ZORN × 後藤真希「地元LOVE」―なんでZORNとゴマキなのか。いや、なんでなのか。葛飾の中卒ラッパーと元モー娘。

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公開20時間で36万再生、コメント欄は完全にお祭り状態。日本語ラップ史上、最もカオスなフィーチャリングが爆誕してしまったのである。


なんでZORNとゴマキなのか。いや、なんでなのか

2026年2月16日、日本武道館。ZORNとOZROSAURUSのツーマンライブ「All My Homies presents “Family Day”」のステージ上で、その曲は初披露されたのである。

「地元LOVE feat. 後藤真希」。

字面だけ見ると、何かの間違いかと思う。東京都葛飾区新小岩出身、中卒でガテン系の仕事を渡り歩いてきたストリートの詩人ZORNと、平成のアイドルシーンを根底から揺さぶったモーニング娘。の絶対的エース・後藤真希。この二人が同じ曲にいる。世界線がバグっている。

しかし、きっかけは意外とシンプルであった。ZORNが後藤真希の写真集『flos』を読んでいたら「天啓」が降りてきたのだという。天啓である。写真集を読んでいて天啓が降りてくるラッパー、日本にZORNしかいないのである。

そしてその熱いラブコールに、ゴマキは応えた。よく考えたら、後藤真希は江戸川区出身。江戸川と葛飾、下町同士のご近所コラボだったのである。

アイドルだって近所を歩く。ドンキにだって行く

この楽曲の真骨頂は、「地元」というテーマの解像度が異常に高いことである。

MVを見ると、ゴマキがもんじゃを食っている。新小岩の飲み屋で、ZORNと向かい合ってもんじゃを食っている。元モー娘。のセンターが、である。「今ではゴマキともんじゃ食う」というテロップが画面に出た瞬間、全視聴者が「嘘だろ」と呟いたことは想像に難くない。

しかしこれこそが「地元LOVE」の本質なのである。アイドルだって近所を歩く。スーパーに行く。ドンキに寄る。チェーン店でみんなと飯を食う。華やかなステージの裏側にある、泥臭くて温かい日常。ZORNはずっとそれを歌ってきたラッパーであり、ゴマキもまた、デビューから25年以上を経てその「地に足のついた生活者」としての魅力を増し続けているのである。

恋愛レボリューション21を2026年にサンプリングする暴挙

楽曲のサウンドプロデュースはBACHLOGIC。そしてここに、とんでもない仕掛けが施されている。

モーニング娘。の「恋愛レボリューション21」の歌詞がサンプリングされているのである。

2000年リリース、つんく作詞・作曲。あの頃日本中の小学生から大人までが「超超超超いい感じ」と踊っていた、Y2Kの象徴的ナンバー。それを2026年に、葛飾のラッパーが引っ張り出してきた。カラオケで歌ういつかの平成ソング、やっぱりみんなと食うチェーン店——そうした2000年代のノスタルジーが、ZORNの描く下町の風景と見事に溶け合っているのである。

コメント欄では「みんな初めて聞いたはずなのに、超超超いい感じが全員で大合唱になってたのおもろかった笑」という証言が136いいねを獲得している。武道館で初披露の曲なのに全員が歌える。それは「恋レボ」のサビが日本人のDNAに刻まれているからに他ならない。恐るべしY2Kパワーである。

「中卒だらけ 職はガテン/自彫りのギャル 大体デキ婚」――韻がエグい

MVの歌詞テロップから読み取れるリリックの断片だけでも、ZORNの筆力は健在であることがわかる。

「俺たち地元LOVE/港区とは見事逆」——港区のタワマン族へのカウンターを一発で決めている。地元ラブと見事逆で韻を踏みながら、下町のプライドを叩きつけているのである。

「中卒だらけ 職はガテン/自彫りのギャル 大体デキ婚」——もはや社会学の教科書に載せたいレベルのリアリズムである。ガテンとデキ婚で踏んでいるのも当然として、このフレーズから立ち上る下町の匂いの濃さが凄まじい。

そしてフックでは「地元LOVE LOVE/We Love 地元 We Love 地元」と、ゴマキの声が響く。江戸川区瑞江の看板の前で黄色いベストを着て笑うゴマキの映像は、まるで地元の広報誌のようでありながら、同時にとんでもなくエモいのである。

武道館出禁のZORNが武道館に帰ってきた件

ここでひとつ、見逃せない文脈がある。

ZORNは2021年の武道館ワンマンで、演者でもない地元の仲間たち約50人をステージに上げて武道館を出禁になったという伝説を持つ男である。神聖なるステージに素人を大量投入した罪。ヒップホップ的にはむしろ勲章だが、武道館的にはアウトであった。

そのZORNが、今回「All My Homies presents “Family Day”」で武道館に帰ってきた。しかもこの曲をやるために、である。コメント欄で170いいねを集めた「この曲やるために出禁だった武道館に戻ってくるの流石に面白い」というコメントが、この状況を完璧に要約している。

出禁になった場所に、元モー娘。を連れて戻ってくる。スケールの狂い方が常軌を逸しているのである。

コメント欄が最高すぎる問題

この楽曲の面白さは、YouTubeのコメント欄を見ると更に倍増する。

人気順トップのコメントは「ZORNが遠くに行ってしまったようにも思えるし、ゴマキが近くに来たようにも思える不思議、いずれにしろ最高ではある。」(734いいね)。これはもう音楽評論として完璧である。

「zornが初めて客演に食われた曲」(726いいね)というコメントも秀逸だ。ZORNほどのラッパーが客演に食われることなど、通常ありえない。しかしゴマキの存在感の前では、さすがのZORNもニヤニヤが止まらないのである。実際、「ZORNがちょくちょくニヤけてるの可愛い笑」(344いいね)、「ZORNずっとちょっとニヤニヤしてるよな」(68いいね)と、複数のコメントがZORNの表情崩壊を指摘している。

そして極めつけは、ZORN本人がゴマキを自身のレーベル「All My Homies」に誘ったが断られたというエピソードである。「ZORN『後藤真希さんをオールマイホーミーズに誘ったんすけど、断られました🥺』MACCHO『やめとけっ!😁』」(208いいね)。MACCHOのツッコミまで含めて完璧なコントである。

木村昴も参戦している件

さらりと触れておくべきは、声優の木村昴の友情参加である。木村昴といえば、ドラえもんのジャイアン役でおなじみだが、実はZORNと同じ葛飾区が地元なのである。

「木村昴とゴマキの出演はマジで奮える」(118いいね)というコメントが示す通り、このMVには下町出身者たちの連帯感が溢れている。ジャイアンとゴマキとZORN。令和の葛飾区、人材が豊かすぎるのである。

7月30日、凱旋公演が待っている

ZORNはこの楽曲のタイトルを冠した単独公演「地元LOVE」を、7月30日にかつしかシンフォニーヒルズで開催することを発表している。2019年以来、7年ぶりの地元凱旋である。

武道館もさいたまスーパーアリーナもやった男が、地元のホールに帰ってくる。そこにゴマキがいるのかどうかはわからないが、少なくとも「超超超超いい感じ」の大合唱は確実に起きるであろう。

チケットはファンクラブ「Chill Out Club」にて先行受付中。ADV. ¥6,800。地元LOVEの値段としては、破格である。


楽曲情報

ZORN「地元LOVE feat. 後藤真希」

  • リリース日:2026年2月17日(火)
  • レーベル:All My Homies
  • Words by ZORN
  • Music Produced by BACHLOGIC
  • Mixed & Mastered by Hayabusa
  • Contains a sample of “恋愛レボリューション21” 作詞・作曲:つんく ©2000 by UP FRONT MUSIC INC. / TV TOKYO Music, Inc.
  • MV Director:山田健人
  • 出演:ZORN / Maki Goto
  • 友情出演:木村昴

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