JIRO、ASIANとしてAsiaから世界へ─新曲「No Debt」と“言葉の壁がない”という武器【独占インタビュー】
JIROが待望のニューシングル『No Debt』をリリースする。
既存の価値観やしがらみから解き放たれ、己の純度を貫く。新進気鋭のアーティスト「JIRO」が、ニューシングル『No Debt』を7月15日よりリリースする。
本作の制作陣には、プロデューサーに新鋭のKID LUKAとNGAを招聘。さらにミックスエンジニアには、グラミー賞受賞アルバム『Heaux Tales』(Jazmine Sullivan)や、Lil Uzi Vertの世界的ヒット曲『Just Wanna Rock』を手掛け、ClipseやPharrell Williamsとも深く関わるBen Thomasを起用した。
そしてマスタリングには、USヒップホップの最前線で極めて高い信頼を誇るRyan Schwabeを迎え、音の細部に至るまで世界基準の解像度を実現。この盤石の布陣が、JIROの攻撃的なリリックとフロウを、極限の音圧と質感で提示している。
タイトルが示す「No Debt(借りはない)」という言葉は、誰に対しても負債を作らず、自分自身の足で未来を切り拓こうとする強い覚悟を全編に刻み込んでいる。
この楽曲の世界観を決定づけるミュージックビデオは、眠らない東京の街が抱える湿り気や、刹那的な孤独美を色濃く反映したものだ。独自のロケーションで切り取られた都市の表情は、誰にも縛られず己の道を歩むという本作の核心的なメッセージを投影したメタファーである。
疾走感と停滞、あるいは高揚と孤独といった相反する要素が交錯する映像構成は、観る者の視覚に深い残像を残す。
その映像美を支えるのは、画面全体を支配する静かな揺らぎだ。前半の張り詰めた緊張感から、後半の爆発的な解放へ。
スタイルと空間のスイッチが、Ben ThomasのミックスとRyan Schwabeのマスタリングによって研ぎ澄まされたサウンドとシンクロし、視覚的なエネルギーを静かに、しかし確実に増幅させていく。黒と白、静と動。
混ざり合うことのない二極性が同居する映像世界は、JIROという存在が持つ多層的な魅力を不敵に物語っている。何者にも縛られず、己の表現を研ぎ澄まし続けるJIRO。世界水準のプロダクションと、研ぎ澄まされた芸術性が完璧な調和を見せる本作『No Debt』は、聴く者すべてに「自分自身の道」を再定義させる一撃となるだろう。
7月15日にシングルとして配信される同曲は、全編英語。完成までに約2年を要した1曲だ。
だがこのインタビューで最も重要なのは、リリースそのものではない。JIROは「今はUSを狙っているというより、ASIANとしてAsiaを狙っています」と言い、その理由をこう続ける──「言葉の壁がないっていう。それが自分の武器だから」。
全編英語でラップし、韓国のラッパーとEPを制作し、台湾で初ライブを行う予定で、タイやフィリピンのシーンに目を向ける。USを最終目標に置かず、アジアを回路そのものとして使う。これは「日本語ラップの海外進出」とも「US直行」とも異なるJIROが持つASIANとしてのルートだ。
幼少期から音楽に囲まれ、ヨーロッパとアメリカで育ち、ヒップホップを身体ごと浴び、台湾への愛を込めた「TAIPEI LIT」で自身を提示したJIRO。Samが、そのルーツ、ライブ観、アジアへの視線、そして「No Debt」について話を聞いた。
「渋谷から来たJIROです。以上」
Sam:それでは始めます。よろしくお願いします。では、軽い自己紹介お願いします。
JIRO:自己紹介? 渋谷から来たJIROです。以上。
Björk、Radiohead、Lauryn Hill──母の車から始まった
Sam:では、音楽との出会いから聞いていきたいんですけど、ヒップホップというより、どういうふうに音楽と出会いましたか?
JIRO:家族全員、音楽をやってたっていうのもあるし、一番鮮明に覚えてるのは小学校の時かな。お母さんが車で送り迎えしてくれてた時に、小学生の自分にいきなりBjörkとかRadioheadとか、Lauryn Hill、The Fugeesとかを聴かせてきて。
その当時の自分は「なんだこれ」って思いながら聴いてたんだよね。だから別にヒップホップとかじゃなくて、オルタナティブ系というか、ちょっとアート寄りの音楽から入ってた感じですね。お母さんが歌手をやってた時期もあって。
小さい頃は意味があんまり分かんなかったけど、今になって同じ曲を聴くと、めちゃくちゃ響くっていうか。別の意味で響く。だから、すごいありがたいなって今は思うけど。
Sam:じゃあ、ヒップホップからというより、先に音楽そのものに出会った感じなんだ。
JIRO:そうっすね。ヒップホップと出会って音楽、っていうよりかは、本当にジャンル関係なく音楽と出会ってからヒップホップ、っていう感覚っすよね。どっちかっていうと。あと小さい頃からライブとか、めちゃくちゃ連れて行ってもらってたので。
Sam:何か特に印象に残ってるアーティストいますか? ライブ観に行って。
JIRO:まあ、うちの母さんなんだけど(笑)。あとはUA。だから、そういう個性的な人たちの音楽をずっと見せられてた、みたいな感じですね。
Black Eyed Peas、Lupe Fiasco、JAY-Z、そしてバスケ
Sam:それで、ヒップホップとはどんな出会い方してますか?
JIRO:ヒップホップの入りは、これがヒップホップに入るか分かんないけど、Black Eyed Peasが最初です。あとはLupe FiascoとJAY-Zを中学の時にずっと聴いてて。「これがヒップホップだ」みたいな感じですね。
Lupe Fiascoの『Lasers』とか、何万回と繰り返して聴いてた。バスケやってたのもあって、ヒップホップ聴かないと気持ちが上がんないから。
Sam:でもバスケって、ヒップホップと繋がってる感じあるよね。
JIRO:そう。自分もバスケずっとやってたから、ヒップホップとバスケって文化が繋がってるし、そういう入りもあったかなって。小さい時にNBAのハイライト映像とか見てると、BGMが全部ヒップホップだから。そういうところからもありましたね。
Sam:その時、日本にいたんだよね? 中学の時は。
JIRO:いや、中学ももうアメリカ。その前はヨーロッパに住んでたから。
Sam:じゃあ逆に、日本人アーティストを聴く機会はあんまりなかったんだ。
JIRO:あ、でもね、お母さんが唯一聴かせてたのがDef TechとRIP SLYME。ある意味、RIP SLYMEがヒップホップのきっかけって言ってもいいぐらい。
Rolling Loud Miami、そしてYoung Thugの衝撃
Sam:高校がアメリカだったから、いきなりヒップホップの国に行ったわけだよね。
JIRO:初めてアメリカで観たヒップホップのライブが、一番最初のRolling Loud Miamiで。Young ThugとかLil Uzi VertとかKodak Blackが出てきた年ぐらい。Young Thugはもう結構トップにいたけど、まだ初期の頃で。
Sam:アメリカでのヒップホップのカルチャーショックみたいなのはありましたか?
JIRO:バスケをずっと一本でやってたから、いきなり高校の友達に「とりあえずこれ聴け」って言われて。その1発目がKodak Blackだった。あとはXXXTentacionとか。
でも一番その中で衝撃を受けたのがYoung Thugで。最初の方のアルバムを聴いた時、「なんだこの音?」みたいな感じで聴いてた。分かんないんだけど、めちゃくちゃハマっちゃう。自分の中では、Young Thugがこの一世代の音楽を結構変えた人だと思ってるから。
あとはもう、仲間が聴いてる音楽をとりあえず全部聴くようにしてた。周りにも黒人の友達が多かったから、その子たちが聴いてるものを全部聴いて。
Sam:高校から大学まで6年ぐらいアメリカにいた。その経験が、JIROっていうアーティストを作るのにかなりインパクトあった?
JIRO:いや、かなり大きいし、それを経験してなかったら、ヒップホップにさらに興味を持ってなかったと思います。ずっと好きではあったんですけどね。
Sam:アメリカから帰ってきたのは何歳の時?
JIRO:2018年に帰ってきたかな。その時19歳。
BSTA、代々木公園、そしてオープンスタジオ
Sam:音楽始めたのは?
JIRO:結構最近かも。2023年ぐらいに「ちょっとやってみよう」みたいな。3年前ぐらいですね。
Sam:日本で音楽始めるきっかけになったことはありますか?
JIRO:BSTAっていう、渋谷で本当に一緒に育ってきた仲間のラップグループがあって。BLAISEとかS TILL I DIEとかが入ってて。一時期BSTAも結構バズった時があったから、その頃からクルーとしては入ってました。
いつも代々木公園でバスケやる仲間だから、「1回曲やってみたら?」みたいな。よくあるパターン。スタジオも一緒にいたから、「やってみればいいじゃん」って。やってみたら楽しくなっちゃって。最初ひどかったけど、そっからですね。
Sam:初めてレコーディングした時の思い出とかある?
JIRO:言葉が出ないぐらい緊張しました。人の前で歌わないといけないっていう。
しかも初めて行ったスタジオがオープンスタジオだったから、ブースに入るとかじゃなくて、もう目の前にみんな座ってて、マイクがあって。「これ絶対無理だわ」って思いました。
でも、その曲ができたあとの気持ちよさみたいなのは、やっぱありますね。
「TAIPEI LIT」は台湾へのラブレターだった
Sam:初めて出した曲が「TAIPEI LIT」? 「TAIPEI LIT」にはどんなストーリーがありますか?
JIRO:「TAIPEI LIT」は、出るまで結構間が空きました。出るまではずっとスキーマスクをかぶってライブしてて。誰にも言わずにやってたし、知ってる友達はみんな知ってるけど、隠れてやってる感じ。
その中で、初めて自分で書いて作った曲が「TAIPEI LIT」です。
コロナ中に台湾に4ヶ月住んでたことがあって。その時、隔離されてて、部屋の中にマイクとパソコンを持ってたから、それで録ってみたのが本当の最初。
Sam:じゃあ、台湾へのオマージュというか、ラブレターみたいな曲なんだ。
JIRO:そうそうそう。マジで、もうまさにそうです。台湾での時間がすっごいよくて、台湾のことが大好きになった。自分の紹介曲みたいなもんだから、本当に自分を紹介してる感じですね。最初はタイトルも違ったんですけど。
Sam:リミックスも出てるっけ?
JIRO:韓国のBLASÉが参加してくれました。めちゃくちゃ仲のいい韓国のラッパーの友達で、遊んでるうちに「じゃあリミックス全然やるよ」って言ってくれて。だから「頼んだ」っていうより、仲のいい友達から自然と生まれたものです。
「日常では出せないものを、ぶちまけた」──JIROという別人格
Sam:JIROって調べると、 「オルタナティブ・エゴ」っていうコンセプトがあると書いてあるんだ
けど、それはどういう意味なんだろう?
JIRO:知ってる人は知ってると思うんですけど、二面性を持ちたいなっていうのがあって。普段の方では出せないメッセージだったり、気持ちをぶちまけたのがJIRO、みたいな感じです。
不満を言いたいわけじゃなくて、自分が音楽をやってる時に感じるエネルギーみたいなものを、
JIROを通して発散してるっていうのがあって。そこが一番の理由かな。
Sam:じゃあ、自分の中でJIROと普段は全くの別物?
JIRO:全くの別物だし、JIROになった時、特にライブとか音楽をやってる時は、全然違う人間だなって感じる。また別の意味で自由な感じ。
不満を言いたいわけじゃなくて、自分が音楽をやってる時に感じるエネルギーみたいなものを、JIROを通して発散してるっていうのがあって。そこが一番の理由かな。
ライブの原点とは? 祖父、パンク、そして渋谷の仲間
Sam:ライブ見てると激しいもんね。俺のイメージは、ライブパフォーマンスに関してはパンクに近いかな。動きも激しいし、体のフォルムもあるから、パフォーマンスした時にすごい映えるよね。
JIRO:パンクな部分は、おじいちゃんのライブを小さい時にずっと見てたからかもしれないです。パンク・ロックも歌舞伎みたいに、変な人がめちゃくちゃ騒いでるようなステージで。
ライブパフォーマンスで影響を受けてるのは、日本で言うと渋谷の仲間のライブ。それこそYDIZZY、あとKiLLaっていうクルーがあるんですけど、KiLLaの影響は結構大きかったです。
あの激しさ。KiLLaも結構パンクな部分があったから、ヒップホップっていうより、ちょっとパンクっぽい感じもあって。そういうのにすっごい影響されてた。
新曲「No Debt」2年温めた1曲
Sam:じゃあ今回、本筋となる話が、7月13日にミュージックビデオ、7月15日にシングルリリース。曲名はズバリ?
JIRO:「No Debt」元々作った時は、結構自然に、今まで以上に初めてフリースタイルぐらいの感覚で歌詞を書いた曲なんですよね。
ビートを聴きながら。今までずっとノートに一行一行書きながら作ってたけど、初めてビートに乗りながら作れた曲だなっていう実感があって。
Sam:USの人たちの作り方に近い感じのやり方っていうね。
JIRO:そうそう。だからずっと気にはなってたんだけど、後ろに収めてて。作ったのは結構前かな。1、2年前とか。
Sam:それ、キープしてた理由とかある?
JIRO:ビートのことがいろいろあったり、結果的に音を変えたり。ちょっとハードな感じにしたかったんです。
スピーカーが「うるさっ!」となるぐらいハードにしたかった
JIRO
スピーカーが「うるさっ!」ってなるぐらいハードにしたかったから。歌詞もそうだし、ビートが弱いと音的に合わない。だから自分が完璧に気に入る形になるまで、結果的に2年かかっちゃったっていう感じ。STEELOと話して、「このタイミングでいいんじゃない」ってなって。
Sam:じゃあ、もう2年間温めてたんだね。曲の中身は?
JIRO:今年は自分の人生でも色々変わる年だから。これまで経験してきたこの4、5年、音楽をやる前から見てきたものを、ちょっとぶちまけたって感じ。
MVは全部、夜に撮った
Sam:MVのコンセプトはどんな感じ?
JIRO:ビートも曲もそうなんですけど、コンセプト的にちょっとダークな感じにしようって。
「TAIPEI LIT」はどちらかというとファッションとアートって感じでやってたんだけど、今回は逆に、初めてヒップホップっぽい感じのビデオにしようよって。
ちょっとUSっぽいヒップホップビデオにして、かつ、その中にできるだけダークさを出そうって。「TAIPEI LIT」とは真逆。全部夜に撮りました。
Sam:MV撮影してる時に、何か印象深かったことはある?
JIRO:身体の動きで、その曲の中のメッセージを伝えようかなっていうのを考えながら撮ってました。ビデオの中でも結構、酔っ払ってる人風に動いたり、ちょっとイカれてる感じを出しながら。
そこはパンキッシュなところから取った部分もあるし、ロックなところもあるし、結構レイジ系からも取ってる。そういう要素を大事にしながらMVは撮りました。
Sam:そう聞くと、MVの撮影で自分の動きをそこまで気にしてる人、あんまり見たことない気がする。
JIRO:やっぱりビデオってビジュアルだから、そういうところからメッセージみたいなものが滲み出ればいいかな、みたいなことも思った。
「英語のほうが、自分の重さを伝えやすい」
Sam:じゃあぶっちゃけ、「No Debt」自信ありますか?
JIRO:ハマる人はハマると思う。英語っていうのもあるから。
Sam:全部英語なの?
JIRO:全部英語です。やっぱり英語でラップしてる時の方が楽なんですよね。日本語は本当に難しい。歌詞の重さとかは英語の方が自分でも伝えやすい。日本語で同じ歌詞を言うと、自分に合わないなってなっちゃう。弱いなってなっちゃうんです。
Sam:俺が現役でやってた頃は、あんまり英語を使わない流れがあったけど、今の人は違うよね。
でもJIROの良さは、もう全部英語でいけるところ。
JIRO:そこを強みに変えようかなって思って、英語重視でやってます。
Sam:英語重視でやってた方が、この先、世界狙えるよね。
JIRO:正直、今はUSを狙ってるっていうより、Asianとしてアジアから狙ってて。
日本の人にも聴いてもらいたいけど、ちょっと逆輸入パターンみたいな。それこそ韓国の友達とやったり、タイとかフィリピンとか。
本当にアジアって、みんな知らないだけで結構いいヒップホップがあるんですよ。日本だけじゃなくて。
Sam:逆に、「この国のヒップホップやばかった」ってある?
JIRO:タイのラップを聴いた時ですね。「こんなにトラップやってんの?」って。しかも、もう何万人とライブに入るみたいな。
規模感で言ったら、ワンチャン日本よりデカい。USのラッパーぐらいフォロワーもいるし。本当にやばいです。
Sam:じゃあ逆に、ビジネス的にそこを狙っていくのもぶっちゃけアリだよね。
JIRO:そういう別の国のアーティストとコラボしていくのは、イケるかなって。日本でもたくさん友達いるけど、狙ってるところがアジアなので。
仲間と作る音楽──BSTA、Young Coco、Kenayeboi、T.i.G skysea
JIRO:日本ですごく感謝してるのは、音楽を始められるってなった時に、すんごい手伝ってくれた人たちがいて。ビデオのディレクションとかも一緒に話してくれたし、BSTAの仲間もスタジオに最初からいたし。
その中でもYoung CocoとかKenayeboiとか、めっちゃ大阪のスタジオで一緒にセッションしてくれて。まだ本当にデビューの時で。
3人で作った曲もあるんだけど、それをこの先出そうか、みたいな話も最近してる。しかもこれ、音楽を本格的に始める前からの話。
Sam:Young CocoとかKenayeboiの名前って、いろんなアーティストから出てくるんだよね。
JIRO:マジであの二人にはめっちゃお世話になってます。あとは和歌山のT.i.G skysea君も、「曲やろうよ」って言ってくれたり。自分も和歌山までわざわざ行って、一曲だけライブさせてもらいました。
ヒップホップは、仲のいい奴らとやるものだと思っているから
JIRO
ヒップホップって、仲のいい奴らとやるものだと思ってるから。そうやってサポートしてくれてる人たちとやるのが、やっぱり一番気持ちいいですね。
STEELO─「頼む」のではなく、仲間になる
Sam:Young ThugとかGunnaのチームとも一緒にやったりしてるんでしょ?
JIRO:「TAIPEI LIT」のミックスを、Young Thugのミキシングエンジニアが全部やってくれてるんです。
Sam:それは、どういう経緯でそうなるの?
JIRO:STEELOが知ってるからですね。
Sam:STEELO君は、JIROの中でどういう立ち位置、役割ですか。
JIRO:音楽のA&R、PRODUCE、JIROサイドのマネージまで全部やってくれてます。STEELOが繋いでくれてるんですよ。彼がいなかったら海外のエンジニアとも繋がってないし、ビートメーカーも紹介してもらえてない。本当に最初の頃からずっと応援してくれてたので、すごく感謝してます。
Sam:日本のチームと海外のエンジニアチームで、何か違いとかあるのかなと思って。
JIRO:ぶっちゃけ、根本的には技術面ですね。あとは日本にない設備とか。今は本当にSTEELOと1対1で任せてるけど。
これから出るシングルのミキシングは、Lil Uzi VertのミキシングをやってるBen Thomasが担当してくれて。そこもSTEELOがたまたま知ってて。
Sam:ぶっちゃけ、作品二作目のレベルじゃないよね。正直。
JIRO:そう。でもそれも「紹介してもらった」で終わりじゃなくて、一緒に遊んで話す中で関係値を築いた上で、「一緒にプロジェクトをやろう」みたいな形になってる。
アメリカで見たのは、日本は結構「頼む」文化もあるけど、アメリカだと仲間になった方が自然というか。仲のいい人たちがコラボしてるイメージ。
Sam:ビジネス的なフィーチャリングよりも、関係値ができてるから一緒に仕事しよう、みたいなパターンが多いんだ。
JIRO:そうそう。ある例で言うと、Nardo Wickっていうラッパーがいきなりヒットで出てきたじゃないですか。インタビューを見た時、実はYoung Thugとか、アトランタ、メンフィスのラッパーたちも、全員有名になる前から、小さい頃から知ってる仲のいい友達だったらしくて。
Nardo Wick本人も「サプライズじゃなかった」って言ってて。ただ仲がいいからこうなった、っていうのがめっちゃかっこいい。すごいヒップホップだなって思った。仲間意識というか、一緒に上がろう、みたいな。
パリでヘネシーを「よこせ」と言ったらSTEELOの昔からの友達だった
JIRO:アメリカに住んでると、バスケとかアメフトやってる奴らは、ラッパーじゃなくても自然とみんなフリースタイルラップをするんだよ。
特に黒人の子たちは音楽がすべてだから、食堂とかでも全然フリースタイルをやる。そういうのを身近で見てたから、めっちゃかっこいいなと思って。
Sam:話を聞いてると、JIROのヒップホップって日本の要素もあるけど、ベースは海外の経験に基づいてる感じがあるよね。
JIRO:本当にそうですね。それこそA$AP MobのA$AP TyYと仲良くなったきっかけも、パリで飲んでた時なんです。
隣にいて、全然面識ないんだけど、彼がヘネシーのボトルを持ってたから「ちょっとよこせ」って言って。一緒に飲んだら、「お前やべえな」って言われて(笑)。
「Where are you from?」って聞かれたから、「Tokyo」って答えたら「あー!」って。
そしたら「I know STEELO」って言われて。「マジで?」って。
STEELOがE119に住んでいて、TyYの住んでいるプロジェクトがE113にあって、近所に住んでいた昔からの友達だったみたいで。
ニューヨークに行った時も、友達を全部紹介してくれた。全部連れて行ってくれて。
Sam:自分から求めて作りに行った関係っていうより、もっと自然にできた関係なんだ。
JIRO:なんとなく言えるのは、小さい頃はおじいちゃんの影響がやっぱり大きいから。
だからヒップホップって、どちらかというと悪めの人もいるけど、そういう人たちの中にいても、すごく免疫があったみたいな感じ。
落ち着くじゃないけど、全然。逆に仲良くなれるから。自分は別に、なにも悪いことはしないんだけど。そういうところもヒップホップかなって。
7月31日、台湾。そしてEPへ
Sam:じゃあ、7月13日にミュージックビデオ、15日に配信。そして7月31日に、初めて台湾でライブするんだ。
JIRO:JIROとしてのリリースライブです。やっと台湾で「TAIPEI LIT」ができるから、めちゃくちゃ楽しみにしてます。
Sam:もっとまとまった作品とか、出す予定はありますか?
JIRO:今後5、6曲ぐらいのEPを出そうって、ちょうど話してて。今のシングルからの波に乗って、小さいEPを出せればっていう。ただ、まだ曲そのものは作ってなくて。今年中に曲を作って、来年出す形にしようかな、みたいなイメージです。
あとは韓国のBLASÉとのEPも、実はもう作ってたの。ただ、彼のタイミングもあるから、今はホールドになってるんだけど。
「誰よりもライブがうまいと思っている」
Sam:今後、JIROとして、アーティストとして何かやっていきたいことありますか?
JIRO:ライブツアーをやりたいですね。とりあえず日本でどれだけできるのかやってみたいし、誰かと一緒に回る形でもいいんですけど。1個だけ本当に自信あるのは、誰よりもライブがうまいと思ってることです。
Sam:ライブ、うまいよね。ライブやってる時に、そのエネルギーが伝わるっていうのはすごい思う。
JIRO:JAKE君(Jin Dogg)とか見てると、すっごい好きなんですよね。誰よりもかっこいい。自分の中で、日本で一番かっこいいアーティストはJAKE君(Jin Dogg)。
ヒップホップって、基本的にBGMをかけながらやるアーティストが多いんだけど、JAKE君(Jin Dogg)のライブ見てると、それなのに生演奏を聴いてるみたいな感覚になるんです。「ライブに来た」っていう感覚。全身全霊でやってる感じで、喉が潰れても全部出す。それはすっごい影響を受けてます。
Sam:関西系のアーティストにも結構影響を受けてる感じあるよね。東京の奴らより。
JIRO:東京は東京でいいんですけど、やっぱり大阪の方が、ある意味ハードな部分はあると思います。そういうダークでエネルギッシュな感じが、すごく好きなんです。
AIには「台湾のアーティスト」と認識されている?
Sam:JIROのインタビューに関しては、元々仲いいし、逆にあまり調べないで普通に話す感じでやろうと思ってたの。
でも一応、どのアーティストさんも一回ChatGPTに投げるようにしてて。そうしたら、日本・台湾のアーティストとして認識されてたね。
JIRO:あー、やっぱそうなんだね。
Sam:台湾出身じゃなくて、「台湾をコンセプトに歌ってるアーティスト」っていう出し方だった。台湾出身だったら違うじゃんってなるけど、それなら、あながち間違ってないね、みたいな。
JIRO:いや、だって本当にそうだから。ありがたいですね。とりあえずまだ「TAIPEI LIT」しかないから。「TAIPEI LIT」は本当に、台湾に対しての自分のラブレターです。
「言葉の壁がない。それが自分の武器だから」
Sam:最後に、何か話したいことありますか?
JIRO:日本のヒップホップの成長を、何年も前からずっと見てきたから。いろんなフェスができて、海外の友達からも「このフェスに行きたい」って言ってもらえるぐらい。やっぱり日本のヒップホップは成長していってると思うし。
海外とどれだけ繋がり、そこで通用できるのか。そこをまだ新しく切り開いていければと思っています。それが自分の武器だから。言葉の壁がないっていう
JIRO
でもその中で、海外とどれだけ繋がり、そこで通用できるのか。そこをまだ新しく切り開いていければなって、すっごい思う。それが自分の武器だから。言葉の壁がないっていう。
「怒り狂ったエネルギッシュなライブが見たかったら、来てください」
Sam:この記事を読んでくれる人に、何か言いたいことがあれば。
JIROです。渋谷で主に音楽をやっています。怒り狂ったエネルギッシュなライブが見たかったら、JIROのライブに来てください。
JIRO
JIRO:ほとんどの人が初めましてだと思うので。
初めまして、JIROです。渋谷で主に音楽やってます。怒り狂ったエネルギッシュなライブが見たかったら、JIROのライブに来てください。
ただただ暴れたい人が、ライブに来てくれれば。
Sam:でもね、JIROの暴れ方って、自分の中ではただ暴れてるだけかもしれないけど、見てる側からしたら、ただの暴れじゃないんですよ。何かしらコンセプトを持って暴れてるんだな、っていうのは見てて感じたかな。
JIRO:それはめっちゃ嬉しい。ただ暴れてるだけのラッパーも、ぶっちゃけいるから。
Sam:どう見られたらよく見えるか、っていうのを分かった上でライブパフォーマンスしてる感じがある。
JIRO:アメリカにもラッパーはいるけど、アメリカのライブの仕方と、日本の激しいライブの見せ方ってちょっと違うんですよね。
それこそJAKE君(Jin Dogg)とか。アメリカって結構、かっこつけてライブすることが多いから。だからXXXTentacionとかはすごい好き。
新しいエネルギーの見せ方っていうのは、日本のラップでもできるんじゃないかなって俺は思うので。それを自分がやっていければいいですね。
Sam:ありがとうございました。
JIRO:ありがとうございました。
リリース情報
JIRO「No Debt」
ミュージックビデオ公開:2026年7月13日
配信リリース:2026年7月15日
- Produced by:KID LUKA, NGA
- Mixing Engineer:Ben Thomas
- Mastering Engineer:Ryan Schwabe
- A&R / PRODUCE / Management:STEELO
収録曲
- No Debt (Dirty)
- No Debt (Clean)
JIRO 公式リンク
Contact: [email protected]
関連作品
JIRO「TAIPEI LIT」
- Lyrics:JIRO
- Composed by:JIRO, Flip00
- Produced by:STEELO
- Co-Produced by:Jumal of smgs
- Mixing Engineer:BAINZ
- Mastering Engineer:BAINZ
Interview by Sam / Photo by CookyDesign


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