Young Thug裁判、Netflixドキュメンタリーに担当判事が取材協力
Young Thug(ヤング・サグ)のYSL裁判の後半を担当したPaige Whitaker判事が、NetflixとPassion Picturesによるドキュメンタリーの取材を受けたと明かした。本人は配信について「来年のどこか」になる予定と説明し、XXLとFOX 5 Atlantaは2027年の見通しとして報じている。
ニュースの発端は、ClassEの番組『What You Need to Know』でのWhitaker判事へのインタビューだった。番組での説明に続き、SNSでは作品のスタッフや尺も伝えられた。判事が語ったことと、その後に広まった作品情報では、確認できる範囲が異なる。
4〜5時間の取材を受けた、裁判後半の担当判事
動画の17分36秒付近で、Whitaker判事はNetflixとPassion Picturesによる制作と、自身がインタビューを受けたことを説明している。取材はある午後に4〜5時間ほど行われ、裁判への自身の関わりを振り返ったという。
具体的な配信日は本人にも分からないという。作品が出るまでは他のメディアに事件の詳細を話せないという取り決めにも触れた。他の取材映像は見ていないとも述べており、本人の話が完成版でどこまで使われるかは、まだ分からない。
AP通信によると、それまで審理を担当していたUral Glanville判事は2024年7月、弁護側不在で検察側と州側の証人に会った後、事件から外された。後に審理を引き継いだWhitaker判事は、Young Thugの答弁を受け、保護観察付きの釈放を認めている。今回の取材は、裁判の全過程を担当した判事の回顧ではない。
『Young Thug on Trial』という題名は報道段階
FOX 5 Atlantaの10月15日付報道では、作品名は『Young Thug on Trial』とされる。XXLの10月13日付記事は、インタビュー公開後のKurrcoの投稿をもとに、監督をShianne Brown、尺を90分と紹介した。
HotNewHipHopの10月13日付記事はNetflixが正式発表したと伝える。一方、15日付のFOX 5は、XXLがNetflixにコメントを求めた時点で公式な確認が得られていなかったと説明し、作品名やスタッフ、尺を報道段階の情報として扱っている。
制作について判事本人が語った内容は動画で確認できるが、今回参照した資料からNetflixの公式発表そのものは確認できなかった。具体的な配信日や日本での視聴可否は、公式案内を待ちたい。
Young Thugの答弁と、残る2人の評決
AP通信の2024年10月31日付報道によると、Young Thugは一部の罪を認め、別の罪については争わない答弁を行った。15年間の保護観察を含む判決を受け、釈放されている。答弁は、検察と量刑で合意しないまま行う「ブラインド・プリー」だった。無罪判決による釈放ではない。
同年12月3日には、同じ公判で残っていた2人にも評決が出た。Yak Gottiは全ての罪で無罪、Shannon Stillwellは銃の所持に関する1件で有罪となり、ほかの罪では無罪とされた。Young Thugの釈放だけで、ほかの被告の結末まで語ることはできない。
歌詞が証拠になった裁判を、どう映すのか
この裁判では、検察がYSLを犯罪組織と位置づけ、歌詞やSNS投稿を証拠として用いた。弁護側はその扱いを争った。AP通信はYoung Thugの「Slime Sh-t」(AP表記)も証拠として提示されたと報じた。
APの記事は、検察が犯罪組織と主張したYoung Slime Lifeと、Young ThugのレーベルYoung Stoner Lifeを区別して記している。どちらも略称はYSLだ。曲を聴いてきた読者にとってなじみのある呼び名が、法廷ではどの組織を指して使われたのか。
HIPHOPCsでも、2024年10月にSNS上の表現をめぐる検察とWhitaker判事の応酬を取り上げている。キャプションの言葉を検察がどう読み、判事がどこに疑問を示したか。投稿が証拠として扱われた裁判の一場面として読み返せる。
作品に歌詞や投稿が登場するなら、音楽を紹介するための場面なのか、検察が証拠として挙げた箇所なのかを区別して見たい。同じ言葉でも、弁護側の反論や、その後の答弁・評決まで示されるかどうかで受け止め方は変わる。
Whitaker判事への取材が作品に使われるなら、彼女が引き継ぐ前の審理とどうつないで見せるのかにも注目したい。歌詞や投稿だけを取り出さず、それをめぐる主張と司法の判断までたどれる作品になるだろうか。
写真:Young Thug(2019年7月12日、Openair Frauenfeld)。撮影:Frank Schwichtenberg/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。掲載にあたり縮小・圧縮。一部サムネイルはトリミング。