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CHICO CARLITO『紅碧』8月10日配信──9曲のミックス/マスタリングをA-KAYが担当

ヒップホップニュース10 min read

沖縄のCHICO CARLITOが、4作目のアルバム『紅碧』(べにあおい)を8月10日に配信する。全11曲。

7月30日に公開されたトラックリストには、AI、田我流、OZworld、柊人、CHOUJIの名前が並んだ。日本語圏の各媒体はここまでを報じている。

だが公式の配信ページでクレジットを開くと、別の話が出てくる。11曲のうち9曲で、ミックスとマスタリングを1人が担っている。A-KAYだ。

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『紅碧』全11曲のトラックリスト

『紅碧』のトラックリストは以下の通り。曲名は媒体発表の日本語表記、prod.は公式配信ページのComposer / Producer欄に従った。

  1. Red and Blue(prod. OSUREK BERTOP)
  2. Broadcasting feat. 柊人 & ジェロニモR.E(prod. MatildA)
  3. Papa flow(prod. Alenoise)
  4. love feat. Deech & Yellow Pato(prod. Alenoise)
  5. Teardrop boy(prod. A-KAY)
  6. In return(prod. RhymeTube)
  7. もっと上に(prod. Alenoise)
  8. ユガフ feat. OZworld, 柊人 & CHOUJI(prod. leofeel)
  9. 眩しすぎて(prod. Daisuke Nakamura)
  10. Never alone feat. AI(prod. A-KAY)
  11. I’ll be there feat. 田我流(prod. OSUREK BERTOP)

explicit(E)表記が付いているのは「もっと上に」と「眩しすぎて」の2曲だけだ。

タイトルの『紅碧』は日本の伝統色である「紅みを含んだ薄い青色」に由来し、「情熱(紅)」と「静寂・葛藤(碧)」の対比を表現したものだと説明されている。

Apple Musicのカタログ上、CHICO CARLITO名義のオリジナルアルバムは3作ある。

  • 『Carlito’s Way』(2016年12月7日/全13曲)
  • 『Sandra’s Son』(2022年2月9日/全10曲)
  • 『Grandma’s Wish』(2023年6月30日/全10曲)

Billboard JAPANも今作を「通算4枚目となるアルバム」と伝えており、カタログ上の数え方と合っている。

なお今作を「2年ぶり」とする書き方が一部で使われているが、これは『Grandma’s Wish(Deluxe Edition)』を起点にした数え方だ。そのDeluxe盤(全13曲)の配信は2024年7月27日。起点をオリジナル盤に戻すと、間隔は3年1か月になる。

11曲中9曲を通したA-KAY

Spincoasterは、プロデューサー陣として7人の名前を並べている。A-KAYはその横並びの1人として置かれている。

公式クレジットの見え方は違う。

A-KAYは11曲中9曲でMixing EngineerとMastering Engineerを務めている。うち8曲ではRecording Engineerも兼ねる。録りからミックス、マスタリングまで通しで担当しているということだ。

さらに「Teardrop boy」と「Never alone feat. AI」の2曲では、Composerとしてトラック自体も作っている。

A-KAYの名前がまったく出てこない曲は、11曲中1曲しかない。既発シングルの「Broadcasting」(録音はAshtrayy、ミックスはleofeel)だ。AIを迎えた「Never alone」も、ミックスとマスタリングこそRyuseiだが、トラックを作ったのはA-KAY本人である。

プロデューサーが7人に分かれる一方、9曲のミックスとマスタリングはA-KAYが担当している。アルバム全体の音の統一感を考えるうえで、このクレジット配置は重要な手がかりになる。

この2人が組むのは今回が最初ではない。「CHICO CARLITO – Let Go feat. 柊人 / THE FIRST TAKE」(音源は2024年1月31日配信)の概要欄には、生バンドアレンジのクレジットとして「Arrangement : A-KAY」と記載されている。ただしこれはTHE FIRST TAKE版に付いたクレジットであり、原曲や過去のアルバムでA-KAYがどこまで関わっていたかは、公表されている情報からは追えない。

客演の扱いも、クレジットに出ている。

AI、田我流、OZworld、柊人、CHOUJI、Deech、Yellow Pato、ジェロニモR.E。8人全員の名前が、参加曲のLyricist欄に入っている。ここから確認できるのは、それぞれが参加曲の作詞者として正式にクレジットされていることだ。

ゲストの人数を並べる記事からは落ちる情報だ。だが共作としては、こちらのほうが重い。

「ユガフ」に集まった沖縄の3人

11曲のうち、沖縄の言葉がタイトルになっているのは8曲目「ユガフ」だけだ。

漢字を当てると「世果報」。意味は「豊作」「豊作の年」だ。沖縄方言辞典「あじまぁ」は、沖縄でもほとんど使われない方言だと書いている。

その1曲に、OZworld、柊人、CHOUJIが並ぶ。

CHICO CARLITOは沖縄県出身。THE FIRST TAKEの概要欄も、彼を「沖縄県出身のラッパー」、柊人を「同じ沖縄を拠点として活動するラッパー/シンガー」と紹介している。OZworldも沖縄だ。

柊人は高知生まれ。小学2年でオーストラリアに渡り、中学3年で沖縄へ移った。KAI-YOU Premiumの取材では「沖縄に一番恩があるって感じですね。音楽的にもルーツは沖縄と言いたいっすね」と話している。同じ記事は、周囲に呆れられていた時期の柊人を音楽に誘い続けた人物としてCHOUJIの名を挙げている。

沖縄でも現在は使用例が少ないとされる言葉を題にした曲に、CHICO CARLITO、CHOUJI、柊人という沖縄にゆかりのある3人が並ぶ。その配置の意図は公式に説明されていない。

客演で名前が2回出るのは、柊人だけだ。「Broadcasting」と「ユガフ」の2曲。AIも田我流も1曲ずつである。

媒体の見出しはAIと田我流を先に置く。しかし今作で客演名が2回出るのは柊人だけで、「Broadcasting」と「ユガフ」の2曲に参加している。THE FIRST TAKE版「Let Go feat. 柊人」での共演歴もある。

沖縄の顔ぶれで動くのも初めてではない。2025年7月、CHICO CARLITOはAwich、OZworld、唾奇と『RASEN OKINAWA TOUR』に出ている。大阪Zepp Namba(7月6日)と東京Zepp DiverCity(7月13日)。

その約1年後が、8月29日のZepp Haneda。今度は単独名義だ。

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「7月末」から8月10日へ

このアルバムは、突然出てきたわけではない。時系列を並べるとこうなる。

  • 2026年5月13日:「In Return」配信
  • 6月23日:CDジャーナルがワンマンライブ『Red and Blue』を報道。この時点でアルバムは「2026年7月末リリース予定」と告知されていた
  • 7月4日:「Broadcasting (feat. Shuuto & GeronimoR.E)」配信
  • 7月7日:Awich、ONE OK ROCK、Paleduskとの合同プロジェクトYAOの「777」配信
  • 7月30日:『紅碧』を8月10日に配信すると発表、全11曲を公開
  • 8月10日:配信
  • 8月29日:Zepp Haneda (TOKYO) でワンマンライブ『Red and Blue』

6月時点の告知にあった「7月末」から、実際の配信日は10日ほど後ろにずれている。延期の理由について公式のアナウンスは出ていない。

この間に配信された「In return」と「Broadcasting」は、どちらも『紅碧』に収録される。11曲のうち2曲は、アルバム発表より前にすでにリスナーの手元にあったことになる。

一方、7月7日の「777」は収録されていない。Awich、ONE OK ROCK、Paleduskと並んだ曲を、自分のアルバムには持ち込まなかった。

ゲストは1組から13組に増えた

8月29日のZepp Haneda公演も、6月と7月末で姿が変わっている。

6月23日のCDジャーナル記事でゲストとして名前が挙がっていたのは、Awich1組だけだった。

7月30日の発表で、AI、ACE COOL、Bonbero、Deech、Jave South、OZworld、田我流の7組が第2弾として追加された。

さらにELIONE、Masato Hayashi、SugLawd Familiar、Yellow Pato、柊人も加わる。出演者は13組になった。

13組のうち6組は『紅碧』の客演だ。AI、OZworld、田我流、Deech、Yellow Pato、柊人。ACE COOLとBonberoは、7月15日配信のBonbero『HideAway』収録「Yarudake Remix」の並びである。

ゲスト発表の半分は、実質的にアルバムのクレジット発表を兼ねていた。

ただし完全には重ならない。アルバムに参加しているCHOUJIとジェロニモR.Eの名前は、ライブの発表に出てこない。

逆に、アルバムに入っていないAwich、SugLawd Familiar(沖縄出身の5人組)、ELIONE、Jave South、Masato Hayashiがステージには乗る。

チケットはファストパスと2階指定席が7,980円、1階スタンディングが5,980円(いずれも別途ドリンク代)。CDジャーナルはこの公演を、CHICO CARLITOにとって「キャリア最大規模のワンマン・ライヴ」と紹介している。

HIPHOPCsの視点

ここ数年、CHICO CARLITOの名前がラップの外へ届いた場面は、たいてい誰かとの共演だった。THE FIRST TAKEの「Let Go feat. 柊人」。Bonbero『HideAway』の「Yarudake Remix」。7月7日のYAO「777」。

『紅碧』の客演の並びも、その延長線上に見える。AIと田我流という、ヒップホップの外側にも届く名前が入っている。

だがクレジットを開くと印象が変わる。ミックスとマスタリングの9曲をA-KAYが握り、客演者は全員が自分で詞を書いている。

客演とプロデューサーの顔ぶれは広い。一方で、9曲の最終工程をA-KAYが担当する構成になっている。人間関係の内外まではクレジットから断定しない。

そして最も客演が多いのは、媒体の見出しに先頭で載るAIでも田我流でもなく、柊人だった。沖縄でもほとんど使われない言葉を題にした1曲には、島の先輩が呼ばれている。

一方、Awich、ONE OK ROCK、Paleduskと並んだ「777」は今作に収録されていない。その理由や初動への影響は、公表資料からは分からない。

配信日が「7月末」から8月10日へずれた理由は、公式には何も出ていない。ここを勝手に読むのはやめておく。

Awichを軸にした大きな共演の輪で名前を上げた人間が、次に何を出すか。『紅碧』の答えは、「もっと大きな共演」ではなかった。

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8月10日以降に見るところ

  • 配信後、Spotify・Apple Musicの国内チャートで『紅碧』がどこまで上がるか。特にAI客演の「Never alone」が、ヒップホップ外のリスナーに届くか
  • 8月29日 Zepp Haneda公演で、13組のゲストがどの曲に立つか。Awichが「777」を持ち込むかどうか
  • 「7月末」から8月10日への変更について、本人または関係者から説明があるか
  • 「ユガフ」の並びが単発で終わるのか、沖縄勢での次の作品につながるのか

主要参照リンク

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