G Herbo、Kyle Richh、Jenn CarterがフィーチャリングにTaTa、41、HXLLYWOODを迎えた「Sneaky Link NYC」が2026年2月13日にリリースされた。本作はHXLLYWOODが2020年にスタートした「Sneaky Link」シリーズの最新作であり、2021年の「Sneaky Link Chicago」(G Herbo、Queen Key参加)に続く地域拡張版だ。シカゴのベテランG Herboと、ブルックリン・ブラウンズヴィル発のグループ41(Kyle Richh、Jenn Carter、TaTa)、そしてシリーズの生みの親であるシカゴ出身のHXLLYWOODが合流し、都市を跨いだパーティーアンセムに仕上がっている。
「Sneaky Link」シリーズの系譜とNYC版の位置づけ
「Sneaky Link NYC」を理解するには、まずHXLLYWOODが築いてきたシリーズの系譜を押さえる必要がある。シカゴのサウスサイド出身のHXLLYWOODは、2020年に「Sneaky Link」(feat. Glizzy G)をリリースし、TikTokを中心に爆発的なバイラルヒットを記録。その勢いを受けて2021年にはG HerboとQueen Keyを迎えた「Sneaky Link Chicago」を発表し、シリーズとしての土台を固めた。今回の「Sneaky Link NYC」は、そのコンセプトをシカゴからニューヨークへと拡張した作品であり、HXLLYWOODが単なるフィーチャリングゲストではなく、シリーズのクリエイティブな核であることを理解しておきたい。
サウンドとプロダクション:ベース主導のパーティートラック
プロダクション面では、重厚なベースとパーカッションが楽曲の骨格を形成している。NYドリル特有のバウンス感を基盤としながら、各ラッパーのヴァースに十分なスペースを確保した構成だ。G Herboのグリッティなバース、Kyle RichhやJenn Carterのフロウがそれぞれ個性を発揮しつつ、全体としてはクラブ向けのエネルギッシュなトラックに仕上がっている。「Sneaky Link Chicago」が持っていたシカゴドリルの重厚さと、NYサイドが持ち込むリズミカルなバウンスが交差する地点に、本作のサウンドは位置している。
リリックの焦点:ナイトライフとフレックス
タイトルの「Sneaky Link」は、カジュアルな密会やフックアップを意味するスラングだ。歌詞の中心テーマは、女性へのアプローチ、競争相手に対する優位性の誇示、そして成功の享受といった要素で構成されている。HXLLYWOODの原曲から受け継がれたパーティー的なトーンを維持しながら、各アーティストが自身のスタイルでそのテーマを展開する。G Herboはシカゴのストリートで培ったグリットをヴァースに込め、41のメンバーたちはブルックリン・ブラウンズヴィルで磨いたフロウを披露している。知的な二重構造やメタファーを求める作品ではなく、ストレートに楽しめるパーティートラックとしての機能に徹している点が、本作の明快さでもある。
参加アーティストの背景
本作の参加アーティストの布陣を整理しておこう。G Herboはシカゴのサウスショア地区(通称Terror Town)を代表するドリルアーティストで、『PTSD』(2020年)がBillboard 200で7位を記録するなど、メインストリームでの実績を持つ。一方、41はブルックリンのブラウンズヴィル地区出身のKyle Richh、Jenn Carter、TaTaの3人で構成されるグループだ。2022年にRepublic Recordsと契約し、「Bent」(2023年)がプラチナ認定を受けるなど、NYドリルシーンから急速に成長した。なお、近年の41はドリルに留まらず、テクノ寄りの「Presidential」やメロウな「Chill Guy」など、サウンドの幅を広げている。HXLLYWOODはシカゴのサウスサイド出身のシンガー兼ラッパーで、「Sneaky Link」シリーズの生みの親として知られる。つまり本作は、シカゴの2アーティスト(G Herbo、HXLLYWOOD)とブルックリンの3人組(41)によるコラボレーションであり、「ブロンクス」や「西海岸」のアーティストは参加していない。
地域間コラボレーションの文脈
シカゴとニューヨークのドリルアーティストによるコラボレーション自体は、本作が初めてではない。そもそもNYドリルのサウンド自体がシカゴドリルとUKドリルの影響を受けて発展した経緯があり、両都市の音楽的な繋がりは深い。HXLLYWOODが2021年の時点でG Herboとシカゴ版を制作していたことを考えれば、今回のNYC版は数年越しのプロジェクトの自然な発展と言える。USヒップホップシーンにおいてソーシャルメディアが地域間の垣根を低くしていることは確かだが、本作はトレンドに乗ったものというよりも、既存の関係性の上に構築された作品だ。41がTravis ScottのOne Night in Utopiaに招かれ、Megan Thee Stallionの楽曲にKyle Richhがフィーチャーされるなど、ブルックリンドリル勢のメインストリームへの浸透が進む中で、本コラボレーションはその延長線上にある。
HIPHOPCs編集部の評価
評価できるポイント
「Sneaky Link NYC」の最大の強みは、明快なエンターテインメント性にある。複数のアーティストがそれぞれのスタイルを持ち寄りながら、トラック全体として統一感のあるパーティーアンセムに仕上がっている。特にG Herboのベテランとしての安定感と、41の若いエネルギーの対比は楽曲にダイナミズムを与えている。HXLLYWOODの「Sneaky Link」シリーズというフレームワークがあることで、単発のコラボ以上の文脈と物語性を持っている点も評価できる。クラブやパーティーで繰り返し再生されるポテンシャルを十分に備えた1曲だ。
改善の余地
一方で、参加アーティストの多さゆえに、個々のヴァースが短くなり、各自の個性を十分に展開しきれていない印象がある。特に41のメンバーが近年見せている「Presidential」や「Chill Guy」のようなドリル以外の引き出しは、本作では発揮される場面が限られている。また、フックの反復がやや単調で、楽曲のクライマックスに向けたビルドアップが弱い。シリーズの系譜を考えると、「Sneaky Link Chicago」との差別化がもう少し明確であれば、NYC版としての独自性がより際立っただろう。
よくある質問
「Sneaky Link」シリーズとは何ですか?
シカゴ出身のアーティストHXLLYWOODが2020年に「Sneaky Link」(feat. Glizzy G)でスタートしたシリーズです。2021年にはG HerboとQueen Keyを迎えた「Sneaky Link Chicago」をリリースし、今回の「Sneaky Link NYC」で3作目となります。各作品で異なる都市のアーティストとコラボレーションする形式をとっています。
41とはどういうグループですか?
41はブルックリンのブラウンズヴィル出身のKyle Richh、Jenn Carter、TaTaの3人で構成されるヒップホップグループです。2022年にRepublic Recordsと契約し、「Bent」(2023年)がプラチナ認定を受けるなど商業的成功を収めています。ストリーミングクレジットでは「G Herbo, Kyle Richh & Jenn Carter (feat. TaTa, 41 & HXLLYWOOD)」と表記されており、個人名とグループ名が併記されています。
なぜG HerboがNYのアーティストとコラボしたのですか?
G Herboは「Sneaky Link」シリーズにおいて2021年のシカゴ版から参加しており、HXLLYWOODとの関係は既に構築されていました。今回のNYC版はそのシリーズの拡張であり、41の持つ若年層のファンベースとG Herboの確立されたリスナー層が相互に広がる効果も期待できます。
この楽曲はアルバムの収録曲ですか?
現時点では単独シングルとしてリリースされており、特定のアルバムには収録されていません。
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本記事の楽曲解釈は編集部の印象に基づくものであり、アーティストの公式見解を代表するものではありません。
