バンドセッションとラップの融合──それがKID FRESINOとYONCEによる「back for me」の核心だ。本作は、三浦淳悟、佐藤優介、斎藤拓郎、石若駿という実力派ミュージシャンによる生演奏を土台に、二人のボーカリストが対話を重ねる。東京ガーデンシアターでのワンマン公演を控えたタイミングでのリリースは、KID FRESINOの新たな方向性を示唆している。
KID FRESINO「back for me」feat. YONCE|バンドセッションが生む新たな質感
生演奏が作り出す有機的なグルーヴ
イントロから聴こえてくるのは、石若駿のブラシワークだろうか。ミドルテンポのビートに、佐藤優介のエレクトリックピアノが柔らかく絡む。斎藤拓郎のギターは控えめながら、要所で空間を彩る。三浦淳悟のベースラインは、ヒップホップ的な重さを保ちながらも、ジャズ的な動きを見せる。浦本雅史のミックスは各楽器の分離を保ちつつ、全体として一つの塊として聴かせる。Colin Leonardのマスタリングも、配信時代に最適化された音圧感だ。
二人のボーカリストが描く対話
KID FRESINOのラップとYONCEの歌唱が交互に現れる構成は、単なるフィーチャリングを超えた対話性を持つ。YONCEの声質は、Suchmosで聴かせるソウルフルさとは異なり、より内省的な響きを持つ。KID FRESINOも普段のアグレッシブなフロウを抑え、バンドの呼吸に合わせたデリバリーを選択している。ただし、この抑制が時に物足りなさを感じさせる瞬間もある。もう少し感情の振れ幅があってもよかったのではないか。
Punchline:戻ってこない何かへの眼差し
「back for me」というタイトルが示唆するのは、戻ってほしいという願いだろう。歌詞の詳細は公式リリースを待つ必要があるが、楽曲全体から漂うノスタルジックな雰囲気は、失われたものへの眼差しを感じさせる。バンドセッションという形式自体が、デジタル制作が主流の現在において、ある種の「戻る」行為とも解釈できる。HIPHOPCsとしては、この回帰的な姿勢が、単なる懐古主義ではなく、新たな表現の模索であることを期待したい。
シーンにおける位置づけと今後の展開
日本のヒップホップシーンにおいて、バンドセッションとの融合は決して新しい試みではない。しかし、KID FRESINOがYONCEという異なるフィールドのアーティストと組み、さらに実力派ミュージシャンを起用したことは、ジャンルの垣根を越えた音楽制作の可能性を示している。2026年7月中旬に予定される10インチレコードの限定生産も、フィジカルメディアへのこだわりを感じさせる。ただし、この方向性が今後のKID FRESINOの活動にどう影響するのか、一過性の実験なのか継続的な探求なのかは、まだ判断できない。
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よくある質問
KID FRESINO「back for me」のフィーチャリングアーティストは誰ですか?
YONCEがフィーチャリングとして参加しています。YONCEはSuchmosやHedigan’sのメンバーとして知られるアーティストです。この楽曲では、三浦淳悟(Ba)、佐藤優介(Pf)、斎藤拓郎(Gt)、石若駿(Dr)によるバンド編成でレコーディングされています。
「back for me」のレコード盤は発売されますか?
10インチレコード盤が2026年7月中旬に限定生産される予定です。詳細な発売日や購入方法については、アーティストの公式情報をご確認ください。
KID FRESINOの最新ライブ情報を教えてください
2026年2月8日に東京ガーデンシアターでワンマンライブ「KID FRESINO 21」が開催予定です。チケットは既にSOLD OUTとなっています。今後のライブ情報については、公式サイトやSNSでの発表をお待ちください。
「back for me」をSpotifyで聴く:https://open.spotify.com/track/7HZMIIF0neWvNC8P1UgAQo
本記事の楽曲解釈は編集部の印象に基づくものであり、アーティストの公式見解を代表するものではありません。
