水曜日, 12月 10, 2025

【HIPHOPCs独占インタビュー】Alif Wolf―19歳が語る、痛みと音楽

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「ラップスター 2025」で何かが変わった—19歳ラッパーAlif Wolfがペインを音に変える

Rapstar(ラップスター) 2025、突如として話題をさらったAlif Wolf(アリフ・ウルフ)。

サイファーでAlif Wolfがマイクを握った瞬間、筆者の中で凄く響くものがあった、なんであんなに彼女の楽曲に心を掴まれたのか、何度も聴いてしまうのか、こんなラッパーがいるんだと面を食らって何度もリピートを始めた日から約2ヶ月。

あのサイファーは聞かれただろうか?

「ママ売りたがる 私を20万で」

「ダサい男ばっかでなりそうレズ」

名前を知らなかった人たちも「誰だこのラッパー」と検索し始めたあのサイファー。19歳の女性ラッパーの存在が、一夜でシーンに刻まれた瞬間だったと感じている。

しかし彼女にとってあの言葉はバズを狙ったものではなかったとのこと。そんなAlif Wolfの持った不思議な魅力についてインタビュー

Cook – 宜しくお願いします。自分の中ではサイファーではNo. 1だった..とお世辞抜きに思っています。アーティスト名の由来や応募した時の気持ちなど教えて頂きたいです。

Alif Wolf – よろしくお願いします、確かこれはラップスターでも話したんですが、アーティスト名の由来はAlif(アリフ)が私のイングリッシュネームでWolf(ウルフ)は1匹狼的な感じなんです。

あの応募動画の時は極力顔映らないようにしてました、フィメールって顔で評価されるみたいなところあると思ってて。

その認識とかも全部、フィメールでラップスターになったら文句言えないと思ってたんで、それを変えたかった気持ちが強かったです。

ラッパーとしての表現、余白を捨てたラップスターの一夜

Cook – なるほど。どんな風に曲を書いていくのか気になります!

Alif Wolf – 本当は私は普段の楽曲ではリリックでは全部を細かく説明することはないんです。特にpain系では。でもあのステージでは、包み隠さず表現するって決めて制作していました、

普段やっているpain系、痛みを歌う曲では、余白を残すスタイルを取っています。全部出してしまわないように。でもラップスターではその余白を捨てました、自分の中にある痛みも怒りも、そのまま音にした感じなんです。

—-

Cook – 確かに闘っているような表情とか。埼玉でひとり、ずっとこうやって曲を作ってきたんだろうなって伝わってくる場面もありましたよね

Alif Wolf – 確か審査員の方に「君の声を聴けばわかる。もうその時点で勝ってる。難しいことは考えなくていい、天才だから。ストレートに行こう」と言われた時、ストレートにやっていいんだって思えたのが嬉しかった。

その瞬間は自分の苦手な方向に無理に合わせるより、私らしさを出したほうがいいんだなと挑戦したという感じでした。

Cook – 自分のイメージではAlif Wolfさんはずっと1人でやってきたみたいなイメージがあって

Alif Wolf – ずっと1人でやってきました。けど、あそこ(ラップスター)で同世代の人と話すの楽しいかったです。コラボとか、こんなに自由に意見を交わせるの初めてでしたし。だから曲の昇華もしかたも変わったんだと思います。

Cook – 確かにAlif Wolfさんの楽曲を聞くと痛みを音楽で怒りか悲しみ、どちらかに昇華してるというイメージがあります。

Alif Wolf – そうですね、そもそもHIPHOPがなかったら、ここまで生きれてるかわからない。ヒップホップがなかったら、ここまで生きれてるかわからないし、絶対的に今の私はいないと思ってます。

Cook- HIPHOPに救われてる人、沢山いると思います。放送を終えて、今どんな気持ちですか?

Alif Wolf – 今まで生きてきてできなかったような体験をさせていただきました。自分を試す貴重な機会でしたし、本当に感謝してます。放送中はずっと緊張してたんですけど、今は少し落ち着きました。応援のDMもたくさんいただいて、ファンの方々の期待に応えれるように頑張りたいという気持ちです。

Cook – 番組を通して伝わったと感じた瞬間とかはありましたか?

Alif Wolf – 取材の影響もあってか、ファンの方々の心に届いたみたいで嬉しかったです。私以上に悲しんでくれる人がいるのはとても心強いですよ。

Cook – SNSの反響については?SNSではリスナーに対するアンサーソングでひっくり返ったと話題になっていましたよね (笑)

Alif Wolo- 良くも悪くも、私に対する話題が絶えなかったです。それだけ注目してもらえてるんだなって感じました。でもそういった賛否の意見を頂けるととてもありがたいし、より頑張りたい。

Cook – 悪意あるアカウントが音楽に限らず最近増えたと感じてて、Rapstar後、環境はやはりかなり変わりましたか?

Alif Wolf – いや、ほんとにフォロワーが急に増えて、Rapstarの影響力を実感しました。コラボのお誘いもいただいたりして、今後がすごく楽しみです。

Cook – ですよね。11月17日にリリースされた『Prologue』ですが人生を一冊の本に見立てて、「1ページ」「序章」「次のページ」って綺麗にメタファー揃えてる感じがすごかったです。本のイメージで一貫させてる感じ。​​​​​​​​​​​​​​​​

Alif Wolf – そうですね、そう言ってもらえるのめちゃくちゃ嬉しいです。本で言うとギリギリでめくってきたページばっかりだったので、「Prologue」はそれをそのまま本のイメージに落とし込みたくて。だから、「まだ序章なんだ」って自分に言い聞かせる意味でも、ここまでは序章という意味を込めてああいうメタファーで揃えたところはあるのかも。。ジャケ写の通りです。

12月中に新曲を配信予定なんです、今は制作の真っ最中で…来年はEPも出したいと思ってます。

Alif Wolfーyoutube トピック 

Cook – ではまた情報解禁日にまた是非インタビューさせて下さい。最後に今後挑戦したいことなどあれば是非お願いします。

Alif Wolf – 今後はライブを増やしていきたいです、まだ現場での経験が少ないので、あるコラボの楽曲も進めていてそれを含めてとにかく頑張りたいと思ってます。皆さん今後の動きもチェックよろしくお願いします!

Cook – ありがとうございました!

インタビューを終えて

埼玉で活動する19歳のAlif Wolf。画面越しじゃなく現場で、目の前の熱を共有すること。それが次の目標だということ、

「私以上に悲しんでくれる人がいる」この言葉はとても重かった。

彼女の持つ痛みが誰かに届いた。そして、同じ痛みを抱えた誰かが、彼女の声に自分を重ねて今日も生きる勇気を貰ってる。それが彼女にとっての伝わったという実感だったんだということ。

「HIPHOPがなかったら、生きてこれなかった」

19歳がそう語る、その言葉の重さが彼女のリリックに反映され、ひとりで曲を作り続けてきた女の子が、ヒップホップという自分の居場所を見つけた。

万人に届くポップさは纏っていないかもしれない。インタビューを通じて感じたのは彼女が歌うのは痛みであり、生きづらさであり、誰にも言えなかった叫びや、まさにペインそのものだということ、彼女のラップは痛みや生きる上でついてくる苦しみの向こう側にある希望そのものだと感じた。

そしてヒップホップに救われた、ヒップホップに日本では宗教的な側面はないが、この音楽に勇気を貰っている人が今日もいると思う。

これからも彼女は、誰かのためじゃなく、自分のためにマイクを握り続けてほしいし、その音楽は結果として誰かの生きる理由になっていく。それがAlif Wolfという表現者の在り方なんだろう。

埼玉から来た19歳のAlif Wolfの活躍はまだまだ始まったばかりだ。楽曲の通り、今はまだプロローグに過ぎない。12月、そんな彼女の新曲がリリースされる。来年にはEPも予定しているとのこと。

これから日本のシーンを盛り上げる活躍が非常に楽しみだ。

Alif Wolf(アリフウルフ)Instagram:@___alifwolf___

Alif Wolf(アリフウルフ):youtube

Alif Wolf(アリフウルフ):tune core

本記事は、Rapstar(ラップスター)2025出演後の取材にもとづき、HIPHOPCsライター・Cookが構成したインタビューである。

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