CityBaby『NO MORE PAIN』インタビュー|曲作りに悩んだ日々と、リスタートの10曲
「動きを止めたくなかった」。CityBabyが10曲をまとめた理由は、その言葉に表れている。曲は溜まっていた。1曲ずつ出していたら、今年が終わってしまう。そこで形になったのが、2026年10月21日配信の『NO MORE PAIN』である。
7月2日公開の前回インタビューで、彼は満足できる曲がそろうまでライブを制限していた時期を振り返った。今回は、出来上がった曲をどう届けるかを語っている。二度の取材を重ねると、本人のいう「軽いリスタート」は、曲作りの手応えを発表へつなぐ過程として見えてくる。
福岡県出身で、日本とタイを行き来するCityBaby(シティベイビー)。HIPHOPCsは本作のリリース前に再び話を聞いた。JNKMNへ何曲も送った共演の経緯、CzTigerとの再会への思い、Augustが描いた鏡の中の理想像。そして、前回も聞いた「Artist」「On Me」が、新作の中でつなぐ歩みをたどる。
聞き手:Sam/HIPHOPCs
本取材は『NO MORE PAIN』のリリース前に実施。発言中の今後の活動は取材時点の予定・意向である。作品名・人名の表記を統一し、聞き手の問いと相づちを、趣旨を変えずに一部整理。見出しと、発言外の作品情報・関連取材案内を加えている。後半の「前回取材から読む」は、7月公開の取材を踏まえた編集部の解説である。
『NO MORE PAIN』はどう生まれたのか——動きを止めないための10曲
Sam:今回のプロジェクトは、どんな作品ですか?
CityBaby:『NO MORE PAIN』っていうミックステープですね。10曲収録されてます!
Sam:コンセプトはありますか。
CityBaby:正直に言うと…まとまった作品を出す予定はなかったんです。
でも作品が溜まっていって、シングルで出すとしたら今年が終わっちゃうと思ったので、まとめて出そうって思い立って。動きを止めたくなかったというか、やり続けたいみたいなのがあったんです。
太いコンセプトに沿って作ったというよりは、溜まった作品をミックステープとして出したいっていう感じかもしれないですね。
JNKMNとの「Real Money」——憧れの相手に何曲も送った
Sam:客演には、どなたが参加していますか?
CityBaby:います!Choppa CaponeとFTL SHINKI、JNKMN君、LIL J、White Sol、CzTiger君、9for君が参加してくれてます。
Sam:制作で印象に残ったエピソードはありますか。
CityBaby:JNKMN君とはオンライン上での制作になったんですけど。
自分の一番最初のシングルでもJNKMN君をネームドロップしてたぐらい…自分にとっては昔から憧れの存在で、いつかやらせていただきたいとずっと思っていた方だったんです。
なので、今回は何曲も送って「この中から面白いモノがあれば、是非どうでしょうか」という形でお伝えして。「この曲でやろう」と言ってもらえたので、実現したというような経緯ですね。
作品情報:JNKMNの参加曲は「Real Money」。取材中に名前が挙がった7人に加え、「No Commission」にはSadboiterraも参加している。全8人の客演と収録曲は、末尾の作品情報に掲載。
CzTigerとの「戯言」——久々の共演と『Baby Radio』
Sam:念願が叶ったということですね。Tiger君はどうですか?
CityBaby:Tiger君とは3、4年前ぐらいに1度作っていて、それぶりという感じだったんですけど。同じようにオンラインで制作しました。
最近は全然遊べていなかったので「また久々に会いたいですね」っていう挨拶も兼ねて、入ってもらったという感じです。
一昨年とかは一緒にバーベキューしてたり、アメリカもタイミングが合えば行かせてくださいっていう話はしていたんですけど…まだ実現できていなかったんで。
でも、11月3日に『Baby Radio』の企画で対談することになっているんで、そこで久しぶりにお会いできるかもって感じです!
補足:『Baby Radio』は、CityBabyがアーティストをゲストに迎える対談企画。
関連取材:CzTigerがアトランタでの活動や日本のアーティストとの制作を語った『FOR WHATEVER』の本人インタビューもあわせて読むと、今回CityBabyが語る共演者の歩みをさらにたどれる。
リリースの先に見据える、ワンマンライブ
Sam:21日のリリース後は、どんな動きを考えていますか?
CityBaby:そうですね。
この後もリリースが続くのと、11月と12月も何曲か出るので、全てが出終わってから来年ですかね。ぜひワンマンをやりたいなと思っています!参加してくれた人たちも全員集めたいですね。
「初めの頃の熱量を思い出した」——CityBabyのリスタート
Sam:この作品を聴くリスナーへ、伝えたいことはありますか?
CityBaby:そうだな…まとまった作品を出すのは4年ぶりなんですけど。
「もうラップをやめたのかな」とか、色々思った方もいらっしゃると思うし、実際この4年間ぐらいは年に全然数曲しか出せていなかったんで。
そのブランクから少し抜け出したというか、軽いリスタートみたいな。 初めの頃の熱量を思い出した感じですね。
「自分が本気で音楽に取り組んでいる」っていうことに気づけたかなと。また1つ作品を出せたことは自分にとってプラスだと思うので、楽しんで聴いてもらえたら嬉しいかなと。
作品情報:2024年4月10日には、3曲入りの『CityBaby』もリリースされている。上記の「4年ぶり」は、本取材での本人の表現による。
Augustが描いた鏡の中の理想像と、マイケル・ジャクソンへの憧れ
Sam:印象的なアートワークですね。どなたが描いたのでしょうか。
CityBaby:August君っていうアーティストの方です!彼に描いていただきました。
理想の自分が鏡に映っていて、手前に今の自分が写っているというか。今の自分が見て「こういうアーティストになりたいな」みたいなデザインですね。
Sam:なんか中世ヨーロッパみたいな感じがしますよね。
CityBaby:そうですそうです。衣装はマイケル・ジャクソンをイメージしていますね。僕の憧れの存在なので。将来の自分を詰め込んでいるみたいな感じですね。
Sam:今回のミックステープは、その理想に向けての一歩ということですね!
CityBaby:はい!是非楽しんで聴いていただけると嬉しいです。ミュージックビデオも近々何本か公開される予定なので、そちらも楽しみにしていて欲しいですね!
アートワークを手がけたAugust:Instagram「@blandlsh_」
前回取材から読む——「Artist」「On Me」と、ライブへの道筋
ここからは、二度の取材を踏まえた編集部の解説である。7月公開の取材時点で、CityBabyはすでに満足できる曲が作れるようになり、リリースの頻度も上げられたと語っていた。その後に届いた10曲を、前回の言葉とともに聴き直したい。
前回、ライブを制限した理由を、CityBabyは「新しい曲ができないと、ずっと昔の曲でライブしなきゃいけない。それは楽しくないし、見ている人にも失礼になる」と説明していた。今回は「作品が溜まっていって」と語る。満足できる曲をそろえてライブをしたいという思いと、出来上がった曲をまとめて届ける判断。二度の取材からは、その間の変化が見える。
「Artist」では、ドラマ『地獄に堕ちるわよ』のテーマ曲を使ったUK GarageのビートをDOCに依頼したと、前回の取材で話していた。「On Me」は、TKSとタイのコテージで過ごした2泊3日の中で作り、撮影がMVへ発展したという。着想を伝えて依頼する制作と、滞在中の制作から映像へ広がった過程。2曲は、それぞれ6曲目と9曲目に収められている。
2曲の制作背景は、前回のCityBabyインタビュー全文で読める。「Artist」から「On Me」へ、本人が語った作り方とともに聴いてほしい。
共演の話にも、それぞれの距離がある。JNKMNには、長年の憧れを何曲もの候補に託した。CzTigerには、久々に会いたいという挨拶を共作に込めた。同じオンライン制作でも、本人が語った声のかけ方は異なる。客演の名前に、そこへ至るやり取りが重なる。
ライブへの思いも続いている。前回、彼は照明や音響、スタッフと一つのステージを作ることへの憧れを語った。今回は、共演者を集めたワンマンを望んでいる。鏡の中に描いた理想の自分へ、曲を作り、届け、その曲をステージへ持っていこうとする。本誌はその道筋に、CityBabyのいう「軽いリスタート」を読む。
CityBaby『NO MORE PAIN』作品情報・全10曲と客演
作品名:NO MORE PAIN
アーティスト:CityBaby
配信日:2026年10月21日
収録:全10曲
表記について:配信サービスではアルバムとして掲載され、本人は本インタビューでミックステープと呼んでいる。
- GRAVITY (feat. Choppa Capone & FTL SHINKI)
- Hit
- Real Money (feat. JNKMN)
- No Commission (feat. Sadboiterra)
- Nara Yoshitomo (feat. 9for) [Remix]
- Artist
- 戯言 (feat. CzTiger)
- マンジャロ (feat. LIL J & White Sol)
- On Me
- Melt Away Pain
配信ページの作品紹介によると、制作の大部分はバンコクで行われた。曲ごとの制作担当はTuneCore Japanの作品情報・クレジットで確認できる。
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CityBabyの背景と、HIPHOPCsの関連取材を読む
CityBabyの出身地に広がる音楽を知るなら、福岡・九州のラッパーガイドへ。親不孝通りから九州各県の作品や活動をたどり、CityBabyも注目アーティストとして紹介している。
ほかのアーティストの制作背景も、HIPHOPCsの独自インタビュー一覧から探せる。
取材対象:CityBaby。Q&A中の本人発言は本インタビューによる。発売日・曲目・客演はTuneCore JapanとApple Musicの作品情報を2026年10月28日に確認。ジャケットのアートワーク担当と意匠は、本文中のCityBabyの説明に基づく。前回取材に関する記述は、2026年7月2日公開のCityBabyインタビュー(取材・文:Lucie)による。現在のQ&Aとは区別して掲載した。