Rich The Kid『No Counterfeit』は、アトランタを拠点に活動するラッパーがその存在感を改めて示すトラックだ。タイトルが示す通り、「偽物ではない」という強いメッセージが全編を貫いており、ストリートで培ってきた本物の姿勢が色濃く反映されている。硬質なベースラインとトラップ特有のハイハットが刻むビートは、無駄な装飾を削ぎ落としたミニマルな構成ながら、Rich The Kidのアグレッシブなフロウを引き立てるには十分な説得力を持っている。
リリックでは、自身の成功と富、そしてそれを手に入れるまでの道のりに対する自信が前面に押し出されている。偽物やフェイクに対する警告とも取れる言葉選びは、ヒップホップシーンにおいて常に問われる「リアル」であることの重要性を再確認させるものだ。Rich The Kidは南部トラップの系譜に位置しながらも、ニューヨークをはじめとする各地のラッパーたちとも交流を重ねてきた経歴があり、そのキャリアの幅広さが楽曲のレイヤーにも表れているように聞こえる。
HIPHOPCs編集部としては、この楽曲が単なる自己主張を超えて、現代のヒップホップシーンにおける「オーセンティシティ」への問いかけとして機能していると捉えられる。派手さよりも芯の強さを優先したプロダクションは、表面的なトレンドに流されない彼のスタンスを感じさせる仕上がりだ。ドライブ中や深夜のストリートを歩くときに聴けば、その骨太なエネルギーがより一層伝わってくるだろう。Rich The Kidが積み上げてきたキャリアの重みを再確認できる一曲である。