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Kirk Franklin「This Time」feat. GloRilla 歌詞を読む 「Dey Know」のホーンと、「それってどういう意味?」

USヒップホップ5 min read

Kirk Franklin(カーク・フランクリン)の「This Time」は、アトランタのクラブで鳴ったホーンを、ゴスペルの真ん中に迎え入れた曲だ。2026年9月25日配信、2分46秒。客演はメンフィスのGloRilla(グロリラ)。10月30日に出るKirk Franklinの14枚目のソロアルバム『I Am What I Am』の先行曲で、Uptown Recordsから出た。Kirk Franklinは9月8日、自身のFo Yo SoulとTRIBL Music Groupを残したまま、Uptownとの提携を発表したばかりだ。

配信日 2026年9月25日
名義 Kirk Franklin feat. GloRilla
収録 シングル/2分46秒(アルバム『I Am What I Am』10月30日発売予定)
元ネタ Mandrill「Children of the Sun」(1972年)
権利表記 © ℗ 2026 Fo Yo Soul Recordings/TRIBL Music Group(Uptown Records/UMG へ独占ライセンス)

そのホーンは、2007年のアトランタで鳴っていた

イントロのホーンを聴いて、ゴスペルより先にアトランタを思い出した人は多いはずだ。Mandrillが1972年に出した「Children of the Sun」のフレーズ。2007年、Shawty Loはこのネタで「Dey Know」を作り、Billboard Hot 100の31位まで上げた。D4Lの一員だったShawty Loの、ソロの代表曲だ。自分が何者か、街の連中はみんな知っている。そういう曲だった。

同じホーンに乗せて、合唱が歌うのは、苦しい時期をくぐり抜けた手応えだ。今度は大丈夫だ、と何度も繰り返す。神に守られているのだから、ひとりで抱え込まずに任せればいい。そう呼びかけて、手を上げさせる。曲の大半は、この合唱が占める。ラップに合唱を添えた曲ではない。ゴスペルの中心に、ラップで親しまれたホーンの響きを呼び込んだ曲だ。

Kirk Franklinがヒップホップに近づいたのは、これが初めてではない。1997年の「Stomp」のリミックスでは、自分のゴスペルの曲にSalt-N-PepaのSaltを迎えた。2016年にはKanye Westの「Ultralight Beam」に、祈りの場面を持ち込んだ。今回は、アトランタのラップで親しまれたホーンのフレーズを、自分のアルバムの先行曲に取り込んでいる。

「B&Bって何?」と、Kirkが聞く

GloRillaのヴァースは一度だけ、二つのフックの間に来る。短いが、その中にKirk Franklinとの掛け合いが何度も挟まる。

GloRillaも、まず神に助けを求めるところから入る。うまくいかない時にも導きはあると信じ、祈ることにかけては誰にも負けない、と言い切る。そこから今の暮らしの話になる。

‘Cause I could be in the dirt right now, instead I’m on the beach

本当なら土の下にいてもおかしくなかった。なのに、今いるのはビーチだ。そのままGloRillaは「B&B」でくつろいでいる、と続ける。そこでKirk Franklinの「それってどういう意味?」が挟まる。GloRillaの答えは、自分は「bag」に入っている、つまり稼ぎも調子も上々だ、という言い回しだ。祝福されて、目をかけられている。今の一言で、アルバムの題まで決まってしまったかもしれない、と続ける。iHeartはこの一節を、次のアルバムの方向を示すヒントと受け取った。

合いの手はほかにもある。「どうなる?」「でも何だ?」。ヴァースの隙間でKirk Franklinが聞き返し、GloRillaが答える。教会で牧師と会衆がやる掛け合いの形だ。同時に、ラップの曲でハイプマンが入れる声の役でもある。この掛け合いが、GloRillaのヴァースを説教の途中の証言のように聴かせる。

ヴァースの終わりでは、しつこく働く悪魔と、それでも負けていない自分を並べる。受けた恵みはまだ終わっていない、とも言う。悪魔に「work ethic」という言葉を当てるのは、いかにもラッパーの口ぶりだ。

教会の曲に、ストリートのネタを使っていいのか

配信の週、The Shade Roomが紹介したSNS投稿には、この曲を歓迎する声と、否定的な声が並んだ。Shawty Loのネタを使うのはいかにもKirkらしい、という投稿もあれば、新曲は好きになれない、という投稿もある。Kirk Franklinは発売前の9月22日、iHeartの番組「Joe and Jada」でこの曲を先行披露した。iHeartの番組紹介によると、UsherやChris Brownと舞台裏で一緒に祈ることについて、一部の宗教関係者から批判を受けているとも語った。

GloRillaとKirk Franklinの共演は2度目になる。2024年の『Glorious』に入った「Rain Down on Me」にはKirk FranklinやMaverick City Musicが参加し、Billboardのゴスペル曲チャートで初登場1位を取った。メンフィスのFrayserで育ったGloRillaが教会の聖歌隊で歌っていたことには、HIPHOPCsのメンフィスのRap Atlasでも触れている。

「Dey Know」でも「This Time」でも、あのホーンが鳴らしているのは、ここまで生き延びた、という感覚だ。Shawty Loはそれを街での名前で言い、Kirk Franklinの合唱は火の中を抜けた、と言う。GloRillaは土の下ではなくビーチにいる、と言った。

筆者の耳にいちばん長く残ったのは、Kirk Franklinの「それってどういう意味?」だ。56歳のゴスペルの大御所が、20代のラッパーのスラングを本気で聞き返しているように聴こえる。答えを聞いて、たぶん笑っている。教会の側とクラブの側で、同じホーンの聴き方は違っていい。その違いを、この曲は掛け合いの形で最初から中に入れている。2分46秒で終わるのが惜しい。