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Migos再始動はどこまで進んだか──QuavoとOffsetの新曲が鳴った意味

ヒップホップニュース10 min read
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約4年4カ月ぶりに、QuavoとOffsetの新曲がライブの場で披露された。

ただし、二人が同じステージに立ったわけではない。

2026年7月3日、ドイツの大型ヒップホップ・フェス「Splash!」(会場:Ferropolis/Gräfenhainichen)のQuavo単独セットで、Offsetが参加した未発表曲を初めて披露した──というのが、確認できる事実である。

「共演」ではなく「初披露」。

この違いが、2022年11月にTakeoffを失って以降のMigosの現在地を、正確に映している。

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何が起きたのか──ステージで「音」だけが先に届いた

Splash!でのQuavoのセットは、”Bad and Boujee”や”MotorSport”、”Stir Fry”、”Narcos”といったMigos時代の代表曲が中心だった。

そこに、Ty Dolla $ign名義でQuavo自身も客演する「DON’T KILL THE PARTY」や、新曲”F*ck Out The Way”、配信済みシングル”HAAVIN”(この日がライブ初披露)などが差し込まれた(setlist.fmのセットリストによる)。

現場のファン映像には、QuavoがOffset参加の新曲を流し、観客が沸く様子が映っている。

複数のファンが「Offset参加の新曲をプレビューした」と発信。これを受け、「Migosが再び動き始めた」との見方が一気に広がった。

ただし、Offset本人はステージに登場していない。

これはQuavoのソロ・ライブであり、流れたのはOffsetの録音済みヴァースを含む音源だった。

つまりSplash!で起きたのは、二人の再共演ではない。久しく途絶えていたQuavo×Offsetの新曲が、初めて観客の前で鳴らされた、という出来事である。

「約5年ぶり」は正確ではない──”We Did It Kid”という一曲

多くの海外メディアは、QuavoとOffsetが最後に同じ新曲へ参加した時期を、2021年6月の『Culture III』としている。Billboardでさえ「最後の共作はCulture III」と繰り返してきた。

だが、これは正確ではない。

二人が最後に同じ録音へ参加したのは、Yeの『Donda 2』収録”We Did It Kid”(feat. Baby Keem)である。

同曲にはBaby Keemに加え、QuavoとOffset双方のヴァースがある。Stem Player版の公開は2022年2月23日。Takeoffもこの曲のためにレコーディングしたとされる。

つまり、最後の共同録音は2022年2月。Splash!までは約4年4カ月となる。

Migos名義のリリースに限れば『Culture III』以来の約5年だが、二人がそろって参加した新曲で数えるなら4年超が正しい。


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二人が再び曲を作るまで──時系列で見る

  • 2021年6月|『Culture III』。「Culture」三部作の最終章で、Takeoff存命中に出た最後のMigosアルバムとなった。
  • 2022年2月|Ye”We Did It Kid”にQuavo・Offsetが参加。これが二人による最後の共同録音となる。
  • 2022年11月1日|Takeoff、ヒューストンで銃撃を受け死去。
  • 2023年6月|BETアワードで一夜限りの共演。ただし披露は既存曲(”Bad & Boujee”など)で、新曲ではない。
  • 2024〜25年|関係が少しずつ修復へ。Offsetは2024年3月にQuavoを「real brothers(本当の兄弟)」と語り、2025年8月にはTakeoff追悼作を一緒に作る可能性に「不可能ではない」と踏み込んだ。
  • 2026年5月|二人がスタジオで合流。Offsetがブースで録音する写真が拡散し、Migos公式Instagramも2年ぶりに動いた。
  • 2026年7月|Splash!でOffset参加の新曲を初披露。11日には共同アルバムの録音が報じられた。

追悼の一夜(2023 BET)から、新曲の存在(2026 Splash)へ。

Splash!での披露は、数年かけて関係を直してきた二人にとって、大きな節目だった。

二人の間に流れたのは、沈黙の年月ではなく、関係を作り直すための年月だったと読むべきだ。

ソロ作『SATCHAMO』とOffsetとの共同作──並走する二つのレーン

いまQuavoは、二つの制作を並行して進めている。

ひとつはソロ作だ。

Pharrell Williamsがエグゼクティブ・プロデュースを務めるアルバム『SATCHAMO』で、HIPHOPCsの既報によれば、Quavo自身がパリでほぼ完成を明かしている。

先行シングルが6月26日配信の”HAAVIN”。この曲は、PharrellがLouis Vuitton SS27ショーで新曲を一斉に解禁した舞台で初披露された。

Splash!での”HAAVIN”は、その配信済みシングルのライブ初披露にあたる。

もうひとつがOffsetとの共同作だ。

World Red Eyeは、二人がマイアミのElectric Feel Studios(Austin Rosen主宰)で共同アルバムを録音中だと報じた。Splash!で披露された”F*ck Out The Way”も、このプロジェクトからの新曲(Peeb & Nico Baranが共同プロデュース)だとしている。

つまりSplash!のステージでは、Quavoのソロ作と共同作、両方の新曲が鳴っていた。

同じステージ上に、Quavoの二つの未来が並んで鳴っていた──それが、この日の全体像だ。

新曲のプレビューに現実味を与えたのが、この共同アルバムの報道だ。

噂 → SNS → スタジオ合流 → ライブでの音出し → アルバム制作の報道。この順番で、再始動は少しずつ現実味を増してきた。

アメリカの授賞式ではなく、欧州のフェスで最初に鳴らされた点も面白い。演出された発表ではなく、進行中の制作から自然にこぼれ出たような披露だった。

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「再始動」を定義し直す──Takeoffという不在の中心

そもそも、Takeoff亡き後のMigosを「再始動」と呼べるのか。

一部のオンライン資料は、すでにMigosを「2023年に解散し、2026年に再結成」と整理し始めている。だが、これは現時点での仮の整理にすぎない。

三人のうちTakeoffは、もうここにはいない。残されたのはQuavoとOffsetのデュオだ。

この二人の音楽を「Migos」と呼ぶのか、別の名前で出すのか。プロジェクト名はまだ発表されておらず、報道でも「MigosのOffsetとQuavo」という呼び方に留まっている。

解散の前後には、Offsetの発言にTakeoffの弟が反発するなど、故人の記憶をめぐる緊張もあった。

二人が再び名を並べることは、その記憶の扱いと切り離せない。

見落とせないのは、Quavoの構想の中心に、いつもTakeoffの遺した音源があることだ。

4月の投稿にあった”TAKEOFF ALBUM”、そしてQuavo自身が語ってきた、約1,000本に及ぶTakeoffの未発表ヴァース(NMEほか)。

Quavoにとってこの再始動は、Offsetとの関係修復であると同時に、Takeoffが遺した声をどう未来へ残すのか、という問題でもある。

かつてJermaine Dupriは、Takeoffの死がMigos崩壊を招いたと語り、QuavoとOffsetを「1人じゃ弱い」と評した

その言葉を裏返せば、二人が再び組む必然性も、そこにある。

だとすれば、Splash!で鳴った”Offset参加の新曲”の本当の意味は、「二人が仲直りした」ことではない。

三人のうち二人が、いなくなった一人の存在を前提に、それでも前へ進む方法を見つけた──その事実が、初めて音になった、ということだ。

「再始動」という言葉だけでは、この重さは受け止めきれない。


まだ確定していないこと

慎重に見ておきたい点をまとめる。

  • Offset参加曲=”F*ck Out The Way”かどうかは未確定。 World Red Eyeは”F*ck Out The Way”を共同プロジェクトの新曲だと報じているが、この曲にOffsetの声が入っているとは明記していない。ファン映像で確認された曲と同じかどうかは、まだ分からない。
  • 共同アルバムは、まだ報道の段階。 本人・レーベルによる正式発表、タイトル、配信日は、いずれも出ていない。
  • 「Migos」名義になるかどうかも不明。
  • Splash!にOffsetがいなかった理由も、本人からの説明はない。 ただしOffsetは4月11日以降すでに単独公演を再開しており(4月6日のフロリダでの銃撃から復帰済み)、健康や不仲と結びつける根拠はない。少なくとも現時点では、登壇しなかった理由について、それ以上の事実は確認されていない。

これらがどのくらいの速さで埋まっていくかが、今後数週間の見どころになる。


展望

2023年のBETアワードは、悲しみの中で生まれた一度きりの再会だった。

2026年のSplash!は、その延長にありながら、意味が違う。追悼の一夜ではなく、進行中のアルバム制作の途中で鳴った音だからだ。

二人の間にあった溝、Takeoffという埋まらない不在、ソロ作と共同作という二つの流れ。これらが同時に成立している状況は、Migosの歴史でも極めて特殊だ。

Splash!で鳴った数分間には、その複雑さのすべてが詰まっている。

音源の正式リリース、プロジェクト名の発表、そしてQuavoとOffsetが、再び同じステージに立つ日

新たな事実が明らかになるたびに、Migosが本当に再始動したと言えるのかが問われていく。

HIPHOPCsは、その一つひとつを検証しながら追う。


関連記事(HIPHOPCs)


出典

  • World Red Eye(2026年7月11日)― QuavoとOffsetがマイアミのElectric Feel Studiosで共同アルバムを録音中との報道
  • setlist.fm(2026年7月3日)― Splash! 2026(Ferropolis)のQuavoセットリスト。”HAAVIN”のライブ初披露、”F*ck Out The Way”の新曲表記
  • Universal Music Canada / Rolling Out(2026年6月25〜26日)― “HAAVIN”をPharrellがエグゼクティブ・プロデュースするソロ作の先行シングルと発表
  • GQ / Pitchfork(2022年2月)― Ye『Donda 2』”We Did It Kid”へのQuavo・Offset(およびTakeoff)の参加
  • Billboard(2026年4〜5月)― QuavoとOffsetのスタジオ再合流に関する一連の報道
  • REVOLT / Complex(2024年3月)― Million Dollaz Worth of GameでのOffsetの発言(「real brothers」)
  • HipHopDX(2025年8月)― Ebro DardenでのTakeoff追悼作への言及/NME ― Takeoffの未発表ヴァース約1,000本
  • Pitchfork / Rolling Stone / EW(2026年4月)― Offsetの銃撃と、Rowfestでのステージ復帰
  • ファン撮影のInstagram / TikTok映像 ― Splash!でのOffset参加曲プレビュー

※Migosの「2026年再結成」という整理は現時点で一部オンライン資料での観測に基づくものであり、本人・レーベルによる正式発表ではない。共同アルバム制作もWorld Red Eyeの報道段階である。

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