Meathead、Pluto、Future Hendrix、Fire Marshal、The WIZRD。15年でいくつもの名前と人格をまとい、その下の素顔だけは誰にも見せてこなかった男が、今度はアルバムを『The Real Me(本当の自分)』と名づけた。
だとしたら、聞くべきことはひとつだ。本当の自分は、ちゃんとそこにいたのか?
7月10日、Futureが10枚目のスタジオアルバム『The Real Me』をリリースした。ソロ・スタジオアルバムとしては『I Never Liked You』(2022)以来、約4年ぶり。フルレングスのソロ作品としては『Mixtape Pluto』(2024)以来となる。Billboard 200で首位に立てば、通算12度目の1位となる。
この間、彼はMetro Boominとの2作でチャートを制し、この10年で最大級のラップ・ビーフに火をつけた。その因縁も2026年には少なくとも音楽上の再接近へ転じ、ICEMANの「Ran to Atlanta」でDrakeと再合流している。ビーフを経て、Drakeとも再合流し、レジェンドとしての地位を固めた“その後”——本作はそこに置かれた一枚だ。そして2025年に亡くなった盟友Young Scooterを失って以降、初めてのメジャー作でもある。
皮肉なのは、『通しでいちばん良い』と挙がったのが最終曲「Eye To Eye」だったこと。しかもその直前が不評の「Alice」。なんとも据わりの悪い並びだ。
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とはいえ、前半とベスト曲は好評
酷評一色ってわけでもない。ベストに挙がったのは「Fukk a Interview」「Tank Top Pluto」「Money Over Everything」「Snow in Skyami」「Off the Hinge」あたり。序盤の勢いを買う声はとくに多くて、『頭の数曲は今年でも屈指』なんて感想も届いた。ビートの評価も総じて高い。作品ごと切り捨てるというより、『良い曲はちゃんとある』という受け止めが大勢だ。
「If I Could」では息子に「オレを超えろ」と説き、亡き祖母を見上げ、収監された仲間を解き放ちたいと願う。
編集部が「もっとも本当の自分に近い」と考えるのが「Radio」だ。取り乱した言葉の合間から本音がこぼれ、悲しみは一行で通り過ぎる。終盤では自分に「調子に乗るな」と言い聞かせながら、フックでは市場そのものを突き放す。HIPHOPCsが注目曲に選んだ「Radio」「If I Could」「Big Moment」は、どれも奇抜な実験ではなく、Future自身の記憶や感情が前面に出た曲である。
本当の自分は、実験の中じゃなく、ペンの中にあった。
編集部としては、どう見たか
各SNSやYouTubeに寄せられた初動反応と、歌詞まで踏み込んだときに見えてくる本作の姿。そのふたつが大きく異なることこそ、『The Real Me』を読み解くカギだと思う。
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