via @latto ig
日本のみんなも大好き、Latto(ラトー)が、自身のSNSに投稿した感動的な映像を通じて、第1子を出産したことを事実上認めた。長年交際が噂されてきた21Savage(21サヴェージ)も動画内に登場しており、ファンの間では「ついに2人の関係が明らかになったのか⁈」と大きな話題を呼んでいる。
5月18日に公開された映像は、妊娠発覚から出産直前までを振り返るドキュメンタリー風の内容だ。妹のBrooklyn Nikole(ブルックリン・ニコール)に東京で妊娠を報告する場面から始まり、家族や友人たちのリアクション、超音波検査、ベビーシャワー、そしてニューアルバム制作の裏側まで、非常にプライベートな瞬間が収められている。
ちなみにラトーは昨年8月と10月に来日している。インスタ内初めの東京の場面は「5週」とあり、逆算すると恐らく昨年10月上旬にあったForceフェスの時だと推定する。なんと、あの時彼女に妊娠の噂がたっていたが、本当に妊娠していたとは!
特に注目を集めたのは、超音波検査中に映ったタトゥー入りの男性の手と、ベビーシャワーに姿を見せた21の存在だ。2人はこれまで交際を公には認めてこなかったものの、今回の映像によって“父親説”はさらに濃厚になったと言われている。ただし、本人たちは現時点で子どもの性別や誕生日を含め、詳細について正式なコメントは出していない。
映像の終盤では、病院と思われる場所で家族が「プッシュ!」「Go, go, go!」と声をかける緊迫した音声が流れ、画面には「5/29」の日付が表示された。ファンの間では、これが出産日、あるいはアルバム『Big Mama』のリリース日を示しているのではないかと憶測が飛び交っている。
また、動画のナレーションでは、妊娠中にアルバム制作を進めていた心境についても赤裸々に語った。「最初は、妊娠がこのアルバム制作の妨げになるんじゃないかって不安だったわ。身体も変化して、疲れ切っていたし、シラフの状態で制作することも大変だった。でも全部が意味を持ってつながった気がする」
以前お知らせした通り、現在27歳のラトーは5月29日にリリース予定のニューアルバム『Big Mama』を「最後のアルバム」にする可能性も示唆している。すでに公開されている『GOMF』では、グロちゃんことGloRilla(グロリラ)と共演し、妊娠中のストレスや周囲からの過剰な注目をユーモラスに描写。MVにはSoulja Boy(ソウルジャ・ボーイ)も出演し、話題を集めた。
キャリア絶頂期の中で迎えた「母」としての新たな人生。『Big Mama』というタイトルは、単なるアルバム名ではなく、ラトー自身の新章を象徴する作品になりそうだ。
HIPHOPCs視点:Lattoとは何者なのか、そして“Big Mama”は何を更新したのか
Latto(ラトー)は、単なる「ヒット曲を持つ女性ラッパー」ではない。
本名 Alyssa Michelle Stephens、現在27歳のアトランタ出身ラッパーで、10代の頃からシーンで頭角を現し、Jermaine Dupri(ジャーメイン・デュプリ)のリアリティ番組『The Rap Game』シーズン1(2016)優勝を経て、当初の名義「Mulatto」から「Latto」へとリブランディング。アトランタ/ジョージアのサウス・ヒップホップの匂いを保ったまま、メインストリームへと駆け上がってきたアーティストである。
2019年「Bitch from da Souf」で存在感を確立し、2021年「Big Energy」で一気に世界的認知を獲得。デビュー作『Queen of Da Souf』(2020)、『777』(2022)、『Sugar Honey Iced Tea』(2024)を通じて、派手さ、ユーモア、セクシュアリティ、サウスの土着性、そして“Big Mama”という自己像を更新し続けてきた。
Beyoncéの「America Has a Problem」リミックスへの抜擢以降は、単にチャートを狙うポップラッパーというより、アトランタ女性ラップの現在地を背負う存在として見られている。今回の『Big Mama』は通算4作目であり、本人がこれを「最後のアルバム」と位置付けている以上、ディスコグラフィの第一幕に対するピリオドとしての意味合いも持つ。
補助線として21 Savageとの関係史を整理しておくと、噂自体は2019〜2020年頃から燻り続けており、2022年にLattoが耳の裏に「Sheyaa」(=21の本名 Sheyaa Bin Abraham-Joseph)のタトゥーを入れた頃から空気が変わり始めた。2025年9月にはTMZのインタビューで21を「husband(夫)」と呼ぶ場面が捉えられ、今年3月の「Business & Personal (Intro)」MVでは、お腹に添えられた21のタトゥー入りの手や、彼の幼少期写真を収めたスクラップブックをめくるカットが意味深に挿入されていた。21にはこれ以前にKeyanna Josephとの間にKamari、Ashaadの息子2人、Rhianという娘がおり、今回の子は彼にとって4人目の子供だ。今回の発表は突発的な告白ではなく、数年にわたって積み上げられたサインの「最終回収」として読むのが正確である。
今回の出産報告が大きな意味を持つのは、それがゴシップではなく、Lattoというアーティストの物語そのものと深く結びついているからだ。キャリアの絶頂期、『Big Mama』リリースの11日前というタイミングで、彼女は“母になること”を隠すのではなく、自身の映像作品として提示した。妊娠の判明、ベビーシャワー、スタジオ作業、そして陣痛・出産の声まで、約42秒のリールに圧縮された一連のシークエンスは、もはやプロモーション映像という言葉では足りない。妊娠から出産までの約十か月そのものが、『Big Mama』というアルバムの“付帯ドキュメント”として作家自身の編集権の下で作品化されたと捉えるべきだろう。Cardi B、Megan Thee Stallion、Sexyy Redと続いてきた女性ラッパーの“母”としての新章において、ナラティブの所有権を出産直後の瞬間までアーティスト側が握り切ったケースは、ほぼ前例がない。
HIPHOPCsとしてさらに踏み込んでおきたいのは、Lattoが「母になったから引退する」のではなく、むしろ“Big Mama”という名前の意味を、現実の人生によって追認=上書きしてしまったという事実だ。本人が動画内で明言しているように、アルバム・タイトルは妊娠判明より先に決まっていた――「Big Mama にしようと既に思っていた、そうしたら妊娠が分かった」。タイトル=予言、人生=検証、アルバム=答え合わせ、というこの三層構造を結果として築き上げてしまえる作家性は、Drake以降のラップ・シーンが「ナラティブ装置の運用能力」で勝負する時代に入ったことを踏まえても、相当に強力だ。引退宣言の真偽はさておき、Lattoは少なくとも、女性ラッパーが“身体・恋愛・家族・母性”をどう語るかというヒップホップ最大級の難問に、ひとつの完成形に近い解答を提示してみせた。
そして見落としてはならないのは、その物語の起点が東京だったということだ。動画冒頭、5週時点で妊娠を知った彼女が泣き崩れる場面のロケーションは紛れもなく TOKYO。本稿執筆のSei が冒頭で振り返った2025年10月の Force フェス来日時の「妊娠の噂」が、半年越しに、しかも本人の手で答え合わせされた格好になった。
海の向こうの出来事として消費されがちな米国スターの出産報告が、HIPHOPCs の読者にとっては妙に距離の近い、忘れがたい伏線回収として返ってきた――これは英語圏のメディアには絶対に書けない、日本のヒップホップ・コンテクスト媒体だけが拾える角度の話である。
Lattoの“Big Mama”の物語は、皮肉にも東京で胎動し、5/29 にアトランタからリリースされる。
執筆者プロフィール:Sei(セイ)
Sei(セイ)は HIPHOPCs 編集部所属ライターのひとり。LAを拠点に、DJ/プロデューサー領域の独占インタビューを中心に、日本ヒップホップの海外進出史を「一次証言」として記録することを得意としている。MC/ラッパーが言説の中心になりがちな国内ラップ・メディアの中で、トラックメイクとプレイの現場側からシーンを照らす視座を持ち込めるライターは数えるほどしかおらず、HIPHOPCs の“編集の射程”そのものを広げる役割を担う。HIPHOPCs での寄稿は計149本超(2026年5月現在)。HIPHOPCs での全記事一覧は 著者ページ から辿れる。Wu-Tang Clan「The Final Chamber Tour」北米公演の現地取材ではフォトグラファーも兼任しており、文と写真の両方で記録を残せるのが強み。
代表的な独占インタビュー仕事を時系列で挙げておく――いずれも、英語圏メディアにも国内メディアにも残っていない「日本ヒップホップ海外進出史」の一次取材記録である。
- 【独占・前編】DJ 2high──Tha Dogg Pound 唯一の日本人メンバー/西海岸レジェンド・プロデューサーがぶっ飛び半生を語る(2025年5月)
- 【独占・後編】DJ 2high──Snoop に一番近い日本人 DJ が、盟友 Joe Cool の死とキャリアを語る(2025年6月)
- 【独占】大門弥生(YAYOI DAIMON)──現 LA の大門弥生が 4SHOOTERS ONLY へ。ICE SPICE、Sexyy Red と同列に立てた理由と今後(2026年1月/LA 子連れ対面取材)
- 【独占・第2弾】DJ 2high──TLC の故 Lisa “Left Eye” Lopes との友情と思ひ出を初告白(2026年2月)
- 【独占・前編】dj honda──北海道から NY へ。Mos Def との制作秘話、日本ヒップホップ巨匠が切り開いた90年代(2026年3月)
- 大門弥生 OC Japan Fair 2026 ライブ観覧レポ──新曲『Circulation』降臨(2026年4月)
今回は変則的に、US 現行女性ラップ最前線(Latto)の出産速報を担当してくれた。DJ/プロデューサー側から長年シーンを撮ってきた Sei だからこそ拾える、「ナラティブを誰が、どのトラックの上で、どの瞬間に解放するか」という視座が、今回のリポートに流れている。
