YZERRがツアー3公演を中止、T-Pablowはアルバム延期──BAD HOPの双子が同じ週に”止まった”意味

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2026年7月3日公開|本稿は両者本人の発信(YZERRのInstagramストーリーズ、T-PablowのX声明)と本誌既報に基づく。

声明はいずれも編集部が原文を確認・保全済み

2026年7月3日、YZERRが全国ツアー「『RICH OR DIE III』JAPAN TOUR」の残り3公演を中止すると発表した。

同日の広島、翌4日の香川、9日の東京・豊洲PIT。理由は本人の言葉で「身体的な都合」だという。

その4日前の6月29日夜には、双子の兄T-Pablowが1stアルバムの発売延期を発表したばかりだった。

先に書いておくと、二つの出来事に関連があるという情報はなく、本稿も因果関係としては扱わない。

それでも、BAD HOP解散後の物語を引っ張ってきた双子が同じ週に立ち止まった事実は、記録しておきたい。

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何が起きたのか──YZERRの声明から

7月3日、YZERRは自身のInstagramストーリーズでツアー中止を告知した。声明では「ROD 3 TOUR」の呼び名で、7月3日の広島CLUB QUATTRO、4日の香川・高松festhalle、9日の東京・豊洲PITの3公演が対象だと明かしている。

書き出しは「当日の急なアナウンスになってしまい、本当に申し訳ありません」。本誌はこの声明を原文で確認した。

YZERRがInstagramストーリーズで発表したツアー中止の声明全文(1枚目)
YZERR公式Instagram(@yzerr_breath)ストーリーズより(2026年7月3日、編集部保全)。声明本文の確認資料として引用

理由については「身体的な都合で会場へ向かうことができなくなってしまい、どうしても公演を開催することができませんでした」と説明している。

広島は公演当日、香川は前日の告知になった。さらに続く投稿では「本日、明日のチケットもSold outしていた中で本当に申し訳ありません」と、両公演が売り切れていたことにも自分から触れている。その上で「必ず払い戻し以上の対応はさせていただきます」「申し訳ないという言葉では片付けられないのは承知の上で対応させていただきます」とまで書いた。

YZERRがストーリーズ2枚目で言及したSold outと払い戻し以上の対応
続くストーリーズ(2枚目)。「必ず払い戻し以上の対応はさせていただきます」の一文が含まれる。YZERR公式Instagram(@yzerr_breath)より

払い戻しなどの詳細は「改めてご案内させていただきます」とあり、続報が予告されている。当日の発表で、言葉も「延期」ではなく「中止」。ぎりぎりまで開催を探った末の判断だったと見るのが自然だが、経緯の詳細は明かされていない。

現時点で確認できる情報

  • 発表日時:2026年7月3日(公演当日)。YZERR本人のInstagramストーリーズが一次情報(本誌原文確認済み)
  • 中止公演:7月3日 広島CLUB QUATTRO/7月4日 香川・高松festhalle/7月9日 東京・豊洲PIT の3公演
  • チケット状況:本人が声明で「本日、明日のチケットもSold outしていた」と言及。イープラス上でも全3公演の受付は終了し、中止のお知らせが掲出されている
  • 理由:本人談「身体的な都合で会場へ向かうことができなくなってしまい、どうしても公演を開催することができませんでした」
  • 対応:「必ず払い戻し以上の対応はさせていただきます」と本人が表明。詳細は「改めてご案内」とし、続報を予告
  • 報道:音楽ナタリー(2026年7月3日11時台配信)ほか

「RICH OR DIE III」ツアーが持っていた意味

中止になったのは、YZERRにとって初めての全国ツアーだった。BAD HOP解散後の「独立章」を、全国の現場で確かめる行程でもあった。

起点は2026年4月28日、豊洲PITでの初ソロワンマン「ROD III Concert」。約5万人の東京ドームで解散したクルーの中心人物が、約3,100人のライブハウスを自分のゼロ地点に据え直した公演で、経緯は当時の本誌記事にまとめている。

この4月は動きが密だった。公演10日前には「MONEY RAIN feat. YTG」をYouTube専売で先行公開し、同月にミックステープ『RICH OR DIE III』をリリース。

ROD IIIのステージ上ではFORCE Festival 2026の川崎開催を自ら告知した。ワンマンの手応えを起点に全国へ。ツアーはそういう設計だった。

7月9日の会場が、その豊洲PITだったことも書き添えておきたい。イープラスの公演情報には、オープニングアクトとしてTiji JojoとBark、Candee & Deech、Carzの名前が載っていた。

旧BAD HOPの二人が前座で迎えるファイナルになるはずだった。

広島・香川は本人いわくSold out。6月10日にはシングル「THE GAME」を配信したばかりでもあり、勢いが数字で見えている最中の急停止だった。

YZERRが公演を止めるのは、これが初めてではない。2020年3月、コロナ禍で横浜アリーナ公演が中止になり、BAD HOPは約1億円の負債を抱えながら無観客配信で応えた。

「払い戻し以上の対応」「申し訳ないという言葉では片付けられない」という今回の言い回しには、あの経験をくぐった人間の癖が出ているように思う。

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兄・T-Pablowも、アルバムを延期していた

この4日前、6月29日の夜には、双子の兄T-Pablowが翌30日発売予定だった1stアルバムの延期をXで発表している。

理由はツアー中止とはまったく違う。

本人は「アルバム自体は、もうほぼ完成しています」とした上で、「この数か月で、自分が思っていた以上に、この作品の先に見えているプロジェクトが大きくなり、そのプロジェクトを形にしていくための体制が整いませんでした」と書いた。

声明ではマネージャー、A&R、CGディレクター、ファッションデザイナー、レコーディングエンジニアと職種を挙げ、「このアルバムを最後まで一緒に完成させて、その先にあるT-Pablowというプロジェクトを、長く一緒に作っていける仲間を探しています」と募っている。

このアルバムには長い前史がある。2025年秋のFORCE FESTIVALのステージで年内リリースを口にし、今年1月2日には日本武道館で先行視聴会「ON THE ROAD」を入場無料・ABEMA全編生中継で開いた。

5月にはMAJの継承公演「THE SUCCESSOR」に”継承者”側として呼ばれてもいる。作品を出す前から、位置だけが確定していく。その非対称が、このアルバムに掛かる期待の大きさでもあった。

それでも彼は発売前日の夜に日付を手放し、座組みの方を選んだ。作品が遅れたのではなく、体制を作り直している。延期の中身はそういうことだ。

HIPHOPCsの視点──「止まる」ことの二つの型

繰り返すが、二つの出来事をつなぐ情報はない。YZERRの中止は身体の問題で、T-Pablowの延期は座組みの問題。性質が違う。それでも並べると見えてくるものはある。

解散から約2年4か月、川崎発の物語は広がり続けてきた。6月6日にはブランドBREATHが渋谷ミヤシタパークに出店し、19日にはTiji Jojoが初めての武道館に立った。

その流れの中で、双子はそれぞれの持ち場を止めた。一方は広島・香川の完売公演を含むツアーを、もう一方はほぼ完成していたアルバムを。走り続ける方がずっと簡単な局面だった。

共通するのは、止まる理由を自分の言葉で説明し、責任の取り方まで自分で書いたことだ。YZERRは「必ず払い戻し以上の対応」を約束し、T-Pablowは「これは完全に俺の責任です」と書いた。

本誌は4月の月間総括で、BAD HOP後のこの動きを「集団から個人へほどけていく継承」と呼んだ。今週の二つの停止は、その続きに置かれる出来事だと思う。

もっとも、これは並べたから見える輪郭にすぎない。確かなのは、アーティスト、興行、アパレル、メディアと持ち場を広げてきた川崎発の物語が、この一週間で流動的な局面に入ったことだけだ。

分かっていないこと

  • YZERRの「身体的な都合」の具体的な内容。本人・所属からの発表はなく、本稿はこれ以上の言及を行わない
  • 「払い戻し以上の対応」の中身と時期(本人は「改めてご案内」「再度アナウンス」と続報を予告している)
  • YZERRの活動再開のタイミングと、FORCE Festival 2026(10月24日・川崎)をはじめとする主催・事業側への影響(現時点で影響を示す情報はない)
  • T-Pablowの1stアルバムの新しい発売日と、「T-Pablowというプロジェクト」の具体的な形

SNS上では中止の理由をめぐっていろいろな書き込みが流れているが、本人と公式の発表以外に確認できる情報はない。本誌は確認できた事実だけを記録し、続報があり次第この記事を更新する。

今後の焦点

  • YZERR本人が予告した「再度アナウンス」の内容。払い戻し手続きと「払い戻し以上の対応」の具体
  • 10月24日のFORCE Festival 2026(川崎)に向けた準備の進行。本誌の完全ガイドで整理したラインナップ発表やチケット情報のスケジュールが予定どおり動くか
  • T-Pablowの新しいリリース日程と座組みの発表
  • 旧BAD HOP勢が地元・川崎で再び顔を揃えるFORCE Festival 2026が、双子それぞれの次の合流点になるか

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ソース

  • 【一次情報】YZERR公式Instagram(@yzerr_breath)ストーリーズ全2投稿(2026年7月3日、編集部が原文を直接確認・画面保全済み)
  • 【一次情報】T-Pablow公式X 本人声明(2026年6月29日夜、編集部が原文を直接確認) https://x.com/tpablow/status/2071573365702476212
  • イープラス「YZERRのチケット情報」(2026年7月3日閲覧。3公演の中止表示と豊洲PIT公演のオープニングアクト表記を確認) https://eplus.jp/sf/detail/4510820001
  • 音楽ナタリー「YZERRツアーが急遽中止に、身体的な都合で会場へ向かうことができなくなったため」(2026年7月3日11:08配信・Yahoo!ニュース版、2026年7月3日閲覧) https://news.yahoo.co.jp/articles/9b702e95f4541cf0acfaa4789051dace9f512134
  • 音楽ナタリー「日本のラッパーでは前代未聞の快挙、BAD HOP東京ドーム完全ソールドアウト」(2024年1月31日。2020年横浜アリーナ公演中止、約1億円の負債、無観客配信ライブの記述を確認) https://natalie.mu/music/news/559344
  • 背景・経緯の記述は、本文中にリンクした本誌既報(ROD III Concert、FORCE Festival 2026、BREATH、Tiji Jojo武道館ほか)に基づく
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