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Sonsi「FUSUMA」歌詞を読む 動画審査で出した1分33秒と、最後に戻ってくる襖

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Sonsi(ソンシ)の「FUSUMA」は、祖母のいる家と、背後の襖を歌うところから始まる。2026年9月23日配信、1分33秒。同じ日に「H2O Daddy」も出た。鹿児島県出身、鹿屋市在住で2004年生まれのSonsiは、ABEMAの「ラップスタア2025」で6,780人の応募から選ばれ、最後の5人まで残った。「FUSUMA」は、その番組の動画審査で出した曲だ。昨年12月の決勝でも、Sonsiはこの曲を最後に歌っている。本人は告知で、2曲を「ラップスタア2025で作った」と書き、MVを出した9月26日には、ラップスタアで披露してから状況が変わるきっかけになった曲だ、と添えた。

配信日 2026年9月23日
名義 Sonsi
収録 シングル『FUSUMA』(「FUSUMA」1分33秒/「H2O Daddy」1分37秒)
権利表記 © ℗ 2026 株式会社AbemaTV

祖母がいて、後ろは襖

フックの最初の一行で、祖母と襖が並ぶ。

BBA in da house 後ろは襖

BBA moneyで年金生活だ

祖母が家にいて、背後には襖がある。そこからすぐに、祖母の年金に支えられた暮らしの話へ移る。昔その金に手をつけたことまで、フックの中で言ってしまう。続けて父が出てくる。殴られると分かっていて向かっていく。父は大柄で、自分は細い。

地元は嫌いだ、でも忘れない。頭の中はぐちゃぐちゃだ。ASDにも触れ、首のチェーンは偽物だと明かす。本物のダイヤを見せるのがラップの定番なら、Sonsiは最初から偽物だと言ってしまう。フックだけで、祖母、金、父、地元、自分の特性、偽物のチェーンまで出そろう。成功談を並べた自己紹介ではない。

祖母はSonsiの曲に何度も出てくる。6月の1stアルバム『ニセモノ』は「BBA in da House」で幕を開け、7月にはSTUTSと「BBA Spice」を出した。「BBA Spice」はSpotifyで190万回を超えて再生されている。『ニセモノ』には、ラップスタアで作った曲は入れないと発表されていた。番組で生まれた曲は、「BBA Spice」も「FUSUMA」も、AbemaTVの権利表記で別に出ている。アルバムの幕開けにも、番組発のシングルにも、祖母がいる。

ニートからラップへ、経歴を一息で並べる

ヴァースは、ここまでの経歴を早口で並べる。ニートだった自分がラップを始め、審査員のSEEDAを引き合いに出し、締め切りに追われる様子まで畳みかける。番組への挑戦も、家の話と切れ目なくつながっている。

そこから、鹿児島弁で話す仲間との会話、身の回りで起きる災難に移る。前の家は燃えた、と言う。焼けた家の話をしたかと思えば、次の行では年金と愛がたっぷりあると言う。深刻な話を、湿っぽいまま置いておかない。変わり者がのし上がる算段は立っている、と続ける。

中学生の頃、父に大阪へ送られ、土木作業をしていたと歌う。働きたくなかったという言葉に続いて、警察署へ逃げたと声を張る。そこに至る事情は語られない。家族の話の中に、逃げ込む先として警察署が出てくる。その取り合わせが重い。

ヴァースの終わりでは、自らの障害に触れながら、飾らない自分を見せると言う。夜更けにもラップする姿を描いてから、冒頭と同じフックに戻る。

最後のフックは、最初と同じ

曲の組み立ては単純だ。フック、ヴァース、フック。1分33秒で、新しい話を足さずに終わる。その短さの中で、重い話が次々に通り過ぎる。聴き手が同情する前に、次の行が来る。

同じ日に出た「H2O Daddy」は、父を題材にした曲だ。「FUSUMA」には、祖母の年金と父の拳の両方が入っている。二曲を並べると、Sonsiの家族の話が、祖母の側と父の側から聴こえてくる。

HIPHOPCsでは以前、SoundCloudに上がったraraso客演の曲を紹介した。ラップスタアという番組そのものを論じた記事もある。

筆者が引っかかるのは、最後のフックが最初と同じことだ。ヴァースで大阪の話も警察署の話もしたのに、戻ってくるのは、祖母がいて、後ろは襖、という同じ一行だ。成功して昔を振り返る結末にはならない。祖母も父も、偽物のチェーンも、最後までそこにある。番組のステージから配信に移っても、曲はその景色に戻って終わる。だから題名の襖も、筆者には住まいの説明にとどまらない。何を見せて、何を隠すかの話に聴こえる。Sonsiは、格好よく見える話だけを選ばない。隠したくなることまで、自分から先に出してしまう。聴き手より先に、自分で襖を開けている。

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