FORCE FESTIVAL 2026にLil BabyとYZERR──中止で消えた初来日が、『SKYAMI』の予兆を経て川崎で動き出す
FORCE FESTIVAL 2026の出演者に、Lil Babyと主催者のYZERRが加わった。発表文はLil Babyを「ヘッドライナー」と明記している。
公式Instagram(@force_festival_)は8月13日夜、YZERRの公式アカウント(@yzerr_breath)との共同投稿で2組の出演ビジュアルを公開した。1枚目にLil Baby、2枚目にYZERR。いずれもビジュアル上の表記は他の出演者と同じ「FEATURED ARTIST」だが、キャプションは「FORCE FESTIVAL 2026のヘッドライナーとして、Lil Babyが日本初となるステージに登場する」と書き分けている。投稿のBGMにはLil Babyの「Dead Fresh」が使われた。
開催は既報どおり2026年10月25日(日)、会場はYZERRの地元・川崎市の東扇島東公園。前日までに発表されていたRoddy Ricch、T-Pablowら12組と合わせ、判明している出演者は14組になった。海外勢7組、国内勢7組──5対5、6対6と維持されてきた均衡は、そのまま7対7へ広がった。
ただし、今回の発表は単なる「2組追加」ではない。2025年に一度流れたLil Babyの日本初公演。2026年4月、YZERRの「SKYAMI」で可視化されたLil Babyとの距離。その2本の線が、8月13日、正式な出演発表としてひとつにつながった。
FORCE FESTIVAL 2026、現在判明している14組
| アーティスト | 発表日 | 背景 |
|---|---|---|
| Key Glock | 8月3日〜5日 | US・メンフィス |
| DJ Drama | 8月3日〜5日 | US・フィラデルフィア/アトランタ |
| CHASE B | 8月3日〜5日 | US・DJ/プロデューサー |
| Benjazzy | 8月3日〜5日 | 国内・川崎 |
| eyden | 8月3日〜5日 | 国内・2025年にも出演 |
| Eric.B.Jr | 8月3日〜5日 | 国内・大阪 |
| Polo G | 8月7日 | US・シカゴ・2025年にも出演 |
| Tiji Jojo | 8月7日 | 国内・2025年にも出演 |
| Lil Tjay | 8月9日 | US・ニューヨーク |
| Watson | 8月9日 | 国内・徳島・2025年にも出演 |
| Roddy Ricch | 8月12日 | US・コンプトン |
| T-Pablow | 8月12日 | 国内・川崎・2025年にも出演 |
| Lil Baby | 8月13日 | US・アトランタ・ヘッドライナー(発表文) |
| YZERR | 8月13日 | 国内・川崎・主催・2025年にも出演 |
発表の経緯は第1弾6組、Polo GとTiji Jojo、Lil TjayとWatson、Roddy RicchとT-Pablowの各速報で整理している。
Lil Baby──中止になった「初来日公演」が、川崎で再び動き出す
Lil Babyはアトランタを代表するラッパーの一人だ。2025年1月の『WHAM』はBillboard 200で初登場1位。『My Turn』(2020年)から数えて4作連続の全米1位である。初週から記録的な数字を出したことは本誌も当時報じた。
そして日本との間には、すでに一度、実現しなかった公演がある。
2025年10月21日、東京・豊洲PITで「WHAM WORLD TOUR」の東京公演が予定されていた。主催のクリエイティブマンはこれをLil Baby「初の来日公演」と案内し、一般発売は同年6月7日に始まっていた。しかし9月5日、「諸般の事情により」公演中止が発表され、購入済みチケットは全額払い戻しになった。理由の詳細は今も説明されていない。その直後にはマネジメント周辺の意味深な投稿から「引退」説まで流れた、不透明な秋だった。
あれから約1年。消えた初来日は、都心のライブハウスの単独公演ではなく、川崎の埋立地の野外フェスで実現することになった。2025年の中止を知るリスナーにとって、これは新しい招聘であると同時に、一度失われた公演の回収でもある。
時系列を並べる。
| 日付 | 動き |
|---|---|
| 2025年6月7日 | 豊洲PIT公演の一般発売開始(「初の来日公演」として告知) |
| 2025年9月5日 | クリエイティブマンが公演中止を発表・全額払い戻し |
| 2026年4月19日 | YZERR「SKYAMI」映像にLil Babyらしき姿 |
| 2026年4月20日 | 本誌がFORCE出演の観測シグナルとして記録 |
| 2026年8月13日 | FORCE FESTIVAL 2026出演を正式発表(発表文で「ヘッドライナー」) |
| 2026年10月25日 | 川崎・東扇島東公園で開催予定 |
4月19日の「予兆」が、8月13日に確定情報へ変わった
本誌は2026年4月20日、「SKYAMI」Official VisualiserとYZERR本人のX投稿をもとに、Lil Baby、Young Thug周辺との接続を記録していた。4月19日公開の映像中盤にLil Babyらしき人物が映り、同日YZERRはYoung Thugの画像を引用しながらFORCE FESTIVALへの招聘を示唆する投稿を行っていた。
当時の記事では、それを出演決定とは書かなかった。映像に姿があることと出演契約が成立していることは別であり、「誘う」という意思と「出演する」という合意も同じではないからだ。4月時点で契約が成立していたと断定できる材料は、現在もない。
4月に可視化されたのは、契約ではなく距離だった。その距離が約4か月後、正式な出演発表になった。予想を後から成功へ書き換えるのではなく、当時どこまで確認でき、何がまだ決まっていなかったのかを残してきたからこそ、今回の発表が持つ意味も正確に測ることができる。
主催者YZERRも、出演者として正式発表
Lil Babyと同時に発表された国内アーティストが、主催者のYZERRだった。YZERRがFORCEの中心人物であることに疑いはなかったが、2026年版の出演者ビジュアルとして本人の名前が正式に公開されたのは今回が初となる。国内勢はBenjazzy、eyden、Eric.B.Jr、Tiji Jojo、Watson、T-Pablow、YZERRの7組。元BAD HOPは4人になった。
YZERRの現在地は多面的だ。4月には初のソロワンマンを豊洲PITで開催──奇しくも、Lil Babyの初来日が消えたのと同じ会場である。2日前のBATTLE SUMMIT IIIではKアリーナ横浜のリングにも立った。BREATHの渋谷出店まで含めれば、フェス・音源・バトル・アパレルを束ねる「FORCE経済圏」の中心で、その本丸が10月25日の東扇島ということになる。
また、今回までの出演者発表は形式が揃っている。1枚目に海外アーティスト、2枚目に国内アーティスト。Polo GとTiji Jojo、Lil TjayとWatson、Roddy RicchとT-Pablow、そしてLil BabyとYZERR──同じ構成の共同投稿が続いており、海外と国内を同じカルーセルに並べること自体が告知全体の編集方針になっていると読める。ただし、同じ投稿での発表が共同ステージや楽曲での共演を意味するわけではない。コラボレーション、出演順、ステージ構成は現時点で発表されていない。
チケット先行開始の2日前に出た、最大級の回答
先行チケットは8月15日(土)20時から9月30日(水)23時59分まで。一般発売は後日アナウンスとされる。価格は既報どおり、GOLD 42,000円(一般45,000円)、SILVER 32,000円(同35,000円)。いずれも税込・スタンディングで、GOLDにはステージ前方エリアや優先入場などの特典が付く。
思い出したいのは、この発売日自体が延期の産物だということだ。当初の発売予定は7月31日。しかし公式は7月29日、「出演アーティストを全員発表してからチケットを発売してほしい」という要望を受けて発売日を8月15日へ変更した。7月29日時点で発表済みの出演者は0組。そこから約2週間で14組が公開され、先行開始の2日前に、中止で幻に終わった初来日を抱えるLil Babyが「ヘッドライナー」の言葉とともに提示された。発売を延期した15日間は、何の情報もないまま過ぎたわけではなかった。
公式が「8月15日までに全出演者を発表する」と明言したわけではなく、今後も追加発表の可能性は残る。開場・開演時間やタイムテーブルも未発表だ。
2025年の中止から、2026年の川崎へ
2025年の初回FORCEは横浜アリーナの2日間で、Central CeeとFutureをヘッドライナーに約3万人を動員した。2年目は屋内アリーナを出て、主催者の地元・川崎区の目の前の野外へ移る。
中止、予兆、正式発表。この3段階を経て、Lil Babyの日本公演は再び動き出した。予定どおり実現すれば、Lil Babyが初めて立つ日本のステージは、豊洲PITの単独公演ではない。YZERRが会場ごと自分の街へ引き寄せた、FORCE FESTIVALの野外ステージになる。