Drake「Quebec」歌詞を読む 「彼女が欲しいのは日本のスキンケアだけ」と、2+1+3の答え
「彼女が欲しがっているのは、日本のスキンケアだけ」。Drake(ドレイク)の新曲に、そんな一行がある。
2026年10月2日、Drakeのアルバム『HABIBTI (FOMO)』が配信された。5月の『HABIBTI』に、9月の短編映画『FOMO』で使われた4曲を足した15曲入りで、「Quebec」はその13曲目にあたる。2分10秒。クレジットされているプロデューサーはFASHXN、BEAM、Smash David、b4uで、PARTYNEXTDOOR(パーティーネクストドア)も、バックボーカルとソングライティングに名を連ねる。
| 配信日 | 2026年10月2日(Spotify表記。版により10月1日表示) |
|---|---|
| 名義 | Drake |
| 収録 | アルバム『HABIBTI (FOMO)』13曲目(全15曲)/2分10秒 |
| プロデュース | FASHXN、BEAM、Smash David、b4u(Geniusのクレジット) |
| 権利表記 | © ℗ 2026 OVO(Republic Recordsへ独占ライセンス) |
映画で流れ、動画で出て、一度消えた曲
この曲は配信より先に、映像として世に出ている。9月15日にYouTubeでプレミア公開された短編映画『FOMO』の中で流れ、9月19日には単独のミュージックビデオがYouTubeに上がった。Billboard Canadaによると、映像ではDrakeがBillboard Music Awardsのトロフィーや時計、チェーンを並べ、背後にはジャック・カルティエ橋とモントリオールのスカイラインが投影されていた。
ところがHotNewHipHopによれば、その動画は翌日までに非公開になった。9月20日の同記事の時点では、理由は明かされていなかった。音楽配信サービスでリリースされたのは、それから約2週間後の10月2日だった。
タイトルの「Quebec」は、歌詞に一度だけ出てくる。
If this move get made, we should push out to Québec
Head above these waters and ice below the neck
この動きが決まったら、ケベックへ出よう。水面から頭を出して、首の下にはアイス(ダイヤのジュエリー)。
Billboard Canadaは、Drakeが初めてヘッドライナーとして立ったのが2008年のモントリオールだったと書いている。逃げ場としてのケベックに聞こえるが、本人にとっては始まりの場所でもある。
黒、青、赤、紫、黄色。色が並ぶヴァース
フックは「I know what’s true(何が本当かは分かっている)」の繰り返しだ。ヴァースは一つしかない。その前半には、色を畳みかけるくだりがある。
Black skies, blue bills, my eyes turnin’ red
Purple stones incrusted, I can’t heal just yet
黒い空、青い札、赤くなっていく目。紫の石を埋め込んで、まだ癒えない。次の行では、薬のせいで黄色がオレンジに見える、と続く。札の青はカナダの5ドル札か、米ドルの新しい100ドル札か、どちらを指すかは明示されていない。筆者はカナダの紙幣を思い浮かべた。
母親を死ぬほど愛しているが、自分と母は同じではない、という一行もある。亡くした仲間を数えること、妙なことが起きていて、連邦捜査当局の仕業ではないかと疑うこと。『HABIBTI』の表題にある「愛しい人」の柔らかさとは、だいぶ違う重さだ。
2+1+3の答え
Two-one-three, add that up and tell me what you get
Twist the 6ix, I’m plottin’ every chance that I get
2、1、3を足して、何になるか言ってみろ。答えは6で、次の行の「6ix」、Drakeがトロントを呼ぶときの言い方につながる。213はロサンゼルスの市外局番でもあるから、LAからトロントへ足し算で戻る、と読むこともできる。筆者の読みであって、本人の説明はない。
「日本のスキンケア」が出てくる場所
日本のスキンケアに触れる一節は、ヴァースの後半にある。
All she want is Japanese skincare
And she want the Iceman to sleep here
彼女が欲しがっているのは日本のスキンケアだけ。それと、Icemanがここに泊まること。ここでのIcemanはDrake自身を指す。5月に出したアルバムのタイトルでもある。
前後を見ると、この行の直前には「Phantom at the crib, it must be haunted(家にファントムが停まっている、きっと幽霊屋敷だ)」というロールス・ロイスの洒落と、「skelly Cartier」、スケルトン仕様のカルティエの時計がある。ファントム、カルティエ、そして日本のスキンケア。車と時計が自分の持ち物として語られるのに対し、スキンケアは相手が欲しがるものとして置かれている。
後半では「According to(〜によれば)」という言い回しが重なる。相手の表情から、自分のチェーン、そして40人が乗れる飛行機へと、描写が移っていく。
フックに戻って終わる2分10秒
フックに戻って、曲は終わる。『HABIBTI (FOMO)』の4曲の中では一番短い。Billboard Canadaは、R&Bの入りから「滑らかで跳ねるラップ」に移る1ヴァースの曲と書いている。
短い曲だが、10月3日付のSpotify米国デイリーチャートでは10位、約81万回再生だった(kworbの集計)。同じアルバムから出た「Solar Eclipse」が4位、「Cold Shoulder」が12位で、4曲のうち3曲が上位に並んだ。
筆者が引っかかったのは、やはりスキンケアの一行だ。車や時計の銘柄は挙げるのに、ここでは「日本の」とだけ歌う。どの商品なのかは分からない。筆者には、その生活の一端が見える一行に聞こえた。
出典
- Spotify:Drake『HABIBTI (FOMO)』(2026年10月2日、13曲目「Quebec」2:10、ISRC USUG12604801)
- Genius:「Quebec」歌詞・クレジット(Produced by FASHXN, BEAM, Smash David & b4u)
- Billboard Canada:「Quebec」ミュージックビデオのYouTube公開と映像の内容、2008年のモントリオール初ヘッドライン公演(2026年9月21日)
- HotNewHipHop:「Quebec」の動画が公開翌日に非公開になったことを伝える記事(2026年9月20日)
- Rolling Stone Canada:『HABIBTI』に『FOMO』の4曲を追加(2026年10月2日)
- kworb:Quebec、Solar Eclipse、Cold ShoulderのSpotifyチャート履歴(2026年10月3日の米国欄)。米国デイリー最新一覧