渋谷のトラブルメーカーが「違う輝き」を求めた楽曲──それがTee Shyneの「Different Shyne」だ。RAPSTAR批判で名を馳せた彼が、ディスとは別の方向性を模索する。ストリーミング各社で配信中。夜の首都高を流しながら聴いたが、これまでの彼とは確かに何かが違う。
Tee Shyne「Different Shyne」──問題児が見せる別の顔
サウンドスケープ:UKドリルから一歩踏み出した音作り
冒頭から響くのは、彼の定番だったUKドリルのハイハットではない。BPMは140前後と推測されるが、より空間的な広がりを持つトラップ寄りのプロダクションだ。808のキックは深く沈み、スネアのリバーブが都市の夜を想起させる。ボーカルにはオートチューンが薄くかかり、これまでのアグレッシブな吐き捨てるようなフロウから、メロディアスなアプローチへとシフトしている。過去作「Entertainer」で見せた和風要素は影を潜め、よりインターナショナルな音像を志向しているようだ。
リリカルコンテンツ:「違う光」が意味するもの
タイトルの「Different Shyne」は、明らかに自身の変化を示唆している。歌詞の詳細は公式リリースを待つ必要があるが、楽曲全体から感じられるのは、RAPSTAR批判やビーフとは異なる方向性だ。フックで繰り返されるフレーズからは、これまでの「問題児」イメージからの脱却、あるいは音楽的な成熟を目指す意図が読み取れる。ただし、完全に牙を抜いたわけではなく、ところどころに彼らしい皮肉も散りばめられているだろう。
シーンにおける立ち位置:KID DA NOIZEの異端児の行方
高2からラップを始め、KID DA NOIZEに所属するTee Shyne。「RAPSTAR DIS」シリーズで一躍注目を集めた彼だが、本作はその延長線上にはない。むしろ、ディスやビーフだけのアーティストという評価から脱却しようとする試みと捉えられる。AMIRIやRick Owensを纏うラグジュアリー志向は健在だが、音楽的にはより幅広いリスナー層へのアプローチを感じさせる。引退騒動を経て復帰した彼が、どこへ向かおうとしているのか。この曲はその方向性を示す重要な一曲となるだろう。
批評的視点:変化の功罪
HIPHOPCsとして率直に言えば、この方向転換には賛否両論あるだろう。確かに音楽的な幅は広がったが、彼の持ち味だった鋭利な言葉のナイフは鈍化している。メロディアスなアプローチは新規リスナーを獲得する可能性がある一方で、初期からのファンには物足りなさを感じさせるかもしれない。プロダクションのクオリティは高いが、それが彼の個性を薄めているとも言える。「Different」であることと「Better」であることは必ずしもイコールではない。この曲が彼のキャリアにとってプラスに働くかは、今後のリリースとライブパフォーマンス次第だろう。
Punchline:変化を恐れない姿勢
「Different Shyne」の核心は、型にはまることを拒否する姿勢にある。RAPSTAR批判で得た注目を、単なる一発屋で終わらせない。そのために選んだのが、あえて違う光を放つことだった。成功するかどうかは別として、この挑戦自体が彼のアーティストとしての成長を物語っている。
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よくある質問
Tee Shyneの「Different Shyne」はどんな曲ですか?
これまでのUKドリル中心のスタイルから、よりメロディアスでトラップ寄りのサウンドへとシフトした楽曲です。タイトル通り「違う輝き」を見せようとする意欲作と言えるでしょう。Spotifyなどで配信されています。
Tee Shyneはどんなアーティストですか?
東京・渋谷出身のラッパーで、高校2年生からラップを始めました。KID DA NOIZEに所属し、「RAPSTAR DIS」「RAPSTAR DIS 2」でオーディション番組を批判した楽曲が話題となりました。「Entertainer」ではロンドンでMVを撮影し、和風ビートとUKスタイルの融合を試みるなど、実験的な活動でも知られています。
「Different Shyne」でTee Shyneは何を表現しようとしているのですか?
楽曲全体から感じられるのは、これまでの「問題児」「ディスの人」というイメージからの脱却です。より幅広い音楽性を追求し、アーティストとしての成熟を目指している様子がうかがえます。ただし、完全に方向転換したわけではなく、彼らしさも残していると思われます。
Tee Shyne「Different Shyne」をSpotifyで聴く
本記事の楽曲解釈は編集部の印象に基づくものであり、アーティストの公式見解を代表するものではありません。
