Drake「Janice STFU」に著作権侵害訴訟 サビの制作経緯をめぐりDrake側は否定
またDrakeのゴーストライター疑惑が持ち上がるのか。長く彼を追ってきた身として、今回のニュースにもそんな思いが頭をよぎった。
ただ、訴えられたからといって盗作と決まったわけではない。Drake側は全面否定している。話題には事欠かない彼だが、今回は何が起きたのか。双方の言い分を見ていこう。
Drake(ドレイク)の「Janice STFU」をめぐり、ソングライターのAviel Calev Hirschfieldが著作権侵害を主張する訴訟を起こした。米国時間2026年10月16日の提訴をHotNewHipHopなどが報じている。争われているのは、曲のサビの制作経緯だ。
原告はDrake向けデモとのサビの一致を主張
Billboardが入手した訴状の内容を伝えたHotNewHipHopによると、Hirschfieldは2025年12月から2026年1月にかけ、プロデューサー・デュオFNZの伴奏を使ってDrake向けのデモを制作したと主張している。FNZやDrake周辺のプロデューサーに送ったものの返事はなく、5月に発表された「Janice STFU」で、自分が書いたものと同じ歌詞・メロディーのサビを聴いたという。
同サイトによると、FNZは同曲のソングライターとしてクレジットされている。一方、Hirschfieldは自分の名前が外されたと訴え、作者としてのクレジットと楽曲収益への取り分を求めている。
Drake側は全面否定。原告は録音データへの疑いにも反論
TMZに対し、Drake側は、Drakeが書いた曲で、原告とはつながりもなく、その人物を知らないと全面否定。訴えは金銭と注目が目的だと反論した。
Complexは、原告がDrakeとともに、Beyoncéの2022年作『RENAISSANCE』に収録された「Heated」の共作者だと報じている。ただし、同じ曲の作者に名を連ねることは、直接の面識や制作現場でのやり取りがあったことを意味するとは限らない。
また、HotNewHipHopは訴状の内容として、原告がDrake側から録音ファイルのメタデータ(作成日時などの付随情報)を改変したと疑われた、と伝える。原告側の弁護士は、原告が証拠を偽れば、そのキャリアを損なうことになるとして、この疑いを退けている。
「I Follow Rivers」の取り入れと、サビの作者をめぐる主張
HotNewHipHopは、デモと「Janice STFU」の双方がLykke Liの「I Follow Rivers」を取り入れていると説明している。原告が自分の創作だと主張するのは、元の曲にはない歌詞を含むサビの部分だという。
既存曲の一部を新たに演奏・歌唱して別の録音へ取り入れる手法は、インターポレーションと呼ばれる。既存の録音そのものを使うサンプリングとは区別される。
ここで分けて考えたいのは、参照元の曲があることと、そこに加わったサビを誰が書いたかという主張だ。「I Follow Rivers」との共通点だけを聴き取っても、完成曲のサビが原告のデモに由来するのかどうかまでは確かめられない。
首位獲得の続報として、制作の経緯を追う
「Janice STFU」はDrakeにとって通算14曲目のHot 100首位曲で、男性ソロアーティストの最多記録でMichael Jacksonを抜いた。これはBillboard JAPANのチャート記事でも確認できる。
HIPHOPCsは5月27日に同曲の首位デビューを報じ、6月には『ICEMAN』のチャート推移を追った。10月14日には、『HABIBTI』のR&B/ヒップホップ・アルバム・チャート初首位も伝えている。今度は、その「Janice STFU」のサビを誰が書いたのかが争われている。
本誌がこの訴訟で注目するのは、制作の仕事と、作品に記されるクレジットの関係だ。サビがいつ、誰の手で生まれ、どう完成版に至ったのか。名乗り出たソングライターの主張も、Drake側の否定も、首位獲得という実績やアーティストへの好悪と切り離して検証する必要がある。
確認日:2026年10月17日。本稿の訴訟に関する記述は米メディアの報道に基づく。訴状原本、原告のデモ音源、当事者間の通信記録は本誌未確認。裁判所による実体判断は確認資料に含まれておらず、双方の主張を認定済みの事実として扱っていない。
写真:2016年7月31日、トロント公演でのDrake。Charito Yap / The Come Up Show「Drake and Future 2016 Summer Sixteen Tour」。Wikimedia Commons掲載のCC BY 2.0版(2017年1月24日ライセンス確認)を使用。Flickrの現在の表示はCC BY-ND 2.0。表示用に縮小。今回の訴訟時の写真ではない。