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LEXとは何者か──声を固定しない制作法で、SoundCloudから初アリーナの告知まで

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LEX(レックス)は、2002年生まれ、神奈川県の湘南エリア出身。14歳からSoundCloudへ曲を上げ、16歳だった2019年に1stアルバム『LEX DAY GAMES 4』を発表したヒップホップ・アーティストだ。

メロウな歌と攻撃的なラップ。その落差がLEXの特徴として語られてきた。だが、それだけでは「なぜ作品ごとに違う声を出せるのか」が残る。

答えは、本人が10代で明かした作り方にある。最初はビートメイカーとして、自分の声を切り刻み、速度を変え、音の一部として使っていた。2020年にも、トラックを直し、複数のメロディを試し、そのあとに言葉を入れると説明している。

声を先に決めない。曲が求める役割へ声を変える。その制作順序を芯に残しながら、発表場所をSoundCloud、チャート、フェスへ広げ、初アリーナ公演を告知する段階まで来た──それが本稿でたどるLEXの軸である。

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30秒でわかるプロフィール

項目 内容
名義 LEX(レックス)
生年・誕生日 2002年5月1日。2024年5月1日に22歳を迎えたことを音楽ナタリーが報道
出身 神奈川県・湘南エリア(公式プロフィール
活動開始 14歳からSoundCloudへ投稿。16歳で1stアルバムを発表(公式プロフィール
アルバム LEX公式プロフィールは2025年の『Original』を「自身7枚目」と明記。Apple Music作品ページの編集解説も「通算7作目」と紹介する。2026年の『SPEEDSTAR』は公式が「最新アルバム」と告知するが通算数は示さないため、「8th」とは断定しない
主な到達点 Heatseekers Songs初首位、POP YOURS 2024 DAY 1ヘッドライナー、2026年10月に初アリーナ公演を予定
公式窓口 LEX Official Website

出身を「東京」とは書かない。公式が示す「湘南エリア出身」を採用し、生活拠点とは分けて扱う。

LEXの核心──声が主役ではなく、曲全体が先にある

2019年のFNMNLインタビューで、LEXはFla$hBackSの映像をきっかけにビートメイクを始めたと話している。最初にやったのは、自分の声を録って切り刻み、BPMを上げることだった。

同じ取材は、聞き手が「Captain Harlock」をきっかけにLEXを知り、別の曲ではダーク、ポップ、アコースティックまで振れ幅があると感じた話から始まる。LEXはそこで、自分をラッパーと決めず、ジャンルを固定すると狭くなると答えた。「Captain Harlock」は単に初期曲として置くだけでなく、声や役割を一つへ固定しない姿勢を読む入口にもなる。

この取材で本人は、ボーカルだけを中心に置くのではなく、声を音楽全体の一部として捉えている。歌うか、ラップするかという区別にもこだわらない。

音の好みも具体的だった。アップテンポな「STREET FIGHTER 888」には、明るさの裏にパーティー後の静けさや切なさを置いたと説明し、四つ打ちの「PLASTIC」でも切なさを散りばめたという。振れ幅はジャンル名の数ではなく、一曲の中で相反する感情をどう同居させるかにも表れている。

翌2020年、『LiFE』についてのRolling Stone Japanインタビューでは、工程をもう一段具体的に説明した。トラックを調整し、メロディを何パターンも当て、サビとバースを選ぶ。それからメロディに合う言葉を置いていく。

だから、LEXを「メロウな声のラッパー」とだけ説明すると順番が逆になる。声質が曲を決めるのではない。ビート、メロディ、言葉が一体になる場所を探すため、声のほうが形を変える。

これはHIPHOPCsの解釈だ。ただし根拠は、2019年と2020年に本人が別々の取材で語った制作手順にある。

作品ごとに違って聴こえるのは、軸がないからではない

『!!!』──「歌う/ラップする」を分けない

2019年のRolling Stone Japanで、LEXは2ndアルバム『!!!』について、曲ごとに曲調を変えたかったと説明した。同じ取材で、歌とラップを分けず、どちらも音楽として考えるとも答えている。

この時点で「一枚につき一つのキャラクター」という発想から離れていた。変化は後年の迷いではなく、17歳のときから意識していた作法だった。

『LiFE』──仲間が増えても、作る順序は変わらない

2020年の3rdアルバム『LiFE』には多数の客演が参加した。けれど、客演の多さをLEXの本質と見ると外す。

同作の取材で本人が「自分のスタイル」としたのは、トラックとボーカルの一体感だった。誰と作るかが変わっても、曲全体に合わせてメロディと言葉を選ぶ順序は残っている。

『Logic 2』──ジャンル名ではなく、同じ一枚に置けるか

2024年の『Logic 2』について、Rolling Stone Japanの本人取材は、刺激的なトラップ、ポップス、四つ打ちを含む作品だと問いかけた。LEX自身も、複数のジャンルを取り入れた構成だと答えている。

ここで言えるのは、その範囲までだ。「トラップ、ダンスミュージック、ジャージークラブを完全に横断した」と編集部が勝手に音響分類する必要はない。

むしろ制作法が見えるのは、Grace Aimiとの「I’m trying to know」だ。本人は同じ取材で、先に互いの聴いている音楽を共有し、共通するサウンドを探したと説明している。

LEXがメロディを作り、Grace Aimiが歌詞を当てた。最初にビートとメロディの居場所を決める手つきは、2019年からつながっている。

制作期の苦しさについても本人は同取材で率直に語った。ここから病名を推測したり、作品を安易な「復活物語」に変えたりはしない。確認できるのは、家族やチームの支えを受けながら、その時期の感情と言葉を作品へ残したことだ。

『Original』──客演を外し、一人で振り幅を成立させる

2025年の『Original』は客演を置かず、全曲を一人で担った。

LEX公式プロフィールは『Original』を「自身7枚目」と明記している。Apple Music作品ページにも「通算7作目」とあるが、こちらは本人の曲解説とは分け、サービス側の編集説明として扱う。

rockin’on.comの本人インタビューで、LEXは、収録曲すべてを一人でできること自体を自分だけのジャンルだと考えた、と説明している。

共同制作を否定したのではない。多くの相手との制作で広げてきた声の役割を、客演なしでも一枚にできるか試した。HIPHOPCsはそう読む。

作り方には、10代からの連続と変化が同時にある。同じ本人取材でLEXは、部屋でトラックを流し、歩きながら鼻歌から始めると説明した。「ALONE」「億万長者」「ひとりぼっちの夜」では、先にメロディラインを決め、曲の形ができてから歌詞を書いたという。2020年に語った「メロディを選んでから言葉を置く」順序が、バラードを含む『Original』にも残っている。

同じ取材で本人は、東京へ生活拠点を移して一人の時間が増え、攻撃的な表現が少し削がれたとも話している。生活が変われば、選ぶ音と言葉も変わる。声を一つに固定しないから、その変化を作品の欠陥ではなく更新として残せる。

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SoundCloudから初アリーナの告知へ──発表する場所はどう広がったか

LEXの経歴は、四つの場所を並べると見通しがよくなる。

1. 自分で置く場所:SoundCloud

公式プロフィールによると、14歳からSoundCloudへ投稿を始めた。2019年のFNMNL取材では、ビートサイトで曲を探し、海外の作り手によるタイプビートも使っていたと語っている。

湘南にいながら、制作素材の入口は最初からインターネットの向こう側に開いていた。

2. 数字で測られる場所:チャート

2021年、「なんでも言っちゃって (feat. JP THE WAVY)」がBillboard JAPAN Heatseekers SongsでLEX初の1位を獲得した。このチャートの公開日は9月8日、集計期間は8月30日から9月5日までだ。

これはBillboard JAPAN総合チャートの首位ではなく、Heatseekers Songs部門での首位である。数字の種類まで書いてこそ、SoundCloudの外へ届いた規模を正確に測れる。

同年11月にはGQ MEN OF THE YEARのブレイクスルー・アーティスト賞を受賞した。GQ自身が、選出記事で「なんでも言っちゃって」のTikTokでの広がりと、『LOGIC』のApple Musicアルバム総合チャート1位を理由として示している。

3. 作ることを託される場所:POP YOURS

2024年の「明るい部屋」は、通常の共演曲としてではなく、POP YOURSのオリジナル楽曲として制作された。プロデュースは、STUTSとZOT on the WAVEによるユニットSTUTS on the WAVEが担った。

LEXは同年5月18日、POP YOURS 2024のDAY 1ヘッドライナーを務めた。出演順はPOP YOURS公式アーカイブで、DAY 1のヘッドライナー表記は公演レポートで照合できる。

14歳で自分から公開場所を作った人が、今度はフェスから作品を託され、ヘッドライナーとして舞台に立った。

ここがキャリアの大きな反転である。

4. 一夜を自分の名で成立させる計画:アリーナ

その前段で、2026年2月15日のZepp Nagoyaから、Zepp Sapporo、Zepp Osaka Bayside、Zepp Fukuokaを経て、3月3日のZepp Hanedaまで全国5都市のツアーを行った。アリーナ発表日の公式記事は、羽田公演をツアーファイナルとして終えたと記している。

2026年3月、LEX公式は10月30日のTOYOTA ARENA TOKYO公演を「キャリア初となるアリーナ公演」と発表した。

開催はまだ先だ。確認できるのは、公演日、会場、チケット受付が発表されたことまでで、実際の開催や動員ではない。到達済みの実績には数えない。

SoundCloudの一曲から始まった公開範囲は、初アリーナ公演を告知する段階まで来た。音楽の型を一つに絞った結果ではない。絞らないまま、次の会場を計画する段階まで来た。

四つの場所では、会場規模とともに公開責任が変わった。SoundCloudでは公開の判断を自分で持ち、チャートでは反応を外部の数字で測られ、POP YOURSではフェス側から制作を託された。アリーナはまだ、その責任を引き受ける予定が公表された段階にある。LEXの歩みは、声の自由度を失わずに、公開責任を大きくしてきた過程として読める。

ただし、LEX一人の経路を、日本語ラップ市場全体の成長証明にはしない。

HIPHOPCsの日本語ラップ市場分析で確認できたのは、2024年の国内配信売上でストリーミングが91.8%を占めたことと、複数の公式記録である。ジャンル全体の市場規模や中間層の時系列変化は未確認だ。

LEXは、オンライン発の曲がチャートと大型会場へ接続した一例ではあっても、市場全体を代表する証拠ではない。

LANAとの関係──長く作ってきた二人の「最初の公開作」

LANA本人へのFNMNL取材で確認できる通り、LANAはLEXの妹である。二人名義のリリースは2024年に始まるが、一緒に曲を作ってきた時間はそれより長い。

2024年のRolling Stone Japanインタビューで、LEXは二人で以前から曲を作っていたと話した。「明るい部屋」が二人名義で正式に出した最初の曲だった。

同じ取材で、LEXは苦しい時期にLANAが長時間話を聞き、支えてくれたとも説明している。少なくとも「兄が妹を引き上げた」だけの一方向の関係ではない。

「明るい部屋」は、その公開前からの積み重ねをPOP YOURSの制作企画へ持ち出した作品だった。兄妹という話題性だけでなく、二人の間で続いていた制作が、POP YOURS 2024 DAY 1のヘッドライナー公演へつながった点に意味がある。

LANA自身の活動をLEXの付属物として扱わない。彼女が別のキャリアで引き受けてきた問いは、HIPHOPCsのLANA論で扱っている。

湘南出身でも、音の参照先は地元だけではない

LEX公式が記す出身地は湘南エリアだ。HIPHOPCsの川崎・横浜Rap Atlasでは、神奈川を横浜、川崎、相模原・座間、湘南の複数の流れとして整理している。

LEXはその湘南側にいる。ただし、音の系譜を地域だけで閉じることはできない。

FNMNLの本人取材によれば、LEXはFla$hBackSの映像からビートメイクへ入り、C.O.S.A.やKID FRESINOを聴き、ビートサイトでは海外の作り手まで探した。地元は仲間と生活の場所であり、音源の参照先は画面越しに広がっていた。

この二重性が、2010年代後半の日本語ラップらしい。東京へ移らなければ情報へ届かない時代ではない。一方で、誰と暮らし、誰と録るかは曲へ残る。LEXは「地域かインターネットか」の二択ではなく、その両方から出てきた。

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まず聴くなら、この4つの入口

  • 「Captain Harlock (feat. TRASH ODE & Only U)」 — 2019年のFNMNL取材で、聞き手がLEXの振れ幅を知った入口として挙げた曲。そこから「ラッパー」に自分を固定しない本人の答えへ進む。配信日はApple Musicで確認できる。
  • 「なんでも言っちゃって (feat. JP THE WAVY)」 — 声の軽さとフックが、Heatseekers Songs首位まで届いた。LEXを初めて聴く人の入口。
  • 「明るい部屋」LEX & LANA — 明るい音と重い来歴を同じ曲に置く。兄妹、フェス、二人のプロデューサーが交わる共同制作の入口。
  • 『Original』 — 客演なしで、ラップも歌も一人で担う。振り幅を「LEXというジャンル」として聴く入口。

この4作は人気順ではない。「初期」「チャート」「共同制作」「一人で担う作品」という、制作法の違いが見える順番で選んだ。

年表:2002–2026

  • 2002年5月1日 — 神奈川県に生まれる。公式は湘南エリア出身と記す。[公式音楽ナタリー
  • 14歳 — SoundCloudへ楽曲投稿を始める。年を逆算して固定せず、公式が示す年齢を採る。[公式
  • 2018年10月15日 — 「Captain Harlock (feat. TRASH ODE & Only U)」を配信。翌年の本人取材で、聞き手がLEXを知った入口として挙げた。[Apple MusicFNMNL
  • 2019年4月 — 16歳で1stアルバム『LEX DAY GAMES 4』。同年12月に2ndアルバム『!!!』。[公式
  • 2020年8月 — 3rdアルバム『LiFE』を発表。[公式本人取材
  • 2021年 — 「なんでも言っちゃって」がHeatseekers Songs初首位。9月に4thアルバム『LOGIC』、11月にGQのブレイクスルー・アーティスト賞。[Billboard JAPANGQ JAPAN
  • 2022年 — SPACE SHOWER MUSIC AWARDS 2022でBEST HIP HOP ARTISTを受賞。[受賞者一覧
  • 2023年1月25日 — 5thアルバム『King Of Everything』を発表。[Apple Music
  • 2024年 — 4月にLANAとの「明るい部屋」、5月にPOP YOURS 2024 DAY 1ヘッドライナー、7月に6thアルバム『Logic 2』。[SpincoasterPOP YOURS公式本人取材
  • 2025年11月26日 — 客演なしの7thアルバム『Original』を発表。公式プロフィールが「自身7枚目」と明記し、Apple Music作品ページの編集解説も「通算7作目」とする。[公式プロフィールApple Music本人取材
  • 2026年 — 2月15日の名古屋から札幌、大阪、福岡を経て3月3日の羽田まで、全国5都市のZeppツアー。6月24日に公式が「最新アルバム」とする『SPEEDSTAR』を発表。10月30日にTOYOTA ARENA TOKYOで初アリーナ公演を予定するが、開催実績には数えない。[Zeppツアー公式告知最新作公演告知

本稿の資料と線引き

制作法の核は、2019年のFNMNL、2020年・2024年のRolling Stone Japan、2025年のrockin’on.comという本人取材を年代順に照合した。経歴、作品順、予定公演は公式サイト、チャート順位はBillboard JAPAN、配信日はApple Musicで確認した。『Original』の7th表記はLEX公式プロフィールで確認し、Apple Music作品ページの同表記は本人発言ではなく編集解説として扱った。

本文中の「声のほうが形を変える」「制作の芯を保って発表場所を広げた」は、複数の本人発言と実績をつないだHIPHOPCsの解釈である。本人の発言としては書いていない。

健康や家族については、本人が公に説明した範囲を越えて推測しない。2026年10月のアリーナ公演は予定であり、開催後に実績表記へ更新する。

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