文責:Rei Kamiya
via @wutangclan, @minachanxx, @kw5hine instagram
対象期間:2026年2月20日〜2月27日 最終更新:2026年2月27日
今週の日本──LAで日本音楽フェス「Zipangu」の5月開催が発表。Goldenvoice提携で千葉雄喜らが参戦する。国内では般若がO-EASTで全35曲を披露し「卒業」を完結、ZORNは後藤真希とのコラボ「地元LOVE」でDLチャート2位を記録した。同日深夜、XGプロデューサーSIMON容疑者がコカイン所持で逮捕。Kダブシャインは「鉄が下される」と断罪した。Wu-Tang Clanの29年ぶり来日も決定。
海外──Spotifyの「次世代リーダー」リスト発表がファンの猛反発を招く。A$AP Rockyが6年ぶりのアルバム『Don’t Be Dumb』をドロップ。Young Thugが新アルバム『DBC(Day Before Coachella)』を発表。ジェシー・ジャクソン師が逝去し、ヒップホップとの40年史が再照射された。
論点──「扉と代償」。般若は20年間のリアルを35曲に叩きつけ、SIMONはその代償を払った。一方でZipanguは日本音楽の輸出ビジネスの号砲を鳴らし、Spotifyは「次世代」の定義権を巡って炎上した。光と影が同じ速度で走った1週間。
- 世界への扉: LA「Zipangu」フェス。Goldenvoice提携、千葉雄喜・Ado・ちゃんみなら参戦。日本音楽の米国市場への本格アクセス。
- 完結: 般若のO-EAST全35曲。NORIKIYOとの盟友セット、「卒業 feat. 柊人」の初披露、「乱世」の〆。秋ツアーと新著「般若、井戸を掘る」の告知。
- 席巻: ZORN × 後藤真希「地元LOVE」──DLソング2位、12,037DL。ヒップホップの枠を超える商業的成功。
- 衝撃: XGプロデューサーSIMON逮捕。エイベックス社員2人も同時逮捕。Kダブシャインが痛烈に反応。
- 論争: Spotify「次世代リーダー」にBaby Keem、Sexyy Red選出もファン異論噴出。誰が「次」を定義するのか。
- 帰還: A$AP Rocky 6年ぶり『Don’t Be Dumb』。Wu-Tang Clan、5/24 Kアリーナ横浜で29年ぶり来日。Young Thugはコーチェラ前に新作を予告。
- 追悼: ジェシー・ジャクソン師逝去。公民権運動とヒップホップの40年をつなぐ「隠れた父」。
本記事では各ストーリーの情報源を以下のラベルで表示しています。 ◎=一次情報(公式ページ・当局プレスリリース・チャート公式データ・本人公式声明・プロモーター公式ページ) ○=一次を引用した主要報道(複数社確認) △=本人SNS投稿(公式声明ではない個人発信) ▽=コミュニティ反応・業界予測・タブロイド
イントロダクション:扉と代償──2月23日の夜に何が起きたか
2月23日。般若はO-EASTで20年間の答えを出し、XGのプロデューサーは愛知のホテルで手錠をかけられた。そして3日後、日本の音楽はロサンゼルスへの扉を開いた。
先週のテーマは「つながった者と、つながれなかった者」だった。ZORNと後藤真希が武道館でジャンルの壁を消し、Baby Keemが5年の沈黙を破った。で、今週は何だったのか。ひとことで言えば「扉と代償」だ。
般若がO-EASTでやったことは、言ってしまえば20年分の全部を35曲に詰めてステージに叩きつける行為だった。「邪魔すんじゃねえ」で始まり「乱世」で終わる。NORIKIYOと4曲ぶっ通しでやる。「卒業 feat. 柊人」を初披露する。これは次の扉を開けるためにやったことだ。
同じ日の午前0時過ぎ、名古屋。XGの公演が終わった直後、プロデューサーSIMONこと酒井じゅんほ容疑者がコカイン所持で逮捕された。40万人を動員したグループの屋台骨が、一夜にして折れた。こっちは扉が閉まった話だ。
3日後の2月26日にはまた別の扉が開く。LAで日本音楽フェス「Zipangu」の発表。Coachella運営のGoldenvoiceと組んで、千葉雄喜やAdoがパサデナに立つ。こんな話、5年前だったら冗談だと思われていた。
USではSpotifyが「次世代リーダー」リストを出してファンにボコボコにされ、A$AP Rockyが6年ぶりに帰ってきた。Wu-Tangが29年ぶりに日本に来る。Young Thugがコーチェラ前の新作を匂わせる。ジェシー・ジャクソン師が亡くなった。
日本からLAへ、LAから日本へ。点が線になり始めた1週間。ただし、その線の上には光も影も走っている。
今週の結論
般若とSIMONの物語は、同じ2月23日に重なった。般若は20年かけて積み上げた言葉を全35曲でステージに叩きつけ、「卒業」を完結させた。SIMONはコーチェラ出演に導いた手腕の裏で、少なくとも1年以上前から薬物に手を染めていたとされる。Kダブシャインの「鉄が下される」は、この対比をかなりストレートにとして刻印したのではないだろうか。
一方、3日後に発表されたZipanguフェスは、日本音楽の輸出ビジネスに新しい選択肢を投げ込んだ。ZORNと後藤真希の「地元LOVE」がDLチャート2位(12,037DL)。ヒップホップがJ-POPチャートのこの位置にいること自体が、5年前なら信じてもらえない話だ。Spotifyの「次世代リーダー」論争は、プラットフォームがシーンの方向性を決めようとすることの無理筋を見せつけた。A$AP Rockyの6年ぶりの帰還は、初週の数字で答え合わせが出る。
日本のシーンは内なる成熟(般若、ZORN)と外への拡張(Zipangu、千葉雄喜)を同時に進めている。USではプラットフォーム(Spotify)とアーティスト(Baby Keem、Rocky、Thug)の間で「次世代」の主導権争いが続いている。今、日米のシーンは異なる形で「次」への移行期を迎えている。
〖0〗今週の地図(最初の10秒で掴む)
| 主要トピック | 核心 | 確度 | 重要度 | リンク |
|---|---|---|---|---|
| Zipanguフェス LA開催 | Goldenvoice提携。千葉雄喜・Ado参戦。日本音楽の米国進出における歴史的一歩。 | ◎ | ★★★★★ | →読む |
| 般若 O-EAST 全35曲 | ラストアンサー LIVE TOUR FINAL完結。NORIKIYO、Red Eye、SKRYU、柊人ら共演。秋ツアー&新著告知。 | △◎ | ★★★★★ | →読む |
| ZORN × 後藤真希「地元LOVE」 | DLソング2位(12,037DL)。ヒップホップの枠を超えるチャートインパクト。 | ◎ | ★★★★★ | →読む |
| XGプロデューサーSIMON逮捕 | コカイン所持で現行犯逮捕。エイベックス社員2人も。名古屋公演直後。1年以上の内偵。 | ◎○ | ★★★★★ | →読む |
| Kダブシャイン「鉄が下される」 | SIMON逮捕に対し「セルアウトへのバチ」「ヒップホップを愚弄した報い」と断罪。 | △ | ★★★★★ | →読む |
| Wu-Tang Clan 29年ぶり来日 | 5/24 Kアリーナ横浜。ファイナルツアーの一環。『燃えよウータン』カセット復刻も。 | ◎ | ★★★★★ | →読む |
| Spotify「次世代リーダー」論争 | Baby Keem、Sexyy Red選出にファン反発。誰がシーンの方向を決めるのか。 | ◎○▽ | ★★★★☆ | →読む |
| A$AP Rocky『Don’t Be Dumb』 | 6年ぶりの新アルバム。2/21リリース。シーン待望の復帰作。 | ◎ | ★★★★☆ | →読む |
| Young Thug 新アルバム『DBC』発表 | Day Before Coachella。4月のコーチェラ出演に向けた新作。UY SCUTI後のリベンジ。 | △ | ★★★★☆ | →読む |
〖1〗重要ストーリー9本
▶1:Zipanguフェス ── 日本音楽、LAで過去最大級の扉を開く
確度:◎ 主催者公式サイト [40](一次)+ ○ 報道 [23](The Japan Times主催者取材)
【なぜ重要か】 やはりこれは単なる海外公演ではない点である。Coachellaを運営するGoldenvoiceとの提携は、日本音楽がビジネスとして本格的に米国市場へアクセスする号砲を意味するのではないだろうか。88risingの成功モデルを日本勢がどう超えていけるのか、その挑戦となる。
2月26日、米ロサンゼルスで過去最大級の日本音楽フェス「Zipangu」が5月16日に開催されることが発表された [23]。会場はカリフォルニア州パサデナのローズボウルに隣接するBrookside。ヘッドライナーのAdoを筆頭に、新しい学校のリーダーズ、ちゃんみな、そしてラッパーの千葉雄喜、さらにMAN WITH A MISSION、10-FEETといった豪華ラインナップが名を連ねる。ラッパーは多いものの、他にも日本のトップの寄せ集め感は否めない。
主催はCloud Nine CEOの千木良氏。The Japan Timesの取材に対し、彼は「日本の音楽を世界に」という強い意志を語っている [23]。特に注目すべきは、Coachellaを運営するプロモーター、Goldenvoiceと緊密に連携している点だ。これは、単発のイベントではなく、持続可能なビジネスモデルとして米国市場を開拓しようとする明確な戦略の表れと言える。そこにヒップホップが入ってきたことが、今日本でどれだけヒップホップの影響力が高まっているかということにつながるのではないだろうか。
| Zipangu Festival 開催概要 | |
|---|---|
| 開催日 | 2026年5月16日 |
| 会場 | Brookside at the Rose Bowl(米国カリフォルニア州パサデナ) |
| 主催 | Cloud Nine (CEO: 千木良氏) |
| 提携プロモーター | Goldenvoice (Coachella運営) |
| 主な出演者 | Ado, 新しい学校のリーダーズ, ちゃんみな, 千葉雄喜, MAN WITH A MISSION, 10-FEET |
千葉雄喜にとって、これはKOHHとしての活動で切り開いた道を、Dogsというブランディングとしてさらに押し広げる意味を持つ。2月28日にDogs店舗が再始動し、5月にZipanguでLA出演──この流れは偶然ではないはずだ。もちろん、渡辺直美との楽曲も忘れてはいけない。
皆さんはお聞きになっただろうか。
▷なぜこれが大きいのか: 88risingがアジア系アーティストの米国進出を切り開いたモデルに対し、Zipanguは「日本」に特化した形で米国市場に挑む。Goldenvoiceとの提携は、フェスティバルビジネスとしての持続性を担保する。千葉雄喜の参加は、日本のヒップホップがこの枠組みの中でどう位置づけられるかを測る試金石になる。
HIPHOPCsのウィークリーチャートでも紹介しているので、ぜひチェックしてみてほしい。
Source: ◎ Zipangu公式サイト [40](主催者公式)/○ The Japan Times [23](主催者取材報道)
▶2:般若 O-EAST「ラストアンサー」── 全35曲、卒業の完結
確度:△ 本人SNS投稿(セトリ画像・ツアー告知)+ ◎ 公式PR
「卒業」宣言でシーンを騒がせた般若が、2月23日にSpotify O-EASTでワンマンライブ「ラストアンサー LIVE TOUR 2026 FINAL」を開催した [7][8]。2025年夏にリリースした15枚目のアルバム『ラストアンサー』を携えたワンマンで、このツアーの最終公演となった。
セットリストは全35曲。M1「邪魔すんじゃねえ」でステージに火を放ち、9つのMCパートを挟みながら、M35「乱世」で締めくくった。客演ゲストはNORIKIYO(M20〜M23「運命」「プラネタリウム」「Beats&Rhyme」「百千万」の4曲連続)、Jinmenusagi(M9「今じゃない」)、Red Eye&TOKYO世界(M15「SUPERSTAR」/M17「地元の歌」)、吾平太(M25「時代遅れ」)、SKRYU(M30「わっしょい」)、柊人(M32「卒業」)という布陣 [9]。セトリは般若本人がXにセトリ画像を投稿して公開したものに基づく [11]。
特筆すべきは、NORIKIYOとの4曲連続セット。MC6パートとして独立したブロックを形成し、盟友としての絆を凝縮した。Instagramコメントでは「時代遅れ」で泣いたという声や、「わっしょい」が予想外に良かったという反応が寄せられている [10]。木村孔次朗は「般若卒業お疲れ」とXで反応した [9]。
この般若の「時代遅れ」、実は今は亡き晋平太とのコラボ楽曲だったのである。彼に込めたメッセージもあったのではないだろうか。是非チェックしてみてほしい。
翌24日、般若はXで「昨日のセットリストです 秋のツアーよろしく!」とセトリ画像を公開し、秋ツアーの開催を予告した [11]。さらに25日には、4月24日発売の書籍「般若、井戸を掘る」(流星舎)を告知。カンボジアでの井戸掘りとMCバトルについて、ここ数年の気持ちを詰めた内容だと語っている [12]。追加ツアーでは新潟・福岡を含む5都市6公演がチケットぴあで確認できる [24]。
▷なぜこれが大きいのか: 「卒業」は引退ではなく、MCバトルからの卒業であり、20年間のキャリアを総括した上で次のフェーズに入るという宣言だった。秋ツアーの予告がそれを証明している。カンボジアの井戸掘りを書籍にまとめるという行動は、BATTLE SUMMIT IIの優勝賞金2,000万円の使い道として井戸を掘りに行った「ラッパー、井戸を掘る。」(ABEMA)の延長線上にある。般若は言葉だけでなく、行動でリアルを示し続けている。やはり般若はかっこいい。
Source: 般若 X投稿 [7][11][12](本人投稿), STARBASE PR [8](公式プレスリリース), X上のリプライ [9]・Instagram [10](ファン反応), チケットぴあ [24](公演情報)
📎 関連:先週のまとめで般若O-EASTへの注目ポイントを解説
▶3:ZORN × 後藤真希「地元LOVE」── DLチャート2位、12,037DLの衝撃
確度:◎ チャート公式(Billboard JAPAN・ORICON)
【なぜ重要か】 ベテランラッパーが、ヒップホップの外にいるアーティストとのコラボで商業的な大ヒットを飛ばした。これは日本のシーンが成熟し、多様なキャリアパスが成立し始めている何よりの証拠だ。
先週紹介したこの楽曲が大変なことになっている。
ZORNが元モーニング娘。の後藤真希を客演に迎えた新曲「地元LOVE」が、リリース初週でチャートを席巻した。Billboard JAPAN Download Songsで初週2位(12,037DL)を記録 [25]。オリコン週間デジタルシングルランキングでも2位に入るなど、異次元のインパクトを残している [26]。
ZORNと後藤真希のコラボは、先週の武道館公演で初披露されて大きな話題を呼んでいた。その流れを受けての配信リリースだったが、12,037DLという数字はヒップホップの枠内では異例の規模だ。Travis Japan「陰ニモ日向ニモ」(2万DL超)に次ぐ2位であり、J-POP全体のマーケットの中でこの位置にいるということの意味は大きい。
▷なぜこれが大きいのか: 般若がO-EASTで「純度」を追求した同じ週に、ZORNは「拡張」で結果を出した。やり方はまるで違うが、どちらも「日本語ラップでここまでやれる」の証拠だ。12,037DLという数字の裏側にあるのは、ヒップホップがもう「好きな人だけのもの」では済まなくなっているという現実なのかもしれない。だがしかし、ヒップホップがポップになる未来はまだまだ遠いのではないだろうか。
思うに、ロックがポップによった理由としては、反社会的という点では共通しているが、対象が異なっていることにあるはずだ。ロックの反逆はキリスト教に対するものであり、ヒップホップの反逆は社会に対するものである。ヒップホップはヒップホップとして残り続けるのではないだろうか。
Source: Billboard JAPAN [25](チャート公式), ORICON NEWS [26](チャート公式)
▶4:XGプロデューサーSIMON逮捕 ── 名古屋公演直後の衝撃
確度:◎ XG声明 [37](メンバー名義の一次発信)+ ○ 報道 [1][2][3](日経・時事・ナタリー等が当局発表を報道)
2月23日午前0時20分頃、7人組ガールズグループXGのプロデューサーSIMON(JAKOPS)こと酒井じゅんほ容疑者(39)が、愛知県内のホテルでコカインを所持していた疑いで警視庁薬物銃器対策課に現行犯逮捕された [1][2]。同時に逮捕されたのは、エイベックス社員の柳川典利容疑者(51)と長谷川雄大容疑者(38)、XGALX所属のキム・マイケル・チョン容疑者(39)の計4人 [3]。
部屋からはコカイン4袋と乾燥大麻1袋が押収された。2025年3月に「コカインや大麻を使用している」との匿名通報があり、約1年間の内偵を経ての逮捕だったと報じられている [2][4]。4人は仕事で名古屋を訪れ、22日のXG名古屋公演の後にホテルに宿泊していたとされる [3]。
XGは24日、メンバー名義で「突然の出来事に、私たち自身も大きな驚きと戸惑いを感じながら受け止めています」「本件につきまして、XGの関与は一切ございません」と声明を発表した [37]。エイベックスも社員逮捕について謝罪声明を出している。
SIMONは2017年にXGALXを設立し、XGのほぼ全楽曲の制作を統括してきた人物。2025年にはコーチェラ出演に導き、ワールドツアーでは世界35都市47公演で約40万人を動員したと報じられている [3][6]。
▷なぜこれが大きいのか: XGを世界水準に押し上げた立役者が、まさにワールドツアーの最中に逮捕された。1年以上の内偵があったという報道が事実であれば、少なくともその間ずっと捜査の網の中にいたことになる。メンバー7人は一切関与していないとされるが、クリエイティブの中核を失ったグループの今後には大きな不透明感が漂う。
Source: ◎ XG公式X [37](メンバー声明)/○ 日本経済新聞 [1]・時事通信 [2]・音楽ナタリー [3](報道)/▽ 東スポWEB [4][5](タブロイド)・集英社オンライン [6]
▶5:Kダブシャイン「鉄が下される」── リアルヒップホップの守護者が断罪
確度:△ 本人SNS投稿(X)── 名指しなし、文脈からの推定を含む
SIMON逮捕を受けたタイミングで、日本ヒップホップの重鎮Kダブシャインが、X(旧Twitter)にてコメントを投稿した [13]。
投稿ではXGの音楽を「ポップなセルアウト商業ラップ」と位置づけ、「リアルヒップホップへの冒涜」であり「ヒップホップを愚弄していると鉄が下される」と表現している。さらに「ヒップホップ使って一応カネ儲けのやつだからバチが当たった」とも述べている [13]。ただし、投稿内でXGやSIMONを名指ししていない点には留意が必要で、SIMON逮捕との関連は投稿のタイミングと文脈からの編集部の推定である。
「鉄が下される」という表現は、単なる法的処罰を超えた、文化的な審判を想起させる言葉だ。この姿勢は一過性のものではない。24年前、キングギドラが「公開処刑」をリリースした時点から一貫している精神性の延長線上にある。
▷なぜこれが大きいのか: Kダブシャインの発言は過激に見えるかもしれないが、ヒップホップの文化的純粋性を守ろうとしてきた「門番」としての立場を理解する必要がある。XGの音楽がヒップホップかどうかという議論を超えて、文化を商業の道具として扱うことへの根源的な嫌悪が表出している。ただし、この主張にはXGメンバー自身──10代からの厳しいトレーニングを経て世界の舞台に立った7人──への配慮が欠けているという批判もある。SIMONの逮捕とXGの音楽的価値は別の問題だ。
Source: Kダブシャイン X投稿 [13](本人投稿 ── 名指しなし、文脈推定含む)
📎 関連:キングギドラ EP『影』30周年記念アナログ再発が決定
▶6:Wu-Tang Clan 29年ぶり来日決定 ── さらばウータン、最後の邂逅
確度:◎ 公式発表(プロモーターCreativeman、Hypebeast JP、amass)
2月25日、Wu-Tang Clanのファイナルツアー「Wu-Tang Forever: The Final Chamber」の日本公演が発表された。5月24日(日)、神奈川・Kアリーナ横浜。単独公演としては実に29年ぶりの来日となる [14][15][16]。
出演予定メンバーは、RZA、GZA、Raekwon、Ghostface Killah、Method Man、Inspectah Deck、U-God、Masta Killaのオリジナルメンバー8人に加え、Cappadonnaと故Ol’ Dirty Bastardの息子Young Dirty Bastardが参加する [14][15]。
チケットはGOLDスタンディング28,000円からA指定席15,000円まで。2月25日から先行受付が開始され、一般発売は3月21日 [16]。来日記念として、1993年のデビューアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』(邦題『燃えよウータン』)がホワイトカラーカセットで完全生産限定復刻される(5/13発売) [15][16]。
HIPHOPCsは2025年にThe Final Chamber Tour北米公演を現地取材しており、フィラデルフィア公演にはローリン・ヒル、LL・クール・Jがゲスト登場したことを報じている [17]。
▷なぜこれが大きいのか: 「メンバー全員が一緒にパフォーマンスを行う最後のワールドツアー」と銘打たれている以上、これが本当に最後のチャンスだ。Kアリーナ横浜(20,000人規模)を押さえられたこと自体、日本のヒップホップ市場が「ここまで来た」ことの傍証になる。5月にZipanguフェス(LA)とWu-Tang来日公演(横浜)が重なる。日米のヒップホップが2026年5月に交差するという偶然は、たぶん偶然じゃない。
Source: Creativeman [16](プロモーター公式), Hypebeast JP [14]・amass [15](報道), HIPHOPCs [17](自社取材)
📎 関連:HIPHOPCs現地レポート:Wu-Tang Clan『The Final Chamber Tour』観覧レポート
▶7:Spotify「次世代リーダー」論争 ── 誰がヒップホップの未来を定義するのか
確度:◎ Spotify公式プレイリスト [38](一次)+ ○ 報道 [27](HotNewHipHop)+ ▽ ファン反応 [28](Reddit・SNS)
【なぜ重要か】 ストリーミングプラットフォームがシーンの方向性を定義しようとする試みと、リスナーの認識とのギャップが露呈した。誰が「次世代」を定義するのか?アルゴリズムか、カルチャーか。この論争は、ヒップホップの権威がどこに存在するのかを巡る現代的な問いを投げかけている。
Spotifyが2月25日に発表した「Hip-Hop’s Next Leaders」キャンペーンが、大きな議論を呼んでいる [27]。選出されたのはBaby Keem, BigXThaPlug, Sexyy Red, GloRilla, Doechii, Central Cee, Rod Wave, Lil Teccaの8名。このリストに対し、ファンからは「なぜYeatやDon Toliverが含まれていないのか」といった批判がSNS上で相次いだ [28]。HotNewHipHopは「ファンは感心していない」と報じ、DJ Akademiksも疑問を呈するなど、業界関係者を巻き込む議論に発展している [27]。
Spotifyはアプリ内でファン投票を開始しており、プラットフォーム側とユーザー側の対話を試みている。しかし、トップダウンで「次のリーダー」を指名するやり方が通用しないことだけは、はっきりした。この件については今後記事で取り上げようと思う。
なお、リストに名を連ねたBaby Keemは、先週リリースの『Ca$ino』で初週71K予測というキャリアハイの数字を叩き出しており、少なくとも数字の面では選出の妥当性を自ら証明した形だ。
▷なぜこれが大きいのか: この論争の本質は「選出メンバーの妥当性」ではない。ストリーミングプラットフォームがヒップホップの方向性を「指名」しようとすること自体への違和感だ。ヒップホップの権威は、レーベルでもメディアでもプラットフォームでもなく、常にストリート──聴く側──にあった。Spotifyのリストにファンが噛みついたのは、その構造がまだ生きている証拠だ。
Source: ◎ Spotify公式プレイリスト [38](一次)/○ HotNewHipHop [27](報道)/▽ Reddit [28](ファン反応)
▶8:A$AP Rocky『Don’t Be Dumb』── 6年の沈黙を破る復帰作
確度:◎ 配信プラットフォーム [39](リリース事実=一次確認可能)+ ▽ レビュー [29](大学ラジオ局)
【なぜ重要か】 A$AP Rockyが、2019年の『TESTING』以来6年ぶりのスタジオアルバムをリリースした。この間、スウェーデンでの逮捕、パートナーのRihannaとの子育て、度重なるリリース延期を経ての帰還であり、「いまだにトップ層にいるのか」を証明する復帰戦だ。
2月21日、A$AP Rockyが3rdスタジオアルバム『Don’t Be Dumb』をリリースした。各主要配信プラットフォームで配信中 [29]。当初「Don’t Be Dumb」というタイトルは2023年から何度もティーザーされてきたが、2024年にはアルバムごと白紙撤回されるなど、紆余曲折を経ての到着だ。
Rockyは2019年のスウェーデンでの逮捕・拘留を経てシーンから距離を置き、Rihannaとの間に2人の子供が生まれた。その間にもヒップホップは劇的に変化し、彼の「不在」がどれほどの影響を持つかは不透明だった。6年ぶりのアルバムは、その答え合わせだ。
▷なぜこれが大きいのか: Rocky、Young Thug、Wu-Tang Clan──今週は「帰還」が3つ重なった。それぞれが異なる理由でシーンから離れ、異なる形で戻ってくる。Rockyの場合、6年という空白は「自発的なもの」(Thugの刑務所、Wu-Tangの老齢とは異なる)であるだけに、市場がどう反応するかがより純粋に問われる。初週のセールスは来週確定する。
Source: ◎ 各配信プラットフォーム [39](リリース事実)/▽ WUOG [29](大学ラジオ局レビュー)。初週セールスは来週確定。
▶9:Young Thug『DBC』発表 ── コーチェラ前夜の賭け
確度:△ 本人SNS投稿(X・Instagram)── リリース日・トラックリスト等の公式確認なし
2月22日、Young ThugがXとInstagramで新アルバム『DBC』のタイトルを投稿した [18][19]。「Album tittle : DBC」というXの投稿と、Instagramでの「A Day before Coachella OTW…」というキャプションから、「Day(s) Before Coachella」の略と見られている。
Young Thugは4月12日と19日の2週にわたり、コーチェラに出演予定 [18][19]。2025年9月にリリースした復帰作『UY SCUTI』はBillboard 200で6位にデビューしたが、ファンからの評価は芳しくなかった。『DBC』はそのリベンジとも言える位置づけだ。
なお、Baby Keemの『Ca$ino』収録曲でKendrick Lamarが「I gossip with my b*tch like I’m Young Thug too」とラップしており、獄中通話リークへの言及ではないかとファンの間で話題になっている [20]。
▷なぜこれが大きいのか: Travis Scottの『Days Before Rodeo』を想起させるタイトル戦略は意図的だろう。RICO裁判を経て復帰したThugにとって、コーチェラは「完全復活」を証明する最大の舞台。『UY SCUTI』で失った信頼を取り戻せるかどうかの分岐点になる。Rocky、Wu-Tang、Thug──3つの「帰還」が同じ週に重なった。2026年は「戻ってくる年」になるのかもしれない。
Source: HotNewHipHop [18]・The Source [19]・HipHopWired [20](報道)── いずれもYoung Thug本人のSNS投稿を一次情報として報じたもの。リリース日の公式発表は2月27日時点で確認されていない。
📎 関連:Young Thug『DBC』──コーチェラの前日に何が起きるのか
〖1.5〗編集部の視点
正直に言う。般若のセトリ画像を見たとき、最初に思ったのは「多いな」だった。35曲。3時間超。50歳に届こうかというラッパーがこれをやる意味は一つしかない──20年分を全部出し切って、次に行く。
NORIKIYOとの4曲連続ブロックには唸った。「運命」「プラネタリウム」「Beats&Rhyme」「百千万」。この並びを見て何も感じないなら日本語ラップを聴くのをやめたほうがいい。二人の間にある20年を、曲順だけで語れるのがヒップホップの凄みだ。
同じ日のSIMON逮捕は、書いていてきつい。XGのメンバー7人は10代から削るような訓練を重ねて、ようやく世界のステージに立った。その足元を支えていた人間がホテルの机の上にコカインを置いていた。やはりKダブシャインの「鉄が下される」は文化的な正論かもしれないが、あの7人のことを思うと、胸のつかえが取れないように感じた出来事だった。
ZORNの12,037DLは、数字以上の意味がある。10年前、日本のラッパーがJ-POPのDLチャートで2位なんて取れるわけがなかった。後藤真希という「飛び道具」があったのは事実だが、ZORNの声と言葉がなければこの数字は出ない。般若が「深さ」を掘った同じ週に、ZORNが「幅」を拡げた。この二人が同時に結果を出せるシーンは、ちゃんと健康だ。
Zipanguの話をしよう。Goldenvoiceと組んで、パサデナのローズボウル横でフェスをやる。千葉雄喜がそこに立つ。KOHHとして「it G Ma」をやっていた頃から知っている人間にとって、この展開は感慨深いどころの話じゃない。88risingがこじ開けた扉の向こうに、日本名義のフェスが立つ。2026年5月、LAにZipangu、横浜にWu-Tang。この2点を線で結んだとき、日本のヒップホップが置かれている座標が見える。
USのSpotify「次世代リーダー」騒動は、やや滑稽だが本質的な問いを含んでいる。Spotifyが8人を指名して、ファンが「なんでYeatがいないんだ」と怒る。この構造自体がヒップホップらしい。レーベルが決めるな、メディアが決めるな、プラットフォームが決めるな──俺たちが決める。この反射神経が死んでいないなら、ヒップホップはまだ大丈夫だ。
📚 今週の記事と一緒に読むと面白いやつ
- Wu-Tang Clan『The Final Chamber Tour』現地レポート|フィラデルフィアにローリン・ヒルが来た夜 ── 5/24横浜の予習に。北米ツアーの熱量がわかる。
- Baby Keem『Ca$ino』全曲解説|千葉雄喜・SEEDAと重なる沈黙の美学 ── Spotify「次世代リーダー」論争の背景。Keemがなぜ選ばれたのか。
- ヒップホップの”隠れた父”が死んだ。ジェシー・ジャクソンとラップの知られざる40年史 ── 公民権運動とヒップホップの接点を掘った追悼記事。
- 先週のまとめ(2/13〜2/20):ZORN×後藤真希武道館、Baby Keem、Red Eye無料化 ── 般若O-EAST・ZORNチャートの文脈はここから。
〖2〗HSI(HIPHOPCs Scene Index)TOP10
HSIはHIPHOPCs独自の指数。話題性・市場影響・文化的重みの3軸で毎週算出している。
ATT=どれだけ話題になったか/MKT=ビジネスへの影響(セールス・契約)/CULT=カルチャーとしての重み(歴史的意味・シーンへの影響)。各10点満点、重みはATT 40%・MKT 30%・CULT 30%で編集部が毎週算出。 <details> <summary>HSI算出方法について</summary>
ATT(Attention)=SNS反応数、メディア報道量、検索トレンドなどの総合的な話題性。MKT(Market)=セールス、契約、興行収入などビジネスへの影響。CULT(Culture)=歴史的意味、シーンへの影響力、文化的遺産。各10点満点で、重みはATT 40%・MKT 30%・CULT 30%。HSI=ATT×4 + MKT×3 + CULT×3の加重平均×10。 </details>
| Rank | Topic | ATT | MKT | CULT | HSI | ひとこと |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | XGプロデューサーSIMON逮捕 | 10 | 10 | 9 | 97.0 | ワールドツアー中の逮捕。エイベックス社員も。産業への衝撃は計り知れない。 |
| 2 | Wu-Tang Clan 29年ぶり来日 | 10 | 9 | 9 | 94.0 | 5/24 Kアリーナ横浜。ファイナルツアー。『燃えよウータン』カセット復刻。 |
| 3 | Zipanguフェス LA開催 | 9 | 10 | 9 | 93.0 | Goldenvoice提携。千葉雄喜参戦。日本音楽の米国進出に新章。 |
| 4 | 般若 O-EAST 全35曲 | 9 | 8 | 10 | 91.0 | 「卒業」完結。NORIKIYO4曲連続。秋ツアー&新著告知で次章へ。 |
| 5 | Spotify次世代リーダー論争 | 9 | 8 | 9 | 87.0 | プラットフォームvsリスナー。誰がシーンの方向を決めるのか。 |
| 6 | ZORN × 後藤真希「地元LOVE」 | 8 | 10 | 8 | 86.0 | DL2位、12,037DL。ヒップホップの枠を超える商業的インパクト。 |
| 7 | A$AP Rocky『Don’t Be Dumb』 | 9 | 8 | 8 | 85.0 | 6年ぶりの帰還。スウェーデン逮捕から家族との日々を経て。 |
| 8 | Young Thug『DBC』発表 | 9 | 8 | 7 | 82.0 | Day Before Coachella。UY SCUTIからの巻き返し。 |
| 9 | Kダブシャイン「鉄が下される」 | 9 | 5 | 10 | 81.0 | 文化の門番が断罪。24年前の「公開処刑」から一歩も引いていない。 |
| 10 | Baby Keem『Ca$ino』初週実績 | 8 | 9 | 7 | 80.0 | 初週71K予測でキャリアハイ。次世代リーダー候補としての実力を証明。 |
次点: 千葉雄喜 Dogs再始動(78.0)、Nicki Minaj MAGAボット問題(78.0)、J. Cole ワールドツアー発表(77.0)、ジェシー・ジャクソン逝去(74.0)、般若「般若、井戸を掘る」出版告知(73.0)、ピラフ星人 武道館(73.0)、Lil Poppa追悼集会銃撃(72.0)、Billy Laurent 5年ぶりEP(70.0)
〖3〗Bullet News(ヘッドラインダイジェスト)
JAPAN
- 千葉雄喜率いるDogs、2/28再始動へ
○ 報道:王子の限定ストア。LA買付古着+オリジナルカスタム。Zipanguフェスへの布石か [30]。 - キングギドラ EP『影』30周年記念アナログ再発決定:1996年リリースのEP。『空からの力:30周年記念エディション』のインスト盤とともに再発。Kダブシャインの「鉄が下される」発言と同じ週に、キングギドラの原点が復刻されるのは象徴的だ。
- ピラフ星人 3/5武道館「卒業式 at 武道館」:男性ヒップホップアーティスト最年少記録へのカウントダウン。チケットの動向に注目。
- RAPSTAR 2025ファイナリストsh1t、「8point」MV公開
◎ PR TIMES[31]:次世代の一角が映像を投下。 - Billy Laurent、5年ぶり新EP『pride.』を2/27にリリース
◎ 配信開始[32]:ELIONE率いるSolid Skyからのリリース。シーン中堅の着実な一手。 - HipHopショートアニメ『シャドウビート』第3弾「Reborn」公開(MC: Sadajyo, Beat: BudaMunk)
○ 報道[33] - 3150×LUSHBOMU MC BATTLE vol.3:4/26 渋谷WOMBLIVE。入場無料(小学生以下不可)。出場者発表中。
US / GLOBAL
- Drake、9thアルバム『ICEMAN』のティーザーを公開
△ 本人SNS[34]:「深い凍結」を匂わせるティーザーのみ。リリース日は公式未発表。Kendrickとの関係、Rockyとの同時期リリース──2026年前半のUS HipHopは群雄割拠。 - Lil Poppa追悼集会で4人銃撃
○ 報道[22]:先週25歳で急逝したLil Poppaの追悼集会(ジャクソンビル)で、4人が銃撃される事件が発生。悲しみの連鎖が止まらない。 - Lil Durkの殺人教唆裁判、8/25に再延期
○ 裁判所公開情報に基づく報道[35]:2/23の公判前審理で8月25日に延期。共同被告の分離公判申請が理由。Durk側は「もっと早くやりたい」意向。法廷闘争は長期化の様相。 - DJ Akademiks、AIアルバムでLil Babyをディスすると発表
△ 本人発表[36]:AIでのディスという前代未聞の手法。ヒップホップとAIの交差点か、ただの炎上マーケティングか。 - Nicki Minaj MAGAボット問題
○ Politico報道:PoliticoがSNS投稿のボットによる増幅疑惑を報道。Minaj側の公式反応は2月27日時点で確認されていない。 - J. Cole ワールドツアー発表
◎ 公式:『The Fall-Off』ツアー。チケット争奪戦でファンから不満噴出。 - Baby Keem『Ca$ino』初週実績
▽ 予測値:先週リリースの2ndアルバム。初週71Kは業界トラッカーの予測値であり、Billboard 200での確定順位は来週判明。 - フジロック2026にXG出演決定済み
◎ 公式:7/24-26 苗場。SIMON逮捕後の出演がどうなるか注目。The xx、Khruangbin、Massive Attackがヘッドライナー [3]。 - ジェシー・ジャクソン師逝去
○ 報道:公民権運動の巨星。1980年のカーティス・ブロウとの出会いから、ヒップホップの社会的な力を最も早く見抜いていたリーダーだった [21]。📎 ヒップホップの”隠れた父”が死んだ
〖4〗観測ノート(未確定情報の整理)
以下は2月27日時点で公式確認が取れていない情報を整理したものです。噂や推測ではなく、「何が確定していて、何が未確定か」を明示することを目的としています。
- Kダブシャインの投稿とSIMON逮捕の関連:Kダブシャインの投稿はX上の本人発信に基づく。投稿内でXGやSIMONを名指ししておらず、SIMON逮捕との関連は投稿のタイミングと文脈からの編集部の推定。本人への確認は取れていない。
- Young Thug『DBC』のリリース日:2月27日時点でリリース日の公式発表はない。タイトルが「Day Before Coachella」であればコーチェラ前日(4/11)が有力視されているが、これはファンの推測。本人のSNS投稿(X・Instagram)以外のソースはない。
- SIMON逮捕後のXGツアー継続可否:2月27日時点で公式な中止・延期発表は出ていない。フジロック2026(7/24-26)への出演は主催者発表済みだが、SIMON逮捕後の変更についてはアナウンスなし。
- Drake『ICEMAN』のリリース日:ティーザー公開のみ。リリース日は公式未発表。
- Baby Keem『Ca$ino』初週71K:業界トラッカーによる予測値。Billboard 200での公式確定数値は来週発表。
- Nicki Minaj MAGAボット報道:PoliticoによるSNSボット増幅疑惑の報道。Minaj側の公式反応は2月27日時点で確認されていない。
〖5〗来週の注目ポイント
- 千葉雄喜 Dogs店舗オープン(2/28):王子の限定ストア。LA買付古着+オリジナルカスタム。落合宏理・Poggy新加入後の初動。Zipanguフェスへの布石。
- ピラフ星人 武道館(3/5):最年少記録への挑戦。40分の持ち時間をどう克服するか。チケットの埋まり具合と「卒業式」の中身。日本のヒップホップ興行の現実が示される。
- A$AP Rocky『Don’t Be Dumb』初週セールス:6年ぶりのアルバムが市場にどう評価されるか。
- Baby Keem『Ca$ino』チャート確定:Billboard 200での最終順位。『The Melodic Blue』トップ5を超えるか。
- XGツアー継続可否:SIMON逮捕後の公式声明の続報。フジロック出演への影響。
- Red Eye「New World Ism」(3/21 Zepp Osaka Bayside):全イベント無料化宣言の第一弾が近づく。
- Young Thug『DBC』続報:トラックリスト、リリース日の公式発表はあるか。
〖6〗編集部の結論
2月23日の夜。般若はO-EASTで全35曲を歌い切って、「秋の予定空けておいてください」と言った。同じ夜の愛知では、XGのプロデューサーがコカインの袋と一緒に逮捕されてしまった。
片方はリアルを20年間貫いた男。もう片方は、40万人を動員するグループを作った手腕の裏で、少なくとも1年は薬物に手を染めていたとされる男。Kダブシャインが言う「鉄が下される」は、この対比にぴったりハマる言葉だ。ただし、XGの7人がその「鉄」の下敷きになっていいわけがないのではないだろうか。
3日後にZipanguが発表された。千葉雄喜がLAに行く。ZORNが12,037DLを叩き出す。日本のシーンは「深く」「広く」「外へ」の三方向に同時に動いている。これは10年がかりの地殻変動の結果だ。一夜にして起きたわけじゃない。
USではSpotifyが「次世代」を勝手に決めて怒られ、Rockyが6年ぶりに戻り、Wu-Tangが29年ぶりに日本に来る。Thugがコーチェラ前に新作をぶつける。ジャクソン師が死に、Lil Poppaの追悼の場で銃が鳴った。
2026年5月。LAにZipangu、横浜にWu-Tang。日本語ラップとUSヒップホップが、同じ月に交差する。そこに何が見えるか──来週はまず、ピラフ星人の武道館で何が始まるのかを見届ける。
❓ よくある質問(FAQ)
Zipanguフェスとは?
2026年5月16日にカリフォルニア州パサデナ(ローズボウル隣接のBrookside)で開催される日本音楽フェスティバル。Cloud Nine主催、Goldenvoice(Coachella運営)提携。Ado、新しい学校のリーダーズ、ちゃんみな、千葉雄喜、MAN WITH A MISSION、10-FEETらが出演 [23]。
般若のO-EASTワンマンのセットリストは?
全35曲。M1「邪魔すんじゃねえ」からM35「乱世」まで。ゲストはNORIKIYO(4曲)、Jinmenusagi、Red Eye&TOKYO世界、吾平太、SKRYU、柊人。般若本人がXにセトリ画像を投稿して公開 [11]。
XGプロデューサーSIMON逮捕の経緯は?
2026年2月23日午前0時20分頃、愛知県内のホテルでコカイン所持の疑いで現行犯逮捕。エイベックス社員2人、XGALXプロデューサー1人も同時逮捕。2025年3月の匿名通報から約1年の内偵を経ていたと報じられている [1][2][3]。XGメンバーの関与は否定されている [37]。
ZORN × 後藤真希「地元LOVE」のチャート成績は?
Billboard JAPAN Download Songsで初週2位(12,037DL)。オリコン週間デジタルシングルランキングでも2位 [25][26]。
Wu-Tang Clanの来日公演のチケット情報は?
5月24日(日)Kアリーナ横浜。GOLDスタンディング28,000円、アリーナスタンディング/SS指定席/バルコニー指定席22,000円、S指定席16,000円、A指定席15,000円。先行受付は2月25日開始、一般発売は3月21日 [16]。
Spotify「次世代リーダー」に選ばれたのは?
Baby Keem、BigXThaPlug、Sexyy Red、GloRilla、Doechii、Central Cee、Rod Wave、Lil Teccaの8名 [27]。YeatやDon Toliverが含まれていないことにファンが反発。Spotifyはアプリ内でファン投票も開始している。
Young Thug『DBC』はいつリリース?
2月27日時点でリリース日の公式発表はない。タイトルが「Day Before Coachella」を意味するとすれば、コーチェラ前日の4月11日が有力視されているが、これはファンの推測であり公式確認はない [18][19]。
📚 あわせて読む ── HIPHOPCsの関連記事
今週のストーリーに直結する記事
- 般若:先週のまとめで般若O-EASTへの注目ポイントを解説 ── セトリ予想と「卒業」の意味を事前に書いた回。答え合わせは本記事で。
- ZORN × 後藤真希:先週のまとめ:武道館公演レポート ── 12,037DLの伏線はここにある。
- Wu-Tang Clan:約29年ぶりの来日!Final Chamber Tourが日本に来るぞ! ── チケット情報・出演者詳細・カセット復刻の全貌。
- Wu-Tang Clan:現地レポート:The Final Chamber Tour観覧レポート ── フィラデルフィアにローリン・ヒルが来た夜。
- Young Thug:『DBC』──コーチェラの前日に何が起きるのか ── タイトルの意味、Travis Scott『Days Before Rodeo』との類似。
- Baby Keem:『Ca$ino』全曲解説|千葉雄喜・SEEDAと重なる沈黙の美学 ── Spotify「次世代リーダー」入りの根拠を数字と楽曲で解剖。
- ジェシー・ジャクソン:ヒップホップの”隠れた父”が死んだ。知られざる40年史 ── カーティス・ブロウとの出会いからBLMまで。
- Lil Poppa:追悼集会で4人銃撃|ジャクソンビルの悲しみの連鎖
- DJ2high:TLCの故Lisa”Left Eye”Lopezとの友情と思ひ出を初告白
シーン全体の流れを追う
- Kendrick Lamar:グラミー「27冠」と37年間の闘争史 ── Baby Keemの『Ca$ino』でKendrickがラップしている文脈。
- 先週のまとめ:2/13〜2/20:ZORN×後藤真希武道館、Baby Keem『Ca$ino』、Red Eye無料化
- 前々週のまとめ:2/6〜2/13:般若「卒業」、¥ellow Bucks「Zepp問題」、Number_i WME契約
References
[1] 日本経済新聞.「『XG』プロデューサー、SIMON容疑者を逮捕 コカイン所持疑い」(2026年2月23日) [2] 時事通信.「『XG』プロデューサーら、1年以上前から違法薬物使用か 警視庁」(2026年2月24日) [3] 音楽ナタリー.「XGのプロデューサーJAKOPS(SIMON)、コカイン所持で現行犯逮捕」(2026年2月23日) [4] 東スポWEB.「XGのプロデューサー薬物逮捕に『信じられない』の声」(2026年2月24日) [5] 東スポWEB.「XG〝新章〟迎えた矢先に… プロデューサーSIMON容疑者逮捕の痛すぎる『代償』」(2026年2月25日) [6] 集英社オンライン.「〈XG・プロデューサー逮捕〉『暴君でした』コカイン所持で逮捕されたSIMON(39)の横顔」(2026年2月25日) [7] 般若 X投稿. 「般若 ラストアンサー LIVE TOUR 2026 FINAL」告知(2025年12月10日) [8] STARBASE PR.「般若、最新アルバム『ラストアンサー』からワンマンライブをSpotify O-EASTで開催決定!」(2025年12月10日) [9] X上のリプライ(木村孔次朗 @koujiroukimura「般若卒業お疲れ」ほか、2026年2月23日前後) [10] Instagram @hannyaofficial コメント欄(「時代遅れ」への反応、「わっしょい」への反応、2026年2月23日前後) [11] 般若 X投稿.「昨日のセットリストです 秋のツアーよろしく!」セトリ画像公開(2026年2月24日) [12] 般若 X投稿.「4/24(金)に『般若、井戸を掘る』という書籍を出版します」(2026年2月25日) [13] Kダブシャイン X投稿(2026年2月23日前後). SIMON逮捕に対するコメント。※XG・SIMONの名指しなし。文脈からの推定。 [14] Hypebeast JP.「Wu-Tang Clan の来日公演が決定」(2026年2月24日) [15] amass.「ウータン・クラン、29年ぶりにして最後の来日公演決定」(2026年2月25日) [16] Creativeman.「Wu-Tang Forever: The Final Chamber」公演特設ページ [17] HIPHOPCs.「約29年ぶりの来日Wu-Tang Clan Final Chamber Tourが日本に来るぞ!現地レポートから」(2026年2月25日) [18] HotNewHipHop.「Young Thug Announces New Album ‘DBC (Day Before Coachella)’」(2026年2月23日) [19] The Source.「Young Thug Announces New Album DBC Before Coachella 2026」(2026年2月24日) [20] HipHopWired.「Spider SZN Loading: Young Thug Reveals Upcoming Album ‘DBC’」(2026年2月23日) [21] HIPHOPCs.「ヒップホップの”隠れた父”が死んだ。ジェシー・ジャクソンとラップの知られざる40年史」(2026年2月26日) [22] HIPHOPCs.「Lil Poppa追悼集会で4人銃撃|ジャクソンビル・ヒップホップが直面する悲しみの連鎖」(2026年2月23日) [23] The Japan Times. What is Zipangu? Inside J-pop’s first-of-its-kind Los Angeles festival(2026年2月26日) [24] チケットぴあ.「般若」(2026年2月) [25] Billboard JAPAN.「【ビルボード】Travis Japan「陰ニモ日向ニモ」2万DL超でDLソング首位、ZORNと後藤真希のコラボ曲が2位に続く」(2026年2月25日) [26] ORICON NEWS.「オリコンデイリー デジタルシングル(単曲)ランキング 2026年02月23日付」 [27] HotNewHipHop.「Spotify Unveils ‘Hip-Hop’s Next Leaders’ And Fans Are Less Than Impressed」(2026年2月25日) [28] Reddit.「Spotify reveals its list of ‘Hip-Hop’s Next Leaders’」(2026年2月25日) [29] WUOG.「Ultimate Wife Guy: Album Review of DON’T BE DUMB by A$AP Rocky」(2026年2月23日) ※大学ラジオ局のレビュー記事。リリース事実は各配信プラットフォームで確認可能。 [30] WTS Magazine.「千葉 雄喜を筆頭に音楽やファッションを軸としたものづくり…」(2026年2月21日) [31] PR TIMES.「『ABEMA』で独占配信中、次世代ラッパーを発掘する…」(2026年2月26日) [32] Rolling Stone Japan.「Billy Laurent、5年ぶりEP『pride.』配信リリース」(2026年2月27日) [33] 毎日新聞.「HipHopショートアニメ『シャドウビート』、第3弾楽曲『Reborn』を…」(2026年2月27日) [34] HotNewHipHop.「Drake Confirms One Key Detail About ‘ICEMAN’s’ Official Release Date」(2026年2月24日) [35] XXL.「Lil Durk’s Trial Delayed Again, Starts in August」(2026年2月24日) [36] HotNewHipHop.「DJ Akademiks Announces He’s Making An AI Album To Diss Lil Baby」(2026年2月22日) [37] XG公式 X投稿. メンバー声明(2026年2月24日) ※一次情報:メンバー名義の公式声明 [38] Spotify. 「Hip-Hop’s Next Leaders?」公式プレイリスト ※一次情報:Spotifyが作成した公式プレイリスト [39] A$AP Rocky.『Don’t Be Dumb』Spotify ※一次情報:リリース済みアルバム [40] Zipangu公式サイト ※一次情報:主催者公式ページ(Goldenvoice提携)
免責 本記事は信頼できる情報源をもとに作成した週刊ニュースまとめです。速報性を重視しているため、今後情報が更新される可能性があります。各ストーリーの確度は記事冒頭の凡例(◎一次情報/○主要報道/△本人SNS/▽コミュニティ反応)および各ストーリー冒頭のラベルで明示しています。XGプロデューサーSIMON逮捕について、認否は2月27日時点で明らかになっていません。Kダブシャインの発言はX上の投稿に基づいており、XG・SIMONの名指しはなく、文脈の解釈は編集部によるものです。般若のセットリストは本人がXで公開したセトリ画像に基づいています。Baby Keem初週71Kは業界トラッカーの予測値であり、Billboard 200公式確定値ではありません。各トピックの情報源はReferencesに記載しています。Lil Poppaの急逝については、手段の詳細には触れていません。つらい気持ちを抱えている方は、よりそいホットライン(0120-279-338、24時間対応)やいのちの電話(0570-783-556)にご相談ください。
HIPHOPCsは毎週更新。来週は、ピラフ星人の武道館と千葉雄喜Dogs店舗オープンをレポート!
© 2026 HIPHOPCs Intelligence Unit. All rights reserved. <details> <summary>ソースマップ(この記事の情報源一覧)</summary>
◎ 一次情報(公式ページ・本人声明・チャート公式): Billboard JAPAN [25] / ORICON NEWS [26] / Creativeman [16](プロモーター公式) / チケットぴあ [24] / STARBASE PR [8](公式プレスリリース) / XG公式X [37](メンバー声明) / Spotify公式プレイリスト [38] / A$AP Rocky Spotify [39] / Zipangu公式サイト [40]
○ 一次を引用した主要報道(複数社確認): 日本経済新聞 [1] / 時事通信 [2] / 音楽ナタリー [3] / Hypebeast JP [14] / amass [15] / HotNewHipHop [18][27][34][36] / The Source [19] / HipHopWired [20] / The Japan Times [23](主催者取材) / Rolling Stone Japan [32] / 毎日新聞 [33] / XXL [35] / PR TIMES [31]
△ 本人SNS投稿: 般若 X投稿 [7][11][12] / Kダブシャイン X投稿 [13](名指しなし) / Young Thug X・Instagram [18][19]参照
▽ コミュニティ反応・タブロイド・業界予測: X上のリプライ [9] / Instagram [10] / Reddit [28] / 東スポWEB [4][5](タブロイド) / 集英社オンライン [6] / WUOG [29](大学ラジオ局レビュー) / WTS Magazine [30]
自社取材・既報: HIPHOPCs [17][21][22] </details>
