Awich『Fear Us (feat. Joey Bada$$)』|レビュー&解説

    Awich『Fear Us (feat. Joey Bada$$)』は、日本を代表する女性ラッパーAwichと、ニューヨーク・ブルックリンが生んだ実力派ヒップホップアーティストJoey Bada$$という、日米を跨ぐ強力なコラボレーションが実現した一曲である。タイトルが示す通り、「恐れろ」という挑発的なメッセージが全編を貫いており、両者のストリートで培われたリアルな存在感がぶつかり合う緊張感に満ちている。

    ビートは重厚かつダークなトーンを基調としており、硬質なドラムパターンと不穏なシンセが絡み合う構成のように聞こえる。このプロダクションの上で、Awichは持ち前のタイトなフロウと力強いデリバリーを披露し、Joey Bada$$もまたイーストコースト仕込みのスキルフルなラップで応戦する。両者のヴァースが交錯することで生まれるケミストリーは、単なる客演を超えた対等なバトルのような熱量を感じさせる。リリックの詳細な内容は聴き手の解釈に委ねられる部分もあるが、自己肯定と威厳、そしてシーンに対する宣戦布告ともとれるテーマが込められているように感じられる。

    Fear Us (feat. Joey Bada$$)は、深夜のドライブや集中力を高めたいワークアウトの場面で聴きたくなる楽曲といえる。Awichが国際的なフィールドで勝負し続けている証左として、この楽曲は重要な意味を持つかもしれない。HIPHOPCs編集部としては、日本のヒップホップシーンがグローバルなラッパーたちと自然に肩を並べる時代の到来を象徴する一曲と捉えている。Awichの進化を追い続けるリスナーにとって、必聴のトラックである