MAJ 2026は日本語ラップをどう見たのか──STUTSが目立ち、ちゃんみながJ-POPに置かれた理由

ホーム » ヒップホップニュース » MAJ 2026は日本語ラップをどう見たのか──STUTSが目立ち、ちゃんみながJ-POPに置かれた理由

via @stuts_atik(STUTS公式)instagram

音楽の賞のニュースって、「ふーん」で流してしまいがちですよね。でも、2026年6月13日に開かれる「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」(MAJ 2026)は、ちょっと面白い読み方ができます。

見えてくるのは、賞が日本語ラップを「いま一番アツいジャンル」として扱っているのか、それとも「もう歴史として尊敬する対象」として扱っているのか──その“温度差”です。

カギは3つ。STUTSがやたら目立っていること。ちゃんみなが「ラップの人」ではなく「J-POPの人」として呼ばれたこと。そして、賞の中の日本語ラップが、だんだん「これから」より「これまで」になりつつあること。順番に見ていきます。

スポンサーリンク

そもそもMAJ 2026って?

日本でいちばん大きい国際音楽賞です。今年は6月13日(土)に開催。会場はTOYOTA ARENA TOKYOとSGCホール有明です。

  • 昼の部「Premiere Ceremony」(13:00〜16:00/TOKYO MX)
  • 夜の部「Grand Ceremony」(19:30〜/NHKで生中継)
  • 全77部門。そのうちヒップホップ/ラップに関わるのは「楽曲賞」と「アーティスト賞」の2つだけ
  • 投票するのは音楽業界で働く人たち。不正がないかはDeloitte(トーマツ)がチェック
  • 配信はYouTube、Lemino、ABEMA、radikoなど、世界に向けて

昼の部にはCUP OF JOE(フィリピン)、Hindia(インドネシア)、上原ひろみ、そしてSTUTSらが出演します。司会は森香澄さんと谷中敦さん(東京スカパラダイスオーケストラ)です。

ヒップホップ/ラップ部門のノミネート一覧

アーティスト賞(5組)

  • Creepy Nuts
  • LANA
  • m-flo
  • RIP SLYME
  • STUTS

楽曲賞(5曲)

  • STUTS「99 Steps」(feat. Kohjiya, Hana Hope)
  • Creepy Nuts「doppelgänger」
  • YZERR・LANA・JP THE WAVY・¥ellow Bucks「Miss Luxury」
  • ちゃんみな「WORK HARD」
  • RIP SLYME「どON」

① STUTSが、とにかく目立っている

まず気づくのが、STUTSの存在感です。

STUTSはアーティスト賞に入っていて、楽曲賞にも「99 Steps」で入っていて、さらに当日の昼の部では、その「99 Steps」をライブで披露します。つまり3か所でSTUTSが出てくる。これはヒップホップ/ラップ部門ではSTUTSだけです。

もちろん、これで受賞が決まったわけではありません。それでも、賞の「見せ方」として、STUTSがこのジャンルの“顔”に選ばれているのは間違いなさそうです。

ちなみにLANAは、アーティスト賞と楽曲賞の両方に入っている“二刀流”。POP YOURS 2026のヘッドライナーでもある、いま勢いのある存在です。

② ちゃんみなは「J-POPの人」として呼ばれた

ここがいちばん面白いところです。

ちゃんみなは「WORK HARD」で楽曲賞には入っています。でも、ヒップホップ/ラップのアーティスト賞には入っていません。じゃあ、どこに名前があるのか。実は「最優秀J-POPアーティスト賞」のほうです。Mrs. GREEN APPLE、Official髭男dism、Vaundy、米津玄師と並んでいます。

これ、地味だけどすごく大事です。ちゃんみなは「ラップが弱いから外れた」のではありません。「J-POPの人」として評価されたんです。ラップもするアーティストが、ポップスの代表として扱われた、ということ。

去年末の紅白初出場でも、彼女は「ラップも入ったポップス」として迎えられていました。今回のノミネートは、その続きにあります。

③ 賞の中の日本語ラップは「これから」より「これまで」?

ちゃんみなだけの話ではありません。

去年から今年にかけて、海外や最前線で勢いのある名前──Awich千葉雄喜、ちゃんみな、XG──が、アーティスト賞から外れました。代わりに入ったのが、m-flo、RIP SLYME、STUTS。長く実力を評価されてきたベテランたちです。

勘違いしないでほしいのは、外れた人たちの影響力が低い、という話ではないこと。むしろ逆です。シーンの外へ広がる力が強い人ほど、ヒップホップ枠ではなく、別のジャンルや海外──つまり「賞の外側」で評価されているように見えます。ちゃんみながJ-POP枠に回り、AwichやXGが海外の舞台で目立っているのが、その一例です。

さらに、いちばん大きい主要部門(最優秀楽曲賞・アーティスト賞・アルバム賞など)には、ヒップホップ作品がほとんど見当たりません。去年はCreepy Nutsが最優秀楽曲賞を獲っていたので、これはけっこう大きな変化です。今年の主要部門は、HANA、米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、サカナクションといった顔ぶれが中心です。

スポンサーリンク

賞は、日本語ラップをどこに置こうとしているのか

ここまでをまとめると、こうです。STUTSに注目が集まり、ベテランのRIP SLYMEやm-floが返り咲き、最前線のちゃんみなやAwichはアーティスト賞から外れる。

バラバラの出来事に見えて、実はひとつの方向を向いています。賞は、日本語ラップを「いま伸びているジャンル」というより、「歴史として敬意を払う対象」として見はじめている、ということです。

イメージは、博物館に飾られる名画に近いかもしれません。「すごい」と称えられる。でも、「いま動いている」感じからは、少し遠ざかってしまう。

同じ時期に、「THE SUCCESSOR」という、高木完・Zeebra・YZERRらが日本語ラップ40年の歴史を祝うイベントも動いています。これも同じ流れです。賞の上で、日本語ラップは「これから伸びる」より「これまでを称える」対象になりつつあります。

称えることは、ときに「過去のものにすること」でもあります。

じゃあ、日本語ラップは終わったの?

いいえ。終わってなんかいません。むしろ逆です。

賞のヒップホップ枠から外れた名前──ちゃんみな、Awich、千葉雄喜、XG──ほど、いま賞の“外側”で元気に動いています。海外のステージ、別のジャンル、ストリート。日本語ラップの現在地は、もう「賞の中」だけでは測れません。

MAJ 2026が見せているのは、日本語ラップの終わりではありません。賞が見ている日本語ラップと、現場で進んでいる日本語ラップの間に、少しずつ距離ができはじめている──そういうことなんです。

6月13日。STUTSが「99 Steps」をステージで鳴らし、受賞者が決まります。でも本当に面白いのは、トロフィーが誰の手に渡るかよりも、「この賞が日本語ラップをどこに置こうとしているのか」を読むことかもしれません。

これからの見どころ

  • ヒップホップ/ラップのアーティスト賞・楽曲賞は、誰が獲るのか(6月13日に確定)
  • 昼の部でのSTUTS「99 Steps」のライブと、その反響
  • 主要部門で日本語ラップがほぼ不在、という形が結果でどう確定するか
  • 「THE SUCCESSOR」と授賞式が打ち出す、日本語ラップの“歴史化”という流れ
  • 受賞者や関係者の、当日とSNSでの言葉

主要参照リンク

関連記事

スポンサーリンク

コメントを残す

Latest

ARTICLES