【前編】知性と野性を操る、関西の異端児DJ GRINDの素顔
東京のクラブシーンに対抗心を燃やし、「東京に行くぐらいやったらニューヨーク行ったる!」と本当に海を渡ってしまった男がいる。
その名は、DJ GRIND。
スケートボードに明け暮れた少年時代。思いがけないケガをきっかけにターンテーブルと出会い、やがてHIP-HOPの本場ニューヨークへ。現地のクラブで腕を磨き、数々のアーティストとの遭遇を経験。さらには、旅行先のマイアミでまさかの留置場生活まで体験している。
ここまで聞けば、相当な破天荒ぶりだ。
ところが、話を掘り下げるほど、その印象はいい意味で裏切られていく。
音楽への造詣は深く、DJとしての技術や選曲については驚くほど論理的。クラブというビジネスの仕組みを理解し、仕事と家庭、そして音楽との距離感を冷静に見つめている。
尖っているようで、地に足がついている。
豪快に見えて、気遣いは案外きめ細かい。
そして何より、話がとにかく面白い。
知性と野性。一見相反する二つの顔が、この男の中では不思議なほど自然に共存している。
今回は、そんな関西の異端児DJ GRINDに、HIP-HOPとの出会いからニューヨークでの武者修行、マイアミでの珍事件、そして現在の人生観まで、たっぷりと語ってもらった。
さて、どこから突っ込めばいいものか。
第1章|スケボー少年、ターンテーブルに出会う
SEI:まずDJ GRINDさんのお名前の由来を教えてください。
GRIND:えーとね、僕は昔スケボー少年やって。それでこれ、スケボーのトリックの名前なんですよ、grindって。ほんで、僕が高校生ぐらいの時かな、その時に行ってた服屋さんに韻踏合組合のHIDAくんが働いてたんですね。
SEI:あら。
GRIND:そう、あの人、人の名前を決めるのをすごい昔からやってて。で「お前はスケボーしてるんやったらDJ GRINDや」っていうので、HIDAくんにつけてもらった。
SEI:それ以来、変えずにずっと使っていらっしゃるんですね。
GRIND:変えてないですね。
SEI:かっこいいお名前だと思います。HIP-HOPに出会ったのは、やはりスケボーを通してですか?
GRIND:今はインスタグラムとかでいくらでも見れるんですけど、スケボーしてた当時、ビデオでしか海外のスケボー見れなくて。
SEI:確かに。うん。
GRIND:そう。だからVHS観てたらやっぱ当時はこう、バギーなファッションが流行ってて、HIP-HOPが使われてて。それからHIP-HOPかっこいいなって感じでしたね。
SEI:そういうことなんですね。かっこいいから惹かれた。その当時誰聴いてましたか?
GRIND:その当時HIP-HOPのビデオは90sみたいなのがすごい多かったんですけど。あとはアンダーグラウンドなインストみたいなのが多かったんですけど。んで服屋の兄ちゃんとかにこう、Jay-Zとか聞いた方がいいよって言われて。Jay-ZとかニューヨークのHIP-HOPがその頃はすごい流行ってたんで。Jay-Z、Ja Rule、Nasとか、ああいうのばっかり聴いてましたね。
SEI:2000年代初頭とか、90年代終わりとかですよね。
GRIND:2000年代初頭ですね。Jay-Zの『The Blueprint』が出たのが、僕が中学2年の時だったんで。2001年かな。あれがすごい衝撃でした。
SEI:最初に買ったレコードは?やはりJay-Z?
GRIND:最初に買ったレコードは、そうですね。Jay-Zの『IZZO』と、あとはNasの『Nas Is Like』ですよね。
SEI:すごい定番。ド定番。へぇー。そこからDJになられるわけじゃないですか。DJ始めたきっかけっていうのは?
GRIND:それがすごい面白くて。 なんか地元でもすごい恵まれてて、今でも仲良くしてくれてる、地元でずっと一緒にスケボーをやってた兄ちゃんたちがいて。僕が中学生ぐらいの頃から一緒に滑ってた先輩の一人が、TIGHTBOOTHという、今も日本でずっとアパレル、映像を作ってる日本のスケートボードシーンのレジェンド、上野伸平くんなんですよ。
SEI:上野伸平さん。
GRIND:そうです。で、その上野伸平くんが僕より4つ5つぐらい上なんで、彼が車をゲットしたタイミングで僕が高1とかで、「単車売ったろ」みたいな感じだったんですよ。でも自分がその単車買って、その単車で事故って足悪くしてスケボーできんようになったんですよ。
SEI:それは一時期のケガ?
GRIND:そうなんすよ。なんか靭帯とか悪くしちゃって、スケボーするにも本気出したら結構足痛いし……みたいな感じで。治るのも時間かかっちゃって。で、「暇やな~何しようかなってな~」って。
その当時ZOO YORKっていうスケボーのブランドがあったんですよ。そのZOO YORKの「MIX TAPE」っていうシリーズのビデオがあって、それのオープニングで DJ Crazeがルーティンしてたんですよ。 で、そのCrazeのそのルーティンとか中学校の時とか見てて、DJかっこいいなと思ってて。
で、そこから「なんかじゃあ暇やし、DJやってみたいな」っていうので始めたんですね。それが高1、高2ぐらい。
SEI:初期の機材はどうやって?
GRIND:それもなんか恵まれてて、僕が一番仲良くスケボー一緒にしてた同級生の友達の姉ちゃんがターンテーブルとかを持ってるみたいになって。で、その姉ちゃんが社会人になってそれ触ってないから、譲ってもらえて。
SEI:ラッキー!巡り合わせじゃないですか。
GRIND:巡り合わせがなんか、結構よくある。
SEI:本当ですよね。引き寄せられるみたいな。当時影響を受けたDJとかアーティストさんはやはりCrazeさんとか?
GRIND:もちろんCrazeかっこいいなっていうのはずっとあったんですけど、そこからDJ始めて何年目やろ? 10年後ぐらいの時にCrazeと一緒にやって、本人にDJを始めたキッカケはCRAZEだと伝えられて。それはすごい良かったです。
SEI:へー、すごいな。
GRIND:でもなんか当時めちゃくちゃ影響受けたって言ったら誰ですかね…それこそほんまDJ RYOWさん、NEXT GENERATIONシリーズ、MIX CDとか。
SEI:その頃からRyowさんね。うん。
GRIND:MIX CDは結構いろいろ買ってましたね。SWINGさんとか。GEORGE君、LEAD君もそうですし。
SEI:初めて人前でDJしたのはいつですか?
GRIND:それがね、多分高2とかぐらいで。地元のスケーター友達が、なんかみんなラップするとかDJするとかなったんですよ。 で、なんかみんなでパーティーをじゃあミナミでやらなってなって始めたのが多分最初ですね。 めっちゃ人入って。
SEI:どこか箱を借りてパーティーしたんですね。
GRIND:そうです、そうです。一番最初アメ村のライブハウスみたいなのを借りて。 だから身内だけ。だからみんなクラブシーンなんて知らないんですよ。
SEI:身内だけか。どんな気持ちでした?その時。緊張してました?楽しかった?
第2章|「東京に行くぐらいならNYへ」謎の尖りとHARLEM
GRIND:ただ楽しかったですよ。
SEI:GRINDさん緊張します?DJやる時って。
GRIND:あ、あんまり緊張しないですけど、もうDJやって今年で20年ぐらいなんですけど、HARLEMだけは緊張する(笑)。
SEI:なんでHARLEM?
GRIND:それもなんか僕の中でストーリーがあって。僕が若い頃HARLEMすごかったんですよ。
SEI:まあそうでしょうね。今もですけど、当時も…はい。
GRIND:そう、なんやけど、なんか「HARLEMとか嫌や」みたいな、なんかあったんですよ、自分の中で尖ってて。
SEI:尖ってて(笑)。
GRIND:そう(笑)。東京が嫌いみたいな。そう。
SEI:嗚呼……。
GRIND:そうそうそう。謎の尖り。
SEI:謎の尖り。
GRIND:俺、「東京行くぐらいやったらニューヨーク行ったる!」みたいな。東京のやつに東京でやってるからってマウント取られるのすごい嫌やったから(笑)。「ニューヨークでやってるから!」って言わなあかんみたいなのがあって。だから自分から積極的に東京のブッキングを取ろうなんて一切なかった。
今20年越しにまわりまわってHARLEMに呼んでもらうってなった。HARLEMや!ってなって。
SEI:まわりまわってターンテーブルもGRINDさんもHARLEMに行きついた、と。
GRIND:だから特別感ありますね、若干。
SEI:面白いなぁ。DJを始めたその頃に思い描いていた、自分のDJの将来像みたいなものはあったんですか?
GRIND:それがね、一切何もなくて。で、ニューヨーク行く、行きたいっていうのもスケボーの時から思ってて。
SEI:あ、そっかそっか、なるほど。アメリカに行きたい動機はスケボーだったんだ。
GRIND:でも、例えばカリフォルニアやサンフランシスコとかはやっぱスケートボードも音楽と一緒でスタイルがあるんですけど。 なんかニューヨークだけその当時からダントツかっこよく見えたんですよ。
SEI:有名なニューヨーク出身のスケートボーダーがその当時いたんですか?
GRIND:いましたね。やし、なんか結構僕らも大阪って、そのSUPREME周りだとか、それこそ上野伸平もZOO YORKのライダーでしたし。なんかカルチャー的に結構東海岸寄りだったんですよ。
SEI:そうだったんですか。
GRIND:だからなんていうのかな、あったかそうな天気の人が集まるように、寒そうな場所でパーカーのフード被ってスケボーしてるやつらがかっこいい、みたいな。
SEI:ニューヨークの話が出たんですけど、GRINDさんはニューヨークにいつ頃渡って、どのぐらい滞在されていたんですか?
第3章|ブルックリンの路上、マンハッタンのフロア
GRIND:えっとね、ニューヨークは2010年かな2010年に行って、で、2013年まで…14年になる前ぐらい、3年半ぐらいですか。
SEI:3年半いらっしゃった。どのエリアに?
GRIND: DJ はマンハッタン、中目黒って感じですけど。
SEI:中目黒って表現が……(笑)。
GRIND:住んでたのはブルックリンです。
SEI:あ、ブルックリンに住んでたんですね。2010年代初頭のニューヨークのヒップホップシーンってどんな雰囲気でしたか?
GRIND:もうすごかったですよ。行った時は、めちゃくちゃマンハッタンにデカいトラップだけのクラブが建ってたんですよ。
SEI:おお、そっか、トラップ全盛期ですね。
GRIND:が、毎週潰れていきます。
SEI:え?今ですか?その当時?
GRIND:いやいやいや、その当時。
SEI:毎週潰れていくんですか?
GRIND:潰れてくんですよ、大箱が。で、エリアが変わるんですよ、完全に。それなんでかって言ったらEDMが来たからなんですよ。
SEI:ああ、そうなんだ。なるほど。
GRIND:2010年って確かSwedish House Mafiaが全米デビューした年で。でもやっぱその4つ打ちとかProgressive Houseみたいなんのすごい旋風が来て。だからOpen Formatとかって生まれ出したのは多分その時期ぐらい。
SEI:その時期だったんですね。へー。その当時、クラブとかストリートで印象に残っている光景とか思い出とかあります?
GRIND:あ、でもクラブはやっぱりマンハッタンでやってたんで、そこはEDMがかかってたんですけど。でも住んでたのはブルックリンなんで、すごい黒人とかレゲエとかも多かったんです。ジャマイカンとかもむしろ流行りっていうか、洗脳レベルで…(笑)。やっぱカルチャーってこういうことなんだなってすごい思いましたね。
例えば、マジで同じ曲を同じタイミングで聴くんですよ。Vybz Kartelのトラックが流行った時とか、リアルに街のジャマイカン全員Crocs履いてるんですよ(笑)。
でも僕が(NY)行った時に、丁度Vybz Kartel捕まっちゃったんです。まさか出てくるとは思ってなかったんですけど、そのKartelが捕まった時僕が住んでたブルックリンに、フラットブッシュってでかい道があるんですけど。そのフラットブッシュの道沿いの壁の至るところに「FREE KARTEL(カルテルを釈放せよ!)」とか貼られまくってて、すげえなみたいな。
SEI:町というかストリート挙げて。すごいですね。いや、ニューヨークって感じ。
GRIND:そう、あれすごかったです。
SEI:その当時、実際にクラブのフロアを盛り上げていたアーティストとか楽曲は?
GRIND:ニューヨーク…ニューヨークでいうと、僕世代で言ったら、Meek Millの『House Party』。
SEI:Meek Mill、はいはいはい。
GRIND::『House Party』とFrench Montanaの『Shot Caller』と。French Montanaがデビューしたぐらいなんで。『Shot Caller』と、まあでもあとはもうやっぱ根本は皆『Ni##as in Paris』一緒じゃないですかね。皆『Ni##as in Paris』誰が一番かっこよくかけれるか選手権みたいな。
SEI:へぇー。
GRIND:そのレベルでしたね。あとはRick Rossの 『B.M.F.』ですかね。
第4章|NYクラブ道場破り、実力とプライド
SEI:当時どうやってプレイされてたんですか? 口コミで知り合いづてとか、または道場破りみたいな?
GRIND:道場破りみたいな。
SEI:「頼もう!」みたいな感じで直接交渉?
GRIND:そうです、そうです。当時で言ったら、僕以外の日本人でめっちゃやってたDJって、今も東京いてはるんですけど、DJ Martin君。あとは僕が唯一当時頼りに(今でも)できた同じ大阪の先輩のDJ NORI。
Martin君がもうめちゃくちゃやってたんで、悔しくて。でも、そこの下についたって、もうMartin君超えれないじゃないですか。だけどMartin君、家がめちゃ近くて。しかもめちゃいい人なんですよね。
SEI:友達にならなかったんですか?
GRIND:いや、友達、友達。
SEI:あ、友達。
GRIND:友達なんすけど、お世話にはなりたくなかった。
SEI:プライドがすごい(笑)。
GRIND:そう、頼りたくなかったです。だから夜とかマンハッタン行く電車とかでたまにMartin君に会ったんですけど、僕はクラブに遊びに行ってるだけなんですよ。でも「Martin君今日どこっすか?」とか聞いたら、すげえクラブでやってるんですよ。マジか~みたいな。
それでなんか負けたくないなと思って、全然違うラインでいろいろ……。「日本から来たDJだからDJさせてくれ」みたいなのとか言いまくってましたね、いろんなやつに。
SEI:結構やらせてもらえるもんなんですか?
GRIND:やらせてもらいましたね、意外と。あとニューヨークも結構選曲いまだに変わってないってニューヨークにいる人間みんな言ってて。
SEI:ほうほう。
GRIND:僕らがやってた頃の選曲、まだ今も全然いけるぐらいの感じで曲変わってないらしくて。
SEI:もう10年、15年ぐらい?
GRIND:そう、15年ぐらい。
SEI:経ってますよね。
GRIND:なんか向こうって。メインの DJ 一人が例えばギャラ1000ドルとかやったら、そいつ一人しか多分ブッキングされてないんで、そいつがオープンとかクローズの DJ を自分で用意したりするんですね。
SEI:ああ、そういうもんなんですか。
GRIND:そうそうそう。要は自分で一晩やりたくないからとかで。それでオープンやったりとかクローズやったりとかをさせてもらってて。で、そこから「すごい、DJがいいから」っていう理由であるクラブで一晩やらしてもらったとかっていうのがありましたね。
SEI:ああ、それをきっかけにいろんなところでお声がかかったんですね。 ニューヨークとかDJの本場だしDJもあふれてるし、皆レベル高いというか耳が肥えてるから、「良い」って言われると嬉しくないですか?
GRIND:めちゃくちゃ嬉しかったし。でもなんか逆に、自分が外国人やからこんだけいろんなとこでやれたんかなと思うぐらい、やっぱなんか差別感じる部分もあったっすね。
SEI:良い意味での差別ですか?
GRIND:そう、普通にニューヨーク生まれてニューヨークで育ったらそんな簡単にこのクラブって入れへんかったろうな、みたいな。そもそもドア代を払うなんて文化がないんで。ドアマンがいて、ドアマンがいいって言ったらクラブに入れてもらえるぐらいの感じやったんで。
SEI:なるほどね。まあ女の子だったら結構いけるかもしれないですけど。
GRIND:それも面白くて。これ忘れられへんのですけど、高級クラブに遊びに行くじゃないですか。ドアマン知ってるから僕らはどんな服装でも入れますよ。Tシャツだろうが何だろうが。ですけど、入ろうとするのにめちゃくちゃ列ができてて、女の子に服掴まれまくるんですよ。「あたしも入れさせて」、みたいな。
SEI:ああ、あるある…。
GRIND:なんですけど、なんかドアマンのやつめちゃくちゃひどいんですよ。「お前ムリや。女だからって入れると思うなよ」みたいなこと普通に言うんすよ。
SEI:あー。顔とかセクシーな服装で選ばれるってよく言われるんですけど、そういうんじゃないですか?
GRIND:「お前ブスやし、だっさいから無理やから」みたいな。
SEI:ブスやしって言われるんですか?ちょっと待って、それ本当に?
GRIND:そうそうそう。「なんか無理やん」みたいな。「わかるやん」みたいなこと平気で言うんすよ。やばいなこいつらと思って。クラブ側が客を選んでるみたいな。
SEI:まあでもそうでしょうね。ある程度の品質管理じゃないですけど、一定の客層とかそういうのを保たなきゃいけないんでしょうね。
GRIND:言うたらキャバクラみたいなんじゃないですか。僕、日本ってキャバクラ文化がありすぎるからクラブが流行ってないと思ってて。向こうは 結局プロモーターが金持ちのテーブルにギャル付けするわけじゃないですか。ほんで、あのドア前のラインに並んでる女でも、可愛くてギャル付けできそうやなっていう女を選んで入れてるみたいな。
SEI:いや、そうですよね。
GRIND:そうなんですよ。だからクラブに遊びに来るっていうより、僕から見たらなんか全然違う感じでしたけどね。モデルの卵がパトロン探して来てるみたいな、金持ちクラブ。
SEI:いや、でもそれ大いにありますよね。こんなこと言ったらなんですけど、可愛い友達連れてった方が入りやすいっていうのは大いにありましたね。
GRIND:そう、ちょっと可愛いアジアンとかいたら無敵ですからね。
第5章|Busta Rhymes、Rihanna、街角のレジェンドたち
SEI:リアルなお話ありがとうございます。次の質問ですが、その当時、忘れられないDJとかMCとの出会いってあります?
GRIND:どうですかね。あの、Bruno Marsがまだ全然デビューしたてぐらいの時やって。
SEI:Bruno Mars!
GRIND:ほんでクラブで、まだ僕もそんなDJできてないような高級クラブ。で、知り合いのDJの人らについて行ってブースにいたんですけど、Bruno Marsはマジで遊びに来てスタッフみんなに挨拶したりとか。
SEI:彼優しい人らしいですね、めっちゃいい人っていう。
GRIND:めちゃくちゃいい人ですね。人となりがちゃんとしてるというか。
SEI:ああ、そうなんだ。
GRIND:あとはBusta Rhymesです。
SEI:え、Bustaさん?Bustaさんに会ったんですか?超羨ましい。
GRIND:Bustaめちゃくちゃかっこよくて。
SEI:かっこいいと思います。
GRIND:それこそ僕が行く前に、あの、『Arab Money』とかがむちゃくちゃニューヨークで流行ったのも、彼がDJみんなにUSB渡してたらしいんですよ。
SEI:えー、もう重鎮というか、OGなのに。
GRIND:そう、自分のこの曲かけてってみんなにUSB配って、ストリートから流行らせたみたいなこと言ってて。すげえなと思って。
まずね、Bustaだけはむちゃクラブにいるんですよ。その頃あのChris Brownとの『LOOK AT ME』とかも流行ってたんですけど、あれかかったりとかしたら、自分でマイク持って早口ラップその場でやってくれたりとか、結構ニューヨークならではみたいなのあったんですよね。
SEI:じゃあ生でBusta Rhymesさんを。えー、すご。
GRIND:全然関係ないですけど、あのBustaのめっちゃ面白い話あって。
SEI:どうぞお願いします。ぜひぜひ。
GRIND:あの、多分LAとかもそうなんですけど、ニューヨークとかは小学校のグラウンドとかで夏祭りみたいな、フリーブロックパーティーみたいなのがあって。
SEI:LAの地域や場所によりますが、もしかしたらそれはニューヨークならではかもしれないです。
GRIND:マジっすか。 そう、Summer Liveみたいな。
SEI:おお、いいですね。
GRIND:自分の家からほんまめっちゃ近い何ブロックか先の小学校かなんかのグラウンドでSalt-N-Pepaと。
SEI:え、Salt-N-Pepa!ちょっと大好きなんですけど。へー。
GRIND:そう、Salt-N-PepaとNaughty by Natureがタダのライブするって。で、タダやし見に行こうみたいな。見に行ったら、あの、なんでか知らないけどBustaが出てきたんですよ。
SEI:ああ、TreachとPepaは結婚してたし子供いるし、Bustaさんもお友達だろうし、まあ多分繋がってるんでしょうね。
GRIND:いや、ほんで「うわBustaや」ってなって見たら、「学校の前通ったら、Salt-N-Pepaがライブしてたから来た」って言ってて。やばすぎる、こいつと思って。
SEI:フットワーク軽いしネットワーク広いですね、Bustaさん。
GRIND:ただマイク持っただけやけど、なんかDJに俺の曲持ってない?って聞いて『Light your ass on fire』 を流して歌ってくれてましたよ。こいつマジ心底いいやつなんやろなと。
SEI:他にニューヨーク小話ありますか?
GRIND:ニューヨーク滑らない話もう一個あります。
SEI:あ、どうぞ。
GRIND:なんかブルックリンでブロックパーティーみたいなのあるんで、それこそその時にDJのSARASAさんとかもそこでDJしてたんですけど。
SEI:はいはいはい。
GRIND:A Tribe Called Questとか、あの、Pete RockとかCL Smooth、Nice & Smoothとか当時のOGなアーティストがブロックパーティーをやるみたいな(R.I.P GURU SET)。 で、それ遊びに行こうぜみたいな、友達連れてったんですけど、僕前日DJでめちゃくちゃ寝坊して。
で、僕友達に置いてかれて、とりあえず駅着いたんですけど、全然場所わかんなくて。 とりあえず歩いていたら前に黒人2人がいたんすよ。こいつらブロックパーティー行きそうだしついていこうと思って、後ろからついて行ってたら、そいつらが「お前ブロックパーティー来たんか」みたいに聞いてくれて。「あ、そうそう」みたい返したら、「お前こっから入られへんぞ。入り口向こうや」つって教えてくれて。「ありがとう」つったら、「俺ら今からライブするから見とけ」って言われて。ライブってこいつ誰なん? て思ってたらNice & Smoothやったっす。
SEI:すごい。え、気づかなかったんですか?
GRIND:全然気づかなかったですね。僕はあんまりそのOGたちに興味ないんで(笑)。
SEI:(笑)そうですよね。 GRINDさんの世代じゃないですよね。まあでも、すごいですね。NYに至っては、そんな身近にアーティストに遭遇できるんだという面白いエピソードですね。
GRIND:ブルックリン歩いてたらドレッドのおじいちゃんいて、「お前あいつ知ってっか?」つって。「誰?あのジジイ?」って聞いたら、Shabba Ranks(ジャマイカ出身のダンスホール・レゲエアーティスト。1980年代後半〜1990年代に活躍し、HIP-HOPとのクロスオーバーでも知られている人物)ってやつやって。
SEI:大御所を(笑)。他に何か印象的な出来事とか出会いとかDJ、MCとかいますか?
GRIND:印象的な……ああ、なんか、スリーフロアぐらい分かれてるクラブがあって。
SEI:はいはいはい。1階、2階、3階とか。はい。
GRIND:そう、ルーフトップがあって、スーパーVIPみたいなVIPルームみたいなんに分かれてるクラブ。で、そのスーパーVIPみたいなとこにDJブースがあるんですけど、マジ誰もいなかったんすよ。
で、誰もいないから、なんかあっさりした曲かけてたら「お前、ルーフトップの方は人パンパンやからもっと盛り上げろ」みたいなこと言われて。客ゼロの中でEDM全開でかけてるみたいなのがありましたね。
SEI:え、それかけさせられたってことですか?GRINDさんが。
GRIND:そう、もうだから盛り上がりとかわかってない。
SEI:で、結局……?
GRIND:したら、そっからめちゃくちゃ深夜にかけて、 ぶわーってそのスーパーVIPに客がいっぱい来て、 で、なんかキレイな女の人に肩叩かれてリクエストなんかなと思ったらRihannaでしたね。
SEI:え、マジで?リクエストじゃなかったんだ。
GRIND:そう。
SEI:何言われたんですか?
GRIND:いや、挨拶しに来てくれた。
SEI:あ、こんにちはみたいな?へー。
GRIND:そう。ほんでそこのマネージャーから「あんまりRihannaの曲かけんじゃないよ」って言われたんすけど、2曲目に『WE FOUND LOVE』かけだす俺みたいな。
SEI:忠告聞いてないじゃないですか。
GRIND:全然話聞いてないみたいな。
SEI:聞いてないですね。
GRIND:そう。もうかけたい衝動が抑えきれなくて(笑)。
SEI:いやー面白い。次は当時のニューヨーク、DJ同士の繋がりについて聞きましょうか。繋がりとか競争とかどんなんだったんですか?
第6章|DJ AMへの憧れと、HIP-HOPの「かけ方」
GRIND:ああ、でも僕、ニューヨークにほんまにDJ行こうと思ったきっかけって、DJ AMっていうDJがいて。そう、あのNicole Richieの元彼ですね。
SEI:あ、DJ Yukoさんのインタビューでも尊敬するDJでAMさん出していらっしゃいましたね。
GRIND:そう、彼が元々マイアミでずっと拠点置いてやってたんですけど、そのマイアミにあった「M2」っていうクラブがニューヨークにできて、で、その M2のレジデントで彼ニューヨークに移ったらしいんすよ。2009年、2008年とか。当時僕は20とか19とかそこそこやから、なんかできると思ってたんですよ。AMとやれるやろ!みたいな。絶対AMのDJ見たいし、AMと一緒にDJやりたいと思ってたんですけど、でもまだ僕2010年になるまで21歳になれんかったんすよ。
SEI:年齢制限。
GRIND:クラブに入れん年やったんですよ、まだ。
SEI:そうですよね。うん。
GRIND:だから自分が21歳になるまで待ってたら、行く半年前ぐらいにAM亡くなっちゃって。
SEI:タイミング悪!
GRIND:もうどうしようもないやんと思って、それでもニューヨーク行ったら、それこそニューヨークもAMが亡くなってから、DJのエージェント会社みたいなのができてて。
で、いろんな現場にDJを派遣するというか、現場を回るDJエージェントの「4AM」ができたんです。チームやったんですけど、「4AM」ってだから「AMのために」とかそういう意味と、あとニューヨークのクラブが4時に閉まるからとか、いろんな意味を掛け合わせたエージェントをやってて。
当時のメンバーで言ったら結構いましたね。PharrellのバックDJのJus Skeとか。あとはSINATRAとか、なんかいろんなDJがいて。だから4AMのパーティー行ったら、まあ精度が高いDJが聴けるみたいな感じで、当時は4AMのパーティーばっかり行ってました。
SEI:耳が肥えましたね。
GRIND:そう、でもなんか4AMがいたせいで、多分レジデントから外れたDJとかもいっぱいいて。
SEI:そっかそっか。
GRIND:なんか、結構資本主義になったなって。
SEI:資本主義、へー。
GRIND:DJのスキルがどうのこうのじゃない感じを、なんか垣間見たみたいな時でしたね。
SEI:このニューヨークでの経験って、その後のDJ GRINDさんのプレイスタイルとか音楽観にどんな影響を与えましたか?
GRIND:でもやっぱりHIP-HOPの掛け方の精度はめちゃくちゃ上がったと思うんですね。日本人っていろんなジャンルをかける時にHIP-HOPかけるのめちゃ下手なんすよ。
SEI:それあれですね、日本人DJとして日米の現場見てるから言えるお言葉ですね。
GRIND:「そうじゃないねん!」みたいな。でも例えばですけど、僕だってモーニング娘。の曲分かってるわけじゃないですか。っていうのと同じぐらい外国人、絶対Drakeの曲わかってるわけで。
SEI:ちょっと一時LAではあれだったんですけど、でももうDrakeかければ鉄板というか、盛り上がるっていう。
GRIND:それはDrakeはニューヨークの話であって、それこそKendrick Lamarのかけ方だったりとか。
SEI:ああ、なるほど。
GRIND:Snoopの掛け方であったりとか、まあそれこそ僕らで言ったらDr. Dreの『Xxplosive』とか、ああいう曲の持っていき方とかLunizの『I Got 5 on It』とか。なんか、ああいう絶対にみんなが知ってる、100%滑らないHIP-HOPっていう曲のかけ方、めちゃ下手くそなんですよ、日本人って。
SEI:ああ、まあ現場知らないし。うん。
GRIND:そう、ずっとなんかHIP-HOPのパーティーを日本人の前だけでやってたら、それは気づかないでしょうけど、やっぱ外国人相手とかにいろんなジャンル混ぜてやっちゃうと、そこでパッって流れ切り替えるのにHIP-HOPのパワーの強さがわからんという。
SEI:確かに確かに。
GRIND:違うじゃないですか。
SEI:違いますね。
GRIND:だから『Xxplosive』とかハマってかけたらもう絶対盛り上がる、っていうのを皆わかってないところを勉強させてもらったような感じがありますね。あの辺は死なないんで、曲として。
SEI:いつかけても大丈夫と。
GRIND:全然全然。あとdead prezの『Hip Hop』とか。ああいう曲の掛け方というか、持っていき方みたいな、「こうやってかけるんや」みたいな。Jay-ZとKanyeのあの『Mercy』とか、ああいう曲自体のパワーをやっぱり日本にいるだけじゃ知らんかったやろなと思うんですね。
第7章|毎日が漫画だったニューヨーク
SEI:このニューヨーク時代の話で、なんか他に何かシェアしたいこととか、まあ質問出せばいっぱいあるんですけど、むしろDJ GRINDさんがなんか持っているお話とかあればぜひ。
GRIND:あ、もう全然DJ関係ないですけど。あの、ニューヨーク行った時最初貧乏で。洗濯も節約するために、マジで持ってるパンツとか全部コインランドリー持って行って、ほぼノーパンの半パンでドキドキしながら外でタバコ吸って待ってたんすよ。
そしたら白人のめっちゃ綺麗な女の人に「ハイ」って声かけられて、振り向いたらトップレスでカメラぶら下げてて。やっぱ俺、アメリカではまだまだ規模が小さいな、って思ったことぐらいですかね(笑)。
SEI:載せていいんですか?それ。
GRIND:全然大丈夫です。俺みたいなやつまだまだ修行が足らんな、と。
SEI:なるほどね。ほぼノーパン状態でランドリー前でタバコふかしてるぐらいじゃまだまだ青い、と。
素晴らしい経験をされたようで、何よりでした。もう既に衝撃的なお話をいくつかいただいてるんですけど、当時のニューヨークのヒップホップシーンで今なら考えられないような出来事とか何かありました?
GRIND:今なら考えられへんような出来事……どうですかね。難しいな。でも毎日漫画みたいなもんでした。
SEI:漫画ですか。
GRIND:めちゃくちゃちっちゃいクラブ…マジで30人ぐらい入ったらパンパンみたいなクラブ。いや、クラブっていうか、もうなんかレストランの地下みたいなところで、オープンDJを友達がやってて見に行ってて。で、マジでこんなとこでパーティー成り立つん? って思ったら、NFLの選手の誰かがプライベートの誕生日会みたいなんやって。そんな人数居ないのにFrench Montanaがライブしてたのは、衝撃でした。
SEI:すごい。でもきっと友達だったんでしょうね。
GRIND:30人のうちの10人ぐらいはCoke BoysやったんじゃないかっていうぐらいFrench Montana層が多かった。
SEI:関係者だったんでしょうね。
GRIND:なんかそういう小さい箱で、あり得ないぐらいお金使ってるのを見て、何て言うのかな?大箱がかっこいいっていうのがなくなって。
SEI:あーそっか、量より質…じゃないけど、大箱だけじゃないみたいなね。うんうん。
GRIND:ニューヨークってそんな大箱がなかったです。1Oak(高級ナイトクラブ)ですらそんな大きくなかったですし。だから客を入れてドリンクの売り上げで稼ぐとかじゃないですね。一人一人の単価を上げて大事にするみたいな。
SEI:ああ、なるほど。
GRIND:なんかクラブのあり方自体の違い。
第8章|マイアミ珍道中、留置場とオートミールと不動明王
SEI:ありがとうございます。ちょっと噂で聞いた話なんで……これNGだったら削除しますが、昔マイアミの刑務所にお世話になったっていう噂を耳にしたんですけど。あえて理由は伺わないようにしますが、GRINDさんがお話できる範囲で、当時の生活とか経験とか教えてくださいますでしょうか。
GRIND:旅行中に、つかまったんですけどね。
SEI:なんでマイアミにいたんだ?と思ったんですけど、旅行で行かれたんですね?
GRIND:なんか旅行行ったら捕まりましたね(笑)。
SEI:ご愁傷様です。あの、マイアミの刑務所での経験についてちょっと教えていただきたいんですけど。施設内の一日ってどんな感じに始まってどんな感じで終わるんですか?
GRIND:なんかね、人〇そうが万引きしようが最初はみんな同じ留置場みたいなところに入れられるんですよ。
SEI:犯罪の大小に関わらず?
GRIND:そう。でも僕は日本で捕まったことがなかったんで。まず捕まった日にもう裁判があるんですよ、一回目の。で、そこで例えばその起訴した相手側が何て言ってるかとか、その私選弁護士か国選弁護士かみたいなのをまず決める裁判みたいなのがあって、裁判所に連れてかれるんですね。
とりあえず国選弁護士が決まって、ほんでなんかバスに乗せられて、その後2段ベッド50台ぐらいある留置場みたいな、100人部屋みたいなところに入れられるんですよ。
SEI:はい。
GRIND:で、まあそこではまだ私服なんすよ。
SEI:あ、みんな私服なんですね。
GRIND:いや、すごい長い間いるやつは私服じゃないんですけど。
SEI:オレンジ着てたんですね。はい。
GRIND:そう。で、私服でそこに多分2日ぐらい入れられたんですかね。もう時計もないし、時間の感覚がなかったんすけど。
SEI:感覚もね。ほおほお。
GRIND:で、寝てる間に叩き起こされて。そしたらなんか5人ぐらい連れてかれるんですよ。謎のバスに乗せられて。そして電動ゲートみたいなの10回ぐらいくぐった後で。
SEI:電動ゲート10回。はい。
GRIND:で、全員で外向いて両手を後ろで組め、って言われて。
SEI:映画とかでよく見るあれですね。
GRIND:そう。で、名前読まれて後ろからクソでかいカバン投げられるんすけど、みんな後ろで手組んでるから、絶対こけるんですよ、それ当たってバフって。ほんで、そのカバン持って指定された部屋行けみたいなことを言われて行ったら、中にオレンジの服とか寝具とか入ってて、すげえ軽犯罪者しかいない場所で。
SEI:あ、移動させられたんですね。
GRIND:そんな感じの場所に移動させられて。で、そこはなんかもう24時間映画見放題、ジュース飲み放題みたいな。
SEI:あら、満喫みたいな感じ。
GRIND:そうなんすよ。で、なんかそこに結局2~3週間ぐらいいたんですけど。そこはすごいピースフルな感じでしたね。
SEI:平和な場所だったんですね。ルームメイトはいましたか?
GRIND:ルームメイトはそこは多分20人部屋ぐらいの大部屋で。
SEI:あ、そうか、20人部屋か。
GRIND:ジェイルメイトも、もうほんまホームレスで万引きしたおじいちゃんみたいな。
SEI:万引きじいさん。
GRIND:ここだとタダ飯食えるから、みたいな。
SEI:それは世界共通なんですね。
GRIND:俺はもし出ても、また秒で万引きしてやる!みたいなおじいちゃんで。
そこに行ったら、朝6時ぐらいに起きてから自由活動時間なんすけど。そっから昼の2時ぐらいになったら1時間半ぐらい外に出れて、バスケとか運動できるみたいな時間があって。で、また自由時間で、その後寝るみたいなだけの生活やったんですけど。そこやったら外も見えたんですけど。
SEI:外が見れたんですか?その部屋からは。
GRIND:そうそう、そこは外が見れたんですよ。
SEI:よく外が見えないから、外の景色が見たいとか聞きますもんね。あとは、ちょっとだけ外が見えるちっちゃい窓とかね。
GRIND:そこは、幼稚園みたいな感じでしたね。
SEI:幼稚園!囚人の幼稚園ですか。その表現が……(笑)。
GRIND:ほんでなんかグラウンドからバリでかい黒いタワーみたいなの見えて。
SEI:タワー、はい。
GRIND:あれ何?って聞いたら、あれマイアミにある「Mega Jail(メガジェイル)」とか言われて。あれはもう終身刑のやつしか入ってないから、中に警察もおらんみたいな。どうせ死〇しみたいな。
SEI:あ、そうなんだ。へー。
GRIND:そう。で、あれ俺が行ったらどうなるん?ってジェイルメイトに聞いてみたら、お前なら1時間以内に死〇って言われましたね。とりあえず、いやもう中の奴が入った奴面白がってイジメで殺〇みたいな。
SEI:なんか人の命が軽そう……。
GRIND:やべえみたいな。
SEI:じゃあGRINDさん、マグショットも撮ったんですね。
GRIND:マグショット撮りましたし、手のそんなとこまで指紋取られるのか!というとこまで指紋取られましたね。マグショットくれって言ったんですけど、くれんかったですね。
SEI:まあもらえないでしょうね(笑)。え、あの当時もお身体に入れ墨みたいなのは入ってらっしゃったんですか?
GRIND:入ってたから大人気でした(笑)。
(注※本記事では、DJ GRIND氏のタトゥーを含む外見や自己表現について、本人の個性として尊重し、掲載しています。)
SEI:ですよね(笑)。日本の入れ墨って世界中で大人気ですよね。
GRIND:そう、ほんで僕足に不動明王が入ってるんですよ。
SEI:あ、かっけー。
GRIND:で、ジェイルメイトのひとりから、「お前なんやねんこれ」みたいなん聞かれて。「こいつごっつ燃えてるけどこれなんやねん?」みたいな。
SEI:燃えてるけどって…(笑)。
GRIND:僕もあの、なんて説明したらいいのかわかんなくて、英語も伝えづらくて。
SEI:まあそうですよね。不動明王なんて日本語でも咄嗟に説明できないですよね。
GRIND:聞かれたからとりあえず、「Fire God in hell」って(笑)。
SEI:アメリカ人って、本当に入れ墨好きで、見せると超興奮しますよね。
GRIND:なんか朝礼みたいなので並ばされて、その場で点呼みたいなの取られるんすけど、そこで何故か俺だけ看守室に呼ばれて、なんやねんと思ったら「お前のタトゥー見してくれ」みたいな。看守の前で服脱がされるみたいなのあったっすね。
SEI:いや、みんな多分見たいんすよ。だって見れないですもん。恐らく893って思われたと思いますよ。日本のHIP-HOPヘッズって結構入れてる方いると思うんですけど、海外では大人気なんですよね。
GRIND:大人気です。
SEI:なのになんで注射針怖がってるんですか?注射怖いとか、私、彫りの方が怖いっす。
GRIND:だってあんな体に穴開けるのがちょっと無理なんで。
SEI:え、でも入れるのってもっと痛くないですか?
GRIND:めちゃくちゃ痛いです。
SEI:ですよね。
GRIND:めっちゃ痛くないです。
SEI:どっちなんですか?(笑)とりあえず、ありがとうございます。 えーと、じゃあそこでね、いろんな人に出会って、忘れられない出来事もいろいろお聞きしたんですけれども、その経験を得て人間関係とか、人生に対する考え方とか、なんか変わったことありますか?
GRIND:なんかでも、あの、普通にあのヘタこいたら捕まるなっていうことを学びましたね。
SEI:ああ、そうですね。わかります。あの、結構気をつけないと。
GRIND:普通に生きないとダメやなっていう。はい。
SEI:ちなみに自由時間のアクティビティはなにをしていらっしゃったんですか?
GRIND:おじいちゃんとかと、謎のスペイン語映画観たりビンゴゲームしたり、クロスワードパズルやってました。
SEI:やってること老人ホームじゃないですか(笑)。ジェイル飯は?
GRIND:オートミールばっかり食べとったんですよ。
SEI:オートミール…。
GRIND:そう。オートミールと、チキンカツレツみたいなのと、サラダみたいなのとか。あとはサンドイッチとかでしたけど、オートミール不味すぎて。
SEI:あれ、アメリカの朝食ですよね。
GRIND:あのオートミールは米みたいになる日もありゃ、デザートみたいになる日もある。メープルシロップかけて食えみたいな日もあって(笑)。でもなんか……。
SEI:デザートになる日もあるとか超笑えるんですけど。砂糖混ぜたり、メープルシロップとか蜂蜜かけてますよね。
GRIND:めっちゃ不味いじゃないですか。
SEI:不味い。不味いけどなんかメープルシロップとかでごまかして食べるみたいな。でもあれ結構アメリカ人好きだし、定番朝食ですもんね。
GRIND:いやなんか、で、オートミールに塩かけて食う日もあれば、メープルシロップかけて食う日もある。
SEI:そうそうそうそうそう。あれ小豆みたいなもんですよね。塩で食べるメキシカンの豆みたいなのと、砂糖で和菓子の餡子でいただくみたいな。
GRIND:いや、あれマジで%$@#+*の食い物やと思って。
SEI:ダメダメそれ言っちゃ、そこ言っちゃダメ。ちょっとそこら辺は違う言葉で表させていただきます。でも、わかります。
GRIND:だからジェイルメイトのおじいちゃんに「ちょっとこれ無理かもしれん食べられへんわ」って。だからおじいちゃんにあげるって言うたら「お前そんなんじゃ栄養足りんからこれ食べ」いうて、おじいちゃんもデザート俺にくれて。ずっとそれ交換してたんですよ。
SEI:おじいちゃんとは微笑ましく暖かい交流があったようですが、堀の中で人との信頼関係ってどんな感じで築いたんですか?やっぱそういう食事交換とか、タトゥーの見せ合いとか、そんな感じですか?
GRIND:あれですね。みんなレベル低い芸人みたいで、仲良かったですよ。
SEI:あ、本当に和気あいあいとしてたんですね。良かったです。まあいい経験されたみたいで。
GRIND:いい経験でしたね。
ニューヨークで夢を追い、マイアミではまさかの留置場生活。だが、DJ GRINDの物語はまだ終わらない。
帰国後に待ち受けていた生活と思想の変化、そして彼が貫くHIP-HOP哲学とは?
異端児の「流儀」に迫る後編も、お楽しみに!
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