金曜日, 12月 26, 2025

【速報】SKY-HI年内活動辞退、BMSG声明を解説──NENEの問題提起と重なる「権力と文化」の論点

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公開日: 2025年12月25日
カテゴリ: ニュース
著者: ItoKotaro

2025年12月25日、BMSGは公式サイトで、代表取締役SKY-HI(日髙光啓)をめぐる一部報道を受けた内部調査の結果と、今後の活動・経営指針を発表した。声明では、専門家の指示を仰ぎつつ調査を行い、「違法行為に該当する事実は確認されなかった」と説明している。

一方で、信頼回復と再発防止に向けてガバナンス強化を掲げ、代表が表舞台に立つことで所属アーティストに不要な懸念が及ぶことを避ける判断として、年内に予定していた出演の一部を辞退するとした。

重要ポイント(まずここだけ)

  • 内部調査:違法行為の有無を調査し、「違法行為に該当する事実は確認されなかった」と説明。
  • 年内の出演を一部辞退:12/27 COUNTDOWN JAPAN 25/26、12/29 日本テレビ系「発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2025~」。
  • ガバナンス強化:外部有識者による監視体制、専任部署の設置、経営体制の再構築(数か月以内を目処に公表)。

BMSG声明の要点(公式発表の整理)

声明では、(1)外部有識者によるコンプライアンス監視体制の導入(2)専任部署の設置と内部統制の構築(3)経営体制の再構築——を柱として掲げた。代表個人の判断に依存しない、客観的な監査と統治を強める方針だ。

さらに、体制構築と再発防止に専念するため、年内に予定していた出演のうち一部を辞退すると説明した。なお、発表以前に収録済みのコンテンツについては、一部を除き予定通り公開・放送されるとしている。


HIPHOPCs視点:なぜこの話は「違法かどうか」だけで終わらないのか

ここで論点は、単なる“白黒判定”では終わらない。ヒップホップはしばしば、リアル/対等性/説明責任を重視してきた文化である。

SKY-HIはラッパーであると同時に、BMSG代表取締役CEOとして資本と決定権を持つ立場にもいる。この二重構造の中で、トップのふるまいが「ガバナンス」「統治」という形で問われるとき、カルチャー側が感じてきた違和感は“制度の言葉”として現実に表面化する。

この構図は、2025年にNENEが「OWARI」「HAJIMARI」で投げかけたテーマとも地続きだ。より深い構造の整理は、以下コラム(12月25日追記済)でまとめている。

HANAはラッパーなのか?──SKY-HI報道が突きつけた「権力」、NENEが暴く境界線


関連:NENEのディストラック文脈が、今回の声明で再点火している理由

今回の公式声明は「違法性の有無」だけでなく、ガバナンス(監査・統治)を明文化した点が大きい。ここで改めて注目されているのが、2025年にNENEがディストラックで投げかけた「ヒップホップを掲げる側にいる権力者が、文化とどこまで対等に向き合うのか」という問いだ。

この問いは、単なる“好き嫌い”や“曲が似ているかどうか”の話ではなく、クレジット/リスペクト/意思決定の力学といった、カルチャーの倫理そのものに触れている。だからこそ、今回の声明で「体制」「監査」「再発防止」が言語化されたことで、NENE側の問題提起と地続きで語られやすい状況になっている。

「カッケェ大人」としての自己像と、今回の謝罪のギャップ

SKY-HIはこれまで、フリースタイルや楽曲の中で「失敗しても、最終的には“かっこいい大人”として振る舞いたい」という趣旨のラインをたびたび残してきた。若いリスナーやアーティストにとって、彼は「言葉と行動で背中を見せる大人」として消費されてきた側面がある。

だからこそ今回、「違法行為はなかった」としつつも、自ら「一般社会の常識とは乖離した軽率な行動」「世間との感覚のズレ」を認めざるを得なかった事実は、本人が掲げてきた「カッケェ大人」という自己像との間に、どうしてもギャップを生む。ヒップホップは、リリックのセルフブランディングと現実の行動がどこまで噛み合っているかをシビアに見られるカルチャーだ。その意味で、今回の謝罪文は「言葉」と「現実」の距離を改めて突きつけるものになってしまった。

ヒップホップにおける「pedo」イメージの重さ

今回のケースでは、公式には「条例違反や違法行為はなかった」とされている一方で、「未成年」「深夜」「自宅」といったキーワードが組み合わさったことで、ネット上では海外ヒップホップで使われる「pedo(小児性愛的な加害者)」というレッテルと結びつけて消費される危険もある。

ヒップホップの世界で、この種のレッテルは最悪レベルのダメージを持つ。実際の有罪判決が出ていなくても、未成年の搾取やハラスメントと結びつく疑惑だけでキャリアが致命傷を負うアーティストは少なくない。権力や立場に差がある関係での振る舞いは、それだけ慎重さが求められる領域だ。

今回のBMSGとSKY-HIの声明は、「法的なラインは越えていないが、社会的・倫理的なラインには触れてしまった」というメッセージとして受け取られうる。ヒップホップを掲げる立場の人間が、このギリギリのゾーンに足を踏み入れたこと自体が、カルチャー側から見ると大きな問題として記憶されるだろう。

またSNS上では、SKY-HIが公開した音源(フリースタイル等)についても、NENEへの“応答”として受け止める声がある。ただし、HIPHOPCsとしては当事者が明確に意図を説明していない限り、断定は避け、あくまでそう読まれている背景を整理する。

この“構造”の整理(HANA/BMSG/NENEの論点を一本につなげる分析)は、以下のコラムに追記済。

HANAはラッパーなのか?──SKY-HI報道が突きつけた「権力」、NENEが暴く境界線

※注記
本セクションは、公開されている公式情報・楽曲・反応をもとに、論点の位置づけを整理するものであり、特定の個人・団体の意図や事実関係を断定するものではない。

via @iamrealnene @skyhidaka Instagram


一次情報リンク(公式)

注意事項(免責)

本記事は特定の個人・団体を誹謗中傷する意図はない。事実関係は現時点で公表されている範囲(公式一次情報)を前提に整理している。新たな一次情報が出た場合、追記・更新する可能性がある。

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