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【HIPHOPCs独占インタビュー】紅桜「やっぱりラップおもしれー」──DJ KAJIと語る『BACK TO THE HIPHOP』の原点回帰

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紅桜が2026年8月3日、新作アルバム『BACK TO THE HIPHOP』をPartyGunPaulからリリースした。すでに制作していた約30曲からラップのみの楽曲を選び、1曲のSKITを挟んだ全9曲、約30分にまとめた作品だ。

本作の制作は、紅桜の出所後すぐに始まった。DJ KAJIは、日々の中に散らばったリリックのピースを集めるようにレコーディングしたと振り返る。HIPHOPCsは二人に、ラップのみを選んだ理由、2019年から変わらない関係、そして作品の向かう先を聞いた。

取材・構成:HIPHOPCs編集部/画像提供:紅桜

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『BACK TO THE HIPHOP』とは

  • アーティスト:紅桜(岡山県津山市出身のラッパー)
  • リリース日:2026年8月3日/レーベル:PartyGunPaul
  • 収録:全9曲・約30分。1曲のSKITを除き、すべてラップのみの楽曲
  • プロデュース:DJ KAJIが最多の5曲。ほかmatsuigodzilla、dj honda、Solid Slide a.k.a T2K、NAGMATIC
  • テーマ:紅桜本人が語る「原点回帰」。歌ものも手掛けてきた中で、あえてラップのみを選び直した作品

「やっぱりラップおもしれー」──歌ものを経て、ラップだけを選ぶ

HIPHOPCs:今回の作品に込めた思いを教えてください。

紅桜:タイトル通り、原点回帰をテーマにしたアルバムです。ラップだけじゃなく歌ものもリリースする中で、やっぱりラップおもしれーって再認識しながら作ったアルバムです。

歌ものも発表してきた経験が、この言葉を裏打ちする。紅桜は歌える。だからこそ、ラップだけを選ぶことに意味が生まれる。その再認識が、約30曲をどう束ねるかの基準になった。

約30曲から、ラップのみを束ねる

HIPHOPCs:制作のきっかけと、特にこだわった部分を教えてください。

紅桜:制作はアルバムに収録する関係なく30曲ぐらいすでに制作している中で、ラップのみの楽曲をパッケージしてリリースした感じです。最近のHIPHOPはどうかわかりませんが、シンプルかつHIPな作品が最近ない気がして、あえてラップのみにこだわりました。

約30曲という制作量より、そこからラップのみを束ねた編集方針のほうが、本作を端的に語る。ここで見落とせないのは、紅桜が「最近のHIPHOPはどうかわかりませんが」と留保を置いていることだ。シーン全体を断じるのではなく、自分が感じた不足を、ラップに絞ったパッケージとして提示している。その意図が最も濃く表れた曲として、本人は「BACK IN THE HIPHOP」を挙げる。

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「BACK IN THE HIPHOP」──カルチャーへ焦点を戻す

HIPHOPCs:収録曲の中で最も気に入っている楽曲と、その理由を教えてください。

紅桜:「BACK IN THE HIPHOP」。まさにテーマ的な楽曲です。HIPHOP使っていっちょ金儲けもいいですが、HIPHOPにはもっとカルチャー的な要素がイケてるので、そこにフォーカスしました。今後はみんな原点回帰するんじゃないですかね。

アルバム名は『BACK TO THE HIPHOP』。本人が「テーマ的な楽曲」と位置づけるのは「BACK IN THE HIPHOP」だ。商業性を切り捨てるのではなく、「金儲けもいい」と受け止めた上で、カルチャーの側に焦点を置く。表現の形としてラップへ、価値の置き場所としてカルチャーへ。本作の優先順位を明確にした言葉である。

なぜ、紅桜は選ばれ続けるのか

本人がラップとカルチャーを選び直した一方で、外側から紅桜の表現を評価してきた言葉もある。

HIPHOPCsが行ったdj hondaへの独占インタビューで、hondaは紅桜を「他と違うスタイル」と評し、面白さと可能性を感じたことが制作の理由だったと明かしている。2019年のジョイントアルバム『dark side』から続く関係の中で、今作では「SHINE」をプロデュースした。

また、HIPHOPCsが先日インタビューしたCzTIGERは、2ndアルバム『FOR WHATEVER』の客演について、年齢や出身、流行りや数字ではなく、自分が影響を受け、格好いいと思う日本のアーティストを招いたと説明している。「リアルな人と音楽を作る」のが自身のスタイルだとも語り、参加者の一人に紅桜を挙げた。二人は「ONE WEEK BLUES feat. 紅桜」で共演している。

さらに2026年には、名古屋のベテランG.CUEもアルバム『斧音菊』収録の「HOMIE」へ紅桜を迎えた。世界を舞台にしてきたプロデューサー、海外と日本をつなぐ同世代、名古屋052のベテラン。背景の異なる作り手が、それぞれの理由で紅桜を選んでいる。

その固有性の輪郭は、経歴からも追える。UMB岡山を三度制したバトル出自を持ちながら、2014年の1stアルバム『紅桜』以降はラップと歌を行き来してきた。どちらにも寄れる振れ幅が、ジャンルも世代も異なる相手からの起用に応えてきた側面はあるだろう。本作で紅桜は、その振れ幅を自ら閉じ、ラップだけを選んでいる。

外側からの評価がそうして積み重なる間、内側では何が起きていたのか。2019年から紅桜と組み続けるDJ KAJIが、本作の制作について語っている。

出所後すぐに始まった制作──「リリックのピース」を集める

HIPHOPCs:今回のアルバム制作が本格的に始まったとき、DJ KAJIさんから見て紅桜さんはどのような状態でしたか?

DJ KAJI:制作自体は、出所後からすぐはじまりました! 紅の音楽は作るものってより、日々の中から出来るもので、バラバラに散らばったリリックのピースを集めるようにレコーディングしていきました!

「作るもの」というより「日々の中から出来るもの」。約30曲の背景には、散らばった言葉を拾い、一曲ずつ形にしていく積み重ねがあった。

2019年から変わらない関係──「紅桜の名前をどう残すか」

HIPHOPCs:2019年の「HIP 2 DA GAME」から今回の作品まで、二人の音楽的な関係はどのように変化しましたか?

DJ KAJI:2019年から紅桜は収監されますが、その間も紅桜の名前をどう残すかって言うのを意識して動いてました! その延長線上の今でもあります。2人の関係性はずっと変わってないですね!

二人の関係を示すのは、今回の制作だけではない。紅桜が収監されていた間も、DJ KAJIはその名前をどう残すかを意識して動いた。本人が不在の期間に、名前を絶やさないための判断を外側から続けていたということだ。

そして本作のトラック4は「HIP 2 DA GAME」。2019年の楽曲と同じ名前が、原点回帰を掲げるアルバムの中央、SKITの直前に置かれている。「ずっと変わってない」という短い言葉が、曲順の上でも2019年と現在をつないでいる。

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クレジットに収まらないDJ KAJIの役割

本作で最も多くプロデュースを担うのも、紅桜と同じPartyGunPaulに所属するDJ KAJIだ。Solid Slide a.k.a T2Kとの共同プロデュースによる「BACK IN THE HIPHOP」に加え、「HIP 2 DA GAME」「概念」「正真正銘」「鈍と行こう」の計5曲にクレジットされている。しかし、本人が語る役割は、表に見えるクレジットだけにとどまらない。

基本的に一緒にレコーディングに入り、今までの楽曲のほぼ全ての工程に携わってきました。この作品は初期衝動を大切に、元々僕たちが好きなHIPHOPを体現しました。

サウンド面にもこだわり、信頼できるプロデューサーと手を組み、最終的にI-DeAさんにまとめてもらいました。工程からかなりHIPHOPを感じる作品になりました。

——DJ KAJI

ほかにmatsuigodzilla、dj honda、NAGMATICがプロデュースに名を連ね、I-DeAはM1、3〜9のミックスとマスタリングを担当した。客演にはVOCA Luciano、DON KABACHI、YAMATO、HKR、4PRIDE、SONIC、YASが参加。提供資料では「地元勢のみ」と説明されている。誰と、どう作るか。その進め方まで含めて、本作の輪郭がつくられている。

二人の言葉を重ねると、本作における「原点」は、ラップ、カルチャー、そして誰とどう作るかという工程にある。過去の一時点へ戻ることではなく、二人が大切にしてきた条件へ焦点を合わせ直すこと。その意味での原点回帰だ。

戻ってきた証明ではなく、「ここから先」を始める

紅桜が語ったラップへの焦点を、DJ KAJIはどう位置づけるのか。

HIPHOPCs:この作品は「戻ってきたこと」を示すアルバムなのか、それとも「ここから先」を始めるアルバムなのか。考えを聞かせてください。

DJ KAJI:戻ってきたことを示すというより、一旦原点。地に足ついて、ここから先を始めるアルバムです!

ラップ、カルチャー、そして作り方へ焦点を戻す。それは終着点ではなく、次へ進むために足場を確かめる動作だ。『BACK TO THE HIPHOP』は、過去の型を再演するための作品ではない。歌ものまで広げてきた紅桜が、今の仲間と制作環境の中で、その先を始めるための一枚である。

HIPHOPCs:最後にリスナーの方へ一言お願いします。

DJ KAJI:紅桜の真骨頂はLIVEです。是非、紅と僕のLIVEを生で見にきてください!

『BACK TO THE HIPHOP』は本日8月3日リリース。DJ KAJIが「真骨頂」と言い切るLIVEで、この9曲がどう立ち上がるのか。次に確かめるべきは、現場だ。

『BACK TO THE HIPHOP』作品情報

  • アーティスト:紅桜
  • タイトル:BACK TO THE HIPHOP
  • リリース日:2026年8月3日
  • レーベル:PartyGunPaul
  • 収録:全9曲/約30分
  • 配信リンク

Tracklist

  1. BORN FROM THE UNDERGROUND
    Prod. matsuigodzilla
  2. SHINE
    Prod. dj honda
  3. BACK IN THE HIPHOP
    Prod. Solid Slide a.k.a T2K & DJ KAJI
  4. HIP 2 DA GAME
    Prod. DJ KAJI
  5. SKIT
  6. Microphone Controller feat. VOCA Luciano
    Prod. NAGMATIC
  7. 概念
    Prod. DJ KAJI
  8. 正真正銘 feat. VOCA Luciano
    Prod. DJ KAJI
  9. 鈍と行こう feat. DON KABACHI, YAMATO, HKR, 4PRIDE, VOCA Luciano, SONIC, YAS
    Prod. DJ KAJI

Mixed & Mastered:I-DeA(Flashsounds/M1、3〜9)、dj honda(M2)
Artwork:鬼頭(ACC)/Photo:MASAKI SAITO(O.C Photo Studio)

紅桜 プロフィール

岡山県津山市出身のラッパー。UMBでは2011年、2013年、2015年に岡山チャンピオンを獲得。2014年に1stフルアルバム『紅桜』を発表し、ラップと歌を行き来する独自のスタイルで存在感を示してきた。J-REXXX、プロデューサー774とのTheタイマンチーズとしても活動している。


アイキャッチ画像提供:紅桜

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