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【2026年2月20日配信】Baby Keem『Ca$ino』全曲解説|千葉雄喜・SEEDAと重なる沈黙の美学

via @keem instagram 千葉雄喜が3年黙って、「Team Tomodachi」で帰ってきた時のこと、覚えてますか。SEEDAが13年ぶりにアルバムを出した時の衝撃も。日本のヒップホップって、黙ってる時間が長いラッパーほど、戻ってきた時にとんでもないものを持ってくると思いませんか? いま太平洋の向こうで、まったく同じことをやろうとしてるラッパーがいます。 Baby Keem。新作『Ca$ino』を2026年2月20日にリリースします。前作『The Melodic Blue』から4年以上。全12曲。従兄弟のKendrick Lamarも参加。これ、ただの新譜じゃないです。 沈黙から復帰が強い理由 Baby Keemの話に入る前に、日本のシーンを振り返らせてください。ここ2年で長い沈黙のあとに名盤を出すパターンが立て続けに起きてるんです。しかも全部、ちゃんと結果を出してる。 千葉雄喜(元KOHH)——名前を捨てて、世界に届いた 2020年にKOHHとしての引退を宣言。2021年末にラストライブをやって、そこから約3年、本当に消えました。文學界にエッセイを寄稿したり、服屋を開いたりはしてましたけど、音楽としての「KOHH」は完全にゼロにした。 で、2024年2月に突然出てきたのが「Team...

2026年グラミー殿堂入り作品発表!2Pac、Eric B.&Rakim、Selena、Janet Jacksonらが選出

米レコーディング・アカデミーは2月11日、2026年のグラミー殿堂(Grammy Hall of Fame)入り作品14点を発表した。今回はアルバム9作品、楽曲5作品が選出され、発表から25年以上を経た、音楽的・歴史的に重要な録音が顕彰される。 そして特筆すべきは、選出作品は約1世紀にわたる録音史を網羅していることだ。ヒップホップ、ロック、R&B、ジャズ、ゴスペル、フォーク、児童音楽まで幅広いジャンルが含まれている。 ヒップホップ、R&B系アルバム部門では、2Pac(2パックno)『All Eyez On Me』、Selena(セレーナ)『Amor Prohibido』、Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)『Rhythm...

【HIPHOPCs独占インタビュー】日本と台湾、そしてアジアのシーンを繋ぐキーパーソン、Finesse’Boyの現在とこれから

ますます盛り上がりを見せているヒップホップシーン。特に本場であるアメリカのヒップホップ業界の成長は止まる事を知らず、新たなラッパーが毎日のように誕生し、入れ替わりの激しい実力主義の世界で熾烈な競争を繰り広げているのだ。 しかし、ヒップホップという文化が発展を遂げているのは、危険なイメージと結び付けられがちなアメリカだけではない。 近年、アジアのヒップホップは確実に存在感を高めている。日本ではオーディション番組『Rapstar』にATL JacobやZaytovenといった海外のビッグネームがビートを提供するなど、シーンはすでに国境を越えた動きを見せている。そして、この流れは今に生まれたものではない。 2015年に公開されたKeith Ape、JayAllDay、Loota、Okasian、Kohh(千葉雄喜)による日本と韓国のラッパーのクロスオーバー楽曲「It G Ma」は、現在までに約9000万再生を記録。 https://youtu.be/DPC9erC5WqU?si=xpyFbX0vAD-U5TLF この大ヒットをきっかけに、A$AP FergやWaka Flocka Flameが参加したリミックス版が公開されるなど、アジア発の楽曲が世界的バイラルヒットを記録し、USリスナーの注目を集めることに成功した。 https://youtu.be/aISZPYznhgA?si=WKTiXi2twfu3pHQW その後、コロナ禍に88risingから公開されたRich Brianによる「Tokyo...

2026年2月第2週|今週のヒップホップニュース総まとめ:般若「卒業」と¥ellow Bucks「Zepp問題」、日本のヒップホップが直面する壁

読了時間: 約28分
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文責:Rei Kamiya

via @hannyaofficial/@yellowbucks instagram

対象期間:2026年2月6日〜2月13日

今週の日本──般若が「卒業」で内的な決断を迫られ、¥ellow Bucksは「Zeppも借りれん」で制度の壁を可視化、Number_iはWME契約でジャンルと市場の境界を拡張した。
海外──J. Cole『The Fall-Off』初週約30万ユニットで最終章の重みを証明、Bad Bunnyはハーフタイムショー1.28億人(Nielsen確定値)で越境の最大規模を更新。
論点──壁の種類が違えば、議論も分岐する。今週はその多層性が一斉に露呈した。


イントロダクション:越境の先にあった壁

先週、日本のヒップホップは3方向に同時に国境を越えた。Number_iはWME契約で、NillNico・Red Eyeは韓国のオーディションで、Creepy Nutsは2曲目のRIAAゴールドとコーチェラ出演で。越境の方法論が問われた1週間だった。

今週、シーンは全く異なる角度から揺れた。テーマは境界線だ。

般若が卒業を宣言し、キャリアの内側にある線と向き合った。¥ellow Bucksのリリックが、大規模会場を借りられないという制度的な壁を可視化した。Number_iのWME契約の裏側では、滝沢秀明社長の1年以上に及ぶ水面下の交渉プロセスがFRIDAYによって明らかになり、企業越境の設計図が見えた──同時に、ヒップホップか否かという文化的議論は世界市場へ拡張された。

海外では、J. Cole『The Fall-Off』が初週約30万ユニットで最終作の価値を数字で証明し、Bad Bunnyのハーフタイムショーが1.28億人の目に焼きついた。

越境するためには、まず壁が見えなければならない。今週は、その輪郭が一斉に浮かび上がった。


今週の結論

今週の核心は、日本で同時多発的に顕在化したヒップホップの定義をめぐる多角的な問いにある。

般若と¥ellow Bucksはリアルと社会規範の衝突──内側の壁を、Number_iはWME契約を通じてジャンルと市場──外側の壁を浮き彫りにした。FRIDAYの報道は、その外側の壁を越えるために滝沢社長が2024年12月から1年以上かけて交渉を重ねていた事実を明らかにした。

壁の種類は一つではない。般若は個人の、¥ellow Bucksは制度の、Number_iはジャンルと市場の壁に直面している。日本のシーンが成熟し多様化する中で避けては通れない成長痛だ。


〖0〗今週の地図(最初の10秒で掴む)

主要トピック核心重要度
般若「卒業」宣言約1年ぶり新曲「卒業 (feat. 柊人)」リリース。何を卒業するのか──ラスボスの真意にSNSが沸騰。★★★★★→読む
¥ellow Bucks Zepp問題「Zeppも借りれん生憎」──楽曲「What The Fuck」でZeppを名指し。過去の逮捕歴と会場利用の見えない壁。★★★★★→読む
Number_i WME契約の”裏側”滝沢社長が’24年12月に渡米、1年以上の交渉。「3XL」で国内5曲目の首位も、ジャンル論争は新局面へ。★★★★★→読む
J. Cole『The Fall-Off』初週約30万ユニットでBillboard 200初登場1位確実。「最終章」を数字が証明。★★★★☆→読む
Super Bowl LX & Bad BunnySeahawksが29-13で勝利。ハーフタイムショーは1.28億人視聴(Nielsen確定値)。ラテンカルチャーが世界の中心に。★★★★☆→読む
LEX Zepp Tour自身最大規模ツアーのアフターパーティー発表。若手世代の勢い。★★★☆☆
Cardi B ツアースタート35公演アリーナツアー「Little Miss Drama Tour」初日ソールドアウト。★★★☆☆

〖1〗重要ストーリー3本

▶1:般若「卒業」と¥ellow Bucks「Zepp問題」── 日本のヒップホップが直面する”見えない壁”

今週、日本のヒップホップは、二人のラッパーの動向を通じて、表現の自由という根源的なテーマと正面衝突した。

般若 ──「色々考えた結果、卒業するわ」

2月10日、般若が自身のX(旧Twitter)にこう投稿した。

色々考えた結果 卒業するわ。 ── 般若(@Hannya_Tokyo)2026年2月10日 [22]

116万回表示、4,069いいね。翌11日には約1年ぶりの新曲「卒業 (feat. 柊人)」がリリースされた [1]。

般若は高校生の頃、東京の「妄想族」で活動を開始。当時から群を抜いた存在感を放ち、現在のBAD HOPにおけるT-Pablowのようなポジションだったと評されている。『フリースタイル・ダンジョン』では「ラスボス」として数々の名勝負を繰り広げ、日本語ラップのバトルカルチャーを大衆に広めた立役者だ。ドラマでの主演、「BATTLE SUMMIT」の優勝賞金2,000万円を井戸掘りに使い子供たちを笑顔にした活動、ポストとキャバ嬢の大喧嘩を「8年後の未来から来たあなたたちの子供だ」と名乗って仲裁したエピソード──そのキャリアの全てが、ヒップホップの枠を超えた破天荒さで彩られている。

その般若が「卒業するわ」と言った。しかし、何を卒業するのかは明言していない。SNSでは悲しみ、困惑、期待が入り乱れている。2月23日のO-EASTワンマンが、その答えを示す場になるだろう。何よりこのワンマン、2025年から情報解禁されており、公演名が般若 ラストアンサー LIVE TOUR 2026 FINALという点だ。

¥ellow Bucks ──「審査も通らねえ 契約も借りれん」

一方、¥ellow Bucksの楽曲「What The Fuck」のリリックが、別の意味で波紋を呼んだ。

審査も通らねえ契約 Zeppも借りれん生憎 ── ¥ellow Bucks「What The Fuck」[23]

ファンの間では以前から「¥ellow BucksはZeppを借りられないのではないか」という見方があったが、この楽曲で本人がZeppを名指ししたことで、議論が一気に顕在化した [2]。

背景にあるのは過去の逮捕歴だ。2021年11月、大麻取締法違反で現行犯逮捕(同年12月に不起訴処分)[3]。2023年2月には愛知県内で再び大麻所持容疑で逮捕されている [4][5]。

ポイントは、Zepp側に前科者不可という明確な規定が存在しないことだ。しかし、薬物関連トラブルのイメージリスクを避けるため、プロモーター側が自主的に出演を見送る傾向があるとされている。これは明文化されていない見えない壁であり、ヒップホップが標榜するリアルが日本の社会規範と衝突する構造的な問題だという指摘がある。大規模会場にはそれぞれ独自の運用ガイドラインが存在し、出演者の経歴や表現内容に制約が課される場合もあるが、こうした基準は公式には開示されないケースが多く、プロモーターの裁量に委ねられている可能性が高い [2]。

アメリカでは前科を持つラッパーのアリーナツアーは珍しくない。しかし日本では、書かれていないルールが表現の場への参入障壁として機能している可能性がある。

リスナー視点としてはこのような障壁がヒップホップの進化の方向性を歪めている可能性があるのではないかと感じる出来事であった。

二つの壁

般若と¥ellow Bucks。二人が直面している壁は、性質が全く異なる。

般若のそれは内的な壁だ。ラスボスとして頂点を極めた男が、自らのキャリアをどう再定義するのか。個人の決断であると同時に、日本語ラップの一つの時代の終わりを示唆する可能性がある。

¥ellow Bucksのそれは制度的な壁だ。コンプライアンスが表現の機会を制限する現実。この壁は個人の努力だけでは越えられない──業界の構造そのものに関わる。

世界への越境が話題になる一方で、国内で表現する場すら制限される現実がある。今週はその矛盾が、二人のラッパーを通じて浮き彫りになった。なお、¥ellow Bucksの会場利用制限については、現時点で会場側の公式規定・公式声明は確認されておらず、リリック内容とファンの推測に基づく議論である点を付記しておく。

▷争点: キャリアの再定義と、コンプライアンスの壁。日本のヒップホップが自由であるための闘いは、一枚岩ではない。

Source: 般若 X投稿 [22], 音楽ナタリー [1], ¥ellow Bucks「What The Fuck」Spotify [23], YouTube [2], 音楽ナタリー [3][4], オリコン [5]


▶2:Number_iの現在地 ── WME契約の”裏側”、滝沢社長の1年、そして残る問い

Number_iのWME契約は、先週の発表時点では世界進出の大きな一歩として報じられた。だが今週、FRIDAYの報道によってその契約の裏側──発表に至るまでの周到なプロセス──が明らかになった [10]。

滝沢秀明の設計図

FRIDAYによれば、2024年12月、TOBE社長の滝沢秀明氏(43)は事務所スタッフなど5〜6人を連れて渡米している。目的はNumber_iのエージェント契約交渉だった。つまり、2月5日の発表から遡ること1年以上前から、WMEとの交渉は水面下で進行していた。

「アメリカはかなり緻密な契約書を作りますから、慎重に話し合いを重ねた」と音楽関係者は語る [10]。この周到さは、滝沢氏の経歴を見れば納得がいく。旧ジャニーズ事務所副社長時代の2022年10月にはTravis Japanをアメリカでデビューさせており、海外志向は業界内では有名だった。同年10月に退所、翌2023年3月にTOBEを設立。5月に元King & Princeの平野紫耀(29)、神宮寺勇太(28)、岸優太(30)の3人が独立し、7月にTOBEへ合流した。海外進出は、事務所設立当初からの目標だったのだ。

WMEが持つインフラの価値

WME(ウィリアム・モリス・エンデバー)は125年以上の歴史を持つ世界最大手のタレントエージェンシーだ。公式のアーティストロスターには多数のトップアーティストが掲載されており、例:ミュージシャンではBruno Mars、Billie Eilish、Eminem、日本からはYOSHIKI(X)の名がある。俳優部門でもAngelina Jolie、Matt Damon、Hugh Jackmanらが名を連ねている [21]。米『ハリウッド・リポーター』は「全世界のあらゆる分野で契約を結んだ」と独占報道した [20]。

この契約の最大のメリットについて、音楽関係者はこう分析する。「現在の音楽シーンは、コンサートで収益を確保するのがトレンド。配信が中心の今、CDを売って儲ける時代は終わった。アジアでも影響力が強いエンデバー社と契約できたのは大きい。海外コンサートは現地プロモーターとトラブルになりがちだが、エンデバー社が仕切れば問題はほぼなくなる」[10]。つまり、WME契約の本質は、グローバルツアーのインフラ確保にある。

Number_iは2024年4月のCoachella出演(「GOAT」がiTunes Hip-Hopチャート3位)、2025年のHead In The Cloudsフェス出演と着実にステップを踏んできた。今週、「3XL」でBillboard Japan Hot 100通算5曲目の首位を獲得 [9]。国内の数字は盤石だ。WME契約は、この実績を海外のコンサート収益に変換するための装置として機能する。

それでも鎮火しない問い

しかし、商業戦略がいかに精緻であっても、Number_iはヒップホップなのかという文化的な問いは別の回路で動いている。

1月のApple Musicヒップホップチャート独占を発端に、Zeebraが「覚悟を決めてきていただいた方がいい」と発言、BabyWoodRoseが「チャート荒らし」と指摘したこの議論は、WME契約によってスケールが変わった。国内チャートのカテゴリ問題から、世界市場で彼らはどうカテゴライズされるのかという問いへ。WMEが彼らをヒップホップアクトとして売り出すのか、J-POPアクトとして売り出すのか──この戦略的選択は、契約の先にある最も重要な論点だ。

般若の卒業、¥ellow BucksのZepp問題と並べると、構図はさらに鮮明になる。日本のヒップホップシーン全体が、ヒップホップとは何か、誰のものかという問いに、異なる角度から同時に向き合っている。Youtubeソース

▷争点: 滝沢社長の1年以上の交渉とWME契約は、グローバル展開のインフラとして圧倒的だ。しかし、商業戦略の精緻さと文化的正当性の獲得は、まったく別の回路で動いている。

Source: Yahoo!ニュース [8], Billboard Japan [9], FRIDAY [10], HIPHOPCs [11], The Hollywood Reporter [20], WME公式 [21]


▶3:J. Cole初週30万ユニット&Bad Bunny 1.28億人 ── 海外の二大トピック

J. Cole ── 最終作を数字が証明した

先週リリースされたJ. Coleの7作目にして最終作『The Fall-Off』の初週セールスが判明した。結果はなんと約30万ユニット、Billboard 200初登場1位が確実視されている [6]。

24曲ダブルアルバム。地元ファイエットビルの愛称にちなんだ「2-6-26」のリリース日。29歳と39歳、二つの視点で構成された物語。ストリーミング全盛期にこの数字を叩き出したことで、最終作の文化的重みが商業的にも裏付けられた。

2010年代の”Big 3″──Kendrick(先週グラミー27冠)、Cole(今週30万ユニット)、Drake。2週連続で、そのうち二人が歴史的な数字を刻んだ。ヒップホップ史の一章が、リアルタイムで閉じられていく。

Bad Bunny ── 1.28億人が踊った夜

Super Bowl LXは、Seattle SeahawksがNew England Patriotsを29-13で下した [7]。しかしカルチャーの視点で最も重要だったのは、Bad Bunnyのハーフタイムショーだ。

Nielsenの公式確定値によれば、ハーフタイムショーの平均視聴者数は128.2M(1億2,820万人)(Nielsen [12])。試合全体の平均は124.9M(1億2,490万人)で歴代2位、ピークは第2Qの137.8M(1億3,780万人)で全米テレビ史上最多を更新した(NFL.com [13])。

NFL公式によれば、ハーフタイムショーのソーシャルメディア総消費量は24時間で40億ビューを記録し、過去最高を更新。視聴者の55%以上がアメリカ国外からだった(NFL.com [13])。グラミーAlbum of the Year受賞(スペイン語アルバム初)の勢いそのままに、スペイン語パフォーマンスが世界最大のステージで炸裂した。移民政策をめぐる政治的緊張の中でのパフォーマンスは、音楽が政治を超えて身体的な経験として人々を繋ぐ瞬間だった。

1.28億人は、スペイン語を理解する必要はなかった。ただ踊った。それが、2026年における越境の到達点だ。

※ 放送直後、SNS上では「135.4M(1億3,540万人)で新記録」という数字が急速に拡散したが、NFL/放送側はこの時点で公式視聴者数は未公表と注意喚起しており、出所は確定していない。Nielsenのピーク値137.8Mとの混同の可能性が指摘されている。本記事では確定値(Nielsen / NFL.com)に基づき記述し、拡散した数字は未確認情報として扱う。

▷争点: 30万ユニットと1.28億人──最終作の重みと越境の最大規模が、同じ週に可視化された。

Source: Hypebeast [6], ESPN [7], Nielsen [12], NFL.com [13]


〖1.5〗編集部の視点

今週の論点は壁は、見ようとした時に初めて見える──これに尽きる。

般若は自分の中にある壁を見つめ、¥ellow Bucksは社会が引いた見えない壁にぶつかった。Number_iはジャンルの壁を世界規模に拡張し、その裏では滝沢社長が1年以上かけて準備を重ねていた。J. Coleはキャリアの最終章を30万ユニットで刻み、Bad Bunnyは言語の壁を1.28億人の前で踊りで消した。


〖2〗HSI(HIPHOPCs Scene Index)TOP10

ATT(話題性)/MKT(市場影響)/CULT(文化的厚み)の3軸(各10点)。HSIは編集部が加重計算した独自指標(0–100)。

RankTopicATTMKTCULTHSIひとこと
1Number_i WME契約の全貌1010893.0滝沢社長の設計図が判明。市場インパクト最大。
2般若「卒業」宣言1071090.0ラスボスの決断。2/23 O-EASTが答え合わせの場に。
3¥ellow Bucks Zepp問題981090.0コンプラの見えない壁。業界の構造的課題が露呈。
4J. Cole『The Fall-Off』初週810990.030万ユニット。最終章の重みを数字が証明。
5Super Bowl LX & Bad Bunny99886.51.28億人視聴(Nielsen確定値)。ラテンカルチャーが世界の中心に。
6Cardi B ツアースタート78670.035公演アリーナツアー初日ソールドアウト。
7LEX Zepp Tour77666.5若手世代の勢い。全国5大都市。
8Drake & PARTYNEXTDOOR RIAA68666.5複数曲プラチナ。ストリーミング時代の安定感。
9LANA「KATTARINA」65760.0「ツイートせずにラップしろよ」。SNS時代への一撃。
10青山テルマ & SoulJa × FIRST TAKE65656.52008年の名曲が2026年に再接続。

〖3〗ダイジェスト

日本

  • 般若: 2/10にX投稿「色々考えた結果 卒業するわ。」(116万回表示)。翌日、約1年ぶり新曲「卒業 (feat. 柊人)」リリース。2/23 O-EASTワンマンが注目 [1][22]。
  • ¥ellow Bucks: 楽曲「What The Fuck」で「審査も通らねえ契約 / Zeppも借りれん生憎」とZeppを名指し。2021年・2023年の逮捕歴と会場利用の関係が焦点に [2][3][4][23]。
  • Number_i: WME契約の裏側が判明。滝沢社長が’24年12月に5〜6人で渡米、1年以上交渉。「3XL」でBillboard Japan Hot 100通算5曲目首位 [8][9][10]。
  • LEX: 自身最大規模Zeppツアーのアフターパーティー発表 [14]。
  • LANA: 2026年初シングル「KATTARINA」リリース [15]。
  • 青山テルマ & SoulJa: 「THE FIRST TAKE」で「そばにいるね」を披露 [16]。
  • RAPSTAR 2025: ファイナリストMasato HayashiのMV「HIROYUKI」公開 [17]。

US / Global

  • J. Cole: 『The Fall-Off』初週約30万ユニット。Billboard 200初登場1位確実 [6]。
  • Super Bowl LX: Seahawks 29-13 Patriots。Bad Bunnyハーフタイムショー1.28億人視聴(Nielsen確定値)[7][12][13]。
  • Cardi B: 「Little Miss Drama Tour」35公演スタート。初日ソールドアウト [18]。
  • Drake & PARTYNEXTDOOR: 「$ome $exy $ongs 4 U」から複数曲がRIAAプラチナ認定 [19]。

〖4〗来週の注目ポイント

  • 般若ワンマンライブ (2/23 O-EAST): 卒業宣言後の初ワンマン。何を卒業するのか──答えがステージで明かされる可能性が高い。
  • Number_iの具体的海外展開: WME契約後の具体的な動き。Coachellaなど大型フェス出演の発表はあるか。FRIDAYが報じた海外コンサート活動の活発化がどの規模で実現するか。
  • J. Cole『The Fall-Off』批評の深化: 初週の数字が出た後、最終作としての音楽的評価が本格化する。
  • NillNico・Red Eyeの韓国オーディション続報: 先週取り上げた両名の次ラウンド。日本語ラップのアジア内越境の試金石。
  • ¥ellow Bucksの動向: Zepp問題の具体的展開。代替会場での公演か、業界のスタンス変化か。

〖5〗今週の新曲ピックアップ(Heavy Rotation)

  • 般若 – 「卒業 (feat. 柊人)」: ラスボス、約1年ぶりの新曲。キャリアの節目を感じさせるリリック。2/23のO-EASTが答え合わせの場に。
  • LANA – 「KATTARINA」: 「ツイートせずにラップしろよ」──2026年初弾にして、SNS時代のヒップホップへのアンチテーゼ。

〖6〗編集部の結論

般若は卒業で自らのキャリアの壁と向き合った。¥ellow Bucksは「審査も通らねえ」で、社会が引いた見えない不満をリリックに落としこんだ。Number_iはWME契約で世界への扉を開いたが、ヒップホップか否かという問いは解決していないのかもしれない。FRIDAYが明かした滝沢社長の1年以上の交渉は、この越境が衝動ではなく設計であることを示した。

今週の日本のヒップホップを貫くのは、壁の種類は一つではないという事実ではないだろうか。個人の壁、年齢のかべ、制度の壁、ジャンルの壁。それぞれに、それぞれの向き合い方がある。

海外ではJ. Coleが30万ユニットで最終章を刻み、Bad Bunnyが1.28億人の前で言語の壁を踊りで消した。来週は般若のO-EASTワンマンが控える。壁はまだある。


〖7〗References

  1. 音楽ナタリー. “般若が柊人をフィーチャーした新曲「卒業」リリース”
  2. YouTube. “¥BがZepp借りれないことが判明..規則が厳しい??”(解説動画。リリックの一次ソースは楽曲「What The Fuck」Spotify [23] を参照。なお、本稿執筆時点で¥ellow Bucks本人およびZepp側からの公式声明は確認されていない)
  3. 音楽ナタリー. “¥ellow Bucks、大麻所持で現行犯逮捕”(2021年11月17日)
  4. 音楽ナタリー. “¥ellow Bucks、大麻取締法違反で再び逮捕”(2023年2月9日)
  5. オリコン. “ラッパー・¥ellow Bucks、大麻所持容疑で逮捕 愛知県警が発表”(2023年2月9日)
  6. Hypebeast. “J. Cole’s ‘The Fall-Off’ Looking To Claim the Biggest Debut of 2026”
  7. ESPN. “Super Bowl 2026 highlights: Seahawks capture second Lombardi with 29-13 win over Patriots”
  8. Yahoo!ニュース. “世界大手タレントエージェンシー・WMEと契約発表”
  9. Billboard JAPAN. “Number_iが「3XL」で5作目の総合首位”
  10. FRIDAYデジタル. “Number_iが米大手エージェント会社と契約 海外進出の”ウラ側”と滝沢秀明社長「本当の狙い」”(取材・文:荒木田範文) ※関連YouTube動画:FRIDAYデジタル「芸能記者チャンネル」第10回『Number_iアメリカ本格的進出の”裏側”と滝沢秀明社長「本当の狙い」【芸能記者が徹底解説#10】』(関係者証言ベース)
  11. HIPHOPCs. “Number_iはなぜヒップホップチャート1〜4位を「独占」できたのか”
  12. Nielsen. “Super Bowl LX Delivers 124.9 Million Viewers”
  13. NFL.com. “Super Bowl LX second most-watched all time with nearly 125M viewers”
  14. iFLYER. “大人気ラッパーLEX、全国5大都市で展開する自身最大規模…”
  15. 音楽ナタリー. “「ツイートせずにラップしろよ」LANA、かったりい奴らに歌う”
  16. Billboard JAPAN. “青山テルマ、SoulJaと共に「そばにいるね」リアレンジバージョン…”
  17. ABEMA TIMES. “次世代ラッパーを発掘する…”
  18. Billboard. “Cardi B Stacks ‘Little Miss Drama’ Tour Opener With 37…”
  19. HotNewHipHop. “Drake & PartyNextDoor Earn Several New RIAA…”
  20. The Hollywood Reporter. “J-Pop Trio Number_i Signs With WME (Exclusive)”
  21. WME Music(公式アーティストロスター) ※クライアント一覧は公式ページで確認可能
  22. 般若(@Hannya_Tokyo)X投稿. “色々考えた結果 卒業するわ。”(2026年2月10日 11:04) ※116万回表示・4,069いいね(2026年2月13日時点)
  23. ¥ellow Bucks. “What The Fuck”(Spotify公式) ※該当リリック:「審査も通らねえ契約 / Zeppも借りれん生憎」

〖8〗一次ソースまとめ(確認用)

【公式・一次】

  • 般若 X投稿(「卒業」宣言 [22])/ 音楽ナタリー(般若「卒業」[1]、¥ellow Bucks逮捕歴 [3][4])/ オリコン(¥ellow Bucks逮捕 [5])/ ¥ellow Bucks「What The Fuck」Spotify公式(Zepp名指しリリック [23])/ Billboard Japan(Number_i「3XL」[9])/ Nielsen(Super Bowl LX視聴率 [12])/ NFL.com(Super Bowl LX公式 [13])/ ESPN(Super Bowl LX試合結果 [7])

【主要メディア】

  • FRIDAY(Number_i WME契約の裏側・滝沢社長の交渉プロセス [10]。記事URL確認済み)/ The Hollywood Reporter(WME契約独占報道 [20])/ Yahoo!ニュース(WME契約発表 [8])/ WME公式(クライアントロスター [21])/ Hypebeast(J. Cole初週セールス [6])

【補助】

  • YouTube(¥ellow Bucks Zepp問題 [2]:リリック分析。当事者・会場側の公式声明は未確認)/ FRIDAYデジタル「芸能記者チャンネル」/ HIPHOPCs(Number_iチャート論争分析 [11])

関連記事

週刊ヒップホップニュースまとめ:バックナンバー

今週の「境界線」は、過去6週間の流れの中で読むと、より立体的に見える。1月第1週の「法廷とフェスの両極」から、第4週の「定義をめぐる問い」(Zeebraの発言はここで始まった)、そして先週の「3方向の越境」へ。日本のヒップホップが週を追うごとに「外」へ向かい、今週ついに「内」の壁にぶつかった──その軌跡を、バックナンバーで追うことができる。

今週のトピック関連記事


編集ポリシー

確度の定義:確認済み=公式発表・主要メディア報道・当事者発言 / 報道=単一メディア(公式未確認) / =SNS等の未確認情報(〖4〗に隔離)

免責 本記事はHIPHOPCs Intelligence Unitが信頼できる情報源に基づき作成した週刊ニュースサマリーです。速報性を重視するため、一部情報は今後更新される可能性があります。般若の「卒業」宣言は本人X投稿 [22] および音楽ナタリー [1] に基づきます。¥ellow Bucksの逮捕歴は音楽ナタリー [3][4] およびオリコン [5] の報道に基づきます。「Zepp問題」のリリックはSpotify公式の楽曲「What The Fuck」[23] で確認済みですが、¥ellow Bucks本人およびZepp側からの会場利用制限に関する公式声明は本稿執筆時点で確認されていません。Number_iのWME契約交渉プロセスに関する情報はFRIDAYデジタルの記事(取材・文:荒木田範文、関係者証言ベース)[10] に基づいています。Super Bowl LXの視聴者数はNielsenの公式確定値(ハーフタイム平均128.2M [12]、全体ピーク137.8M)およびNFL.com [13] に基づく。放送直後にSNS上で拡散した135.4Mについては出所が確定しておらず、本記事では未確認情報として※注記に記載している。試合結果はESPN [7] に基づく。

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