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2026年グラミー殿堂入り作品発表!2Pac、Eric B.&Rakim、Selena、Janet Jacksonらが選出

米レコーディング・アカデミーは2月11日、2026年のグラミー殿堂(Grammy Hall of Fame)入り作品14点を発表した。今回はアルバム9作品、楽曲5作品が選出され、発表から25年以上を経た、音楽的・歴史的に重要な録音が顕彰される。 そして特筆すべきは、選出作品は約1世紀にわたる録音史を網羅していることだ。ヒップホップ、ロック、R&B、ジャズ、ゴスペル、フォーク、児童音楽まで幅広いジャンルが含まれている。 ヒップホップ、R&B系アルバム部門では、2Pac(2パックno)『All Eyez On Me』、Selena(セレーナ)『Amor Prohibido』、Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)『Rhythm...

【HIPHOPCs独占インタビュー】日本と台湾、そしてアジアのシーンを繋ぐキーパーソン、Finesse’Boyの現在とこれから

ますます盛り上がりを見せているヒップホップシーン。特に本場であるアメリカのヒップホップ業界の成長は止まる事を知らず、新たなラッパーが毎日のように誕生し、入れ替わりの激しい実力主義の世界で熾烈な競争を繰り広げているのだ。 しかし、ヒップホップという文化が発展を遂げているのは、危険なイメージと結び付けられがちなアメリカだけではない。 近年、アジアのヒップホップは確実に存在感を高めている。日本ではオーディション番組『Rapstar』にATL JacobやZaytovenといった海外のビッグネームがビートを提供するなど、シーンはすでに国境を越えた動きを見せている。そして、この流れは今に生まれたものではない。 2015年に公開されたKeith Ape、JayAllDay、Loota、Okasian、Kohh(千葉雄喜)による日本と韓国のラッパーのクロスオーバー楽曲「It G Ma」は、現在までに約9000万再生を記録。 https://youtu.be/DPC9erC5WqU?si=xpyFbX0vAD-U5TLF この大ヒットをきっかけに、A$AP FergやWaka Flocka Flameが参加したリミックス版が公開されるなど、アジア発の楽曲が世界的バイラルヒットを記録し、USリスナーの注目を集めることに成功した。 https://youtu.be/aISZPYznhgA?si=WKTiXi2twfu3pHQW その後、コロナ禍に88risingから公開されたRich Brianによる「Tokyo...

Awich×クレイジージャーニー|音楽が”処刑の合図”だったカンボジアで、ラップが希望に

via @awich098 instagram TBS系『クレイジージャーニーSP』(2026年2月9日放送)で、沖縄出身のラッパーAwichがカンボジアを訪れた。音楽が禁じられ、知識人が殺された国。そこで今、ラップが爆発的に広がっている。番組で描かれたカンボジアの過去と現在、そしてVannDa(ヴァンダ)という存在を、歴史の奥まで掘り下げて読み解く。 ※本記事は番組内で語られた内容を軸に、公開情報で補足・裏付けを加えて構成しています。番組内の発言は放送時点の文字起こしに基づくため、実際の発言と細部が異なる可能性があります。 以前取り上げたこの記事 https://hiphopnewscs.jp/2025/03/07/awichasian-state-of-mine-14355/ Awichが語った”沖縄とカンボジアの共鳴” 番組冒頭、Awichはカンボジアの印象をこう表現した。 沖縄と似てる感じがします。その温かさの背景にある痛みとか、辛い歴史とかも似てる気がします 沖縄は米軍基地を抱え、戦争の記憶と日常が隣り合わせの土地だ。Awichはその沖縄で生まれ、アトランタのストリートで生き、夫の死という喪失を経て、痛みを音楽に変えてきたラッパーだ。彼女がカンボジアに立つことは、単なる海外ロケではない。痛みの歴史を持つ土地同士の、声による接続だった。 1960年代クメール・ロックの黄金時代——奪われる前のカンボジア音楽 カンボジアの音楽史を語るうえで、ポル・ポト政権の前にあった黄金時代を知る必要がある。 1960年代、カンボジアは音楽の花盛りだった。ベトナム戦争でアメリカ軍が南ベトナムに駐留し、米軍向けラジオ放送AFNの電波がカンボジアにも届くようになると、本場のロックンロールが流れ込んできた。カンボジアの伝統音楽と西洋ロックが溶け合い、クメール・ロックと呼ばれる唯一無二のジャンルが誕生した。 その象徴がシン・シサモットだ。クメール音楽の王と呼ばれた国民的シンガーソングライターで、伝統音楽からR&B、ロックまであらゆるジャンルを歌いこなした。女性シンガーのロ・セレイソティア、ツイストの女王パン・ロンと合わせた三大レジェンドを中心に、1963年頃にはカンボジア全土で100以上のロックバンドが活動していたとされる。 プノンペンは東洋のパリと称えられ、空港前やリバーサイドのクラブではタイトなスーツの男性とミニスカートの女性が夜通しツイストやゴーゴーを踊り明かした。庶民は1台のラジオを家族全員で囲み、歌謡番組に熱中した。文化を愛したシハヌーク国王自身が映画を撮り、自作曲を歌い、大規模な音楽コンテストを開催するほどだった。 しかし、その華やかな時代は突然終わる。 ポル・ポト政権とクメール・ルージュ——音楽が死んだ3年8ヶ月 1975年4月17日、ポル・ポト率いるクメール・ルージュがプノンペンを陥落させた。この日はゼロ年と呼ばれ、すべてが無から始まるとされた。 ポル・ポトが目指したのは、毛沢東思想の影響を受けた極端な農業社会主義だ。番組内でも紹介されたように、国民全員が農業をやれば幸せな国になるという信念のもと、国民は都市から農村へ強制移住させられた。通貨は廃止され、学校教育は否定され、黒い農民服が国民全員の服装となった。朝5時から夜10時まで、すべて人力の強制労働が課された。 犠牲者数の推計には幅があり、イェール大学のカンボジア人大量虐殺プロジェクトは約170万人、アムネスティ・インターナショナルは約140万人としている。当時のカンボジア人口は約700万〜800万人とされ、最大で人口の4分の1近くが命を落とした計算になる。 芸術家への弾圧は特に苛烈だった。番組内でVannDaの父親が証言したように、ミュージシャン、芸能人、医者、知識人など全てが殺された。さらに、医師や教師を優遇するという名目で自己申告させ、別の場所へ連れ去った後に殺害するという手法がとられた。やがてそれが知れ渡ると、無学文盲を装って逃れようとする人々も現れたが、眼鏡をかけている者、文字を読もうとした者、時計が読める者——少しでも学識がありそうな人間は片っ端から殺された。これは番組内の証言と一致しており、複数の歴史研究でも確認されている事実だ。 VannDaの父親は取材に応じる際、デリケートな話だから、英語じゃなくてカンボジア語でもいいか。ドアを閉めてくれないか。大っぴらに話す話じゃないと前置きした。 強制結婚の実態、食事の時間を過ぎて食べ続けただけで殺された人々、Awichの母方の祖父にあたるとされる人物が教師だったという理由だけで軍に連れていかれた話。ポル・ポト政権が終わった時、国民全員が”ゼロからスタートする”と心に誓った。亡くなった人たちの分も——父親の言葉は重かった。 クメール音楽の王シン・シサモットも、クメール・ルージュの犠牲となったとされる。1976年頃に処刑部隊によって殺されたと考えられているが、正確な死因も日付も不明のままだ。ロ・セレイソティアも強制労働キャンプで命を落としたとされる。黄金時代のレコードやマスターテープは焼却され、ほとんど残っていない。 番組が伝えた衝撃の証言——“音楽は人を殺す合図だった” 番組で最も衝撃的だった証言がある。 たまに音楽が流れたが、それは軍の音楽だった。処刑場で大音量で流し、殺される人の叫び声が聞こえないようにしていた。音楽は人を殺す合図だった ポル・ポト政権下で音楽は完全に消えたわけではなかった。ただし、それは人間の創造性や喜びのためではなく、人間を殺すための装置として使われていた。この事実が、後にVannDaが音楽で成し遂げたことの意味を、圧倒的に重くする。 ポル・ポトは1979年にベトナム軍の侵攻で政権を追われたが、タイ国境付近のジャングルに逃れ、ルビー売買の利権を元手にゲリラ闘争を続けた。番組内では1998年に国境近くのジャングルで死体として発見されたと語られ、死因は心臓発作とされているが真相は諸説ある。裁判で裁かれることなく世を去った。 VannDa(ヴァンダ)とは何者か——Baramey Productionが育てたカンボジアの国民的ラッパー この国で今、最も大きな存在がVannDa(ヴァンダ)だ。 本名マン・ヴァンダ、1997年シアヌークビル生まれ。TuneCore Japanの公式プロフィールによれば、幼少期はカニエ・ウェストやキッド・カディに影響を受けたという。家族の反対を押し切ってプノンペンへ上京し、2019年にカンボジアの音楽プロダクションBaramey Productionに所属して本格的に活動を開始した。 番組では、VannDaが育った地元シアヌークビルの市場が映された。小さい頃、ここで両親が働くココナッツ売り場を手伝ってたんだよ——ストリートの少年だった彼が、カンボジア音楽史を書き換える存在になるまでの距離は、途方もなく遠い。 2021年、転機が訪れる。伝統楽器チャペイの名手マスター・コン・ナイをフィーチャーしたTime to Riseが爆発的ヒット。Baramey Production公式によれば24時間で100万回再生を達成し、2025年時点でYouTube再生回数は1億2900万回を超え、カンボジアのアーティストとして史上最高記録とされている。伝統音楽とヒップホップを融合した唯一無二のスタイルは、タイ、ラオス、ベトナムなど東南アジア全域に波及した。 2024年8月、パリ五輪閉会式でパフォーマンスを披露。Baramey...

【2026年2月20日配信】Baby Keem『Ca$ino』全曲解説|千葉雄喜・SEEDAと重なる沈黙の美学

読了時間: 約13分
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via @keem instagram

千葉雄喜が3年黙って、「Team Tomodachi」で帰ってきた時のこと、覚えてますか。SEEDAが13年ぶりにアルバムを出した時の衝撃も。日本のヒップホップって、黙ってる時間が長いラッパーほど、戻ってきた時にとんでもないものを持ってくると思いませんか?

いま太平洋の向こうで、まったく同じことをやろうとしてるラッパーがいます。

Baby Keem。新作『Ca$ino』を2026年2月20日にリリースします。前作『The Melodic Blue』から4年以上。全12曲。従兄弟のKendrick Lamarも参加。これ、ただの新譜じゃないです。

沈黙から復帰が強い理由

Baby Keemの話に入る前に、日本のシーンを振り返らせてください。ここ2年で長い沈黙のあとに名盤を出すパターンが立て続けに起きてるんです。しかも全部、ちゃんと結果を出してる。

千葉雄喜(元KOHH)——名前を捨てて、世界に届いた

2020年にKOHHとしての引退を宣言。2021年末にラストライブをやって、そこから約3年、本当に消えました。文學界にエッセイを寄稿したり、服屋を開いたりはしてましたけど、音楽としての「KOHH」は完全にゼロにした。

で、2024年2月に突然出てきたのが「Team Tomodachi」です。名義はKOHHじゃなくて本名の千葉雄喜。ビートを手がけたのは徳島のラッパーWatsonの仕事でも知られるKoshy。この曲がバイラルして、そこからの展開がすごかった。Megan Thee Stallionの「Mamushi」でBillboard Hot 100にチャートイン。Will Smithがリミックスに参加。2025年7月には武道館ワンマンを成功させてます。

3年間何もしなかったんじゃなくて、KOHHという殻を脱いで、千葉雄喜として生まれ直す時間だったわけです。結果的に、沈黙前よりはるかにデカくなって戻ってきた。

Skaai——『Gnarly』。12曲で「クラシック」と呼ばれたアルバム

ヴァージニア州生まれ、大分育ち。九大の研究者でもあるSkaaiが2025年末にリリースした『Gnarly』は、全12曲・約35分。生楽器を多用したジャジーなサウンドに、スキルフルなラップが乗る。批評家から日本語ラップのクラシックになると言われてます。これ、リリース直後からそういう評価なので相当です。

ちなみにこの12曲という曲数、Baby Keemの『Ca$ino』と完全に同じです。20曲超えがストリーミング時代の定石になってる中で、あえて絞ってくる。偶然かもしれないですけど、日米のアーティストが同じ時期に同じ判断をしてるのは面白いです。

Baby Keem『Ca$ino』——4年の沈黙が生んだ12曲

ここからBaby Keemの話です。2026年2月10日、Instagramのストーリーでいきなりアルバムを発表しました。タイトルは『Ca$ino』。レーベルはpgLang / Eerie Times / Columbia Records。リリース日は2月20日。

直前まで動きはほとんどなかったんです。Governors Ball 2026のラインナップに名前があったり、Kendrickとのミュージックビデオ撮影が目撃されたりはしてましたけど、公式な情報はゼロ。Instagramのプロフィール写真を変えたのが当日の朝で、その数時間後にトラックリストがドンと出てきた。

トラックリスト(全12曲)

  1. No Security
  2. Ca$ino
  3. Birds & The Bees
  4. Good Flirts ft. Kendrick Lamar & Momo Boyd
  5. House Money
  6. I Am Not A Lyricist
  7. Sex Appeal ft. Too Short
  8. Tubi ft. Che Ecru
  9. Highway 95 Pt. 2
  10. Circus Circus Freestyle
  11. Dramatic Girl
  12. No Blame

同時にbooman.coで限定ヴァイナル・CD・ボックスセットの予約も始まってます。そしてYouTubeには約9分半のドキュメンタリー「Booman I」が公開されていて、Keemの幼少期を家族が語る内容。ここにKendrickも出てきます。

「Good Flirts」——Kendrickとの共演を読み解く

やっぱり一番気になるのは4曲目「Good Flirts」ですよね。Kendrick LamarとMomo Boydが参加してます。

KeemとKendrickは従兄弟です。でも2人の関係って、家族だからコラボしてるという次元をとっくに超えてます。2021年の「Family Ties」でGrammy(Best Rap Performance)を獲って、2023年には「The Hillbillies」を出してTyler, the Creatorもカメオ出演。共演するたびにシーンの空気が変わるんですよね。

日本のシーンで例えるなら、千葉雄喜とWatsonの関係性に近いかもしれません。単にフィーチャリングし合うんじゃなくて、「この2人が組むと新しい回路ができる」みたいな感覚。SEEDAがJJJやR-指定と組む時にも同じことが起きてました。「誰と一緒にやるか」がそのまま思想の表明になる。これは日米共通のヒップホップの文法です。

「I Am Not A Lyricist」——この問いかけ、日本のシーンでも聞き覚えありませんか

6曲目のタイトルが「I Am Not A Lyricist」(俺はリリシストじゃない)。これ、相当挑発的です。

ラップって結局なんなの?テクニック?エモーション?ストーリー?バイブス?この論争はアメリカでも日本でもずっと続いてます。

2025年の『ラップスタア誕生』が象徴的でした。審査員のSEEDAは「わかりやすさ」「直球で伝わるかどうか」を評価軸に置いた。一方でR-指定やBenjazzyは韻の構成力やラップの足腰を見てた。結果、SEEDAが推した候補者の多くが他の審査員に通らなくて、SEEDA本人が「撃沈でしたね」とコメントする場面も。技巧派とバイブス派の溝って、やっぱり深いんですよね。

Skaaiはこの問題に対して面白い回答を出してます。九大の研究者というバックグラウンドがありながら、ジャジーなサウンドでラップする。知性とバイブスは両立する、ということを作品そのもので見せた。「リリシストかどうか」みたいなラベルの話じゃなくて、もっと大きな音楽の話をしよう——そういうメッセージを感じます。

Baby Keemが「I Am Not A Lyricist」と銘打ったのも、たぶん同じ方向を向いてます。ラベルなんかいらない。アルバム全体で聴いてくれ、と。

Too ShortとChe Ecru——この客演の組み合わせが面白い

客演の人選も見逃せないです。

Too Shortは1980年代から活動してるベイエリアのレジェンド。ストリートラップの生きた歴史みたいな人です。「Sex Appeal」に参加してるのは、Keemが西海岸の系譜にちゃんと敬意を払ってるってことでしょう。

一方のChe Ecruは、R&Bの空気感を持った現代型のアーティスト。「Tubi」に参加してます。こっちは未来の方向性を示すピースですね。

過去のレジェンドと現在進行形の才能。この組み合わせ方、SEEDAが『親子星』でやったことと本当によく似てるんです。VERBALやBES、D.Oといったベテラン勢と、SieroやBonberoみたいな若手を同じアルバムに並べた。「自分がどこから来て、どこに向かうのか」を客演リストで語る。ヒップホップの伝統的なやり方ですけど、やっぱりこれができるのは「何を選ぶか」に自信がある人だけです。

12曲にした理由——ストリーミング時代にあえて逆を行く

ここ数年、ヒップホップのアルバムって長くなる一方でした。20曲とか25曲とか入れて、ストリーミングの再生回数を稼ぐ。1曲でも引っかかればOKみたいな確率のゲームです。

『Ca$ino』はその逆をいきます。12曲。たぶん40分前後。全部聴いてくれというメッセージです。

日本のシーンだと、この考え方はもう珍しくないですよね。Skaaiの『Gnarly』は12曲・約35分。CreativeDrugStoreの『Generic』もタイトに仕上げてました。2025年に批評家から高く評価されたアルバムって、だいたいコンパクトなんです。リリースの頻度は高くないけど、出す時は間違いないものを出す。そういうスタンス。

Baby Keemが同じ選択をしたのは、おそらく偶然じゃないです。2020年代後半のヒップホップは「量で回すか、質で勝負するか」の分岐点にいて、Keemは質のほうに振り切った。日本のアーティストたちがすでに実践してきたやり方です。

「Ca$ino」というタイトルー金の話だけじゃない

カジノって聞くと派手なイメージがありますけど、本質は選択とリスクです。どのテーブルにつくか。いつチップを置くか。いつ降りるか。

4年以上黙ってたこと自体がリスクです。ファンは離れるかもしれない。トレンドは変わる。それでも12曲に絞って、自分の名刺代わりになるようなアルバムを作る。これは衝動的な賭けじゃなくて、テーブルの流れを読んだうえでの勝負ですよね。

千葉雄喜がKOHHの名前を捨てたのも賭けでした。13年黙ってたSEEDAがアルバムを出すのも賭けでした。でもどっちも勝った。沈黙の時間が長いほど、復帰作のインパクトは大きくなる。Baby Keemもそれをわかってるはずです。

AOTY候補と言われてる理由を整理します

まだリリース前ですけど、もう「Album of the Year候補」という声が出てます。期待値だけで語るのは危険ですが、根拠はいくつかあります。

前作『The Melodic Blue』は全米プラチナ認定。そこから4年以上のブランク。Kendrick Lamar参加。12曲のコンパクト構成。アルバム発表と同時にワールドツアー「The Ca$ino Tour」(2026年4月〜9月、北米+欧州約40公演)も発表されてます。6月のGovernors Ball、8月のAll Points East(ロンドン)ではTyler, the CreatorやClipseと共演予定。チケットのプレセールはCash App Card連携で、2月11日から始まってます。

つまり、アルバムを出して終わりじゃなくて、ライブで「証明する」場所まで用意されてるということです。この周到さが、単なる復帰作じゃないことを物語ってます。

2026年の日米ヒップホップ——見えてきた共通の流れ

ここまで書いてきて改めて思うのは、日本とアメリカのヒップホップがいま、かなり近い場所にいるということです。

2025年の日本語ラップは、Creepy Nutsが17億回再生・MUSIC AWARDS JAPAN 9冠という異次元の数字を叩き出す一方で、Skaaiの『Gnarly』やSEEDAの『親子星』が「商業的ヒットとは別の勝ち筋」を示しました。千葉雄喜の「Mamushi」がBillboard Hot 100に入って、Awichが国際展開を加速して、Number_iがWME(William Morris Endeavor)と契約してグローバル化を本格化させた。

商業で勝つ道も、作品で勝つ道も、どっちも開かれてる。そういう成熟したシーンに日本はもうなってます。

Baby Keemが『Ca$ino』で選んだ作品で勝負するという道は、日本のリスナーにとっては馴染みのある美学です。だからこそ、このアルバムは日本のヒップホップファンにもストレートに響くんじゃないかと思います。

リリース情報まとめ

  • アーティスト:Baby Keem
  • アルバム名:Ca$ino
  • レーベル:pgLang / Eerie Times / Columbia Records
  • リリース日:2026年2月20日
  • 収録曲数:12曲
  • 主な客演:Kendrick Lamar、Momo Boyd、Too Short、Che Ecru
  • 注目曲:Good Flirts(ft. Kendrick Lamar & Momo Boyd)
  • 前作:The Melodic Blue(2021年/全米プラチナ認定)
  • ツアー:The Ca$ino Tour(2026年4月〜9月/北米+欧州約40公演)
  • 関連映像:Booman I Ca$ino Documentary(booman.co)

黙ってた時間が、次の一手を強くする

千葉雄喜が名前を捨てて蘇ったように。SEEDAが13年越しに『親子星』を落としたように。Skaaiが12曲でシーンの風景を塗り替えたように。黙ってる時間は、負けてる時間じゃないんです。次の手札を揃えてる時間です。

Baby Keemの『Ca$ino』は、そういう意味でのオールインだと思います。

この記事について
Billboard,Complex等の公開報道、公式SNS発表情報、およびHIPHOPCsが蓄積してきた日本語ラップシーンの取材・分析データを基に構成しています。日本のヒップホップとの比較分析は、HIPHOPCsの独自視点によるものです。

注意
記事内容は2026年2月1日時点の情報に基づきます。最新情報は各アーティストの公式アカウントをご確認ください。記事内容は公開時点の情報に基づきます。最新情報は公式アカウントをご確認ください。

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