Che Noir「Urban Essence」——Havocとの新曲から聴きたい2枚のアルバム
Che Noirの新曲「Urban Essence」は、Mobb DeepのHavocが制作し、The Uceがフックを担う。2026年9月25日にリリースされた、10月23日発売予定のアルバム『It Takes A Village』の最初のシングルだ。公式Bandcampと、本人コメントを掲載したBlackout Hip Hopで発表されている。
Havocとの新曲を入口に、今回はChe Noirの「作る側」の顔をたどりたい。Apollo Brownと音について相談した『As God Intended』、自身のビートにRapsodyを迎えた『The Lotus Child』。制作時の言葉を並べると、共演者の名前だけでは見えない、彼女の作品への関わり方が浮かぶ。まずは新曲を再生してほしい。
ラップより先に、ビートを作っていた
Blackout Hip Hop掲載のコメントで、Che Noirは「Urban Essence」を、自分が育ったニューヨークの音の二世代が交わる特別な曲と説明している。HavocのプロダクションとThe Uceのフックがそろい、原点につながるような感覚があったという。
そのChe Noirは、ラップを始める前にビートを作っていた。2020年のDJBoothインタビューによれば、15歳でビート制作を始め、16歳になると自分のビートの上でラップするようになった。プロデューサーは、音楽活動の出発点にあった役割なのだ。
だから、誰がビートを手がけたかに加え、Che Noirが制作にどう参加したかにも目を向けたい。その手がかりが、次の2枚にある。
戻って聴きたい2枚——音を相談し、自分の音に招く
『As God Intended』:Apollo Brownとの共作にあった対話
2020年7月10日発表の『As God Intended』は、Che NoirとApollo Brownの共同名義作。DJBoothの同じインタビューで、Che Noirは、Apolloが電話で音やサンプルを聴かせ、意見を求めてくれたと話している。ビートは5曲ずつ、3回に分けて届き、その都度じっくり取り組めたという。
Che Noirは、自分が何を伝えたいのかを考える余裕もあったと振り返っている。
ここから選ぶのは、Black Thought参加の「Hustle Don’t Give」。Black Thoughtは次作『It Takes A Village』にも参加が告知されており、2020年の共演を聴いてから新作を迎えられる。ただし、上の制作談はアルバム全体についてのものだ。
『The Lotus Child』:Rapsodyを迎える、プロデューサーの顔
2024年10月25日発表の『The Lotus Child』では、自身のプロダクションが軸になる。発売時に公表された曲目では、8曲中7曲をChe Noirが制作し、最後の「Angels」をStatik Selektahが担当している。
入口に選ぶ「Black Girl」もChe Noir制作。迎えたRapsodyを、公式プロフィールは、彼女が長く影響を受けてきたアーティストの一人と紹介している。憧れてきた相手と、自分の作る音の上で共演する一曲だ。
完成までには手間もかかっている。その発表を掲載したVannDigitalの本人コメントによると、この曲は二つの異なる版を録音したという。同じコメントでChe Noirは、アルバムで制作の腕を示すために音楽家たちも招き、自分の構想を形にしたと説明している。セルフプロデュース作にも、ほかの人と作る過程があった。
Apolloとの制作では音への意見を求められ、『The Lotus Child』では音楽家を招いて構想を形にする。2枚では、Che Noirが制作に関わる立場が異なる。今回の「Urban Essence」の制作表記はHavocだ。その曲でラップするChe Noirを、自らも音を作り、共演者を迎えてきた表現者として聴く。この2枚は、そのための背景になる。
新作を待つ間に聴く3曲
『It Takes A Village』は2026年10月23日発売予定。Blackout Hip Hopの発表では、Black Thought、Ransom、Bruiser Wolfらの客演と、Conductor Williams、Mathematics、Nottzらによる制作が告知されている。
Che Noirは次作について、親になることや成長を通じて、物事を見る視点が増えたと説明した。これはアルバム全体についての言葉。各曲にどう表れるかは、発売後に確かめたい。
その前に、この順番で3曲を。
- 「Urban Essence」feat. The Uce——Havoc制作の新曲。本人が語る、育ってきたニューヨークの音とのつながりを入口に。
- 「Hustle Don’t Give」feat. Black Thought——Apollo Brownとの共同名義作から。次作にも参加するBlack Thoughtとの過去の共演を聴く。
- 「Black Girl」feat. Rapsody——Che Noir自身が制作し、長く影響を受けてきたRapsodyを迎えた一曲へ。
この3曲では、Che Noirの声を支えるビートの作り手が、Havoc、Apollo Brown、Che Noir自身と変わる。最後にもう一度「Urban Essence」へ戻れば、Havocとの共演に、自分でも音を作り、共演の場を築いてきたChe Noirの歩みを重ねて聴けるはずだ。
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文:HIPHOP Cs編集部
※発売予定と参加者情報は2026年9月28日時点。本稿は公式の作品情報、公開インタビュー、公表コメントをもとにした作品案内です。動画はChe’ Noir公式YouTubeのビジュアライザーを埋め込んでいます。