Natchan Montana「引越し FREESTYLE」を読む:変わる部屋、続いていく二人の生活
引っ越す歌なのに、別れの歌じゃない。
Natchan Montana(なっちゃんもんたな)とMouseが2026年6月12日に出したEP『NATCHAN MOUSE』。その最後に入っている「引越し FREESTYLE」は、部屋が変わっても一緒に暮らすほうを選ぶ、そういうラブソングだ。10月9日にGREENPLAZA制作のMVが出たので、これを機に歌詞を読み直した。
出ていく理由が、ちゃんと歌詞に書いてある
ある日、管理会社から電話がかかってくる。二人で住んでいた板橋の6畳は、そもそも単身用だった。だから出なきゃいけない。それだけの話だ。
関係が終わったから部屋を出る、という筋ではない。一緒にいたい気持ちと、ここを離れなきゃいけない事情が、歌詞の中で続けて出てくる。引越しが別れを意味しない。この曲の面白さは、まずそこにある。
木曜日の燃えるごみ。トクホ。特等席のIKEAの椅子。歌詞はそんな細部から、順番にあの部屋を思い出していく。二人だけのトークショーも、その部屋の記憶のひとつ。好きだという言葉がやけに重く響くのは、その手前に、一緒に暮らした時間がこれだけ具体的に見えているからだと思う。
気持ちは部屋の外にも出ていく。朝、満員の埼京線に乗る相手を同じホームで見送る。似合いそうなネクタイを贈りたくて、採点のバイトをする。母親に紹介するときに見せた名刺。引越しの荷物とカメムシの話には、露骨な下ネタまで混ざる。きれいな思い出だけを抜き出さない。可笑しいところも生々しいところも、そのまま歌う。甘い言葉と雑多な生活が同じ曲に並んでいるのが、このラブソングの率直さだ。
もちろん、歌詞の語り手と本人をいちいち重ねる必要はない。私生活の答え合わせより、この生活の描写をどうラブソングに組み立てたか。聴きどころはそっちだ。
6月の曲に、10月のMVという入口
「引越し FREESTYLE」は、6月12日配信の共作EP『NATCHAN MOUSE』の6曲目。全6曲の締めに置かれている。つまり新曲ではなく、4か月前から配信されていた曲に、いま映像が付いた。
音楽ナタリーの10月9日の記事によると、MVはクリエイティブユニットGREENPLAZAの公式YouTubeチャンネルの第1弾。プロデュースはLUKE、監督と撮影はTosa SUZUKI。
クレジット
| 項目 | 公式配信クレジット |
|---|---|
| 名義 | Natchan Montana & Mouse |
| 作詞・ラップ | Natchan Montana |
| 作曲・プロデュース | Mouse |
| レコーディング・ミックス・マスタリング | Tokiwa |
| 収録 | 『NATCHAN MOUSE』6曲目/全6曲 |
| 配信日 | 2026年6月12日 |
公式配信ページから、使っているサービスで聴ける。先に歌詞を読むなら、最初と最後に出てくる「いっしょがいい未来」と、そのあいだに挟まった管理会社の電話を見比べてみてほしい。出ていかなきゃいけないのに、一緒にいたい気持ちのほうは最初から最後まで動かない。MVから入った人も、歌詞を読んでからもう一度観ると、部屋の物の見え方が少し変わるはずだ。
文・編集:HIPHOP Cs編集部
参照資料:TuneCore Japan:公式歌詞/TuneCore Japan:『NATCHAN MOUSE』/音楽ナタリー:MV公開・映像クレジット/GREENPLAZA:公式MV。歌詞の読み解きは筆者の解釈で、描かれた出来事を本人の私生活の事実として扱うものではない。