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ハイ散歩!DJ2highさんとLA散策:Marathon Burger、Biggie〇害現場、元Death Row Recordsオフィス編

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2026年春、ヒップホップが渋滞している。注目アルバム7枚の発売日・全ジャケ付き考察

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Futureの新アルバム、まもなくリリースか

アトランタの首領、Futureが再びマスターピースを携え、シーンを揺るがそうとしている。 先日、彼はサウジアラビアでパフォーマンスを披露した際、未公開曲を披露すると共に、新アルバムの制作に取り掛かっていることを明かしたのだ。 新アルバムの制作が現在進行中 『WE DON’T TRUST YOU』『WE STILL DON’T TRUST YOU』『MIXTAPE PLUTO』と、怒涛のリリースを重ねた2024年。一方打って変わって、2025年は客演中心で比較的静かな動きに留まっていたFuture。 だが先日、サウジアラビアで開催された『Jeddah...

J. Cole『The Fall-Off』初週28万枚で全米1位―アナログ8万枚が示す”信頼”の重さ

読了時間: 約12分
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via @realcoleworld instagram

一つの数字がヒップホップの意味を問い直しました。

J. ColeThe Fall-Off』──初週280,000アルバム換算ユニットBillboard 200 全米1位。通算7作連続のナンバーワン獲得です。

しかし、この記事で最も注目したいのはチャート順位ではありません。フィジカル売上113,000枚。そのうちヴァイナル(アナログ盤)だけで80,000枚。この数字が意味するものについて、掘り下げていきます。

初週の売上と数字の全体像

まず、『The Fall-Off』の初週成績を整理します。

  • 総合アルバム換算ユニット:280,000
  • ストリーミング由来:約167,000ユニット(オンデマンド再生1億6,950万回)
  • フィジカル/純売上:113,000(うちヴァイナル80,000枚)
  • トラック換算ユニット:500

事前予測は約290,000ユニットでしたので、わずかに下回りました。しかし、2026年のヒップホップ/R&B作品として最大級のデビューであることに変わりはありません。Playboi Carti『MUSIC』の初週298,000ユニットに次ぐ、今年第2位の初動記録です。

ここから本題なのですが2026年において、音楽を聴くこと自体にはお金がほとんどかかりませんよね。月額1,000円前後のサブスクリプションで、世界中のほぼすべての楽曲に即座にアクセスできます。TikTokやInstagram Reelsでは、アルバムの核心部分が発売日にはすでに切り取られ、無料で拡散されています。

そんな時代に、113,000人がフィジカル盤を購入したという事実を考えるととても不思議です。

彼らはSpotifyで無料同然に聴けることを知っています。それでも「所有する」という選択をしています。ヴァイナルであれば1枚3,000〜5,000円、限定盤ならそれ以上の出費です。なぜそこまでするのか。

答えはシンプルです。J. Coleの音楽を「所有すること」自体に意味があると感じている人が、それだけ存在するということです。

ヴァイナル80,000枚・聴くから持つへの転換点

フィジカル113,000枚のうち、ヴァイナルが80,000枚を占めています。割合にして約71%。これは異常な比率です。

直近ではKendrick Lamar『GNX』がヴァイナル87,000枚を記録していましたが、『The Fall-Off』はそれに迫る数字を叩き出しました。ヒップホップ/R&B作品として、過去1年間で最大級のヴァイナル初週売上です。

ヴァイナルレコードは、CDよりもさらに「非効率」な媒体です。重いし、場所を取るし、再生にはターンテーブルが必要。曲のスキップすら面倒です。あらゆる意味で、ストリーミングの対極にある存在ですよね。

でもヴァイナルを持っている人ならわかるはず。80,000人がヴァイナルを選んだ。これは単なる音楽消費ではありません。この作品を物理的に手元に置いておきたいという意志表明なんだと思います。

なぜJ. Coleのフィジカルは売れるのだろう

フィジカル盤が売れるアーティストには共通点があると思います。Taylor Swift、Kendrick Lamar、Adele──いずれも楽曲の質だけでなく、アーティスト自身の存在に対する信頼がファンの購買行動を支えています。

J. Coleの場合、その信頼の根拠は少し独特です。

派手なビーフを仕掛けない。過剰なSNSマーケティングもしない。豪邸や高級車を見せびらかすこともほとんどない。むしろ彼は、ファンとバスケットボールをする日常をInstagramに投稿し、「Trunk Sale」ツアーではファンとの距離の近さを重視しています。

つまり、Coleはヒップホップの「成功の道」を意図的に逸脱しているアーティストです。そして、その逸脱こそがファンの深い共感を生んでいます。まさにコールワールド。。かもです

フィジカルを買うという行為は、Coleの場合、こう読み替えることができるのではないでしょうか。「あなたの音楽だけでなく、あなたの生き方に価値を感じている」その意思表示としての購入です。ちなみに筆者も購入しています。

日本のリスナーにこそ響く?内省の系譜

J. Coleの作風は、日本のヒップホップリスナーにとって実は非常に親和性が高い存在です。

技巧やフロウの華やかさよりも、内省と誠実さ。自分の弱さを隠さず、成長の過程をそのままリリックに刻む姿勢。これはZORNが自身の生い立ちを赤裸々に語る作風や、PUNPEEが日常の機微を繊細に描く手法と、根底で通じるものがあります。

また、日本では「引き際の美学」という概念が文化的に深く根付いています。KREVAやAK-69がキャリア後期に新作を発表するとき、ファンはそこに単なる新曲ではなく、「歩んできた時間」そのものを見出します。Coleが『The Fall-Off』を「最終章」として提示したとき、日本のリスナーはおそらく、その潔さに強い共感を覚えるはずです。

実際、フィジカル盤を買うという行為は、日本のファンカルチャーでは推し活とも重なります。聞こえは悪いけどそうですよね。やっぱりヘッズにしましょう

聴ければそれでいいではなく、応援の気持ちを形にしたいというヘッズの動機が、Coleのフィジカル売上の背景にある感情は、国境を超えて共通しているのかもしれません。

Billboard 200の週間動向─ラテン勢の台頭とColeの位置

今週のBillboard 200は、ヒップホップとラテンが交錯する興味深い構図になっています。

Bad Bunnyが2枠同時にチャートインしている点も見逃せません。『DeBí TiRAR MáS FOToS』は2位で250,000ユニット。Super Bowl LXのハーフタイム出演効果で、過去最大級の週間売上を記録しています。さらに『Un Verano Sin Ti』も6位(81,000)に再浮上しました。

また、Jojiの『Piss In The Wind』が5位(86,000)に入っています。日系アーティストとして、メインストリームでの存在感を着実に拡大しています。Don Toliverの『OCTANE』は初週97,000ユニットで4位でした。

こうした強力な競合の中で、Coleが1位を取ったこと自体が、彼の作品に対する市場の信頼を物語っています。

最後の作品がなぜこれほど売れたのか

『The Fall-Off』は長年にわたり、J. Coleのキャリアにおける「最終章」と語られてきました。

通常、最後を打ち出す作品には、ある種の注目度ブーストが働きます。しかし、280,000ユニットという数字は、一過性の話題だけでは説明がつきません。

ここで再び、フィジカル売上に目を向けます。

ストリーミングの167,000ユニットは「聴きたい」の表れです。しかし、フィジカルの113,000枚は「残したい」の表れではないでしょうか。最後の作品だからこそ、手元に置いておきたい。棚に並べておきたい。10年後にターンテーブルに乗せたい。

この感情は、音楽が完全にデジタル化された時代において、逆説的に強まっているように見えます。ストリーミングサービスは明日にはカタログから消えるかもしれない。しかし、手元にあるヴァイナルは消えません。Coleの「最後」を確実に所有しておきたい

その衝動が、80,000枚という数字に表れて、AIの発展するけれど人はそこに価値を感じるんだなと思いました。

引退作ではなく「継承作」:Dreamvilleという仕組み

ただし、『The Fall-Off』を単なる「引退作」と捉えるのは早計です。

J. Coleは自身のレーベルDreamvilleを通じて、次世代のアーティストを育成し続けています。JID、Bas、EarthGang──Coleが一歩引くことで、彼らにスポットライトが当たる構図がすでに準備されています。

ヒップホップは若さの音楽だと思われがちです。しかしColeは、成熟することがヒップホップにおける最大の反逆になりうることを証明しています。派手に散るのではなく、静かに道を作り、次の走者にバトンを渡す。

113,000枚のフィジカル盤は、その継承に対する支持票でもあるのかもしれません。かっこいいですよね、漢さんもそんな立ち位置に近いものを感じます

フィジカルが「売れない時代」に売れる意味

最後に、もう一度フィジカル売上の話に戻ります。

RIAAのデータによれば、アメリカの音楽市場におけるフィジカル売上のシェアは全体の約11%にまで縮小しています。ストリーミングが84%を占める現在、フィジカル盤を買うという行為は、もはや「音楽を聴くための手段」ではなくなっています。

では、それは何なのか。

私たちはそれを「関係性の物質化」と呼びたいと思います。

ストリーミングで楽曲を再生しても、アーティストとリスナーの間に残る物理的な痕跡はゼロです。再生履歴というデータはあっても、それを手に取ることはできません。しかしヴァイナルは違います。ジャケットを眺め、針を落とし、A面が終わったらひっくり返す。その一連の行為のなかに、アーティストとの「対話」の時間が生まれます。

J. Coleの音楽は、まさにそうした対話を求める性質のものです。BGMとして流すのではなく、歌詞カードを読みながら、一曲ずつ向き合う。内省的で、誠実で、静かに核心を突いてくるリリック。それはヴァイナルという「不便なメディア」と完璧に噛み合っています。

80,000人は、その「不便さ」にこそ価値を見出したのではないでしょうか。


要点まとめ

  • J. Cole『The Fall-Off』初週280,000ユニットでBillboard 200全米1位、通算7作連続
  • フィジカル売上113,000枚、うちヴァイナル80,000枚──ヒップホップ/R&B年間最大級
  • ストリーミング再生回数1億6,950万回
  • Playboi Carti『MUSIC』(298,000)に次ぐ2026年ヒップホップ第2位の初動
  • フィジカル売上の高さは、楽曲の質を超えた「アーティストへの信頼」の証
  • 「最終章」としての作品設計が、フィジカル需要をさらに押し上げた可能性

🔍 よくある質問(FAQ)

Q. J. Cole『The Fall-Off』の初週売上はどのくらいですか?
A. 280,000アルバム換算ユニットでBillboard 200初登場1位です。ストリーミング167,000ユニット、フィジカル113,000枚という内訳になっています。

Q. ヴァイナル売上80,000枚はどの程度すごいのですか?
A. 過去1年間のヒップホップ/R&B作品で最大級の記録です。Kendrick Lamar『GNX』の87,000枚に迫る水準であり、ストリーミング全盛の時代においては極めて異例の数字といえます。

Q. 2026年のヒップホップ初動ランキングでの位置づけは?
A. Playboi Carti『MUSIC』(298,000)に次ぐ第2位です。Don Toliver『OCTANE』(97,000)を大きく上回っています。

Q. 『The Fall-Off』は本当にJ. Coleの最後のアルバムですか?
A. 長年「最終章」として語られてきた作品ですが、Cole自身は明確に「引退」を宣言しているわけではありません。Dreamvilleレーベルを通じた活動は今後も続くとみられています。


280,000という数字は、翌週には別の数字に塗り替えられるかもしれません。

しかし、113,000枚のフィジカルと80,000枚のヴァイナルは、それぞれの持ち主の棚に残り続けます。10年後、20年後にふと取り出されて聞かれる時、音楽は、チャートの順位とは無関係に、記憶を持っているはずです。

それが、J. Coleという人間が積み上げてきた信頼の正体なのだと思います。

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