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Lil Uzi Vertは“第二の全盛期”へ『Maverick “Almost Forever” EP』レビュー

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Uziが戻ってくるまで、まるで“永遠”だった。

2026年7月31日、Lil Uzi Vertが新作『Maverick “Almost Forever” EP』をリリースした。

全8曲、23分03秒。2024年の『Eternal Atake 2』以来となるプロジェクトだ。Cor(e) / Roc Nation Distributionとなっている。

今回、HIPHOPCs編集部で本作を試聴。

「Uziが完全に戻ってきた」という声がある一方で、「プロダクションに支えられている部分もある」「後半は声や展開が単調に聞こえる」という意見も出た。

評価は完全には一致しなかった。

それでも、ひとつだけ共通していた感覚がある。

『Eternal Atake 2』のあとに失われかけた期待を、このEPはもう一度取り戻した。

2025年の4曲は、復活の前触れだった

『Eternal Atake 2』を、Uziのキャリアにおける失望作と捉えた人は少なくない。

新しい方向へ進もうとする意志はあった。しかし、ビート、声、フロウ、メロディがうまく噛み合わず、Uzi本来の自由さが、楽曲としての気持ちよさにつながらない瞬間も多かった。

ただし、その後のUziは止まっていなかった。

2025年には「Relevant」、「Chanel Boy」、「Regular」「What You Saying」を続けて発表。特に「Chanel Boy」には、奇妙さ、キャッチーさ、声の遊び方という、Uziらしい魅力が戻り始めていた。

この4曲はいずれも今回のEPには入っておらず、Spotifyでは独立したシングルとして掲載されている。『Maverick “Almost Forever” EP』は、それまでの曲をまとめた作品ではなく、新しい8曲だけで作られたEPだ。Lil Uzi VertのSpotifyアーティストページでも、その流れを確認できる。

つまり、2025年のシングル群が復活の前触れだったとすれば、今回のEPは、その流れが偶然ではなかったことを証明している。

若い頃の勢いを、現在の音で鳴らしている

本作で最初に耳を奪われるのは、プロダクションの幅だ。

浮遊するシンセサイザー、暗く沈む低音、細かく跳ねるドラム。曲ごとに表情は変わるが、全体には夜の街を走っているような空気が流れている。

ビートは新しさを見せつけるために奇抜になっているわけではない。

Uziの声とフロウが、最も気持ちよく響く場所を選んでいる。

そしてUziも、そのビートの中で迷っていない。

キャリアを重ねた現在も、若い頃のように声を跳ねさせ、細かなリズムの隙間へ入り込む。昔と同じラップを繰り返しているのではなく、現在のビートの上で、昔と同じ自由さを取り戻している。

このEPを聴いて「Uziは衰えていない」と感じる理由は、声が若く聞こえるからではない。

まだ新しいビートの中で遊べるからだ。

「Maverick Intro」から、迷いがない

1曲目「Maverick Intro」は、作品への導入でありながら、単体の楽曲として成立している。

大げさな演出はない。

Uziの声が鳴った瞬間、ビートとの距離、フロウの軽さ、メロディの置き方が、『Eternal Atake 2』とは明らかに違うことが伝わる。

続く「Go !」では、短い言葉と反復がそのままリズムへ変わり、「Poured」では冒頭のスピードアップが一瞬で耳をつかむ。

ここまでの3曲には、探りながら歌っている感じがない。

Uziがビートを探しているのではなく、ビートの中で完全に遊んでいる。

「Yoko」と「Say It Was」が示す2つの強さ

中盤のハイライトは「Yoko」だ。

一度聴いただけで残るメロディと、複数の人格を行き来するような声。ラップ、歌、掛け声を重ねながら、声を伸ばし、切り、裏返すことで、同じ声からいくつもの表情を作っている。

一方、7曲目「Say It Was」で前に出るのは、ラッパーとしてのUziだ。

リズムの捉え方、言葉を置く位置、語尾の抜き方。メロディックなラッパーという言葉だけでは説明できない、純粋なフロウのうまさが表れている。

「Yoko」が声の面白さを見せる曲だとすれば、「Say It Was」は、その声を支えているラップスキルを見せる曲だ。

試聴会でも、この2曲と「Maverick Intro」をベストに挙げる意見が多かった。

それでも、すべてが完璧ではない

本作を高く評価しながらも、いくつかの弱点は残っている。

「223」は作品の流れをつなぐ役割を果たしているが、「Maverick Intro」や「Yoko」と比べると、単体での印象はやや弱い。

また、Uziの声を自由で面白いと感じるか、作りすぎていると感じるかによって、評価は大きく変わる。

曲が進むにつれて、加工された高音や同じ声色が少し強引に聞こえる瞬間もある。ビートの展開に対してボーカルの変化が少なく、プロデューサー側が曲を引っ張っているように感じられる部分もあった。

歌詞にも、Uziらしい突飛さや、少し幼く聞こえるラインが残っている。フックの反復も、即効性と中毒性を生む一方で、聴き手によっては単調に感じるだろう。

さらに、曲をどこで終わらせるのかが曖昧なまま続き、最後だけ急に切れるように聞こえる場面もある。

こうした批判は、作品を否定するものではない。

むしろ、Uziの魅力と弱点が、同じ場所から生まれていることを示している。

自由な声は、時に作為的に聞こえる。

中毒的な反復は、時に単調になる。

勢いに任せたフロウは、時に一発録りのような粗さを残す。

その危うさまで含めて、Lil Uzi Vertの音楽なのだ。

「London – Bonus」は蛇足か、最後の遊びか

最も評価が分かれたのは、ラストの「London – Bonus」だった。

英国風のアクセントを取り入れたコミカルな歌い方は、Uziの遊び心として楽しめる。

一方、「Say It Was」の感情的な余韻を作品の結末として求めるなら、急なトーンの変化は蛇足にも聞こえる。

曲名には明確に“Bonus”と書かれている。

「Say It Was」を本編のラスト、「London – Bonus」をエンドロール後の追加場面として考えれば成立するが、作品として最も美しい終わり方だったかと聞かれれば、疑問は残る。

それでも、最後に別人のような声へ切り替わり、深刻になりすぎる前に笑って去っていく。

その不安定さも、確かにUziらしい。

復活ではなく、再び期待できる状態へ

『Maverick “Almost Forever” EP』は、まったく新しいLil Uzi Vertを提示した作品ではない。

それでも、近年のUziに不足していたものが、ここにはある。

勢いがある。

ビートと声が噛み合っている。

何より、Uzi自身が音楽を楽しんでいるように聞こえる。

プロダクションに助けられている部分もある。反復が多く、声や歌詞に粗さが残る曲もある。

しかし、その弱点を含めても、この23分は気持ちよく駆け抜けていく。

メインストリームのラップに物足りなさを感じていた聴き手にとっては、今年でも特に強く、爽快な作品の一つになるだろう。

NFR PodcastのInstagram投稿では、ジャケットに次のアルバムを示唆する“ALBUM AFTER THIS”という文字が隠されていると指摘されている。ただし、本稿公開時点でLil Uzi Vert本人やレーベルによる公式説明は確認できていない。

もし、この8曲が本当に助走にすぎないのなら、次の作品でUziは何を鳴らすのか。

戻ってくるまでの時間は、まるで永遠だった。

だが今は、その先を待つ時間さえ楽しみに思える。

『Maverick “Almost Forever” EP』トラックリスト

  1. Maverick Intro
  2. Go !
  3. Poured
  4. 223
  5. Yoko
  6. Gas. Brake.
  7. Say It Was
  8. London – Bonus

作品情報・出典

作品情報・トラックリスト:Spotify「Maverick “Almost Forever” EP」(Spotify)

関連ディスコグラフィー:Lil Uzi Vert — Spotify