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midwxst「DON’T TRUST」歌詞の意味を考察─”信じるな”ではなく、自分の言葉を信じきれないラブソング

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midwxst「DON’T TRUST」歌詞の意味を考察─”信じるな”ではなく、自分の言葉を信じきれないラブソング
midwxst「DON'T TRUST」ジャケット
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Text by HIPHOPCs編集部

midwxstの「DON’T TRUST」は、誰かを信じられない曲というより、自分の言葉を信じきれない曲である。

タイトルだけを見ると、他者不信のアンセムに見える。だが曲の中心にあるのは「信じるな」という攻撃ではない。「信じたいのに、言葉が追いつかない」という揺れだ。2026年6月12日にリリースされたこの新曲は、プロデュースをgreyrockとjunoesが手がけ、アルバム『SOLITUDE IN SILENCE』期の先行曲として位置づけられる。本稿では歌詞の意味を軸に、ハイパーポップ以降の歪んだ音像、エモラップの不安定なメロディ、短いフレーズで感情を切り出す現代的なソングライティングが交差する、2分台の一曲を読み解く。

この記事でわかること

  • midwxst新曲「DON’T TRUST」の歌詞の意味──“他者不信”ではなく“自己不信”の恋愛曲である理由
  • リリース日・レーベル・プロデューサー(2026年6月12日/Rebellion Records/greyrock & junoes)
  • アルバム『SOLITUDE IN SILENCE』期における本作の位置づけ
  • エモラップ〜digicore以降の系譜で、この曲がどこに立つか

「DON’T TRUST」歌詞の意味──“信じるな”は誰に向けられているのか

この曲で重要なのは、midwxstが単純に「人を信じるな」と言っているわけではない点だ。

フックの構造を分解すると、三つの動きでできている。まず相手の愛の所在を問いかけ、次に「自分の言葉を信じすぎるな」と自分自身への注意書きを添え、それでも「君のことは信じている」と相手への信頼だけは明言する。この三段の往復が、2分台の中で何度も反復される。つまりこの曲にあるのは、他者への完全な拒絶ではなく、相手を信じたい気持ちと、自分自身への不信感が同時に走っている状態である。強く突き放しているようで、実際には「本当は信じてほしい」「でも自分の言葉に責任を持ち切れない」という不安が漏れている。

ここにmidwxstらしさがある。彼の音楽は、感情をきれいに整理してから出すのではなく、整理される前のまま鳴らす。だから言葉は短く、メロディは揺れ、ミックスは過密になる。完成された告白ではなく、送信する直前のメッセージのような危うさがある。

音の主役は、派手さではなく“落ち着かなさ”

「DON’T TRUST」のプロダクションは、メロディックなオートチューン・ボーカルと、ノイズ感のあるビートを前面に出している。米HotNewHipHopも本作を、アンダーグラウンド発のキャッチーな新曲として紹介している。曲は冒頭(0:00〜)から「I am alive」というフレーズとjunoesのプロデューサー・タグで始まり、間を置かずにフックへ入る。重要なのは、そのノイズが単なる装飾ではないことだ。音数は多く、余白は少ない。ボーカルはきれいに前へ出るというより、ビートの中で少し擦れながら進む。そのせいで、曲全体に「落ち着きたいのに落ち着けない」感覚が生まれている。

これは、ハイパーポップやdigicore以降のサウンド感覚に近い。だが、100 gecs的な過剰なユーモアや破壊衝動というより、midwxstの場合はもっと内向きだ。音は派手でも、向かっている先はクラブの爆発ではなく、部屋の中でひとり考えすぎる時間である。HIPHOPCsのライター・Lucieも、オススメHipHopアルバム5選【Lucie編】でXXXTENTACIONやlilbesh ramkoと並べてmidwxstを挙げ、SoundCloudラップ以降の「破壊と抱擁」──歪んだサウンドと優しいリリックの化学反応──に触れている。「DON’T TRUST」の音像は、まさにその系譜の2026年版だ。

2020年の出世作「Trying」の頃から、彼の音楽は不満・失望・諦めが混ざった感情の揺れを核にしてきた。「DON’T TRUST」は、その初期からの感情線を、より短く、より硬く、より2026年的な音像に更新した曲である。メロディは長い物語を歌わず、感情の断片だけを反復する。

恋愛曲として読むと、鋭くなる

この曲を「人間不信の曲」とだけ読むと、少し浅くなる。本質は、恋愛の中で生まれる自己不信だ。相手の愛を疑っているようで、実際には自分の言葉、自分の約束、自分の持続力を疑っている。「君を信じている」と言いながら「でも自分の言葉は信じすぎないでほしい」と揺れる。その矛盾が、曲のいちばん人間らしい部分である。

現代の恋愛は、言葉が速すぎる。DM、ストーリー、既読、未読、短い返信。気持ちはすぐに送れるが、送った言葉の重さに自分が追いつけないことがある。「DON’T TRUST」は、その速度の中で生まれる曲だ。何かを約束したい。でも、自分がその約束に耐えられるかはわからない。だから強い言葉を使いながら、同時にその言葉から逃げようとする。

これはGen Z的な孤独というより、Gen Z的な自己防衛である。傷つかないために冷たくなるのではない。傷つける前に、自分の不完全さを先に差し出してしまう。その弱さが、曲の核になっている。

ポストSoundCloudラップの現在地

midwxstは、SoundCloudラップ以降の世代がどこへ向かったのかを示すアーティストの一人だ。2020年の「Trying」でdigicore/hyperpop圏から頭角を現し、Geffen Recordsからデビューアルバム『E3』(2023)をリリース。ミックステープ『BACK IN ACTION 4.0』(2024)、セカンドアルバム『ARCHANGEL』(2025)を経て、本作「DON’T TRUST」はRebellion Recordsからのリリースとなった。メジャー流通でのデビューから数年で、リリース体制そのものが移り変わっている──この経歴の曲線自体が、SoundCloud発の世代がたどる典型的なキャリアの形を映している。

Lil Peep、XXXTentacion、Juice WRLD以降、ラップは「強さ」だけでなく「壊れやすさ」を主役にできるようになった。その流れを、midwxstはよりデジタルな形で受け継いでいる。ギターやローファイな哀愁ではなく、歪んだボーカル、忙しいビート、短いメロディの反復で感情を作る。

ここで重要なのは、彼が単に「エモいラッパー」ではないことだ。midwxstの音楽には、インターネット以降のポップ感覚がある。曲は短く、フックは早く来る。感情は長い物語ではなく、切り取られた瞬間として提示される。だからTikTokやショート動画の時代にも合う(楽曲が発見され、消費され、定着していく現代の流れについては、現代HIPHOPディスカバリーファネル完全解剖で詳述している)。しかし、その短さは単なる消費のためだけではない。むしろ、長く語れない感情だからこそ、短い形になっている。

クレジットとリリース情報

「DON’T TRUST」は、2026年6月12日にRebellion Recordsからリリースされた(Shazamのリリース情報・レーベル表記)。Spotify上ではシングルとして配信され(収録時間は約2分25秒)、SpotifyやApple Music上では現時点で「DON’T TRUST – Single」として扱われている。HotNewHipHopなどは、まもなくリリースされるアルバム『SOLITUDE IN SILENCE』へ向けた新曲として紹介しており、同作期の先行曲と位置づけられる。

クレジットは一見、プラットフォームごとに表記が違うように見える。だが整理すると単純だ。作詞・歌唱はmidwxst本人。Shazamなどが作家名として表示する「Edgar Sarratt III」は、midwxstの本名(Edgar Nathaniel Sarratt III)であり、別人ではない。プロデュースはgreyrockとjunoesで、これはmidwxst本人がリリース告知(本人アカウント)で「@greyrock @junoes」とクレジットしているものだ。Audiomack上のクレジット表記でも、同じ2名がプロデューサーとして確認できる(Release Date:June 12, 2026/Rebellion Records)。

つまり、クレジットに“食い違い”は存在しない。表示が本名か芸名かの違いにすぎない。

曲名DON’T TRUST
アーティストmidwxst(本名:Edgar Nathaniel Sarratt III)
リリース日2026年6月12日
形態シングル(Spotify/Apple Music表記は「DON’T TRUST – Single」)/アルバム『SOLITUDE IN SILENCE』期の先行曲
レーベルRebellion Records
作詞・歌唱midwxst
プロデュースgreyrock、junoes(本人告知Audiomack表記
収録時間約2分25秒

HIPHOPCs編集部の評価

「DON’T TRUST」は、派手な一撃でシーンを変える曲ではない。だが、midwxstというアーティストの現在地を示すには十分に強い。評価すべきは、曲名の強さと中身の弱さがズレている点だ。強い言葉の裏で揺れているからこそ、曲は単なるムードでは終わらない。

一方で、弱点もある。曲の構成はかなり短く、展開も大きくはない。リリックも、深く掘るというより、感情の断片を反復する作りだ。従来のラップ・リリシズムを求めるリスナーには、物足りなく聞こえる可能性がある。しかし、その未完成さも含めて、今のmidwxstらしい。きれいに言い切れない感情を、きれいに言い切らないまま曲にする。そこにこの曲の価値がある。

HIPHOPCs評価:3.8 / 5
短さと反復には課題があるが、「自分の言葉を信じきれない恋愛曲」として聴くと、かなり鋭い。ハイパーポップ以降のエモラップが、2026年にどう変化しているかを示す一曲である。

こんな人に刺さる

  • midwxst、glaive、ericdoa周辺のdigicore/hyperpop以降のラップが好きな人
  • Lil Peep、Juice WRLD以降のエモラップを、よりデジタルな音で聴きたい人
  • 恋愛曲でも、甘さより不安や自己防衛が前に出る曲が好きな人
  • Playboi Carti以降のrage的な音像と、メロディックラップの接点を追っている人

FAQ

midwxstはどんなアーティスト?

midwxst(本名:Edgar Nathaniel Sarratt III、2003年生まれ)は、アメリカ・インディアナ州を拠点とするラッパー/シンガーである。エモラップ、ハイパーポップ、digicore、rage以降のサウンドを横断しながら、インターネット世代の不安や孤独をメロディックに表現してきた。2020年の「Trying」で頭角を現し、E3(2023)、ARCHANGEL(2025)などをリリースしている。

「DON’T TRUST」はいつリリースされた?

2026年6月12日にRebellion Recordsからリリースされた。SpotifyやApple Music上では「DON’T TRUST – Single」として配信されており、まもなくリリースされるアルバム『SOLITUDE IN SILENCE』期の先行曲と位置づけられる。収録時間は約2分25秒。

「DON’T TRUST」のプロデューサーは誰?

プロデュースはgreyrockとjunoes。midwxst自身がリリース告知でクレジットしている。作詞・歌唱はmidwxst本人であり、Shazamなどが作家名として表示する「Edgar Sarratt III」はmidwxstの本名で、別人ではない。

この曲のジャンルは何?

大きくはHip-Hop/Rapに分類されるが、実際の聴感はエモラップ、ハイパーポップ、digicore、trapの要素が混ざっている。特定ジャンルに閉じるより、ポストSoundCloudラップの一曲として聴く方が近い。

歌詞のテーマは何?

表面的には不信感がテーマだが、より深く見ると、恋愛の中で自分の言葉を信じきれない自己不信が中心にある。相手を突き放す曲ではなく、信じたい気持ちと自己防衛が同時に鳴っている曲である。

まとめ──「信じるな」ではなく、「信じたいのに怖い」

midwxstの「DON’T TRUST」は、派手なニュース性で勝つ曲ではない。だが、2026年の若いラップがどこに向かっているかをよく映している。強いタイトル、短い構成、歪んだ音像、反復されるフレーズ。その中心にあるのは、他者不信ではなく、自己不信だ。

「信じるな」と言っているのに、本当は信じてほしい。「自分の言葉を信じすぎるな」と言いながら、それでも言葉を差し出している。この矛盾を、midwxstは過剰な音と短いメロディの中に閉じ込めた。だから「DON’T TRUST」は、冷たい曲ではない。かなり不器用なラブソングである。

midwxst「DON’T TRUST」をSpotifyで聴く

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本記事は、公開プラットフォーム上の楽曲情報・配信情報、アーティスト本人のリリース告知、および各種音楽メディア・データベースを参照し、HIPHOPCs編集部の批評として構成している。楽曲解釈は編集部の見解であり、アーティスト本人の公式見解を代表するものではない。クレジット情報は公開サービスごとに表記差があるため、必要に応じて最新の公式クレジットを確認してほしい。事実関係(リリース日・レーベル・プロデューサー表記)の最終照合:2026年7月2日、HIPHOPCs編集部。

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HIPHOP Cs編集部
HIPHOPCs(ヒップホップシーエス)編集部は、海外/日本のヒップホップ専門のニュースチームです。速報だけでなく、データと一次情報をもとに動向を整理する「Intelligence Unit」として、週間ニュース総まとめ、チャートやトレンド分析、背景解説を定期配信しています。さらに、アーティスト/関係者への独占インタビューなど一次取材も実施。参照先は主に海外一次ソース(例:Spotify 等)で、誤情報は追記・訂正し透明性を重視して運営しています。