【HIPHOPCs独占インタビュー】EBISU BATICAスタッフが語る、注目アーティストとその魅力

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東京・恵比寿のライブハウス/クラブ、BATICAが15周年を迎えた。今年4月には『EBISU BATICA 15th ANNIVERSARY』を5日間にわたって開催。数々のMV撮影地としても知られるこの場所を、「ヒップホップの登竜門」の一語で括ってしまうと、肝心なものを見落とす。

BATICAの強みは、カテゴリの内側にとどまらないことにある。クラブとライブハウス、ヒップホップとそれ以外、名前のあるアーティストとまだ名前のない若手——本来は別々に語られるものが、ひとつのフロアで同じ夜を共有する。その境界の溶け方こそが、次のシーンが生まれる場所をつくってきた。

シーンが動く瞬間は、たいてい名前がつく前に訪れる。それを最初に目撃するのは、批評でも再生数でもなく、現場だ。

今回、その現場に立ち続ける2人——店長の一瀬と社員の桐部に話を聞いた。2025年の夏から秋にかけて、何が動いたのか。クラブとライブハウスの文化は、どこで交わったのか。

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シーンを支える2人の仕事内容

佐藤杜美: 音楽業界の裏方って一般的なイメージがつきにくいと思います。最近では裏方やイベント運営をやりたい、という子が増えてきているようです。業務について、お2人はどのようなお仕事をされているのでしょうか?

一瀬: 色々とあるんですが、飲食店の部分で言うと、メンテナンス、清掃、場内を衛生的にも見栄え的にも綺麗に保つという部分。そこに音楽が乗っかってくるので、PAさんに協力してもらって機材のメンテナンスと修理。簡単にいうといつ来てもお客様が安心して楽しんでもらえる空間づくりです。あとはスタッフの管理だったりアルバイトのシフト制作からスタッフ育成もしていますね。

そこに加えて、みんなが面白いと思ってくれる企画、ブッキングだったり、イベント問い合わせ対応だったり、BATICAをレンタルする方がいたら打ち合わせをしたりなど全部やっています。

桐部: 私もそんなに変わらないと思うんですけど、一瀬が店長で私は社員で。一瀬がメインでブッキングとかイベント周りとか、店舗管理とかをやっているのをサポートをしています。あとはバーの周り、お酒類の管理とかは自分が担当させてもらっていて。それに加えて自主企画で呼びたい方とか気になっている方のイベント企画など合間合間に打たせていただいているという感じです。

佐藤杜美: お2人はBATICAで働きはじめて何年になるんですか?

一瀬: 2023年の8月からなので、3年弱くらいです。

桐部: 2024年8月まんま一年、一瀬のあとですね。

佐藤杜美: なるほど。まだそんなに月日は経っていないのですが、全て対応されている感じなんですね。BATICAのスタッフとして欠かせない存在ですね。

2人の中で印象的だったイベント・パーティー

2025年9月20日にBATICAで開催されたSieroとjellyyのリリースパーティー「DON'T PLAY WITH US」告知フライヤー

佐藤杜美: BATICAで特に印象に残っているイベントやパーティーがあれば教えてください。

一瀬: 2025年9月20日のSieroくんとjellyyくんのリリースパーティー。楽しい、面白い企画は毎月毎月あるんですけど、このイベントはカルチャーというかシーンの動きが変わっていきそうな瞬間というか。2025年の夏から秋、すごい動いた気がして。その一つになったのがこのイベントなんじゃないかと思っていて。

150人くらい来たんですけど、その全員がSieroくんとjellyyくんのライブを見たいって2階に上がってきて、本当に危ない!って感じの人の入りで。ちゃんと見たい方を尊重して、多くの人に見てもらいたいなって気持ちであげたんですけど、結構パンパンになっちゃって。Sieroくんがポロっと「皆ステージ一旦あがっちゃいなよ」と言った瞬間にバーってお客さんが来て。

ブースと機材類、水分とかが規制がかからないようにライブを続けてもらったっていう感じなんですけど、Sieroくんとjellyyくん、2人のパワーでこれだけの人を集められるのは、結構なムーブメントが始まっているなと。

半年前、Siero君のリリースパーティーを平日にやって100人埋まらなかったくらいだったので、追い上げがすごいなと思いつつ、付随している若い子のカルチャーもあがってきているなと思います。she’s roughさんのチャンネルから出た、「UDG FRESHMAN CYPHER 2026 – JPN」などもあって、若者が輝く場が増えているなと思いました。

2026年5月28日にBATICAで開催されたイベント『CASK』告知フライヤー

桐部: 今年の5月28日にあった『CASK』というイベント。自分の中でくらうものがあったというか。感想をまとめると、自分がBATICAに入ってやりたかったクラブとライブハウスのいいとこどりみたいなイベントだったなと。

ライブハウスのお客さんがBATICAにいらっしゃることってバンドのイベントだったら全然あるんですけど、クラブカルチャーに親しみのあるアーティストさんのイベントで、ライブハウスによく通っている方が来るってあんまりなくて。クラブカルチャーとライブハウスの文化が両方、バランスよくなっていた1日だったなと思います。ブッキングとかいろいろやっているのを見た上でめちゃくちゃいいイベントだったと改めて思いますね。

必見!今後のイベントに注目

2026年6月18日にBATICAで開催される一瀬の自主企画『nullpo』告知フライヤー(safmusic、ksr:3、There is a bus stop across the street, ほか)

佐藤杜美: 今後の開催予定のイベントの中で、特におすすめのものがあれば教えてください。

一瀬: 僕は6月18日の『nullpo』という企画。自主企画で面白くなるだろうなと思っていて、safmusicさんのようなシーンを牽引しているようなアーティストをお呼びした上で、ksr:3さん、There is a bus stop across the street,さんなども呼んで。

There is a bus stop across the street,さんは、4月10日にシングルとMVを発表したんですけど、新しい世代のアンセム感というか、こういうニュアンスのアーティストが増えていくのもあるし、皆がハマっていくんだろうなっていうのを感じていて。

ksr:3さん、safmusicさんなど、そのニュアンスにあったアーティストを何人か呼んで、その音楽に通ずるようなDJも呼んで。エレクトロポップミュージック、シンガーだったりそういうものをニュアンスで組んでみたという一日になっています。1人でも好きな人がいたら、絶対に楽しめるので来て欲しいなと思います!

2026年6月19日にBATICAで開催される桐部の自主企画『洄游』告知フライヤー(Lilhana、P'ortable room™ ほか)

桐部: 『nullpo』の翌日の19日に自主企画をやらせていただくんですけど、『洄游』というイベントで。このイベントは3回目の開催で。コンセプトとしていろいろな場所で活動している方を、1個自分の中で共通するものを感じ取れる人たちを、いろんな場所からお呼びしているという感じで。Lilhanaさんという方が名古屋の女性のアーティストなんですけど、この間アルバムをリリースされて。

埋もれているのがもったいないなと思って。P’ortable room™︎ くんとかは、BATICAで最近お世話になっている子で、4月にリリースパーティーをしてくれて、新しいシーンを築けそうな子達をお呼びしたという感じです。

本当にイベント名通りのジャンルとコミュニティを上手く洄游したイベントになっているので、一瀬が言っていた通り1人好きな人がいたらどこか通ずるものがあるから来てもらえたら、絶対新しい発見もあると思うし、それがあれば嬉しいなって思って組んでいるイベントなので興味があれば来て欲しいです!

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2人が今注目しているアーティスト

佐藤杜美: 現在注目しているラッパーやアーティストがいれば教えてください。たくさんいると思うんですけど、その中でも1人挙げて教えてください!

一瀬: 1人目がTim Pepperoniさんを推したくて。キャリアも割と長く中堅に差し掛かっているのですが、過小評価すぎるなと思っていて。最近リリースやfeatなども増えており、彼の本気が見えてきているなと思って、推せる機会があれば推していきたいと思っています(笑)願わくば大きいステージで見たいラッパーの1人です。2人目はサウンドが違うんですけど、tiea creator。

ジャンルを変えた人をプッシュしたくて。エレクトロっぽいサウンドだったり、オルタナティブサウンドっぽいフローを使う子で。ガッツリヒップホップ、トラップミュージックというところじゃない所で戦っている子で、『Here(where)』っていうEPがあるんですけど、めちゃくちゃ良くて。もともとサンクラでも聴いていたんですけど、配信したEPがこれがはじめてで。

歌詞とかから出る彼の優しさっていう部分だったり、内省的な部分をサウンドだったり作る音が天才的なので、まだまだ楽曲もライブも粗いところもあるなと思うですけど、本気で磨いた時にすごいことになっているのではないかと思っています。

佐藤杜美: BATICAには出演されているんでしょうか?

一瀬: どっちも出ています。

桐部: 私はlymphくんが一番今年もっと伸びるんじゃないかって思っていて。3月ぐらいに『Yes no Yes』というアルバムをリリースしているんですけど、全曲良くて。日常の切り取りをlymphくんなりの言葉で選んだ曲だと感じていて。その子の曲がいいのはもちろんなんですけど、ライブが自由で。

BATICAのライブだったら、ステージに立ってたのに急にフロアに降りてきて、縦横無尽に後ろのソファに座って歌ってたり。ステージ上のところに足をおろしてゆっくり歌う時もあるし。昔ナイトイベントの客演でlymphくんがいらっしゃった時に、2階のバーカウンターに上がって座って歌っていたんですね。本当だったらすぐに注意しなければならないことなのに、その様子が本当にかっこよすぎて(笑)。

一瀬と目を合わせて苦い顔をしたんですけど、それぐらいアーティスト性、カリスマ性があるライブをしてくれるので、音源はもちろんライブ込みで注目しているアーティストです。

ヘッズや関係者に伝えたいこと

佐藤杜美: BATICAとして、アピールポイントや伝えておきたいことなど、あれば教えてください。他に何か言っておきたいことなどもあればぜひなんでも(笑)

一瀬: BATICAでパーティーをしたい、面白いことをしたいという方がいれば、挑戦はしやすいので気軽に相談していただければと。ライブしたいって子がいれば、気軽に連絡したり、BATICAに遊びに来たりして、相談してもらうのが一番です。気持ちもわかるし話も早いと思うので、何かしたいと思っている方がいればぜひ相談してください。面白いパーティーを続けていくので、ぜひ来てみてください!怖い場所ではないので、気軽に来ていただければと思います。

桐部: BATICAは自由な場所というのを伝えたいですね。ヒップホップの登竜門と言われているのは先代の方達が歴史を作ってきてくれている中で、出来上がったものなので大事なんですけど、だからといってお客さんもアーティストも固い場所だと思わないで欲しくて。ラフにふらっと遊びに来ていい場所ですし、蓋を開いてみたらヒップホップ以外のこともやっていて楽しいことを続けている場所なので、楽しみな気持ちで遊びに来てもらいたいです。

クラブ・ヒップホップカルチャーを支えていくBATICA

2人の話に通底していたのは、BATICAが「何かの専門店」ではないという感覚だった。

一瀬がSieroとjellyyのリリースパーティーにうねりのはじまりを見たことも、桐部が『CASK』にクラブとライブハウスの境界が消えた一日を見たことも、根は同じだ。別々のものが同じ場所で交わるとき、そこに次の動きが立ち上がる。桐部が手がける『洄游』というイベント名は、それをそのまま言い当てている——別の場所、別のジャンル、別のコミュニティを行き来し、ひとつの夜に集める。

「登竜門」という看板は、その結果として後からついてきたものにすぎない。だからこそ2人は、その看板に客やアーティストを身構えさせたくないと言う。BATICAは固い場所ではなく、自由な場所なのだ、と。

15年とは、ひとつのスタイルを守り抜いた時間ではない。境界を越え続けた時間だ。そしてその越境こそが、まだ名前のないシーンが最初に姿を現す場所を、恵比寿につくり続けている。

BATICA公式サイト

公式サイト

https://batica.jp

Instagram

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桐部 幸紀 / KIRIBE SAKI

Mail:[email protected]

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一瀬 公佑 / ICHINOSE KOSUKE

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