OZworld「鯉のぼり」 池に閉じ込められた鯉を歌う、アルバム最後の1分29秒
OZworldの「鯉のぼり」は1分29秒しかない。アルバム『おくまれお』の9曲目で、最後の曲。2026年9月9日配信。
音源はSpotifyにある。アルバム全体はApple Music。同じ日に出た「Mr.Freedom」のミュージックビデオがアルバムの入口になっている。
| 配信日 | 2026年9月9日 |
|---|---|
| 名義 | OZworld |
| 収録 | アルバム『おくまれお』9曲目(全9曲)/1分29秒 |
| 作詞 | OZworld |
| 権利表記 | ℗ 2026 I’M HAPPY |
池の中の鯉と、空を泳ぐ鯉のぼり
曲の真ん中にあるのは、子どもの頃に見上げた鯉のぼりの記憶だ。「子供の頃に 見上げてた鯉のぼり」と歌われる(歌詞より。作詞はOZworld)。その一行手前が「大人になってみた 自由とは何か」。空を泳ぐ布の鯉を下から眺めていた子どもが、大人になって自由の寸法を測りかねている。
鯉はもう一度、別の姿で出てくる。「閉じ込もった池の中 苦しみもがいた あの日」。空の鯉のぼりに対して、池に閉じ込められた本物の鯉である。そこで彼は自分を押し殺し、隠していた。弱い自分に気付いてほしかったのに、強がる必要があったと言う。本当は必要なかったのに、と続ける。
ヴァース後半では、弱さを隠していた自分から、そばにいた仲間へと視線が移る。水の中では気付けなかった、いつも泣いていた、と振り返り、今はそれを歌うと言う。旅はまだ途中で、雨は晴れる。そして曲は冒頭のサビに戻り、自由への問いと子どもの頃の鯉のぼりの記憶をもう一度差し出す。
2021年には「龍 〜RAW〜」を発表し、2025年の武道館公演には15mを超える龍が登場した。その線で読めば、この曲は龍になる前の話に聞こえる。まだ池にいた頃の話だ。
サビは「命が咲いて 命が枯れても」から始まり、日はまた登ると続く4行。同じ4行を冒頭と末尾に置く構成が、1分29秒の中に収まっている。
武道館のエンドロールに残る曲名
2025年10月7日、OZworldは初の武道館ワンマン『369 at 日本武道館』を行った。Spincoasterの公演レポートによれば、この日は「創造」「維持」「破壊」の3章構成で、15mを超える巨大な龍が立ち、30人を超える琉球エイサーの太鼓が上がり、総勢18名のゲストが出た。
セットリスト・データベースのLiveFansの投稿セットリストには、この公演の最後に「鯉のぼり」が記録され、新曲・エンドロールと注記されている。曲ページに残る演奏記録も、この日の1件だけだ。ユーザーが投稿したもので、公式に発表されたセットリストではない。
その記録から約11か月後、この曲はアルバムの9曲目として配信された。
先に出ていた4曲と、9月9日の5曲
『おくまれお』の9曲のうち4曲は、アルバムより前に単体で出ている。「おくまれお」が2月23日、「フツーって何?」が3月20日、「THE GHOST」が6月24日、「等身大」が8月25日。
残る5曲が9月9日に初めて出た。「Mr.Freedom」、「20mのヤシの木」、KUJAとDALUが乗る「YUME」、沖縄のシンガーソングライター・佐久間 龍星と組んだ「俺たちのままで」、そして「鯉のぼり」。
9曲を足すと29分48秒。「鯉のぼり」の次に短い「俺たちのままで」でも2分46秒ある。この曲だけが2分に満たない。この短さと最後の曲順から、アルバムの幕を下ろす役割が感じられる。
中止をはさんだ1年
2026年2月18日、I’M HAPPY株式会社スタッフ名義のXが『369 ZEPP TOUR 2026』全4公演の中止を告知した。「制作・運営体制上の諸事情」により、万全な状態で公演を届けられる体制を整えることが困難だと判断した、とある。5日後の2月23日に出たのがタイトル曲「おくまれお」で、TuneCore THE MAGAZINEは「キャンセル界隈」に続く皮剥きプロジェクト第二弾と伝えている。10月10日のTOYOTA ARENA TOKYO公演は、4月の告知時には「タイトル考え中」とされていた。9月のミュージックビデオの概要欄には、アルバムと同じ『おくまれお』という公演名が記されている。
沖縄から出た名前
タイトル曲の歌詞には「生まれは沖縄 一人っ子」という一行がある。武道館の舞台に琉球エイサーの太鼓を上げたのも、そのルーツを演出に表したものだった。
問いを抱えたまま
「鯉のぼり」では、仲間に気付いた後も、曲は冒頭の自由への問いに戻る。すべてを克服したという結末ではなく、問いを抱えたまま続いていく曲として読める。
よくある質問
「鯉のぼり」は先行シングルなのか。違う。先に単体で出たのは「おくまれお」「フツーって何?」「THE GHOST」「等身大」の4曲で、この曲の配信日はアルバムと同じ9月9日である。
何を歌った曲なのか。子どもの頃に見上げた鯉のぼりと、池に閉じ込められていた自分を重ねている。弱さを隠していた過去を振り返り、周囲の仲間に気付く曲。最後は冒頭のサビに戻り、自由への問いと子どもの頃の鯉のぼりの記憶をもう一度提示する。
アルバム名の『おくまれお』は何か。OZworldの本名「奥間玲央」である。Apple Musicの欧文表記は「OKUMA REO」になっている。
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出典
- UtaTen「鯉のぼり」歌詞ページ:「鯉のぼり」の歌詞引用と内容の要約はUtaTen掲載歌詞に基づく。歌詞の解釈は本誌による。同ページの表記は作詞OZworld、作曲FouxとOZworld(作曲はプロデュースとは別の役割で、本曲のプロデューサーは確認できていない)
- Apple「iTunes Lookup API」(collectionId 6805819276/artistId 1349591595、country=JP):アルバム『おくまれお』の配信日2026年9月9日、全9曲の曲順・名義・尺・各曲の配信日、℗ 2026 I’M HAPPY、先行4曲が単体シングルとして存在すること、佐久間 龍星「Those days -童神~天の子守唄~- (feat. OZworld)」(2026年7月1日)
- Spotify『おくまれお』(Spotify Web API、2026年9月17日取得、market=JP):全9曲のISRC・再生時間・客演表記。「鯉のぼり」は89,100ミリ秒、ISRC JPWP02600885。9月9日に初配信された5曲のISRCはJPWP02600881から885までの連番で、「鯉のぼり」が最後の885番
- Deezer『おくまれお』(API):UPC 1200214943394、「鯉のぼり」のISRCと尺の突き合わせ
- LiveFans『369 at 日本武道館』(2025年10月7日)および同「鯉のぼり」曲ページ:全31曲の最後に「鯉のぼり(Ending credits)」が新曲の注記つきで投稿されていること、演奏記録が同公演1件であること。ユーザー投稿型のデータベースで、公式発表のセットリストではない
- X:OZworld Staff(2026年2月18日):『369 ZEPP TOUR 2026』全4公演の中止、日程と会場、理由として記された文言、払い戻し、I’M HAPPY株式会社名義
- Spincoaster(2025年10月9日):武道館公演の3章構成、15mを超える巨大な龍、30人超の琉球エイサーの太鼓、総勢18名のゲスト、ZEPPツアーの発表
- Spincoaster(2026年8月26日):アルバム名が本名「奥間玲央」に由来すること、アルバムの配信日、8月11日のBATTLE SUMMIT III優勝、10月10日のTOYOTA ARENA TOKYO公演
- Spincoaster(2026年4月6日):アリーナ公演名が告知時点で「タイトル考え中」だったこと、武道館当日の限定発表だったこと、「キャンセル界隈」の存在
- TuneCore THE MAGAZINE(2026年2月24日):「おくまれお」が「キャンセル界隈」に続く皮剥きプロジェクト第二弾であること、ビートはFOUX
- YouTube:OZworld公式「Mr.Freedom」(2026年9月9日公開):概要欄のアルバム情報と、10月10日TOYOTA ARENA TOKYO公演の名称『おくまれお』
- AWA「おくまれお」:タイトル曲の掲載歌詞
- Apple Music「龍 〜RAW〜 – Single」(iTunes Lookup API、2026年9月17日取得):「龍 〜RAW〜」が2021年8月27日配信のシングルであること
配信データはApple、Spotify、Deezerの3社で照合し、曲順・名義・尺は一致した。ISRCはSpotifyとDeezerで一致。「等身大」は単体シングルの登録が8月25日、アルバム内トラックの登録が同26日で、本文はシングル側の日付を採った。日本語媒体による「鯉のぼり」の個別紹介は、2026年9月17日に主要12媒体を対象とした検索とサイト内検索を行った範囲では見つからなかった。網羅的な調査ではない。音源は聴いていない。武道館で流れた音源と今回配信された音源が同じ録音かどうか、この曲のプロデューサー(アルバムの他の曲はミュージックビデオの概要欄にFouxの名前があるが、本曲の表記は見つかっていない)、OZworld本人がこの曲について語った発言は、いずれも確認できていない。最終確認日は2026年9月17日。誤りがあった場合は、確認のうえ本文に訂正を明記する。
更新ログ
- 2026-09-17:初稿
- 2026-09-17:「龍 〜RAW〜」の年代と武道館公演の記述を訂正し、歌詞の結末の説明を改めた
- 2026-09-17:収録曲の尺の比較を訂正