「Rap Atlas US:クリーブランド」──Bone Thugs-n-HarmonyからDoe Boyまで、8組の記録
Glenvilleで集まったBone Thugs-n-Harmonyのメロディーと速いラップから、Kid Cudiの内面を描く作品、Doe BoyのFreebandzとの仕事まで。クリーブランドにつながる8組を、地元との関係と、実際に聴ける作品からたどる。
範囲はオハイオ州クリーブランド市。グループの結成地と、メンバー個人の出生・育ちは分けて記す。Boneのグループ項目とKrayzie、Layzieの個人項目には重なりがあるため、独立した8つのグループという意味ではない。
地域とアーティスト
| 地域との関係 | アクト |
|---|---|
| Glenvilleで結成 | Bone Thugs-n-Harmony |
| Clevelandとの関係。上記グループのメンバー | Krayzie Bone、Layzie Bone |
| Clevelandとの関係。細かな地区は本稿で断定しない | Chip tha Ripper / King Chip、Doe Boy、Kid Cudi、Machine Gun Kelly、Ray Cash |
8組と、聴き始める作品
Bone Thugs-n-Harmony
Glenvilleで10代の仲間と家族が集まり、B.O.N.E. Enterpri$eとして1993年に『Faces of Death』を出した。XXLの2010年特集がたどるこのグループは、メロディーと速いラップを組み合わせた歌い方を広く届けた。契約を求めてカリフォルニアへ渡り、その後クリーブランドに戻ってEazy-Eの公演の舞台裏で対面した経緯を、The Ringerが伝えている。
RuthlessからのEP『Creepin on Ah Come Up』は1994年。1995年の『E. 1999 Eternal』に続き、1997年には「Tha Crossroads」でグラミー賞を受賞した(Recording Academy)。
まず聴く:『E. 1999 Eternal』。グループ作品から入り、下のKrayzie BoneとLayzie Boneの個人名義へ進める。
Chip tha Ripper / King Chip
XXLの2018年記事は、Chip tha Ripperとして活動したKing Chipをクリーブランド育ちと紹介する。「44108」は地元の郵便番号(Complex、2013年)。翌2014年のデラックス版は『44108 (Deluxe)』として配信されている。
その前の『Tell Ya Friends』(2012年)について、XXLのレビューはゆっくりしたフロウを特徴として挙げ、Bun BやKrayzie Boneの客演にも飲み込まれない点を評価した。一方で、遅いテンポの曲が多く、22曲では長すぎるとも指摘している。
まず聴く:『44108 (Deluxe)』。
Doe Boy
Billboardの2020年インタビューで、Doe Boyは地元が自分の芯を作ったと話している。Complexは2012年、クリーブランドの18歳のラッパーがFutureのFreebandzと契約したと報じた。
Billboardは、威圧的な声の出し方とすばやい言葉遊びを彼の持ち味として挙げ、2019年作とその後のコラボレーションを追っている。その2019年作が、Young Thug、Gunna、YGらを迎えた『Streetz Need Me 2』。
まず聴く:『Streetz Need Me 2』。声の強さと言葉遊びに注目しながら、客演陣との組み合わせを聴いてみてほしい。
Kid Cudi
Rolling Stoneの2024年評はKid Cudiをクリーブランド生まれと紹介し、2008年の「Day N’ Nite」から、自分の内面を音楽へ変える仕事をたどる。Complexの2009年インタビューでも、オハイオで育ちクリーブランドを離れた経緯が語られる。
『Man on the Moon: The End of Day』(2009年)はデビュー・スタジオアルバム。『Satellite Flight: The Journey to Mother Moon』を評したPitchfork(2014年)は、歌唱に厳しい評価を下しながら、空気や音色を組み立てる力を認めている。2012年のグラミー賞では、客演した「All of the Lights」がBest Rap/Sung Collaborationを受賞した(Recording Academy)。
まず聴く:『Man on the Moon: The End of Day』。2008年のシングルの後に出た、スタジオアルバムとしての出発点。
Krayzie Bone
Bone Thugs-n-Harmonyの一員であるKrayzie Boneを、XXLの2008年レビューとComplexの2023年記事はクリーブランド出身と紹介する。ソロ作『The Fixtape Vol. 1: Smoke on This』(2008年)では、既存曲のビートやメロディーを別の歌へ作り替えた。XXLはこの試みに成功と失敗の両方を見ている。
Chamillionaire「Ridin’」への客演では、2007年のグラミー賞Best Rap Performance by a Duo or Groupを受賞した(Recording Academy)。グループでの仕事を知った後に、その声を別の組み合わせで聴ける曲である。
まず聴く:「Ridin’」収録の『The Sound of Revenge』。ソロ作へ進むなら『The Fixtape Vol. 1: Smoke on This』。
Layzie Bone
Layzie BoneはBone Thugs-n-Harmonyの創設メンバー。XXLの結成史と、本人のインタビューを伝えたComplexの2025年記事から、グループの立ち上がりに関わった役割をたどれる。Complexでの回想は、Band-Aid Boys、Bone Enterpriseといった名前で活動していた頃にも及んでいる。
グループと並ぶ本人名義の作品には、L-Burna aka Layzie Boneとしての『Thug by Nature』(2001年、Ruthless)がある。
まず聴く:『Thug by Nature』。『E. 1999 Eternal』と並べて、グループと個人の仕事をたどるための一枚。
Machine Gun Kelly
クリーブランド育ちと紹介するRolling Stoneの2017年プロフィールは、Machine Gun Kellyの速いラップに加え、ギターと生バンドを伴うステージを描いた。Camila Cabelloとの「Bad Things」がヒットした時期には、『Bloom』で歌う比重も大きくなっていた。
2012年のラップ・アルバム『Lace Up』は、RIAAの公式報告書で2017年8月15日付のゴールド認定を確認できる。その後、ロック・アルバム『Mainstream Sellout』が2023年のグラミー賞Best Rock Album候補となった(Recording Academy)。
まず聴く:『Lace Up』。このガイドでは、ラップのアルバムから入る。
Ray Cash
XXLの2006年プロフィールはRay Cashをクリーブランド出身・育ちと紹介する。地域帰属はこの一媒体に基づく。同年6月のインタビューでは、地元の車や音楽の話を本人が語っている。
デビュー作『C.O.D. – Cash On Delivery』(2006年)には「Sex Appeal」や、Scarfaceを迎えた「Bumpin’ My Music」が収められている。後者の客演クレジットは、公式配信と上記6月の記事が一致する。XXLのアルバム評は、言葉を詰めた「Payback」などを取り上げ、堅実なデビュー作と評価した。
まず聴く:『C.O.D. – Cash On Delivery』。Scarfaceとの「Bumpin’ My Music」から入り、言葉を詰め込んだ「Payback」へ。
年表:作品と活動の節目
- 1993 — B.O.N.E. Enterpri$e — Faces of Death
- 1994 — Bone Thugs-n-Harmony — Creepin on Ah Come Up
- 1995 — Bone Thugs-n-Harmony — E. 1999 Eternal
- 1997 — Tha Crossroads — グラミー受賞
- 2001 — L-Burna aka Layzie Bone — Thug by Nature
- 2006 — Ray Cash — C.O.D. – Cash On Delivery
- 2007 — Chamillionaire feat. Krayzie Bone, Ridin’ — グラミー受賞
- 2009 — Kid Cudi — Man on the Moon: The End of Day
- 2012 — Machine Gun Kelly — Lace Up
- 2014 — King Chip — 44108 (Deluxe)
- 2019 — Doe Boy — Streetz Need Me 2
- 2023 — Machine Gun Kelly — Mainstream Sellout, Best Rock Album候補
各項目の出典・公式配信を参照。発表年と授賞年は分けて記載。
このガイドの範囲と出典
掲載順は名前のアルファベット順で、順位ではない。公式配信でのリリースに加え、全国・専門媒体による報道や公式の受賞記録を掲載の根拠とした。出生地、育った場所、地元という表現は区別し、出典が示す範囲で記している。Layzie Boneは、創設メンバーとしての歴史的役割を複数資料で確認する基準2による掲載。
掲載は地域の全アーティストを網羅するものではなく、受賞歴も選んだ節目を示す。グループとメンバー個人の受賞件数は合算しない。掲載枠は販売せず、広告や協賛によって選出・順序を変えない。訂正は根拠資料とともに受け付け、確認後に日英の本文と地域データへ反映する。匿名での連絡も可能。
調査の基礎は2026年9月12〜15日の資料。9月21日にEazy-Eとの対面の経緯、Ray Cashの客演クレジット、LayzieとKrayzieの個人作品、King ChipとDoe Boyの配信先、Rolling StoneのCudi・MGK評、BillboardのDoe Boy取材を再照合した。配信カタログの日付が初出時期と異なる場合があるため、本文では作品の年と版を区別している。
よくある質問
- Boneとメンバーを別に紹介する理由は?
- グループ作品に加え、Krayzieの客演・ソロ作品とLayzieの個人名義も聴けるため。人数や受賞件数を足し合わせるための区分ではない。
- 最初に聴くアルバムは?
- グループの響きからなら『E. 1999 Eternal』、Cudiなら『Man on the Moon: The End of Day』、Doe Boyなら『Streetz Need Me 2』へ。各項目に配信リンクがある。
- 掲載されていない人や場所もある?
- ある。本稿は8組を扱う選集で、街の全史や全アーティストの名簿ではない。追加情報は出典とともに訂正窓口へ送れる。