【HIPHOPCs独占インタビュー】Alif Wolf “What Did You Say?” 14万再生の裏側と、ペイン系を越えた狼

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前回の取材から約5ヶ月。Alif Wolfは「03- Performance」で公開された新曲“What Did You Say?”のパフォーマンスをきっかけに、再び大きな注目を集めている。

公開からわずか数日で再生数は14万を超え、コメント欄は「かっけー」「フロウやばい」「こうゆう乗り方できるんや」の声で埋まった。“ペイン系”のイメージが強かった彼女が、攻めたフロウとオールブラックの佇まいで、別の輪郭を見せた瞬間だった。

今回HIPHOPCsのCook Oliverは、03-で披露された楽曲の制作背景、長く続いていたスランプ、ラップスタア関連楽曲の配信、今後のフィーチャリング、そしてSNSでの“見られ方”まで、現在のAlif Wolfの温度をそのまま聞いた。約1時間にわたる対話のすべてを掲載する。

前回のインタビュー(2025年12月公開)はこちら:
【HIPHOPCs独占インタビュー】Alif Wolf―19歳が語る、痛みと音楽


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「制作自体は、何も変わってない」── 5ヶ月前と今の自分

Cook Oliver:
前回の取材から5ヶ月ほど経ちました。当時 “Prologue” について「新章の始まり」と話してくれましたよね。今回の03-でのパフォーマンス、見させていただいて、一気に来てるなって思ったんです。自分の中で一番変わった感覚ってあります?制作のやり方とか。

Alif Wolf:
制作自体で変わったところはないですね、何も。

Cook Oliver:
あ、そうなんですね。

Alif Wolf:
別に何も変わらず、って感じですね。笑

Cook Oliver:
あの時、確かペイン系では“余白を残す”という話もされていましたよね。今振り返って、制作のスタンスは変わりましたか?

Alif Wolf:
制作のスタンスも結構ずっと同じなんですけど、その時の感情のことしかあんま歌えなくて。曲作んなきゃと思って、無理やり書いたりとかもしてたんですけど、出してない曲もあって。やっぱり、そん時の気分と違うようなものは書けないなって。いいものができなくて、結局ボツになったりとかしてるんで。本当、全部その時の感情のままでって感じですね。

Cook Oliver:
感情の上乗せの時に曲を作るっていう感じですか?

Alif Wolf:
そうですね。例えば落ちてる時に、強そうな感じの強気な曲を書こうとしても書けないし。自分的に別にペインじゃないのに、ペイン系とかも書けないんで。結構、交互に書いてますね。

Cook Oliver:
感情の波がそのまま曲に出るんですね。

Alif Wolf:
結構感情の波激しい方なんで。弱みなのかもしれないです(笑)。

Cook Oliver:
いや、強みだと思いますよ、本当に。

Alif Wolf:
気分障害みたいな状態を持ってる有名なラッパーの人もいるじゃないですか。結局音楽があるから生きられるみたいな人って多い気がします。

Cook Oliver:
それが、今回の03-のパフォーマンスにもすごく生きてるなって感じました。

Alif Wolf:
本当ですか?私めっちゃフェイクフェイク言われるんですけど、大丈夫ですか?(笑)

Cook Oliver:
注目を浴びるほど言われますよね、才能に気づいているラッパーやリスナーが絶対多いはずです。

YouTube:
https://youtu.be/zGW1x_9IjD4?si=LeoWKPWclR1izUE1


「ずっとスランプみたいな感じだった」── Prologueから空いた数ヶ月

Alif Wolf:
なんかもう、スランプみたいな感じだったんですけど、ずっと。

Cook Oliver:
わかりますって言ったら変ですけど、感じてました。Prologue/Magic Voiceから結構時間空いてるじゃないですか。悩んでるのかなって思ってて。

Alif Wolf:
全然書きたくなくて。音楽が好きでラップ始めたんですけど、無理やりやらなきゃいけないみたいに思ったらやりたくなくなって。書けなくて、ちょっと時間空きましたね。

Cook Oliver:
でもそれ、めちゃくちゃリアルだと思います。結局ラッパーも人間ですし(笑)

Alif Wolf:
どうなんすかね?やっぱりみんなこういう感じなんですかね?やりたくないけどめっちゃやってるみたいな(笑)。

Cook Oliver:
人によるとは思いますけど、無理やり作るより、自分の中から出てくるものを大事にする方がAlif Wolfさんには合ってる気がします。勝手に上からですみません(笑)。

Alif Wolf:
いえいえ。たまたま今回03に出ないかってお誘いをいただいて。03-の曲は、結構久しぶりに制作する時に楽しかったんです。

Cook Oliver:
それは曲からも伝わりました。ノリノリで、やりたくてやってる感じが出てて。

Alif Wolf:
そうですね。やっぱり気分が乗ってるか、乗ってないかの違いなんですかね(笑)。


“What Did You Say?” 公開直後の反響と、“手のひら返し”

Cook Oliver:
コメント欄も全部見てたんですけど、「かっけー」「フロウやばい」みたいな声がほんとに多かったですよね。手のひら返しすごいですね(笑)。

Alif Wolf:
(笑)。なんでそうなるのか分かんないですけど。曲の中身というより、最初のコメントとかでみんな引っ張られてるのかなって。最初のコメントが良かったら良かったり、何が消費されるのか分かんないんですけど。

Cook Oliver:
曲の良さに気づいたって印象は受けました。
今はコメント欄や空気感で評価の流れが変わる部分はありますよね。でも今回のパフォーマンスは本当にリアルでした。

Alif Wolf:
本当ですか?

Cook Oliver:
本当です。リアル。


「フローは一回置いて、聴き直す」── 制作スピードの遅さと、その理由

Cook Oliver:
03-のパフォーマンスで、1分くらいのところからのフロー、すごかったですよね。あそこ、どうやって考えたんですか?

Alif Wolf:
結構ノリですかね。バトンルージュにあんま乗ったことなくて、でもなんか普通に好きで。バトンルージュってなんでもフローできるしやりやすいんで、テンポ感早くて。

ただ私、結構時間置いて作るタイプで。1回フローを自分の好きな感じにやって、1回保存して、1時間くらい経ってもう1回聴いて、それと違うなって思ったらやり直して、みたいな感じで進めていくんで。

ちょっと制作スピード遅いんですけど(笑)。

Cook Oliver:
なるほど、納得しました。それは時間かかりますね。さっきの話に戻るんですが、結構ノリでどんどん作っていく人もいるじゃないですか。

Alif Wolf:
それ本当すごいなと思います。私できないんですよ、それ。

Cook Oliver:
でも、あれだけクオリティの高い楽曲ができるってことは、それだけフィットしたっていうことなんだっていうのは伝わりました。

Alif Wolf:
ありがとうございます。フックとかは結構すぐできました。フックはめっちゃ早くて。この曲は、私の中だとめっちゃ早くできた方です。


3月30日のオファーから、4月22日の公開まで── 即席で生まれた一曲

Cook Oliver:
今回の曲、どのくらいの期間で作ったんですか?

Alif Wolf:
元々、イベントのお誘いをもらってたんですけど、私、曲作るの遅いんで。

その時に送れる曲がないみたいな感じが続いてて。たまたま次、ゴールデンウィークに03-のライブのお誘いいただいて。その前に03- YouTubeのお話を頂いて、それから作った曲なんです。

Cook Oliver:
そうだったんですね。制作時間はどれくらいでしたか?

Alif Wolf:
3月30日に03- Performanceにお誘いをいただいてから4月14日にデモを送って、20日に撮影して、22日に出させてもらったんですよね。制作自体は、14日くらいで作ったって感じですね。

Cook Oliver:
かなりタイトですね。

Alif Wolf:
撮影も結構詰め詰めでやったんで。ミックス・マスターしてない状態のデモで撮って、ミックス・マスター後で付けてもらって、2日後の配信みたいな。即席でみたいな感じですね。

Cook Oliver:
意外と、パッとできた時の方が良かったりするんですか?

Alif Wolf:
意外とあるのかもしれないです。

Cook Oliver:
結構こだわっちゃう方ですよね、Alif Wolfさん。ストイックっていうか。

Alif Wolf:
ストイックなのか分かんないですけど(笑)、結構理想高くて。普通悪くない曲でも、自分の中でちょっと納得しなかったら良くないってなっちゃうんで、それで進まなかったりとかありますよね。もう落ちて「もういいや」みたいな。


ペイン系のイメージを越えて── ノリのあるAlif Wolfも、ペインのAlif Wolfも

Cook Oliver:
Alif Wolfさんは、勝手にペイン系のイメージがついてる部分もありますよね。

Alif Wolf:
そうですね。ビートメーカーの人が送ってくれるビートとかも、ペインっていうか落ち系のビートばっかりで(笑)。

Cook Oliver:
でも今回の03-では、こういう乗り方もできるんだっていうのを見せた感じがしました。

Alif Wolf:
それ結構みんな言ってますよね。

Cook Oliver:
本当に思いました。ペインだけじゃなくて、もっと攻めたフローもノリも、全然できるんだなって。

Alif Wolf:
どういう曲を作ったらいいんだろう、どういうビートで作ったらいいんだろうって感じです。

Cook Oliver:
難しいですよね。でも今回の反応を見る限り、ペインのAlif Wolfも、ノリのあるAlif Wolfも、どっちも求められてると思います。

YouTube:
https://youtu.be/ndDai600ofI?si=yixo6r0OX00c2RLW

Apple Music:
https://music.apple.com/jp/album/what-did-you-say/1895561546?i=6763934161

コメントで話題になった:1分からのフロー

居るだけで様に
他が勝るとこ何?
たまになる不安に
それも金になるって話
必死にGet rich
日誌みたくやるキッチリ
他にしょーみない興味
所詮私かそれ以外かだし
ほざいてらんねーよマヒOkay
置いてくよほんじゃ先


オールブラック、ブレイズ、そして“狼”── 唯一無二のヴィジュアル戦略

Cook Oliver:
今回の見せ方もすごく良かったです。オールブラックで、ブレイズで。

Alif Wolf:
ブラック好きですね。私の中では結構、編み込んでる人が多いイメージあったんですけど、ずっと。いつの間にかみんなブレイズとかから引退してて。

Cook Oliver:
そうですね、確かに。

Alif Wolf:
元々私、めっちゃ編み込んでるイメージだったんですけど、Xとか見てたら、「野生のAlif Wolf発見」みたいに言われたりとかしてて(笑)。多分、編み込んでるイコール私の印象になってきてて、みんな。

Cook Oliver:
いや、それめっちゃ強いっすよ(笑)。ブレイズ、オールブラック、Wolfという名前。他に狼で来てるラッパー、いないじゃないですか。

Alif Wolf:
ラッキーだなと思います、それは。

Cook Oliver:
しかも曲の最初に、狼の遠吠えみたいな音も入ってますよね。

Alif Wolf:
そうなんですよね。

Cook Oliver:
マーケティング的に言ったら、狼、黒、ブレイズってなったら、他にこの感じで来てるラッパーいないじゃないですか。それはAlif Wolfさんの強みだなって思います。

Alif Wolf:
いいですよね。


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配信スケジュールとラップスタア関連楽曲── Chaki Zulu / STUTSビートの行方

Cook Oliver:
今回の03-の曲、配信されるんですか?

Alif Wolf:
サブスクで、ついに配信されてます!(笑)。

Spotify:
https://open.spotify.com/track/5A7LTM7fYeyt49u4lE19U8?si=BjyJbshhS06Je6bf48z1WQ

Cook Oliver:
おお!あと、ラップスタアの楽曲も配信予定ですか?

Alif Wolf:
そうですね。予定だと6月くらい。Chaki Zuluさんのビートと、STUTSさんのビートです。

Cook Oliver:
それは熱いですね!

Alif Wolf:
STUTSさんの方は伸ばそうかなと思ってて。バースを足してやろうかなって思ってるんですけど、ちょっと時間かかっちゃってて(笑)。やんなきゃいけないんですけど。

Cook Oliver:
やっぱり本当に時間をかけて作るタイプですね。

Alif Wolf:
そうなんです。。MVも撮るんです。

Cook Oliver:
では、ぜひまたリリース直前にプッシュさせてください!


5月4日〜6日 PINK TOKYO── フィメールDJも含めた “FROM BLOCK 03- GW 3DAYS”

Cook Oliver:
5月4日から6日まで、PINK TOKYOですよね?

Alif Wolf:
そうです、そうです。私は1日目で。

Cook Oliver:
Red EyeさんとかLIZAさんとかも?

Alif Wolf:
Red Eyeさんは3日目で、フィメールが1日目ですね。あんま、どのくらい人が来るか私はわかんないんですけど。

1日目は女の子だけの日で、DJも女の子なんです。

Cook Oliver:
絶対すごい盛り上がるイベントだと思います、ほんとに。楽しみですね。

Alif Wolf:
ありがとうございます。


フィーチャリングへの本音── 進む話と、止まったままの話

Cook Oliver:
今後、フューチャリングなども考えていますか?

Alif Wolf:
フューチャリングも全然、いい人がいればやっぱりしたいんですけど、全然ないですね。最初のラップスタアくらい、何人か曲を作ろうという話はあったのですけど。

Cook Oliver:
めちゃくちゃ熱いじゃないですか。

Alif Wolf:
でも結局、流れちゃって、、あっという間に過ぎ。。

Cook Oliver:
あっという間に過ぎ(笑)

Alif Wolf:
そうなんです。ラップスターのつながりでフューチャリングさせていただけたらなと思う方もいるのですが。。

Cook Oliver:
今のAlif Wolfさんなら、絶対やった方がいいアーティスト、本当にたくさんいると思います。本当に動いてますよね。

Alif Wolf:
いや、何もしてないですよ(笑)。作りたい曲がない時も、置いていかれないように、いい曲作らないといけないしっていう。ジレンマで。


「やばい人と曲をやりたい」── 印象操作、フックアップ、シーンの仕組みへの本音

Cook Oliver:
今後の目標はありますか?

Alif Wolf:
誰かやばい人と曲をやりたいです。印象操作みたいになっちゃうけど(笑)、私の力だけじゃ評価されないところも、上の人とかとやって評価されたりすると思うんで。

Cook Oliver:
間違いないですね。

Alif Wolf:
リスナーはそういうところの方が多分目に止まるから。単体だと叩かれるけど、やばい人がフックアップしたってなったら急に褒められたり(笑)。
やばい人とやりたいなって感じです。でもそのためには曲出さないといけないので、頑張ってます。

Cook Oliver:
とりあえず前進あるのみですね。

Alif Wolf:
そうです、そうです。


ファン、ヘイター、そして“叩いてる人を叩いてる”コメント欄

Cook Oliver:
ファンからの反応、どう感じてますか?

Alif Wolf:
意外とフォローしてくれてるとか、心配のDMとか応援のDMとかめっちゃ送ってくれてて。

Cook Oliver:
やっぱり熱いファンが多い印象があります。

Alif Wolf:
ヘイターの方が目立つけど、そうやって言ってくれる人も結構いるんで。今回の03-のやつでも、叩いてる人を叩いてるみたいなことがコメント欄で起きてて。すごいなって思いながら(笑)。

Cook Oliver:
流れが変わってきている感じはありますよね笑 才能に気づいている人が多い。


「外で見てるAlif Wolfは、たぶん私じゃなくて別人」── ヤバい奴疑惑と、ブレイズという“鎧”

Cook Oliver:
最後に、リスナーに向けて何かありますか?

Alif Wolf:
難しいっすね(笑)。マジで難しいですね。なんだろう……マジでありがとう、ですかね

ちょけていいんだとしたら、「それ、私じゃないよ。」ですね(笑)。
あなたが見たAlif Wolfは多分私じゃなくて別人だよって言いたいですね。

Cook Oliver:
どういうことですか?

Alif Wolf:
私、一回も声かけられたことないんですよ、外で。笑

気づかれないのか分かんないですけど。コメント欄とか見てたら「この間、恵比寿でAlif Wolf見かけたけど無視された」とか「睨まれた」とか言ってる方がいて。普通に一般人に声かけて、ヤバいやつだと思われてるだけだぞと思って(笑)。

Cook Oliver:
面白い(笑)。すごい一般人の方々、迷惑じゃないですか。

Alif Wolf:
そういうの、めちゃ多いんで。

Cook Oliver:
被害受けてる人がいるっていうことですね(笑)。

Alif Wolf:
そうなんですよね。私一回も気づかれたことないのに。。

Cook Oliver:
気づかれても、声かけないとかですかね?
Alif Wolfさんって声かけにくい雰囲気あると思うんですよ。オールブラック、ブレイズ、フィメールでガンガンって感じの。やっぱりちょっと怖いじゃないですか、第一印象。

Alif Wolf:
いや、どうなんすかね。ま、逆に今そういう状況なのが嬉しいです。バレないから、どこでも行けるんで。笑

Cook Oliver:
それはすごく良いですね!

Alif Wolf:
でも昨日ライブに行った時、編み込みを取ってたんですよ。ライブした後、箱の中で声かけられて、「さっき通ったけど気づかなかった」って言われて。笑

Cook Oliver:
うわー、やっぱり分からないんですね。

Alif Wolf:
分かんないんですかね。やっぱり、ブレイズのイメージが強いのかも。

Cook Oliver:
それ、強みですよね。またさっきの話になりますけど、マーケティング的に言ったら、狼、黒、ブレイズってなったら、他に狼でこう行ってる感じのラッパー、今いないじゃないですか。

Alif Wolf:
多分、いないですね。

Cook Oliver:
本当に強みだなって思います、貴重ですよ。

本当に今回は長々とインタビューありがとうございました!!

Alif Wolf:
こちらこそありがとうございます!


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4月29日には、本記事内で語られた03- Performance楽曲“What Did You Say?”のサブスク配信もスタート。6月にはラップスタア関連楽曲(Chaki Zulu / STUTSビート)の配信も予定されている。引き続き要チェック。


編集後記 ── Cook Oliverより

5ヶ月ぶりに話したAlif Wolfさんは、変わっていなかった。それが、何よりも印象的だった。

シーンで注目を浴びる人ほど、取材を重ねるごとに口調が“作られた言葉”に変わっていく。プロモーションの文法を学習し、無難な答え方を覚え、エンジンを切らさないために燃料を節約する話し方になる。それは決して悪いことではないし、生き残るために必要なスキルでもある。

でも、Alif Wolfさんはそうじゃなかった。

「制作自体で変わったところはないですね、何も」── 一番最初の質問への、この潔い返答。普通なら、新しい曲が14万再生を突破した直後の取材で、ここまでフラットに答えられる人は少ないと思う。“急成長エピソード”を語った方が記事は華やかになるし、本人のブランドも上がる。それを彼女は選ばなかった。盛らない。誇張しない人なんだと。

スランプだった時期は「スランプだった」と言い、書けなかった時期は「書けなかった」と言う。フィーチャリングの話も、進んでいないことも含めて正直に話してくれた。

この誠実さは、彼女の楽曲のリアリティに直結していると感じた。“その時の感情のことしかあんま歌えなくて”というスタンスは、取材の場でもまったく同じだった。書く時に嘘をつかない人は、話す時にも嘘をつかない。当たり前のようで、これができるラッパーは、実はそんなに多くないと思う。

もうひとつ、深く印象に残った瞬間がある。

「やばい人と曲をやりたい。印象操作みたいになっちゃうけど」

ここで彼女は、シーンの仕組みを冷静に見ている自分の視点をそのまま見せてくれた。リスナーがフックアップ後の文脈で評価を変えること、自分の力だけで届く範囲には限界があること、それを理解した上で、なお自分の音にこだわっていること。

ここまで構造を読みながら、それでも「曲出さないといけないから、どうしようかな」と笑って締める。この距離感の取り方は、生まれ持った冷静さなのか、これまで戦ってきた経験で身につけたものなのか── どちらにしても、稀有な才能だと思う。

そして、最後の「外で見てるAlif Wolfは、たぶん私じゃなくて別人」── あのオチ。記事の締めくくりにあれを置けたのは、編集者としても本当に面白かったし、笑わせていただいた。シーンの最前線にいる若手ラッパーが、自分の“見られ方”についてここまで自虐とユーモアで語れるのは、自分自身を客観視できているからこそだ。“イメージ”と“実物”の距離を、本人がいちばん面白がっていたように見えた。

制作スピードが遅いこと、感情の波が激しいこと、ペイン系のビートばかり送られてくること、フィーチャリングの返信が止まっていること── 彼女が“弱み”のように話してくれた要素は、実はすべて彼女の才能そのものだ。

早く作れないのは納得いくまで詰めるからで、感情の波が激しいのは曲に乗せる素材が豊かだからで、ペイン系のイメージが強いのはあれだけリアルなものを書けるからで、フィーチャリングが進まないのは妥協しないからだ。全部、Alif Wolfというラッパーが彼女である理由になっている。

“フェイクフェイク言われるんですけど、大丈夫ですか?”と笑いながら聞いてくれた瞬間がある。あの問いには、はっきり答えたい。大丈夫です。リアルです。HIPHOPCsが断言します。

5月4日、新宿THE PINK TOKYO。フィメールDAYの1日目。彼女は自分の速度で、自分の音を持って、ステージに立つ。“What Did You Say?”のサブスク配信は今日4月29日だ。ラップスタア関連楽曲(Chaki Zulu / STUTS)の配信は6月。MV撮影も控えている。

このタイミングで彼女と話せたことを、HIPHOPCsとして光栄に思う。次に彼女が“吠える”瞬間を、引き続き追いかけていきたい。

Alif Wolfさん、貴重な時間をありがとうございました。また話せる日を楽しみにしています!

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