米レコーディング・アカデミーは2月11日、2026年のグラミー殿堂(Grammy Hall of Fame)入り作品14点を発表した。今回はアルバム9作品、楽曲5作品が選出され、発表から25年以上を経た、音楽的・歴史的に重要な録音が顕彰される。
そして特筆すべきは、選出作品は約1世紀にわたる録音史を網羅していることだ。ヒップホップ、ロック、R&B、ジャズ、ゴスペル、フォーク、児童音楽まで幅広いジャンルが含まれている。
ヒップホップ、R&B系アルバム部門では、2Pac(2パックno)『All Eyez On Me』、Selena(セレーナ)『Amor Prohibido』、Janet Jackson(ジャネット・ジャクソン)『Rhythm Nation1814』が選ばれている。そして楽曲部門では、Eric B&Rakim(エリック・B & ラキム)『Paid In Full』、ゴスペルグループのThe Soul Stirrers(ザ・ソウル・スターラーズ)『Jesus Gave Me Water』らが殿堂入りした。ちなみに『All Eyez On Me』と『Rhythm Nation 1814』はBillboard200で1位を獲得している由緒正しきアルバムである。
今回顕彰された、セレーナ(23歳)、過去6回グラミー賞にノミネートされたものの一度も受賞を果たせなかった2パック(25歳)は、30歳未満でこの世を去っている。若くしてこの世を去ったアーティストたちの作品が、四半世紀以上を経てなお評価され続けている事実は重い。彼らの音楽がいまも新しい世代に届いていることを示す象徴ともいえるだろう。今回のグラミー殿堂入りは、通常のグラミー賞とは別枠で、作品の歴史的・文化的意義を称えるものである。そのため、過去に受賞歴がなくても選出はされる。
反して、エリック・Bとラキムに関しては、既に『Paid in Full』で高い評価を受けており、2019年にLifetime Achievement Award(生涯功労賞)を受賞済みである。
グラミー殿堂自体は1973年に創設され、各分野の専門家による特別委員会の選考と理事会の承認を経て決定される。今年の14作品を加えると、殿堂入り録音は累計1179作品となった。
殿堂入り作品は、グラミー・ミュージアムとレコーディング・アカデミー主催による「2026グラミー殿堂ガラ」で5月8日にロサンゼルスのビバリーヒルトンにて顕彰される。出演アーティストは後日発表予定で、現在テーブルおよび座席の販売も開始されている。受賞者には公式証書が授与される。
レコーディング・アカデミーCEOのHarvey Mason Jr.(ハーヴェイ・メイソン・ジュニア)は「これらの作品は、録音音楽が時代を超えて持ちうる創造性と文化的影響力を体現している」とコメント。グラミー・ミュージアムのMichael Sticka(マイケル・スティッカ)CEOも「音楽の過去と現在をつなぐ重要な架け橋」と、その意義を強調した。
さて、この選出はヒップホップにとって大きな意味を持っている。『Paid In Full』と『All Eyez On Me』が並ぶ光景は、同業界の過去と現在、アンダーグラウンドとメインストリームが一本の線でつながっていることを示している。ストリートから生まれた音楽が、いまや“歴史”として保存される時代であり、且つ2パックやエリック・B & ラキムらの選出は、カルチャーの基盤を築いた世代への正式なリスペクトとも捉えられる。
これは、ヒップホップが公式な音楽史の中核として刻まれていく。その象徴的な瞬間となるのだ。
2026年 殿堂入り作品一覧
アルバム
- 2パック『All Eyez On Me』
- セレーナ『Amor Prohibido』
- ルシンダ・ウィリアムス『Car Wheels On A Gravel Road』
- ハート『Dreamboat Annie』
- アリス・コルトレーン『Journey In Satchidananda』
- ファンカデリック『Maggot Brain』
- レディオヘッド『OK Computer』
- ニック・ドレイク『Pink Moon』
- ジャネット・ジャクソン『Rhythm Nation1814』
楽曲
- ザ・ソウル・スターラーズ「Jesus Gave Me Water」
- ザ・ラウス・ブラザーズ「Orange Blossom Special」
- エリック・B & ラキム「Paid In Full」
- バーサ“チッピー”ヒル「Trouble In Mind」
- エラ・ジェンキンス「You’ll Sing A Song And I’ll Sing A Song」
【補足:グラミー殿堂について】
グラミー殿堂は、1973年にレコーディング・アカデミーのナショナル・トラスティーズ(理事会)によって設立された。殿堂入りする録音作品は、録音芸術のあらゆる分野から集まった著名かつ専門知識を持つメンバーによる特別委員会が毎年選出し、最終的にレコーディング・アカデミーのナショナル・ボード・オブ・トラスティーズ(全米理事会)の承認を経て決定される。
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