本人のTuneCoreプロフィールでは、2023年5月14日の1stシングル「CHANGE GAME」がiTunes Store(日本)の「ヒップホップ/ラップ トップソング」で37位。2024年3月8日のUSU「Straight up」では7人の筆頭に置かれた
- WooRock(新潟市/プロデューサー)— sagwon『prescription』(2023年11月8日)で4曲。Foolsdayboy『Stay Foolish』(2025年11月19日)ではメイン・プロデューサー。新潟の2020年代の音を実質的に設計している
- 富山の2本線:翔恵とEftra — 翔恵は金沢のDJ KENTAROU(addginjahzz)とのジョイント・アルバム『INNER SURFACE』(全12曲)を2024年10月8日にリリース。Eftraは2025年12月5日にriverseas ass**との7曲入り『deef』、2026年2月5日にBOMB WALKER参加の4曲入りEP『The Iron Stove』を発表した(Apple Music)。Eftraの公式プロフィールは富山を活動地とし、2021年『E.F.T.R.A』をMASS-HOLEが全面プロデュースしたと記す(TuneCore Japan)。富山は石川との一枚だけでなく、長野の制作圏ともつながる
Dr.KIDの2025年リリースと2026年の参加作はTuneCore Japanプロフィールで確認できる。一方、37位という順位の出所も同じ本人プロフィールで、第三者報道による裏取りは取れていない。
この37位は、ユニバーサルやRIAJが残した「春夏秋冬」の記録と同じ強さでは扱えない。Dr.KIDを置く根拠は、2025〜2026年の配信実績とUSU「Straight up」への参加であり、本人申告の順位だけではない。
翔恵とEftraをこの一枠に置いたのは、富山を一人で代表させるためではない。石川とのジョイント作と、長野の制作者へ伸びる別の経路を並べ、県境をまたぐ二つの実績として読むためだ。
裏が取れる資料が少ないだけで、シーンが小さいわけではない。
意図的に載せなかったもの|漢 a.k.a. GAMI、フジロック、1990年代
出身地と活動地を混ぜないことが、この地域では特に重要になる。
漢 a.k.a. GAMIは新潟県長岡市生まれ。だが育ちは東京都新宿区で、活動基盤は一貫して新宿である。新潟のシーンにおける歴史的役割は確認できなかった。代表アーティストには含めていない。
フジロック・フェスティバルは1999年から新潟県湯沢町・苗場スキー場で開かれている(公式ヒストリー)。大規模な音楽興行だが、地元シーンが育てた催しとしては扱わない。新潟で音楽の話をするときに外せない地理上の前提、という置き方にとどめる。
NITE FULL MAKERSの結成はFM-NIIGATAの紹介に基づき2003年とした。ただし、2006年の5MCクレジットと後年の3MC・2DJ紹介が示すように編成は時期で変わる。『SUNRIZE』も回顧紹介の2005年と商品台帳の2006年7月21日が食い違うため、差を消していない。
「新潟最重要グループ」という評価も、出所はレーベル側の紹介文で、独立した報道の裏付けはない。掲載店が四社あることは、四社が検証した意味にはならない。
それでも、このグループが新潟の中心にいたという判断は変えていない。根拠は店の数ではない。2022年にHilcrhymeが公式サイトで彼らを「地元新潟のレジェンド」と紹介し、共作まで出していることのほうだ。
1990年代の新潟は、まだ空白のまま
1990年代の新潟クラブ・シーンは、報道された一次資料が出てこなかった。ここは空白のまま置いている。
手がかりが一つだけある。新潟のDJ、HANA the Waxkillerが2023年に自身のnoteで「新潟のHIPHOPは、いかにして始まったのか」という連載を書いている。
古町のディスコ「People Power」、大竹座ビルの「ZIZIQUE」(のちのMAHARAJA)。当事者の記憶として、店名がそこに出てくる(note)。
ただしこれは本人の回想であり、扱っている時期も主に1980年代だ。裏の取れる記録ではないので、本文の年表には入れていない。読者が辿るための入口として挙げるにとどめる。
新潟・北陸ヒップホップ年表|1999年の苗場から2026年『無職覚醒』ツアーまで
出典が確認できた出来事だけを並べた。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1999年 | フジロック・フェスティバルが新潟県湯沢町・苗場スキー場での開催を開始 |
| 2003年 | FM-NIIGATAの回顧紹介ではNITE FULL MAKERSが新潟で結成。2006年の音源には5MC、後年の紹介には3MC・2DJが記録され、編成は時期で変わった |
| 2006年 | 2001年のイベント「熱帯夜」で出会ったTOCとDJ KATSUが、新潟県でHilcrhymeを結成 |
| 2006年7月 | 商品台帳ではNITE FULL MAKERS『SUNRIZE』発売。楽天ブックスは21日、タワーレコードは31日、二次資料には25日と日付が割れ、FM-NIIGATAの回顧紹介は2005年としている |
| 2008年 | UMB公式記録でNITE FULL MAKERSのTOTOROWが新潟予選優勝。公式レポートは、USUが予選2連覇後に不参加だったことも記す。同年、長野県上田市周辺の高校同級生アフロとUKがMOROHAを結成 |
| 2009年3月13日 | NITE FULL MAKERSが1stフル・アルバム『N』(IFFT-004)をリリース。韻踏合組合、JAY’ED、DJ WATARAIらが参加 |
| 2009年7月15日 | Hilcrhymeが「純也と真菜実」でメジャー・デビュー(発売元はユニバーサルミュージック) |
| 2009年7月18日・9月18日 | UMB公式記録でJony the Sonataが金沢予選、SWAMPが新潟予選に優勝 |
| 2009年8月26日 | 「春夏秋冬」の着うた先行配信が始まり、レコチョク週間3位。有線の8月度問い合わせチャートは1位 |
| 2009年9月16・17日 | 「春夏秋冬」の着うたフルが16日に先行配信開始。17日付レコチョク・デイリーで1位 |
| 2009年9月30日 | Hilcrhymeの2ndメジャー・シングル「春夏秋冬」が発売。オリコン週間6位。同年、第51回日本レコード大賞・第42回日本有線大賞でそれぞれ新人賞を受賞 |
| 2010年9月8・9日 | 新潟市古町の新潟CLUB JUNKBOXとCLUB JUNKBOX miniが9月8日で閉店。翌9日、同じ場所にLive Hall GOLDEN PIGSが開業 |
| 2014年 | 石川県金沢市のaddginjahzzが活動開始 |
| 2018年 | 3月19日にDJ KATSUがHilcrhymeを脱退し、以後はTOCのみで活動。同年、福井市出身のMC小法師がAbemaTV『ラップスタア誕生!』2ndシーズンで準優勝(優勝はLeon Fanourakis) |
| 2018年6月6日 | MOROHAが『MOROHA BEST ~十年再録~』でユニバーサルシグマからメジャー・デビュー |
| 2019年12月4日 | addginjahzzが1stアルバム『SALADBOWL』(全13曲)をリリース。福井のDRS勢がトラックの一部を担当 |
| 2021年1月20日 | MASS-HOLEが2ndラップ・アルバム『ze belle』をWDsoundsからリリース。ISSUGI、COVANらが客演 |
| 2021年9月2日 | addginjahzzが2ndアルバム『dept.』(全16曲)をリリース。福井のDRS・JEDImaster勢がプロデュースに参加し、富山のEftraが客演 |
| 2021年 | MC小法師がヒップホップ事務所「来福Entertainment」を設立。本人側プロフィールでは福井県初としているが、独立した裏付けは未確認。同年、戦極MC BATTLE第23章に中部代表として出場 |
| 2022年1月21日 | Hilcrhyme「Be one feat. NITE FULL MAKERS」MV公開(1月8日の新潟テルサ公演の映像を使用) |
| 2022年2月11日 | MOROHAが日本武道館の単独公演を開催 |
| 2022年 | sagwonとFoolsdayboyが新潟で〈RUBiK〉を設立。10月1日、MASS-HOLEが松本市城東に「DA POINT 117」を開店 |
| 2024年3月8日 | USUが新潟・長野の若手7人を集めたマイクリレー「Straight up」を発表 |
| 2024年7月12日 | BOMB WALKERとMASS-HOLEが7曲入り共作アルバム『BANDIT』を〈DIRT RAIN〉から配信 |
| 2024年9月25日 | sagwonが9曲入りミニ・アルバム『2side』を〈RUBiK〉からリリース。Foolsdayboyがエグゼクティブ・プロデュース |
| 2024年10月8日 | 富山の翔恵と金沢のDJ KENTAROUのジョイント・アルバム『INNER SURFACE』がリリース |
| 2024年12月1日 | UMB 2024の新潟予選がclub SEVENで開催。UMB公式チャンネルはKeyを同年の新潟代表と記録 |
| 2024年12月21日 | MOROHAが恵比寿ザ・ガーデンホール公演をもって活動休止 |
| 2025年1月22日 | sagwonがシングル「Spilling out」をリリース |
| 2025年1月25日 | Yvng Patraが3rdアルバム『RICH / RISK』(全14曲)をリリース |
| 2025年10月3日 | addginjahzzとDJ KENTAROUが6曲入りEP『addseason』をリリース |
| 2025年11月19日 | Foolsdayboyが3rdアルバム『Stay Foolish』をリリース。WooRockは9曲に参加し、うち4曲は共同プロデュース |
| 2025年11月26日 | MASS-HOLEが15曲入りビート・アルバム『RAW DEALS』をリリース |
| 2025年12月5日 | USUが16曲入り10thアルバム『Locus』をリリース。富山のEftraとriverseas ass**は7曲入り『deef』を発表 |
| 2026年1月末 | DA POINT 117が店舗営業を終了。閉店後にスタジオ利用された時期は確認できるが、更新時点の利用状況は未確認 |
| 2026年2月5日 | 富山のEftraが4曲入りEP『The Iron Stove』をリリース。BOMB WALKERが1曲に参加 |
| 2026年3月18日 | Yvng PatraとOddy lozyが6曲入りEP『Batlogue』をリリース |
| 2026年4月1日 | Foolsdayboyが10曲入りアルバム『Freeze Foolish』を〈RUBiK〉からリリース |
| 2026年4月3日 | Doc Pauly、MIYACHI、Yvng Patraがシングル「WAY UP」をリリース |
| 2026年4月4日 | Yvng Patraが『POP YOURS 2026』DAY 2(幕張メッセ)に出演。「Selfish BEATJACK」ではralphが合流 |
| 2026年5月20日 | Hilcrhymeが「喜怒哀楽」を配信 |
| 2026年6月1日 | MC小法師が2026年4作目のシングル「29 feat. Yuzy Fett & 勇武 (Remix)」を配信 |
| 2026年6月2日 | MASS-HOLEがDA POINT 117の店頭在庫から選曲したミックスCD『SEE YA』をリリース |
| 2026年7月15・18日 | Hilcrhymeが「美しき日々」を15日に配信し、18日に結成20周年記念公演「朱ノ鷺 2026」を開催 |
| 2026年7月29日 | MOROHAのアフロが初のソロ・アルバム『無職覚醒』(全12曲、ポニーキャニオン)をリリース |
| 2026年8月4日 | アフロが新宿MARZで全国11カ所ツアー「ひとりずもうの横綱たち」を開始。9月13日の上田・犀の角公演は本稿更新時点で開催予定 |
| 2026年8月14日 | USUがシングル「Mission feat. JAMMY RICCH, TONYY LOTTA & lotus」を配信。Hilcrhymeは14thアルバム『2026』の10月7日発売と、10月11日〜12月19日のZEPP TOUR「2026」を発表 |
| 2026年8月19日 | 仙人掌『BOY MEETS WORLD (MASS-HOLE REMIXES)』がP-VINEから限定LPで正式発売 |
| 2026年8月29日(予定) | Hilcrhymeが長野県白馬村の「HAKUBA Mountain Festival 2026」へ出演予定。8月24日時点では未開催 |
10組でも足りない。それでも今出す理由
最大の穴は、一次資料で辿れる1990年代の新潟クラブ史だ。一方、UMBは年ごとに分散していた公式記録を掘り直し、USUの予選2連覇、TOTOROW、SWAMP、Jony the Sonata、Keyまで確認できた。
福井も「空白」ではなかった。MC小法師とDRSを代表枠と制作クレジットから拾い直したことで、「確認できなかった」と「存在しない」を分けられた。
このページを今出す理由は、穴を隠して「知られざる熱いシーン」と呼ぶためではない。確認できた範囲と、まだ取れていない範囲を同じ地図に残すためだ。
束がないから、束以外を数えた
新潟の『prescription』『Stay Foolish』にはWooRockがいる。金沢の『SALADBOWL』『dept.』には福井のDRS勢がいる。MASS-HOLEはラップとビートの両方を担い、店とスタジオも作った。
ラッパーの出身地だけを並べると、この地域は薄く見える。薄いのは、その数え方のほうだった。
MOROHAの休止、DA POINT 117の閉店、2026年の新作と発表済み予定は、すべて同じ年表に置いた。終わりを成功譚で消さず、新作を地域全体の好調へ膨らませない。この地図を一度描いて閉じられない理由は、そこにある。
掲載基準と、掲載申請の窓口
Rap Atlasは完成品ではない。読者とシーン当事者の指摘で更新される、生きた地図として運用している。
代表アーティストの掲載基準(いずれかを満たすこと)
- 公式ストリーミング配信でのリリース実績があり、かつ全国メディア(専門メディア含む)での言及・出演・チャート実績が確認できる
- 地域シーンにおける歴史的役割が独立した複数ソースで確認できる
注目の動きの掲載基準
直近24ヶ月のリリースまたは制作実績に加え、メディア掲載・大会・フェス出演・チャート実績のいずれか1つ以上。本人申告しかない実績は、出所と未検証であることを本文に明記する。
運用の原則
- 序列をつけない。並びは活動開始順または五十音順の中立順とし、「誰が一番」は明記しない
- 反社会的行為に関する未確認情報は書かない
- 出身地の記載は本人公表または信頼できる報道ベースのみ。推測で地域に紐付けない
- 掲載の可否・順序を金銭で変えない(PR掲載は明示分離)
掲載漏れ・事実誤認の指摘はお問い合わせフォームから受け付けている。受け取ったあと、編集部は次の順で処理する。
- 一次資料と独立した複数ソースで事実を検証する
- 掲載基準に照らして可否を判定する
- 掲載する場合、地域データベース・日本語版・英語版の三点へ同時に反映する
反映内容は記事末尾の追補ノートと更新履歴に日付つきで記録する。指摘者のクレジットは本人が希望した場合のみ実名で記載する(匿名・記載不要も選べる)。
基準の全文はRap Atlas 掲載基準に掲載している。地域ページの一覧はRap Atlasから辿れる。
とりわけこの地域については、次の3点で情報の提供を待っている。
- 1990年代の新潟クラブ・シーンの一次資料
- 2010年以降を含むUMB新潟/北陸・金沢予選の公式記録(2008・2009・2024年は確認済み)
- 福井・富山のさらなる掘り下げ
福井については本ページの公開時点で、MC小法師とビート・チームDRSまでは確認できた。ここから先を知っている人の連絡を待っている。
更新確認: 本稿の事実関係と予定情報は2026年8月24日に再確認した。8月29日の白馬公演、9月13日の上田公演、10月以降のアルバムとツアーは、開催・発売済みではなく予定として扱っている。
検証ノート
個別の根拠は、原則として該当する記述の直後に置いた。地図の骨格は、2025年国勢調査速報と国土地理院の面積調、RIAJのCD認定・配信認定、FM-NIIGATAのNITE FULL MAKERS回顧紹介、UMB 2008・UMB 2009の公式記録、各アーティストと流通元の現行カタログで再確認した。
同じ販売紹介文の転載は複数の独立証言に数えない。『SUNRIZE』は2005年という回顧と、2006年7月21日・31日、二次表の25日という商品日付が一致しないため、2006年7月までを確定範囲とした。Keyは公式動画が記す「2024年新潟代表」までとし、「予選優勝」とは言い換えていない。
本人側だけが出所の「福井県初」、MC小法師の2020年UMB福井代表、Dr.KIDの2023年チャートは、出所を明記して独立確認済みの事実と分けた。今後の公演、休止中のグループ、閉店した店舗、直近リリースも同じ状態にまとめず、2026年8月24日時点で分離している。